Amazfitの最先端の技術要素を盛り込んで登場したランニングのためのスマートウォッチです。
Amazfit(アマズフィット)から7月25日に新製品の「Amazfit Cheetah」と「Amazfit Cheetah Pro」が発売されました。スタンダードで幅広いシーンで使いやすい GTR & GTS シリーズ、堅牢でアウトドアアクティビティにフォーカスした T-Rex シリーズと並ぶ形で登場した、ブランドとして初めてのランニングのためのGPSスマートウォッチです。
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その後、レビューのために「Amazfit Cheetah」をメーカーから提供していただき、1週間ちょっとにわたって試用しています。このレビューではランニング・ウォッチとしてみたこの新製品を紹介します。
なお、今回レビューするのはベースモデルとなるCheetahですが、同時にハイエンドモデルとなるCheetah Proも発売されています。Cheetah Proはベゼルにチタン合金、スクリーンにゴリラガラス、ウォッチにマイクやWiFiを備えるといった違いがあります。しかし、どちらのモデルもデュアルバンド円偏波GPSアンテナを採用してGPSのトラッキング精度を向上させ、AIを駆使したトレーニングプランの生成機能に対応しています。バッテリーについても標準使用で14日間稼働、高精度GPSモードで26時間稼働というスペックは同じです。価格はCheetahが49,900円(税込)、Cheetah Proが59,900円(税込)となります。
スペック面ではAmazfitの先行モデルをほぼ網羅し、ランニング用に軽量・薄型にパッケージ
まず、スペック面でAmazfit Cheetahをみると、デュアルバンドで6つの衛星測位を備えます。これは昨年秋のGTR 4 & GTS 4に初めて搭載されています。そして外部からGPXファイルをウォッチにインポートして、そのコースに沿って走ることができるというナビゲーション機能、地図情報をウォッチにインポートしてその上に自分の進んできた軌跡やナビゲーションに使いたいコースを重ねて表示できるオフラインマップ機能についても、それぞれ昨年発売のT-Rex 2、今年発売のT-Rex Ultraで搭載されたもので、そうした機能がCheetahでも揃っています。いわば、ランニングのためのスマートウォッチに求められる機能が出揃ったところで満を持して登場したのがこのCheetahということになります。
ただ、機能満載とはいえランニングウォッチとして使いやすいパッケージにまとめられています。ディスプレイはくっきりとしてみやすいAMOLEDディスプレイ。ディスプレイの表示部分と繊維強化ポリマーのベゼルの間の黒い部分が狭いこともあって、1.39インチというディスプレイは大きく感じます。サイズは46.7mmと結構な大きさですが11.9mmという薄さとバンドを含めて47gという軽さがランニングには使いやすい。いや、ランニングに限らず、日常生活にもこのくらいの薄さと軽さがやはり使いやすいです。グレーを基調としたカラーもランニングウォッチらしくて幅広い層に受け入れられそうです。
このほか、心拍数、血中酸素、睡眠などヘルストラッキングの機能はもちろん備えます。運動量をわかりやすく示すPAIも表示可能です。Amazon Alexaによる音声アシスタントも使え、MP3形式の音楽ファイルをインポートして、Bluetoothヘッドフォンを接続して再生することも可能。ウォッチ本体にスピーカーもついていますが、マイクはCheetah Proのみについています。したがってCheetah Proであればウォッチ本体で通話もできることになります。
ランニングウォッチとしても完成度が高くAIによるコーチング機能も備える
Amazfit Cheetahは GTR 4 & GTS 4や T-Rex Ultra、Falconと同じ最新世代のZepp OS 2.0 を搭載しています。スマートウォッチとしての操作やZeppアプリを使ったスマホとの連携も含めた使い勝手は、先行するAmazfitのスマートウォッチ製品とほぼ同じです。このレビューではランニングウォッチとして使った場合のCheetahの使用感を紹介します。
Cheetahの右下のボタンを押すとスポーツアクティビティを選択できます。このほかには対応しているウォッチフェイスをタップすることで、前回のアクティビティを直接呼び出すことも可能です。
今回は屋外のランニングを選んで、ディスプレイに表示される赤いボタンが緑に変わるのがGPSの信号のキャッチが完了した合図です。屋外であれば1分も待たずに緑に変わります。この辺りは「MaxTrack」という名が付けられたデュアルバンド円偏波 GPS アンテナ技術が効果を発揮しているようです。二つの衛星信号をキャッチすることで、高層ビルの間や高い木や崖があるような場所でも正確に位置を捕捉できるようになっています。
ランナーのそれぞれの目標に合わせてトレーニングを提案してくれるコーチング機能は先行モデルですでに利用できましたが、Cheetahでは「Zepp Coach 2.0」にバージョンアップしています。この機能はスマホのZeppアプリから設定します。最初の設定時の質問に答えると、目標に応じたトレーニングメニューが設定されます。
