Apple Watch Ultraが発表に・トレイルランニングにも適している?

9月7日、Appleはスマートウォッチの新製品として「Apple Watch Ultra」を発表しました。アウトドア、エンデュランス、エクストリームな状況に対応したスペックと機能を備える新製品はトレイルランニング、ウルトラマラソンにも適しているのでは、と期待が高まります。Garmin、COROS、Polarのトレイルランニング向けGPSスポーツウォッチは高機能ですが、軽さやiPhoneとのシームレスな連携が便利な Apple Watchも手放せなくて両腕が占拠されている人も少なくないはず(筆者もそうです)。

そこで、新登場のApple Watch UltraはGarminに取って代わることができるのか、考えてみました。

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AppleのプレゼンテーションにはApple Watch Ultraの開発にあたってディスカッションした相手として、ウェスタンステイツ7度優勝のレジェンド、スコット・ジュレクも紹介された。

AppleのプレゼンテーションにはApple Watch Ultraの開発にあたってディスカッションした相手として、ウェスタンステイツ7度優勝のレジェンド、スコット・ジュレクも紹介された。(all image from Apple)

Apple Watch Ultraのスペック

Apple Watchのスペックや機能の中でトレイルランニングに関係ありそうなところを抜き出して考察します。

  • 49mmのケース

まずは大きさと重さから。49mmのケースは同時に発表されたApple Watch Series 8の45mmと41mmと比べると明らかに大きい。四角形と円形の差はありますが、Garmin fenix 7やCOROS APEX Proの47mmと同じくらいのサイズ感でしょう。チタン製ケースが採用された本体のみの重さは61.3gで、Series 8の45mm(アルミニウム、38.8g)と41mm(アルミニウム32.0g) と比べて存在感のある重さ。無印fenix 7の56g、APEX Proのナイロンバンド装着時の49gと比べてもやや重くなっています。

  • セルラー内蔵(GPSモデルはなし)
  • マイナス20℃から55℃の環境に対応
  • 音量が大きくなった二つ目のスピーカー
  • 独特な音のパターンで180m先まで届くアラームをアクションボタンで起動可能

Apple Watch Ultraは携帯電話回線に接続するセルラー内蔵モデルのみで、その機能を持たないGPSモデルはラインナップされず。これはfenix 7やAPEX Proにはないアドバンテージですが、その分だけ価格は押し上げられています。同時に発表のApple Watch Series 8と同様に、転倒時や衝突事故の検出から緊急SOSを発信、しかも海外での発信も可能という新機能が利用できるのが、大きなメリット。海外のトレイルランニングレースに参加する場合も安心感が高まります。

大音量でのアラームもトレイルランニング中に滑落した場合や道迷いの場合に命を取り留めることにつながります。

  • 新たにカスタマイズ可能なアクションボタン。アクションボタンを押すことでワークアウトを開始できる。
  • 高精度の2周波GPS、L1にL5を加えてカスタムポジショニングの新しいアルゴリズム搭載
  • 陸上競技のトラックを自動で検出する機能(今年後半に追加予定)

Apple Watch Ultraではデジタルクラウンの反対側に新しく「アクションボタン」がついています。これを押すとワークアウトを開始できる、と聞くと当たり前のようですが、これまでのApple Watchのワークアウトアプリではアクティビティを選択するとカウントダウンが始まってワークアウトが始まるとう操作でした。GarminでもCOROSでもアクティビティを選択してから、スタートボタンを押すというのが操作の流れなので、Apple Watch Ultraもこれに近くなるのでしょう。GarminやCOROSではスタートボタンを押す前にGPSの信号受信を確認したり、設定を変更したりできましたが、Apple Watch Ultraでもそれができるのでしょうか。

2周波GPSは高層ビルの間などGPSによる位置把握が難しいところで正確に位置を記録できる機能でGarminやCOROSなどではすでに採用されているテクノロジー。陸上競技のトラックを検出して正確にラップを計測できる機能もライバルにキャッチアップすることになります。

