追記あり 詳細・2022年にスタートするUTMB®︎ World SeriesとUTMB®︎ Mont-Blancの新しいエントリーの仕組み、クオリファイアの位置付け、エリート枠など

UTMB®︎ Mont-Blancを頂点とするUTMB®︎ World Seriesが2022年にスタートすることが5月6日に発表されました。この記事ではこの新シリーズの仕組みの詳細と、従来のITRAポイントではなく新シリーズの大会を完走することがエントリー資格となったUTMB®︎ Mont-Blancの新しいエントリーの仕組みについて、UTMB®︎ Groupが公開したFAQに基づいて紹介します。追記Trails Endurance誌の記事より、2021年5月末でITRAがパフォーマンスインデックスとポイントの算出をやめることに伴う2022年モンブランへのエントリーへの影響、ランニングストーンに有効期限はないがストーンを獲得しない時期が2年以上になると失効すること、を追記しました。2021.05.17)

UTMB®︎ World Seriesの概要については、以下の当サイトの紹介記事やUTMB Mont-Blancのウェブサイトに掲載されているプレスリリースをご覧ください。

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2022年にUTMB®︎ ワールドシリーズがスタート、モンブラン出場には新シリーズ参加が条件に、IRONMANグループとの提携も

2021.05.06

基本のおさらい・ファイナル、メジャーそしてシリーズイベント

UTMBシリーズを構成するのは全体で30ほどの大会となり、その頂点がUTMB® World Series Finals(以下、ファイナル)でここは「モンブラン」が占めます。続いて南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア・オセアニアのそれぞれについてコンチネンタル・ファイナルとしてUTMB® World Series Majors(以下、メジャー)が1大会ずつ。その他はUTMB® World Series Events(以下、シリーズイベント)と位置付けられます。これらの大会で完走することで「モンブラン」の抽選チケットを得ることができます。

2022年からUTMB®︎ World Seriesはスタートするが、2022年のUTMB®︎ Mont-Blancのエントリーは従来のITRAポイントなどに基づいて進められる

初年度となる2022年のUTMB®︎ World Series(以下、UTMBシリーズ)は、先週5月6日のプレスリリースで発表された8大会のほか、全体でおよそ30の大会から構成される見込みで、そのリストは2021年の第三四半期に発表されます。そして2022年1月からはリストにあるレースはUTMBシリーズの大会として順次開催されます。初年度の各大会のエントリーは各大会の設ける仕組みに従います(2023年以降は後述のように仕組みが変更されます)。

2022年8月に開催されるUTMB®︎ Mont-Blanc(以下、「モンブラン」)はUTMBシリーズについて明らかになる前からすでにエントリーの概要が発表されており、変更はありません。ITRAポイントによるエントリー資格、Ultra-Trail World Tourや”by UTMB®︎”のレース完走で得られる「ランニングストーン」による抽選チケットの上乗せ、パフォーマンスインデックスによるエリート選手枠、といった仕組みは2021年までと同様です。中止となった2020年大会の出場権の持ち越しも認められます。

追記・UTMBが自らが所有しこれまでITRAに利用を認めてきたパフォーマンスインデックスについて、UTMB World Seriesは独自の指標として再定義して算出・運営することを決めました。ITRAではこの機会にUTMBのシステムに依存することをやめることを決めました<この経緯については当サイトのカトリーヌ・ポレッティさんのインタビューを参照>)。当サイトの取材によれば、ITRAは5月末でパフォーマンスインデックスとITRAポイントを算出するサービスを停止し、新たに代わるサービスを提供する模様です。こうした経緯から、2021年6月以降に世界各地で開催されるレースを走ってもITRAポイントは認められず、代わりに「クオリファイア」となっているレースを走ってUTMB独自の新しいパフォーマンスインデックスを得る必要があります。なお、2021年5月までに獲得しているITRAポイントがその後も参照可能で2022年モンブランのエントリー資格と認められるか否かは現時点では不明です。参考・Trails Endurance誌の記事より)

新たにUTMBシリーズが独自に算出するパフォーマンスインデックス

距離と累積獲得高度によりコースの難易度が異なるトレイルランニングにおいて、共通の尺度で選手の成績を比較するツールがパフォーマンスインデックス(以下、PI)です。ITRAのウェブサイトでITRAが審査した大会のリザルトに基づいたPIが各ランナーについて公開されています。

UTMBシリーズは、このITRAのPIとは別に、過去24ヶ月以内の約30のUTMBシリーズの大会(ファイナルとなる「モンブラン」は除く)とその他多数の「クオリファイア」(後述)の大会のリザルトを集計対象として、全てのランナーについてそれぞれPIを集計・更新します。このPIは対象となるリザルトが一つでもあるランナーについてもれなく算出されます。

そして(ITRAのPIではなく)このUTMBシリーズ独自のPIを持っていることが「モンブラン」のエントリー資格となり、メジャーやシリーズイベントの大会へのエントリーで優遇されます。このことが、次に述べる「クオリファイア」の大会の価値を生み出すことになります。

