1MORE SonoFlowレビュー・強力なANCとワイヤレスと有線両対応に加えて高い質感、自宅でも旅でも活躍するヘッドホン


最近、高品質な完全ワイヤレスイヤホンを相次いでリリースして注目を集めているオーディオ機器ブランドである1MOREが今月、新製品のヘッドホン 「1MORE SonoFlow」を発売しました。LDACに対応してハイレゾ音源のリスニングができ、独自技術「QuietMax」によるアクティブノイズキャンセリング機能搭載、最長70時間のバッテリー持続時間というプレミアムなワイヤレスヘッドホンです。そしてその価格は税込13,990円と競合製品に比べてグッとお手頃なお値段です。

 

当サイトでは1MOREの片耳3.7gの完全ワイヤレスイヤホン「ComfoBuds Mini」をレビューしてから、毎日寝る時に寝落ちするまでの間ポッドキャストやradikoを聞くのに愛用しています。今回はメーカーから「1MORE SonoFlow」もぜひ試用を、とお誘いいただきサンプルをご提供いただきました。

高い質感と快適な装着感

ヘッドホン本体はキャリーイングケースに収められています。ケースがあると持ち運びにも保管にも便利ですからこれは好印象。ケースに収める時には右側のヘッドセットを内側に折り込むのですが、ケースにもヘッドホンにも「L」と「R」の表示があるので迷うこともありません。

ヘッドホン本体とTRSケーブル、USB-Cケーブルはケースに収めることができる。

ヘッドホン本体とTRSケーブル、USB-Cケーブルはケースに収めることができる。

ヘッドホン本体を手に取ると、プロテインレザーのイヤパッド、ヘッドバンドのしっとりとした手触りにテンションが上がります。ヘッドセットは左右とも内側に折り込めるほか後ろに90度倒すこともできるので、ケースから取り出した状態で一時的にかばんにしまうのにも便利でしょう。

左右のヘッドセットを折りたたむとコンパクトになる。

左右のヘッドセットを折りたたむとコンパクトになる。

1MOREのロゴも目立たずシックな雰囲気

1MOREのロゴも目立たずシックな雰囲気

ヘッドホン全体の素材はプラスチックですが、シンプルなデザインで高級感を感じます。接続端子は右のヘッドセットに有線接続のためのTRSケーブル、左のヘッドセットに充電用のUSB-Cがあるのですが、端子の内側は赤色と凝った造りです。

操作ボタンは右側のヘッドセットに集中しており、前側に電源ボタン、後ろ側にノイズキャンセリングのモード切り替えボタン、音量調節の上下ボタンがあります。いずれも物理的に押し込んでクリック感があるボタンです。

操作用のボタンは右のヘッドセットに配置されている。ノイズキャンセリングの切り替えボタンの横には「QuietMax」のロゴ。

操作用のボタンは右のヘッドセットに配置されている。ノイズキャンセリングの切り替えボタンの横には「QuietMax」のロゴ。

耳につけてみると、まずはイヤパッドの感触が快適で、筆者の場合は耳たぶを完全にイヤパッドで覆っても耳に圧迫感を感じません。この点は耳の穴にイヤピースをはめ込むイヤホンにはないメリットですね。気になるイヤパッドの側圧については筆者の場合は長時間つけていても気になりませんでした。ヘッドバンドの長さを調節する機構も適度な固さとクリック感があるので、意図せず長さが変わってしまうことはなさそう。

イヤパッドはプロテインレザー製。しなやかで肌触りがよい。

イヤパッドはプロテインレザー製。しなやかで肌触りがよい。

ワイヤレスやノイズキャンセリングといった機能が詰まっているヘッドホンですがその重さは250gです。筆者がポッドキャストや動画の編集に使っているモニタリング用の有線ヘッドフォンとさほど変わらず、快適です。

音質にも妥協はないが使用モードで多少異なる点に注意

実際に音を聞くには、起動後に電源ボタンを長押ししてスマートフォンとBluetoothのペアリングをする、というのは一般的なワイヤレスイヤホンと同じ。その上で、スマホアプリ「1MORE MUSIC」をダウンロードするとより細かい設定が可能になります。

