トル・デ・ジアン Tor des Géants®はロシア、ベラルーシの選手について中立的な立場で参加を認めると発表

イタリア・ヴァッレダオスタ州で330kmのトレイルランニングレース、トル・デ・ジアン Tor des Géants®をはじめとするイベント「TORX®︎」を主催するVDA Trailersは、3月8日にロシアおよびベラルーシの国籍を有する選手については中立的な立場での参加を認めることを発表しました。両国の選手は国旗や国歌、国のシンボルや色を表に出さない形でのみ、参加できることになります。

VDA Trailersの代表であるアレッサンドラ・ニコレッティ、パオロ・グリセリの両氏は「スポーツは連帯の場であって、分断の場ではない。ただしウクライナで起こっている事態は今すぐやめるべきだ。我々はいかなる形の戦争や暴力を断じて非難する」とした上で、「あらゆる人を尊重し、困難な状況にある人を支援し、危害に苦しむ人に寄り添う人を支援する。これは我々のトレイルランニング・イベントの根源にある考え方である」とその立場を表明しています。

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VDA Trailersが開催するTORX®︎は今年9月9-18日、Gran Trail Courmayeurは7月8-10日の日程でそれぞれ開催が予定されています。

IOC理事会の勧告に従っている点は同じでも力点の置き方にそれぞれの考え

ロシアによるウクライナへの侵攻から10日余りが経過し、スポーツ界でも国際競技大会からのロシア、ベラルーシの国籍を持つ選手の参加を認めないとする判断が広がっています。2月28日のIOC理事会の勧告に従う形で各競技の国際競技団体がそうした措置を明らかにする中、トレイルランニングではUTMB®︎ World Seriesがシリーズ戦の25の大会について両国の選手の参加を認めないことを発表。各国を代表するエリート選手だけでなく一般の市民ランナーについても両国籍の選手を排除することについて、スポーツに政治を持ちこむもの、スポーツを通じた連帯を否定するもの、といった声も上がっています。

今回のVDA Trailersの発表は両国籍の選手の参加を中立的な立場という条件付きながら認める点で、UTMB®︎とは大きく異なるようにみえます。ただ、VDA TrailersもIOC理事会の勧告の枠組みには従っています。勧告はロシアおよびベラルーシの選手の国際競技大会への参加を認めるべきでない、としつつも、開催日が迫っている場合や法的な理由がある場合については両国籍の選手が国の名前を出さないなどの中立的な立場での参加とするべき、としています。VDA Trailersは7月や9月に予定されている大会について、3月の時点で後者に該当すると判断したことになります。

国際パラリンピック委員会(IPC)は3月4日に開幕の北京パラリンピックについては、3月2日まで両国選手団を中立的な個人資格で参加可能としていたものを3日に覆して参加不可とした経緯もあります。今後の状況によってはトレイルランニング界でも各大会が判断を求められたり、覆したりすることが続くかもしれません。

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