シリーズを直接構成しないものの、重要な位置付けとなる「クオリファイア」

UTMBシリーズのファイナル、メジャー、シリーズイベントのあわせておよそ30大会のほかにUTMB® World Series Qualifiers(以下、クオリファイア)と呼ばれる大会が位置付けられます。

このクオリファイアはUTMBシリーズを直接構成しないものの、広く世界中の大会から申請を受けてUTMBシリーズが認めた場合に無償で名乗ることができるレーベルで、UTMBシリーズはその数が数千になることを想定しています。

先にUTMBシリーズ独自のPIについて紹介したように、UTMBシリーズのレースだけでなくクオリファイアのレースを完走することでもランナーはPIを得ることができます。PIを持っていることが「モンブラン」のエントリー資格となり、メジャーやシリーズイベントのエントリーで優遇の条件となります。

この「メジャーやシリーズイベントのエントリーで優遇」とは、定員に満たない場合はPIを持つランナーはエントリー料の優待割引がある先行受付の対象となったり、定員を超えて抽選となる場合にはPIを持つランナーのみが抽選チケットが得られる、といったケースが紹介されています。

つまり、クオリファイアの大会を完走していなければ、メジャーやシリーズイベントの大会には、エントリーできない場合もありうることになります。

ここまで考えると、世界各地のさまざまな規模の大会にとってクオリファイアのレーベルをUTMBシリーズから得ることは相応に大きなメリットとなり得ることがわかります。

2022年のUTMBシリーズのクオリファイアの大会となるための申請の受付は今年2021年6月初めから開始するとしており、クオリファイアとなることで参加ランナーが得られる優遇は2023年のUTMBシリーズから発生することになります。申請を希望する大会はUTMBシリーズのウェブサイトから申込フォームに入力するほか、UTMBシリーズが定める行動憲章に従うことについてサインする必要がありますが、クオリファイアとなることは無料です。認められた大会はUTMBシリーズから提供されるロゴを使用でき、以後大会を開催するたびにリザルトをUTMBに提出する必要があります。

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なお、ITRAポイントは2023年以降に開催される「モンブラン」のエントリー資格ではなくなること、クオリファイアの申請・承認の仕組みはITRAの会員とポイント審査の仕組みとは別個のもので同時に両方に申し込むことも妨げないこと、が明記されています。

UTMBシリーズに設けられる4つの競技種目

UTMBシリーズには、コースの距離と累積高度で算出される数値(kmエフォート)を基準にした20K、50K、100K、100Mの4種目が設けられ、UTMBシリーズ独自のPIも算出の元となるリザルトに基づいてこれら4種類のPIが算出されることになります。

ただし、UTMBシリーズのファイナル、メジャー、シリーズイベントのおよそ30大会については現時点では50K、100K、100Mの3種目のレースのみが設けられます(将来は20Kも設けられる可能性は後述のようにありそうです)。20Kの種目はクオリファイアの大会の該当するレースでのみカウントされてPIが算出されることになります。

なお、kmエフォートは「距離(km単位)+累積獲得高度(100m単位)」 で算出されます。距離78kmで累積が4,000mD+なら118kmエフォートとなり100Kの種目と分類され、距離が120kmで累積が5,000mD+なら170kmエフォートとなり100M(170kmエフォート以上が該当)となります。

2023年からの「モンブラン」はレベルを問わず2年以内のリザルトに基づくPIを持っていることがエントリー資格で、ランニングストーンの数で抽選で有利に

2023年開催の「モンブラン」のうち、ファイナルとなるOCC、®︎、UTMB®︎ の三つのレースのエントリーの仕組みは大きく変わります。なお、それ以外のPTL®、®、MCC、YCCの各レースはこのUTMBシリーズの対象とはならないので、それぞれのエントリーの仕組みを踏襲することになり、詳細は2021年夏に発表予定です。

、CCC®︎、UTMB®︎ の三つのレースについては(1)数値の高低を問わず該当種目のPIを持っていることがエントリー資格、(2)メジャーやイベントシリーズを完走して獲得しているランニングストーンを1つ以上持っていることが抽選参加資格、となります。

まず(1)のエントリー資格については次の通りで、いずれもPIは24ヶ月以内のクオリファイアを含めたレースのリザルトのみがカウントされるます。2年以内のレースのリザルトがない場合には有効なPIが算出されず資格を満たさないことになります。

  • OCC: 20K、50K、100K、100MのいずれかのUTMBシリーズ独自のPIを持っていること
  • CCC®︎: 50K、100K、100MのいずれかのUTMBシリーズ独自のPIを持っていること
  • UTMB®︎: 100K、100MのいずれかのUTMBシリーズ独自のPIを持っていること

