2022年 TDS、OCC プレビュー #UTMB

世界のトレイルランニングの最高峰、UTMB Mont-Blancが来週、8月21日日曜日から28日日曜日の日程で開催されます。フランス、イタリア、スイスにまたがるモンブランの周りを一周する100マイル、UTMBは世界中から有力な選手が集結する大会であり、そこで活躍することは世界のトップ選手の仲間入りすることを意味します。また、世界中から選手が集まるトレイルランニングの祭典に参加し、美しくも厳しいコースを走ることは、多くのトレイルランナーにとって一度は経験したい憧れです。

コロナ禍による2020年の中止を経て、昨年はUTMB Mont-Blancが復活。続いて開催される今年の大会には昨年以上に多くの国や地域から選手が参加する予定です。

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そして、今年からUTMB Mont-Blancをシリーズ・ファイナルとする「UTMBワールドシリーズ」がスタートしています。UTMB Mont-Blancで行われるレースのうち、55kmの「OCC」、100kmの「CCC」、そして170kmの「UTMB」の三つのレースはシリーズ戦のファイナルという位置付け。これらに出場するには世界各地の「クオリファイアー」となっている大会で資格を満たし、「UTMBワールドシリーズ」の大会で抽選券(「ランニングストーン」)を得るという仕組みになっています。

今年も、8月25日木曜日から28日日曜日まではOCC、CCC®︎、UTMB®︎のレースの模様が「UTMB LIVE」においてライブストリーミング配信されます。ライブ配信の日本語チャンネルでは当サイトの岩佐がMCを務めます。

この記事では8月22日月曜日朝にスタートするPTL、同じ月曜日に行われるMCC、火曜日のTDS、YCCと今年初開催のETC、木曜日のOCC について紹介します。

8月26日金曜日午前9時(日本時間同日午後4時)スタートの100kmのCCC、同日午後6時(日本時間土曜日午前1時)スタートの170kmのUTMBの見どころは明日ご紹介する予定です。

PTL

PTLは二人または三人一組で約300kmのコースを自らナビゲーションして進むアドベンチャーイベント。メンバーの山岳アクティビティの経験を申告し、大会に認められたチームのみが出場できます。定員は最大300人。

2022年のPTLのコース概要図。

2022年のPTLのコース概要図。

昨年のコースは例年と異なりオルシエール Orsières(スイス)をスタートしましたが、今年のスタートはシャモニーに戻りました。時計回りに一周するコースはスイス側を通るセクションが多くなっている様子。距離は約300km、累積獲得高度は約25,000mD+で、8月22日月曜日午前8時(日本時間同日午後3時)にスタートし、制限時間は152時間30分。

MCC

8月22日月曜日午前10時(日本時間同日午後5時)にスイスのマルティニ Martigny-Combeをスタートしてシャモニーでフィニッシュする40km 2,300mD+のレースがMCC。大会ボランティアとモンブラン山麓地域の住民の皆さんにUTMBを体験できる機会を設けるという趣旨で2018年に始まったイベントです。ポイントなどによるエントリー資格はなく、退会パートナーを通じたエントリー枠もあるようです。制限時間は10時間です。

2022年のMCCのコース概要図。

2022年のMCCのコース概要図。

2009年に始まったTDSはクールマイユール Courmayeurをスタートして時計回りでシャモニーに向かうコースで、他のUTMB Mont-Blancのレースでは通らないラギッドなコースを走るのが魅力です。2019年からボーフォーテン山系を通る新しいセクションが加わり、今回も145km 9,100mD+のコースとなります。制限時間は昨年と同じ44時間。スタートする時刻は2019年までの水曜日の早朝から、前回2021年は火曜日の午後に繰り上がっていましたが、今回はさらに繰り上がって23日火曜日の0時にスタートします。定員は1600人。

女子の有力選手では昨年のCCC®︎で7位のアンニェーゼ・バルス Agnese VALZ GEN (ITA)、昨年のUTMBで9位、今年のTransgrancanariaで3位のクラウディア・トレンプス Claudia Tremps (ESP) 、今年のMaXi-Race 40kで3位のフィオナ・ポルテ Fiona PORTE (FRA)、のほか、2018年UTMBチャンピオンのフランチェスカ・カネパ Francesca CANEPA (ITA)や、昨年のThailand by UTMB 106kで2位のミラ・ライ Mira RAI (NEP) がエントリーしています。

