レビュー ・Ledlenserの新NEOシリーズはクラス最高レベルの大光量とシンプルなデザインが美しい

【追記・2022年11月1日に本記事で紹介している各製品の価格が改定されることから、記事中の価格を改定後の価格に改めました。2022.10.13】

Ledlenserはトレイルランニングなどのスポーツシーンを想定し、600ルーメンで5時間、200ルーメンで12時間照射可能なヘッドライト、「NEO9R」を発売しました。今回ラインナップを一新するNEOシリーズには「NEO9R」をはじめとする4モデルが登場し、日本の公式オンラインストアでも4月1日注文受付開始、4月15日ごろ発送となっています。いずれのモデルも発光部には横長でボリュームを抑えたシンプルなデザインを導入し、電源のリチウムイオン充電池にはマグネット接続端子付きUSB-Cケーブルで充電する点が共通する特徴となります(「NEO3」は単四型アルカリ乾電池を使用)。フラッグシップモデルのNEO9Rの公式オンラインストアでの販売価格は14,960円(税込)となります。

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新しいNEOシリーズの4製品をLedlenserからレビュー用にお借りして、その性能をチェックしてみました。中でも「NEO 9R」は長距離、長時間にわたってトレイルを走り続けるランナーにとって、新しいスタンダードモデルとなりそうです。

今回発売されたLedlenserの新しいNEOシリーズ。左上がNEO9R、左下がNEO5R、右上がNEO3、右下がNEO1R。

今回発売されたLedlenserの新しいNEOシリーズ。左上がNEO9R、右上がNEO3、左下がNEO5R、右下がNEO1R。

NEO9Rは徹夜で長距離を走破するトレイルランナーのためのヘッドライト

NEO9Rを手に取って感じるのは、前頭部にくる発光ユニットが小さくて軽いこと。後頭部にくる5000mAhのバッテリーユニットはさすがにそれなりの重さがありますが、全体で199gのうち、交換可能なバッテリーを取り外した残りの重さは実際に計ったところわずか82g。この小さな発光ユニットから最大600ルーメン(10秒間照射可能なブースト時には最大1200ルーメン)の光が出てくるのは驚きです。

NEO9R

NEO9R

NEO9R

NEO9R

発光源は広範囲を照射する二つのフラッドライトの間に中央を明るく照射するスポットライトが配置された「三眼」の構成。フラッドライトで広範囲を照らしつつ、スポットライトが目の前を明るく、あるいは遠くの様子を照らし出すことになります。光量は以下の三段階+ブーストモード。夜のトレイルを走るのに十分な光量の200ルーメンは12時間持続し、テクニカルな岩場など注意を要するセクションで安心な600ルーメンに時々切り替えても、夕方から朝までバッテリーは持続します。

  • ブースト:1200ルーメン、照射距離200m(切り替え後、10秒間のみ照射可能)
  • パワー:600ルーメン、120m、5時間
  • ミッドパワー:200ルーメン、60m、12時間
  • ローパワー:20ルーメン、5m、120時間
上面のボタンを押すたびにロー(左中)、ミッド(右中)、パワー(右端)と切り替わる。ボタンを短く2度押しでブーストモードで10秒間点灯する。

上面のボタンを押すたびにロー(左中)、ミッド(右中)、パワー(右端)と切り替わる。ボタンを短く2度押しでブーストモードで10秒間点灯する。

発光ユニットからはケーブルとコネクタを介して後頭部のバッテリーユニットと繋がります。バッテリーユニットには赤色LEDが仕込まれていて、発光ユニットの点灯時には点滅して後ろから近づく車などにも注意を促します。

左側の発光ユニットと右側のバッテリーユニットはケーブルとコネクタでつながっている。

左側の発光ユニットと右側のバッテリーユニットはケーブルとコネクタでつながっている。

バッテリー本体に、マグネットで接続する充電端子がある。

バッテリー本体に、マグネットで接続する充電端子がある。

ヘッドライトを点灯すると、バッテリーケースに仕込まれた赤色LEDが点滅する。これは同様に後頭部にバッテリーがくるNEO5R、NEO3にも搭載されている機能。

ヘッドライトを点灯すると、バッテリーケースに仕込まれた赤色LEDが点滅する。これは後頭部にバッテリーがくるNEO5R、NEO3にも搭載されている機能。

バッテリーは5000mAhの大容量リチウムイオン電池。専用のマグネット接着の充電端子のついたUSB-Cケーブルで充電し、フル充電までは330分かかります。5Vで充電されるとのことなので、USB-PD規格による急速充電には対応していないと思われますが、最近主流のUSB-C端子のケーブルは便利です。