  • 一回の充電で36時間使用可能なバッテリー
  • 新しい省電力設定では60時間使用可能
  • トライアスロンでフル精度のGPS機能と心拍測定機能を使用可能

トレイルランナー、ウルトラランナーにとって最も気になるのはやはりバッテリーの持続時間でしょう。Apple Watch Ultraは36時間使用可能とのことなので、Apple Watch Series 8と比べると2倍のバッテリー容量ということのようです。肝心なレースで使った場合ですが、Appleによる説明ではGPSの精度最大、心拍測定機能オンの低電力モードでトライアスロンの完走までカバーするとのこと。このトライアスロンはスイム3.8km、バイク180km、ラン42.2kmのいわゆるアイアンマンディスタンスと説明しているので、所要時間は世界トップクラスで7時間、制限時間は16-17時間といったところ。トレイルランニングでいえば、一般的なランナーでだいたい50マイル(80km)なら十分記録できるということになりそうです。それより長い、たとえば100マイルのレースはほとんどの場合はちょっと難しそう。あとは「低電力モード」のカスタマイズに期待したいところ。たとえば心拍数の記録はあきらめる代わりにより長時間のGPS記録が可能になって100マイルでも記録できる、とか。

  • 新たなウォッチフェイスとして「ウェイファインダー」を搭載、コンパスを表示するほか、デジタルクラウンを回すと表示が黒地に赤のナイトモードに切り替わる。
  • 新しいコンパスアプリ
    • オリエンテーリングビューではウェイポイントを表示
    • バックグラウンドでアクティビティ中の足取りを記録、必要な時にたどってきた足取りを表示可能

Apple Watch Ultraのソフトウェアについては、まず大きくなったディスプレイを活かしてウォッチフェイスが新しくなる模様。「ウェイファインダー」はコンパス(方位計)が表示されるほか、夜間の視界を奪いにくい赤字のナイトモードに切り替え可能と、これはハイキングや夜間のビバークといった場合に役立ちそうな機能。

コンパスアプリは詳細な機能はプレゼンテーションだけでは使い方が明らかでありませんが、ウェイポイントを簡単に追加できる機能があります。また、アクティビティの途中でたどってきたルートを表示する機能があり、道に迷った場合に安全に引き返せるとしています。この機能はバックグラウンドで自動的に起動しているとのことなので、トレイルランニングでも安全を確保するにに役立ちそう。

トレイルランナーにとってはルートをガイドしてくれるナビゲーション機能が気になるところ。Apple Watch Ultraの本体だけではナビゲーション機能は備えていないようです。ただサードパーティのアプリとの連携がApple Watchの強みで、現在でもたとえば「スーパー地形」アプリではApple Watchで国土地理院地形図上でナビゲーションができます。ただその場合、Appleのワークアウトアプリとは連動しないことと、二つのアプリが同時に動作する場合にバッテリー持続時間が短くならないか、が気になるところです。

  • 799ドル(税込 124,800円)、予約受付中で9月23日金曜日発売

気になるApple Watch Ultraの価格はAppleストアで124,800円。金額ではGarmin fenix 7シリーズの上位モデルと肩を並べす。トレイルランニングのためのウォッチと考えて機能を比較するとGarminやCOROSと比べるとちょっと値段はお高めな気がします。でもApple Watchとしての豊富な機能や、ダイビング向けの高度な機能も考えるとその差は十分説明できるのかもしれません。

結論としては、100kmや100マイルのトレイルランニングをバッテリー残量を気にせず完璧なGPSログを残す、というニーズにはApple Watch Ultraは応えられないかもしれません。でも、Apple Watchの便利さとGarminやCOROSのGPSスポーツウォッチの機能をいつも身につけていたいけど時計は片腕だけにしたい、という人には待望の製品です。Apple Watchのコンパクトさに魅力を感じる筆者としてはApple Watch Ultraはちょっと大きくて重すぎる気がしますが、ソリッドな本体の新デザインと専用のバンドとしてあわせて発売の軽くて薄い「トレイルループ」は魅力的。

Apple Watch Ultraとあわせて発表された「トレイルループ」

Apple Watch Ultraとあわせて発表された「トレイルループ」

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