(2)の抽選参加資格については、ランニングストーンの数に応じて抽選で有利な仕組みとなります。UTMBシリーズのメジャー、シリーズイベントのいずれかのレースを完走するとその種目に応じた数のランニングストーンが与えられ、ランニングストーン1個でOCC、CCC®︎、UTMB®︎の抽選に抽選チケット1枚で参加できます。複数のレースを完走すればその度にランニングストーンを貯めることができ、貯まったストーンの数と同じ抽選チケットの枚数でOCC、CCC®︎、UTMB®︎の抽選に参加できるのでそれだけ有利となります。

抽選は一度の大会でOCC、CCC®︎、UTMB®︎のいずれかの一つに参加でき、ストーンを二つとか三つのレースに分配して抽選に参加することはできません。

抽選に外れた場合は、ランニングストーンは全てランナーの手元に返されるので、次回以降の「モンブラン」で再び有利な条件で抽選に参加できます。この場合も(1)のエントリー資格を満たしている必要があります。追記・ランニングストーンには獲得時から起算する有効期限はありませんが、抽選参加時に過去24ヶ月以内に少なくともランニングストーン1個を獲得していないと無効になります。このため、シリーズイベントに1年間参加せずにモンブランの抽選に参加することはできますが、さらにもう一年参加しない状態が続くとストーンは無効になってモンブランの抽選に参加できないことになります。参考・Trails Endurance誌の記事より)

メジャー、シリーズイベントの各種目を完走した場合に得られるランニングストーンの数は次の通りとなります(現時点ではメジャーやシリーズイベントに20Kのレースは予定されていないようですが、以下には20Kのレースも想定されており、将来は20Kのレースも開催される可能性があるようです)。

  • シリーズイベントの20K種目を完走→ランニングストーンを1個獲得
  • シリーズイベントの50K種目を完走→ランニングストーンを2個獲得
  • シリーズイベントの100K種目を完走→ランニングストーンを3個獲得
  • シリーズイベントの100M種目を完走→ランニングストーンを4個獲得
  • メジャーの20K種目を完走→ランニングストーンを2個獲得
  • メジャーの50K種目を完走→ランニングストーンを4個獲得
  • メジャーの100K種目を完走→ランニングストーンを6個獲得
  • メジャーの100M種目を完走→ランニングストーンを8個獲得

なお、2021年のUTWTで得たランニングストーンも、2022年大会のエントリーで使わない場合は2023年以降の「モンブラン」で使えるとされています。

中止となった2020年大会出場権の2023年への持ち越しは約束通り可能

中止となった2020年のUTMB®︎ Mont-Blancの出場権を持っているランナーで、その出場権を2021年、2022年のいずれの大会でも繰り越して行使しなかった場合は、最後のチャンスとして2023年大会で行使して出場権を得ることができます。この場合も上記(1)の有効なPIを持っていることが必要です。

ちなみに2019年大会、2020年大会の抽選でいずれも外れたランナーは本来は2021年大会の出場権を抽選なしで得られるはずでした。しかし2020年大会が中止となって出場権が翌年以降に繰り越しとなったことから、2021年大会の出場権は2020年大会の出場権を繰り越したランナーに優先され、埋まらなかった出場枠について、2度連続で外れたランナーの募集と抽選が行われました。この抽選で3度目の外れとなったランナーは2022年大会で抽選なしの優先権が認められます。

2020年大会の抽選で外れたランナーには2度連続で外れたランナーの抽選ののち、当選者の辞退などで枠が残った場合のみに、その他前回抽選に参加していないランナーともに2021年大会の抽選を行い、そこで抽選チケットを2枚とすることとしていました。その抽選で外れて2度連続の外れとなった場合でも2022年大会での優遇はなしとされています。

エリート枠はPIのレベルによらず、メジャーとシリーズイベント上位者に認められる

2023年以降の「モンブラン」のエリート枠は50K、100K、100Mの各レースについて、メジャー各大会の男女それぞれ上位10人、シリーズイベント各大会の男女それぞれ上位3人に認められます。選手が希望する場合で6月中旬までに申請した場合には、エリート枠を認められたレース以外に変更が可能とされます。例えば大会を前にケガなどで長距離に不安がある場合に短い距離に変更することが考えられます。

これらのエリート枠は当該年の「モンブラン」の15ヶ月前から大会直前までのメジャー、シリーズイベントについて認められますが、「モンブラン」開催3ヶ月前以降にエリート枠を得た選手については当該年か、翌年にするか選ぶことが可能です。翌年の出場を選んだ選手については大会がワイルドカードの特例として、当該年のエリート枠を認められたレースよりも距離が短いレースに出場を認めることができるとしています。

このほか、エリート枠を獲得した選手が「モンブラン」出場を辞退した場合や、他のレースですでにエリート枠を獲得している場合についても措置が決められています。これらのエリート枠の「余り」については6月中旬までに、前年のメジャーやシリーズイベントに参加した選手について、PIの数値が高い選手から順にコンタクトして枠を割り当てる、としています。

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