マグネット充電端子で充電中。ライトが緑色に変われば充電完了。USB PD仕様ではないが、最近主流のUSB-C端子のケーブルはありがたい。

マグネット充電端子から充電中。ライトが緑色に変われば充電完了となる。

このバッテリーユニットはコネクタを外してグレーのシリコン素材のマウントから取り外すことができます。この専用充電池は現時点では販売されていませんが、メーカーによれば「時期は未定ですが販売を予定しています」とのこと。スペアとなる交換バッテリーがあればUTMBやUTMF、信越五岳といったレースの必携品の基準も満たすので、さらに幅広く使うことができます。

バッテリー(下)は取り外せる。コネクタとケーブルのついた予備の純正バッテリーがあれば、安心して使えそう。

コネクタとケーブルのついた専用充電池(下)は取り外せる。予備として携行できる専用充電池の別売も予定されている(時期は未定)。

実際にNEO9Rを装着してみます。前頭部にくる発光ユニットと後頭部にくるバッテリーユニットは伸縮性のあるストラップで繋がっていて、ストラップの長さも調整できます。加えて頭上を通るオーバーヘッドストラップもあります(取り外しも可能)。

実際に頭につけてみると、ストラップ自体はやや細めですが高いフィット感を感じます。フィット感に関連しては、発光ユニットが前頭部に当たる面に取り付けられるシリコン素材のパッドも付属しています。ランニングではあまり必要ないかもしれませんが、ヘルメットに装着する場合には必要なパーツでしょう。

このほかに、同じ素材のチェストストラップも付属しています。このストラップを追加するとストラップが長くなるだけでなく、ワンタッチで着脱できるようになり、ライトを胸部や腹部につけることができます。頭の圧迫感が苦手な人はもちろん、低い位置から照らした方が見やすい場合にも対応できます。

付属のチェストストラップ。

付属のチェストストラップ。

チェストストラップを取り付けたところ。頭の上を通るストラップは取り外して、胸や腰にライトをつけることができる。計ってみたところ、バンドのゴムを伸ばさない状態で、最大106センチまでストラップを伸ばせる。

チェストストラップを取り付けたところ。頭の上を通るストラップは取り外して、胸や腰にライトをつけることができる。計ってみたところ、バンドのゴムを伸ばさない状態で、最大106センチまでストラップを伸ばせる。

操作は全て発光ユニットの上面のボタンで行います。ボタンを押すたびにロー、ミッド、パワーの順に光量が切り替わり、この間は後頭部のバッテリーユニットの赤色LEDも点滅します。このほか、短く2度押しで1200ルーメンで10秒間照射できるブーストモードへ。5秒長押しでロックがかかり、移動中の荷物の中での不意な点灯でバッテリーを消費することを防げます。

実際に夜のロード、そして近くの公園の中のちょっとしたトレイルで走ってみました。

トレイルへと向かう途中の路上は街灯もあるので20ルーメンのロー・モードでも十分。後頭部で赤色LEDが点滅して交通事故を防げると思うと安心して走れます。加えてストラップにも反射材が織り込まれていて暗いところではよく目立つことにも気づきました。

頭につけたNEO3、腰につけたNEO9Rのバッテリーパックの赤色LEDが点滅している。

頭につけたNEO3、腰につけたNEO9Rのバッテリーパックの赤色LEDが点滅している。

周りに明かりのないトレイルに入ります。慣れた場所の登りであればゆっくりなので20ルーメンのロー・モードでも十分ですが、200ルーメンのミッド・モードにするとさらに安心。木の根や岩で足元をしっかり見たい場合や、トレイルの下りでは600ルーメンのパワー・モードに切り替えました。これくらい明るさがあると安心して走れます。

試しにNEO9Rにチェストストラップを付け加えて腰の辺りにつけて走るのも試しました。登りでは光の届く範囲が狭くなってしまいますが、それ以外は快適に走れます。加えて、下で紹介するバッテリーに乾電池を使うNEO3を頭に着けてみましたが、このコンビは最強。レースで使うならこれはおすすめです。競技規則で二つのライトが必要ということなら、両方とも活用できれば無駄がありません。