男子は昨年のCCCで6位、今年のmozart 100 by UTMBのチャンピオン、ヤノシュ・コワルジック Janosch KOWALCZYK (GER)、2018年CCCで2位のチー・ミン Min QI (CHN)、昨年のTor des Géants 352k優勝のフランコ・コレ Franco COLLE (ITA)、そして2016年UTMBチャンピオンで前回4位のルドビック・ポムレ Ludvic Pommeret (FRA)が今年はTDSに参戦します。

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ユース世代のイベント・YCCとUTMBを手軽に体験できる今年初開催のETC

TDSがスタートした後の火曜日にはYCC、ETCが行われます。YCC (Youth Chamonix Courmayeur) はユース世代(2000年から2008年生まれ)を対象としたイベントで火曜日と水曜日の二つのイベントで構成されます。火曜日はクールマイユールで行われるトレイルランニングのイベントで、年齢別に15km、8km、4kmのコースで開催。水曜日は「YCC the Revenge」という今年の新しい企画。シャモニーに設けられる年齢別の5km、3.5km、2kmのコースを前日のレースで最も遅かったランナーから時間差で順にスタートするというユニークな企画です。

ETC (Experience Trail Courmayeur) は今年初開催。クールマイユールをスタート・フィニッシュとする15km 1300mD+のレース。エントリーのための資格は設けられておらず、UTMBの世界を誰もが体験できるイベントとして開催されます。

OCC

25日木曜日からは大会のハイライトとなるUTMBワールドシリーズの三つのレースへ。25日の午前8時15分(日本時間同日午後3時15分)にスイスのオルシエール OrsièresをスタートするOCC (Orsières Champex Chamonix)は55km 3,500mD+のレース。制限時間は14時間30分で参加定員は1200人。コースは従来、トリアン Trient (23km) からUTMBと同じコースだったセクションが、今回からMCCで使われている Col de Balme (33km)を経由するコースに変更されます。

OCC 女子

昨年のOCCで上位に入った選手のうち、2位のマチルド・サニエス Mathilde SAGNES (FRA) 、4位のアンナ・コメット Anna COMET (ESP) 、8位のジャスミン・ニュニジ Jasmin NUNIGE (SUI) 、10位のビルヒニア・ペレス Virginia PEREZ MESONERO (ESP) が今年のOCCのスタートラインに戻ってきます。昨年のCCC優勝のマルタ・モリスト Marta MOLIST (ESP)は今年はOCCに参戦。Penyagolosa MiM 60kでは昨年秋と今年春に優勝するなど、中距離のトレイルランニングに強い選手です。

2019年のOCCで3位の吉住友里 Yuri YOSHIZUMI (JPN) も今回のOCCで頂点をねらいます。吉住は最近では昨年のITJ70k、今年のKAI69k、先月の富士登山競走でいずれも優勝。今回のOCCが今シーズンの海外初レースとなります。

加えて最近のGolden Trail Seriesやスカイランナー・ワールドシリーズなどで活躍する選手が今年のOCCにエントリーしています。サラ・アロンソ Sara ALONSO (ESP) の今シーズンはTransgrancanaria 43kで優勝、Zegama-Aizkorriで3位、Marathon du Mont-Blancで優勝と勢いに乗っています。【サラ・アロンソは出場を見送ります。2022.08.23】アリー・マクラフリン Allie MCLAUGHLINはマウンテンランニングの米国代表として世界選手権に出場した経験を持ち、最近は昨年のPikes Peak Ascent、Broken Arrow 52k、Moab Trail Marathonで優勝。7月にはアラスカのMt. Marathon Raceに出場して優勝しています。UTMBのレースには初挑戦です。

シェイラ・アビレス Sheila AVILÉS (ESP) は2019年のスカイランナーワールドシリーズ年間チャンピオン。最近ではMIUT で昨年11月は42k、今年4月は60kでいずれも優勝。ダニ・モレノ Dani MORENO (USA) は昨年のGTWSファイナルだったThe One Race El Hierro 37kで5位、今年のMarathon du Mont-Blancで3位。 中国のヤオ・ミャオ Miao YAO (CHN) は2018年のCCCでの勝利でUTMBファンに鮮烈な印象を残しました。翌年のUTMBでは中盤まで善戦しながらもDNF。今回のOCCで再び素晴らしい走りを見せるか、注目です。