スマホアプリ「1MORE MUSIC」で機能の設定ができる。二つの端末に同時に接続できるマルチポイント機能は右上の赤いロゴから「実験的な機能」を選ぶと設定できる(中)。イコライザーの設定もできるが、選択肢は音楽のジャンルとなっていて、細かい設定はできない(右)。

スマホアプリ「1MORE MUSIC」で機能の設定ができる。二つの端末に同時に接続できるマルチポイント機能は右上の赤いロゴから「実験的な機能」を選ぶと設定できる(中)。イコライザーの設定もできるが、選択肢は音楽のジャンルとなっていて、細かい設定はできない(右)。

Bluetooth接続は一つのスマホとペアリングするだけではなく、もう一つのタブレットやPCとペアリングして、二つの機器と同時に接続する「マルチポイント」接続機能も備えています。ただ、この機能は初期状態ではオフとなっていて「1MORE MUSIC」アプリの中で「実験的な機能」として設定できるようになっています。同時に接続した状態では例えばスマホとPCの音が同時に聞こえるわけではなく、スマホで音を聞いている場合はその音声を止めて、PCで音声を再生するとそのままPCからの音が聞こえるという挙動となります。これは室内での作業中やzoomなどのビデオ会議中には便利な機能です。

また、付属の三極のTRSケーブルを使うと有線接続のヘッドホンとして使うこともできます。この場合はヘッドホン側の電源ボタンはオフの状態となり、ノイズキャンセリングの切り替えや音量調整といった本体のボタンを使う機能もオフとなります。ワイヤレス接続にした状態でケーブルの端子をヘッドホンに差し込むと電源オフとなります。

本体に三極のTRSケーブルを差し込むと有線接続のヘッドホンとして使える。本体側は一般的な3.5mmミニプラグとはサイズが異なり、市販のプラグを使うことはできない。

本体に三極のTRSケーブルを差し込むと有線接続のヘッドホンとして使える。本体側は一般的な3.5mmミニプラグとはサイズが異なり、市販のプラグを使うことはできない。

まずは1MOREの独自のノイズキャンセリング技術「QuietMax」によるアクティブノイズキャンセリングを試してみます。これはヘッドセットに内蔵されたマイクと強力なチップでノイズ除去のためのスマートアルゴリズムを動かすことで、単なる遮音ではなく、周囲の雑音を積極的に消すという機能。

実際に「ノイズリダクション」のモードを試してみると、音楽を再生していない状態では部屋の外の車が通る音や室内のエアコンやファンが通る音、ファストフードの店内の人の声、電車の中のガタンゴトンという音はほとんど気にならない程度まで音が消えました。ただ、室内で目の前にあるテレビの音とか、直接近くで話しかけられた時の声、電車や駅のアナウンスの声は何を言っているかはちゃんと聞き取れます。音楽を再生した状態では音楽に注意が向くこともあって、さらに雑音は気にならなくなりました。

ボタンを押して「パススルー」に切り替えると、ヘッドホンをしたままなのに周りの音が聞こえてきます。自然な聞こえ方なので効果が分かりにくいかもしれませんが、もう一度ボタンを押して「オフ」にすると、耳を覆われて音が小さくなるので外音取り込みの効果は明らか。ただ、静かな室内で音楽を再生しない状態でこの「パススルー」にしていると、かすかではありますがサーという音が聞こえます。

音質の評価は筆者が日頃使っている有線接続のモニタリングヘッドホンとの比較となります。まず「ノイズリダクション」モードの時はやや低音が強調される傾向があり、音楽を聞くとベースやドラムの響きをより感じられました。「パススルー」モードと「オフ」の時はどちらもこうした強調はなくてモニタリングヘッドホンの聞こえ方に近い感じ。ポッドキャストのように人の話し声を聞く場合には、どのモードも差はありませんでした。TRSケーブルで有線接続にした場合には「ノイズリダクション」モードと同じように、あるいはもっと低音が強調されるように感じました。