参考にiPhoneのカメラでシャッタースピードを1/30秒に固定して撮り比べをしたところ。左側はNEO9Rのみ点灯しているが歩く程度ならロー(20lm)でも十分、ミッド(200lm)であれば走っても安心。パワー(600lm)はさらに安心して走れそう。お腹の9Rに加えてNEO3を頭につけたのが右側。頭のNEO3がロー(20lm)の場合、9Rもローだと視界が広くなった。9Rの光量を上げるとNEO3の効果はわかりにくくなるが、NEO3をパワー(200lm)にすると視界が広がった。

参考にiPhoneのカメラでシャッタースピードを1/30秒に固定して撮り比べをしたところ。左側はNEO9Rのみ点灯しているが歩く程度ならロー(20lm)でも十分、ミッド(200lm)であれば走っても安心。パワー(600lm)は実際は写真以上に明るさを感じてさらに安心して走れそうだ。お腹の9Rに加えてNEO3を頭につけたのが右側。頭のNEO3はロー(20lm)だが明らかに視界が広くなった。9Rの光量を上げるとNEO3の効果はわかりにくくなるが、NEO3をパワー(200lm)にすると視界が広がった(下の写真を参照)。

頭にNEO3、胸にNEO9R。走ってみると胸の9Rは背中側のバッテリーが揺れる。お腹から腰あたりに下げてみるとちょうどよい具合に安定した。

頭にNEO3、胸にNEO9R。走ってみると胸の9Rは背中側のバッテリーの揺れが気になった。お腹から腰あたりに下げてみるとちょうどよい具合に安定した。

お腹のNEO9Rをパワー(600lm)、頭のNEO3をパワー(200lm)にすると視界が明るく広がった。

お腹のNEO9Rをパワー(600lm)、頭のNEO3をパワー(200lm)にすると視界が明るく広がった。

シンプルなデザインなので小さくしまうことができる。

シンプルなデザインなので小さくしまうことができる。

ランニングを終えて、ライトをバッグにしまいます。発光ユニットが小さく、全体にシンプルなデザインのおかげで小さくまとめてバックパックにも入れられるのは、装備をできるだけコンパクトにしたいランナーにはうれしい長所です。

街でのランニングを想定したNEO5R

「アーバンランナーに最適なライト」と謳われている「NEO5R」は、上で紹介した「NEO9R」と同様にコンパクトな発光ユニットと専用リチウムイオン電池のバッテリーユニットという構成です。公式オンラインストアでの販売価格は8,470円(税込)となります。

NEO5R

NEO5R

NEO5R

NEO5R

手に取ってみると、NEO9Rに比べて「軽い!」と感じます。発光ユニットがフラッドライトとスポットライトの「二眼」、専用リチウムイオン電池は1800mAh、バッテリーを含めた重さは104gと、全体にNEO9Rの軽量版という印象。光量は300ルーメンのパワー・モードで4時間、100ルーメンのミッドモードで8時間となっています。トレイルランニングなら、走る予定に早朝や夕方が含まれている場合にはちょうどいい選択肢となりそう。このNEO5Rにもチェストストラップが付属します。

NEO9R(左)とNEO5R。5Rの方が発光ユニット、バッテリーともに小さく軽い。

NEO9R(左)とNEO5R。5Rの方が発光ユニット、バッテリーともに小さく軽い。

ただ、バッテリーと発光ユニットはコネクターを経由せずにケーブルで直結されていて、バッテリーは交換できません。もちろんモバイルバッテリーから専用マグネット端子で充電することはできますが、バッテリーの充電中はライトを点灯できません。トレイルランニングで使う場合はバッテリー残量に気をつけたいところ。

NEO5Rはバッテリーを交換することはできない。

NEO5Rではバッテリーを取り外すことはできない。

NEO1Rは毎日のランニング、そしてトレイルランニングに必携のお守りライトに最適

新NEOシリーズで最もコンパクトなモデルが「NEO1R」です。フラッドライトとスポットライトが一体化した「一眼」のライトに730mAhのリチウムイオン電池を内蔵して、39gという軽さ。公式オンラインストアでの販売価格は5,950円(税込)。

