トレイルランナーとして、アイガー・ウルトラトレイルで優勝を2度、UTMB®︎で2位を2度など、輝かしい成績を収めてきたアスリート、アンドレア・ヒューザー Andrea Huser(スイス)選手が山で事故のために亡くなりました(20min.chの記事)。11月29日土曜日にトレーニングから戻らないとして捜索願いが出され、その後の捜索の結果、翌日日曜日の正午ごろスイス・バレー州のザースフェー Saas-Feeで遺体となって発見されました。現場の様子から山の急斜面の沢を渡ろうとして約140mを滑落したものとみられています。
(写真・2018年のTransgrancanariaを2位でフィニッシュしたアンドレア・ヒューザー。Photo © Koichi Iwasa, DogsorCaravan)
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アンドレア・ヒューザーは1973年生まれで、アスリートとしてはマウンテンバイクやトライアスロンで頭角を表し、2002年にはマウンテンバイクのヨーロッパ選手権で優勝した経験を持ちます。その後、トレイルランニングでその才能を発揮。2015年からは年間を通して数多くのウルトラディスタンスの大会で上位に入り、とりわけ夏の間は毎週のように各地の大会で表彰台に立ちました。2015年のSwiss Iron Trail(204km)は男女総合2位で女子優勝、その2週間後のTDS®︎でも優勝してファンの注目を集めます。2016年、2017年にはそのキャリアは頂点を極め、2016年はLavaredo、Eiger、レユニオンで優勝、UTMB®︎とTransgrancanariadでは2位、2017年はMIUT、Eiger、レユニオンなどで優勝、UTMB®︎では2度目の2位。UTWT年間ランキングでは2016年に2位、2017年に首位となりました。
筆者にとって、アンドレア・ヒューザーさんは海外のレース取材に行けば注目選手として必ずその名を聞き、実際にレースでも上位に入ってくる馴染み深い存在でした。いつも静かな笑みを浮かべている様子からは、100kmや100マイルといったトレイルを安定したペースで走り切る、それも夏の間は毎週、という闘志や情熱がどこから出てくるのか窺い知れませんでした。最後にお目にかかったのは2018年のTransgrancanariaで2位になった後の表彰式の会場。ぜひ日本のレースにも、と話すと「いつかマウントフジに行きたい」と応えてくれました。
心よりアンドレア・ヒューザー選手のご冥福をお祈りいたします。