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このほか、OCC女子の注目選手は次のとおりです。

  • ジュリア・ケスラー Julia KESSLER (ITA):2021年OCCで15位、同年Dolomiti Extreme Trail 55kで優勝。
  • ヌリア・ジル Núria GIL CLAPERA (ESP):2022年Zegama-Aizkorriで6位、Sierre-Zinalで8位。
  • エレノア・デイビス Eleanor DAVIS (GBR):2021年 Scafell Pike Trail Marathon 42kで優勝。
  • モニカ・ビブス Mónica VIVES VILA (ESP):2018年OCCで3位、2022年Penyagolosa MiM 60kで3位。
  • アンリーゼ・ルセ Anne-Lise ROUSSET SEGURET (FRA):2019年Transvulcania 73kで2位、2022年Trail Drome 42kで優勝。
  • エリアン・ドベルグスダル Eli Anne DVERGSDAL (NOR):2019年Zegama-Aizkorriで優勝、同年Marathon du Mont-Blancで3位。
  • サンナ・エルコット Sanna EL KOTT HELANDER (SWE):2022年Schlegeis 3000 Skyraceで2位。
  • リナ・エルコット Lina EL KOTT HELANDER (SWE):2022年Schlegeis 3000 Skyraceで3位。

OCC 男子

昨年のOCCで優勝のジョン・アルボンは今年はCCCにエントリーしています。昨年上位の選手で今年もOCCのスタートラインに立つ選手は次のとおり。

昨年2位のロビー・シンプソン Robbie SIMPSON (GBR) はマウンテンランニングで活躍し、42kmを超えるレースに出ることはありませんでしたが、昨年秋にはTempliers 81kmに出場して7位。今年のOCCでは勝利をつかめるか。今月のSierre-Zinalでは10位でした。

トマ・カルダン Thomas CARDIN (FRA)は昨年の4位。昨年秋のSaintéLyon 78kで優勝、今年春のTrail du Ventoux 46kで優勝しています。

ニコラ・マルタン Nicolas MARTIN (FRA) はOCCを走るのは今年で5回目、昨年は6位。この間、2015年にはCCCで3位となっています。今回は初挑戦で優勝した2014年のようなレースに期待です。昨年秋にはTempliers 81kmで4位、今年春のTrail du Ventoux 46kで5位。

そこにUTMBのレースに初登場の選手が加わります。バート・プレジェドボジュスキ Bart PRZEDWOJEWSKI (POL) は2020年のGolden Trail Championship(アソーレス)のチャンピオン。最近では8月のStranda Fjord Trail Race 25kで3位でした。マヌエル・メリラス Manuel MERILLAS (ESP) は昨年開催のスカイランニング世界選手権で優勝。今シーズンはZegamaで3位、Strandaではプレジェドボジュスキを上回る2位。フレデリック・トランシャン Frédéric TRANCHAND (FRA) は8月のStranda Fjord Trail Race 25kで4位、今年春のTrail du Ventoux 46kで2位。ウィリアム・ボフェッリ William BOFFELLI (ITA) は昨年はUTMBの直前に開催のMatterhorn Ultraks Extremeで前年に続いて連覇しましたが、今年はOCCに照準を合わせてきました。

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そして、2週前のSierre-Zinalでフィニッシュライン直前でキリアン・ジョルネに挑んで4位のペトロ・マム Petro MAMU (ERI)。マウンテンランニングW杯では表彰台の常連です。今回は初めてのUTMBですが、そのスピードを発揮すれば優勝候補となるでしょう。今年6月のMarathon du Mont-Blancでは中盤に順位を落として13位でした。

加えて、次の選手に注目です。

  • オリオル・カルドナ Oriol CARDONA COLL (ESP) :2019年スカイランナー・ワールドシリーズ年間2位。
  • ケビン・バーミューレン Kevin VERMEULEN (FRA):2021年OCC9位。2021年Templiers 81kで6位、2022年Istria 100 by UTMB®︎ 40kで優勝、Penyagolosa MiM 60kで優勝。
  • アントニー・フェルベール Anthony FELBER (FRA):2021年MCC優勝、2022年Marathon du Mont Blancで8位、Eiger Ultra-Trail E51で優勝。
  • パスカル・エグリ Pascal EGLI (SUI):2021年 La Skyrhune 20kで3位。
  • ロー・タオ Tao LUO (CHN):2019年OCCで3位。2020年 Panda Trail by UTMB®︎ 55kで優勝。
  • オスカー・カサル Oscar CASAL (AND):2021年スカイランニング世界選手権で9位。
  • ソウルベルグル・ジョンソン Thorbergur JONSSON (ISL):2017年CCCで6位。
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