NEO1R

NEO1R

NEO1R

NEO1R

150ルーメンのパワー・モードで3時間、20ルーメンのロー・モードで15時間とヘッドライトとしての実力も十分。赤色LEDも備えます。日常のランニングでも十分実用的です。トレイルランニングでは道迷いなどのリスクに備えて日帰りの予定であってもライトを持っていく必要がありますが、そうした万が一の備えのためのライトとしても役立ちそうです。

NEO1Rのヘッドストラップはライト本体に簡単に着け外しができるので、コンパクトに持ち運びができるのも魅力です。

NEO1Rのヘッドストラップは簡単にライトから取り外せる。

NEO1Rのヘッドストラップは簡単にライトから取り外せる。

ストラップを外すとかなりコンパクトに収納できる。

ストラップを外すとかなりコンパクトに収納できる。

アルカリ乾電池を使うNEO3はウルトラトレイルのサブ・ライトによさそう

「NEO3」は上記で紹介したNEO5Rと外見はほぼ同じですが、バッテリーに単4サイズのアルカリ乾電池を使うモデルとなります。光量は200ルーメンのパワー・モードで3時間、100ルーメンのミッドモードで6時間となっていて、リチウムイオン電池を使うNEO5Rに比べると、パワーは3割くらい下回るスペックとなっています。それでも10秒間照射可能なブーストモード(400ルーメン)やバッテリーケースの赤色LEDといった機能は備えています。公式オンラインストアでの販売価格は4,950円(税込)です。

NEO3

NEO3

NEO3

NEO3

使い捨てのアルカリ乾電池を使うのはトレイルランナーに向かないようにも思えますが、安価に電池を交換できるというメリットがあります。メインのライトに組み合わせるサブのライトとしては高機能ながら買い求めやすいお値段のNEO3とアルカリ乾電池は悪くない選択です。上記で試してみたNEO9Rをチェスト・ライトにしてNEO3Rをヘッドライトとして使うと、快適に夜のトレイルランニングを楽しめます。

シンプルで明るい新NEOシリーズ、NEO9Rはウルトラトレイルの新しいスタンダードに

新たにLedlenserから発売された新しいNEOシリーズを、最上位モデルの「NEO9R」を中心に紹介しました。他社の競合製品と比べると、明るさやバッテリーの持続時間、重さといったそれぞれのスペックで上回るものもあります。しかし、スペック全体のバランスのよさで「NEO9R」には光るものがあると思いました。個人的にはシンプルで小さく収納しやすいデザインも好印象です。別売の専用充電池の発売も予定されているので(発売時期は未定)、予備バッテリーが必携品となるレースにも対応できます。

あえて気になる点を挙げるとすれば、発光ユニットとバッテリーユニットをつなぐストラップの長さの調整がしづらい点。アジャスターの位置をずらして長さを調整して、バッテリーの位置も調整して、頭につけたらちょっとゆるいのでもう少し調整して、、と少々煩わしい気もします。とはいえ、通常は走る前に位置やテンションを決めるでしょうからさほど気にならないかもしれません。

ストラップの長さの調整はアジャスターを使う。

ストラップの長さの調整はアジャスターを使う。

細かいところではヘッドライトのティルトする角度の調整も少し気になりました。ライトを手前に傾けることができますが、調整できる角度がちょっと小さく感じました。ライトを使っていて誰かと話すときにライトが前を向いていると相手はまぶしく感じます。ライトを真下に向けることができると、自分の足元の明るさはキープしつつ相手にまぶしい思いをさせずに済むので便利。今回の新しいNEOシリーズだとライトを真下に向けるところまで傾けることはできません。

発光部を最も大きく前に傾けたところ。

発光部を最も大きく前に傾けたところ。

以上、気になる点も紹介しましたが、結局はデザインや収納のしやすさとの間でのバランスの問題。多くのランナーにとって、Ledlenserの新NEOシリーズのメリットは上記の気になる点を大きく上回ると思います。

筆者のお気に入りは、上でも試したようにメインライトにNEO9Rを腰につけ、サブライトとしてNEO3を頭につける組み合わせ。今シーズンのレースの装備としてはもちろん、ワクワクするようなトレイルランニングを楽しくしてくれるお供として、注目の製品です。

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