筆者が最も使う頻度の高いAirPods Proではノイズリダクションのオンオフで音質はほとんど変わらないので、1MORE SonoFlowの聴こえ方の差は意外でした。基本的には「ノイズリダクション」モードを使うことを想定して、音楽のリスニングで好まれやすい低音を強調するチューニングをしているということかもしれません。

このほか、1MORE SonoFlowのマイク機能も試してみました。スマホの音声録音ができるアプリでBluetooth接続のマイクに対応したアプリで録音してみたところ、ワイヤレス接続のマイクとしては声が聞き取りやすく伝えられるマイクだと感じました。チャットアプリやビデオ会議でワイヤレスのヘッドセットとして使うのもありでしょう。とはいえ、Bluetooth接続のプロトコルの制約からワイヤレス接続のマイクは16kHz止まりなので、どうしても有線接続のマイクには音質では劣ります。通話以外の例えばポッドキャストの録音では有線接続のマイクがおすすめです。

バッテリーの持ちがよく、ワイヤレス・有線ともにハイレゾ対応

「1MORE SonoFlow」のスペックをみると内蔵電池は720mAHの容量を持ち、ノイズキャンセリング機能オンで再生時間は50時間、オフで70時間とかなり長時間の使用が可能です。レビューをはじめてから10日間余りになりますが、試しに短時間の充電をしましたが、それ以外は充電していませえん。満充電にかかる時間は80分ですが、5分の充電で5時間使用可能な急速充電機能も備えます。

ちなみに、USB-C端子にケーブルを接続した場合は充電を始めた時点で電源オフとなるので、充電しながらヘッドホンを使うことはできません。有線接続の場合でも充電中は使えませんでした。

この「1MORE SonoFlow」の一番のセールスポイントとなっているのが、Hi-Res Audio WirelessおよびHi-Res Audio Dual Gold認定を取得して、ハイレゾ音質に対応していることです。ワイヤレスではコーデックとしてLDACが使用可能で、対応していいるスマートフォンなどでハイレゾ音源を用意すれば解像度の高いリスニングが可能に。ヘッドホン自体もハイレゾ再生に対応しているため、DACを用意することで有線接続でハイレゾ音源を楽しむこともできます。

ただ、筆者はスマートフォンがiPhoneなのでLDACに対応しておらず、今回のレビューではこのハイレゾ対応については試用していません。LDACで聞く音は情報量が豊富ではっきりと違いがわかるというので、「1MORE SonoFlow」を買ったらLDACに対応したAndroidスマホや音楽プレイヤーも欲しくなりますね。iPhoneでもいつかはLDACに対応してくれたら、と思ってしまいます。

ハイスペックなワイヤレスヘッドホン、幅広いシーンで気軽に使いたくなる

筆者は超小型で耳に入れたまま寝ても耳が痛くならない「寝ホン」のブランドとして1MOREを知りましたが、1MOREはそうした手軽で便利なイヤホンだけでなく、高機能でプレミアムな製品も展開しています。今年発売された完全ワイヤレスイヤホン「1MORE EVO」はハイレゾオーディオワイヤレスのロゴを取得している1MOREのフラッグシップ製品です。今回試した「1MORE SonoFlow」もこれと並ぶフラッグシップとなりますが、イヤホンよりヘッドホンの方が余裕のある設計ができるはず。ハイレゾ音質に対応、マルチポイント接続対応、質感が高くて装着感もプレミアムなワイヤレスヘッドホンが1万円ちょっとで買えるというのは、文句のないコストパフォーマンスの高さです。

1MORE SonoFlow

1MORE SonoFlow

ノイズキャンセリングのモードや、ワイヤレスと有線で音質に差があるのは、ちょっとクセがあるなと個人的には感じます。基本的にはワイヤレス接続で「ノイズリダクション」モードで使うようにして、一時的に周りの音を聞きたい時だけ「パススルー」モードに切り替えるのがよさそうです。

自宅やオフィスでは、リラックスして音楽や映画、ドラマを観るほか通話アプリやビデオ会議にも適したヘッドセットとして、旅行や外出では長時間の移動中にストレスなしでくつろげるノイズキャンセリング・ヘッドホンとして。幅広い場面で便利に活用できる製品です。

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