まずは一般的な健康状態を向上させるか、ランニングのパフォーマンスを高めるかを選択します。今回は後者を選択。その後、アプリとのチャット形式で質問に答えます。ちょっと日本語がスムーズではない気もしましたが、1週間の走行距離、目標とするレースの種類(マラソン、ハーフマラソンなど)を設定。続いてトレーニングの開始日と目標とするレースの開催日を設定します。さらにそのレースについて、完走を目標とするか、より良いタイムを目標とするか、を聞かれます。最後に、1週間のうちどの曜日をトレーニングに当てるか、ロングランをどの日に当てるか、を設定するとAIが筆者の目標にあわせたトレーニングプランを考えてくれます。
今回は7月の下旬にトレーニングを開始して、9月末のハーフマラソンで2時間以内の完走を目指すというプランです。初日は「イージーラン」40分というメニューを提案してくれました。その週の他の日のトレーニングメニューはアプリ内で確認することができましたが、その翌週以降は見ることができません。これは、実際にどのようなトレーニングができたか実績に応じて翌週以降のトレーニングプランを考えてくれる、ということのようです。実際には初日のメニューはこなせましたが、次回の日曜日の70分のロングランはスキップしました。ランニングのアクティビティを立ち上げた時にその日のトレーニングメニューをこなすように促されるのですが、「無視する」というメニューを選ぶとスキップできます。
翌週のある日にランニングのアクティビティを始めようとすると「ファートレックラン」というメニューが提案されました。トレーニングの強度、所要時間のほか、詳しい内容も確認できます。それによると心拍数98-125bpmで20分のウォームアップののち、4分20-50秒のペースで1分間のトレーニングと6分20秒 – 7分5秒のペースで1分間のリカバリーの繰り返しを12セット。最後に98-125bpmで15分のリラックス、という内容です。
実際に取り組んでみると、ウォッチのディスプレイにトレーニングの内容が表示されているので、それにしたがって走ります。1分間のインターバルトレーニングは指示通りのレベルまでペースを上げられませんでしたが、それでもトレーニングとリカバリーのメリハリをつけて走りました。最近はあまりトレーニングを意識して走ることがないので必死です。この時心拍数が上がりすぎたり、下がりすぎたりするとウォッチに警告が表示されます。トレーニングなので取り組む側の意志の強さが求められるのは当然ですが、次に何をすればいいかZeppアプリとCheetahが指示してくれるのはモチベーションになります。
ナビゲーション機能とオフラインマップ機能も実用的
Cheetahにはナビゲーション機能とオフラインマップ機能も搭載されています。オフラインマップ機能はT-Rex UltraとFalconというアウトドア、マルチスポーツ向けのモデルにすでに搭載されていましたが、より軽量なCheetahに搭載されてランナーにも使いやすくなりました。
オフラインマップ機能を使うには、スマホのZeppアプリで利用したいエリアを指定して、それからCheetahを操作してメニューからマップをダウンロードする、という流れです。この辺りはスマホの操作とウォッチの操作の二段階があるのが少々面倒なところです。
ダウンロードするマップの範囲は最も狭い南北48km、東西31kmの範囲にしてみました。マップのウォッチへのダウンロードはCheetahの場合はBluetoothを使うのですが、ダウンロードにかかった時間は約55分とかなり時間がかかりました。この機能をT-Rex Ultraで使った時は自宅のWiFiを経由してダウンロードしたのですが、この時は数十秒ほどでダウンロードできました。一度ダウンロードしておけば次回以降はダウンロードする必要はないのですが、ウォッチにダウンロードできるマップのデータは一つだけなので、旅先でオフラインマップを使いたければ事前にダウンロードする必要があるので注意が必要です。なお、Cheetahシリーズの中でもハイエンドモデルのCheetah ProはWiFi機能を備えています。
ナビゲーション機能については、GPXファイルを使う場合はiCloudやGoogle Driveなどのクラウド上か、スマホのローカルストレージにファイルを移した上で、そのファイルをZeppアプリで開くとアプリ内のマイルートに保存されます。あるいは、自分のウォッチでZeppアプリに保存されたアクティビティをマイルートに保存してナビゲーションに使うことも可能。マイルートは複数保存しておくことができます。
実際にナビゲーションで使うには、ウォッチでランニングのアクティビティを起動させてメニューのマイルートから選択します。
ランニングを始めると、ディスプレイの最後のページでオフラインマップの上に、ナビゲーションしたいルート、実際に自分が進んでいるルートが表示されます。ナビゲーションしたいルートから外れた場合にはアラートが出て警告してくれます。マップについてはOSM地図が利用でき、道路の他に主な登山道やハイキングコースも表示されますが、等高線や地名は表示されません。トレイルランニングファンとしてはこの辺りは今後の対応を期待したいところです。
初のランニングにフォーカスしたモデルながらウォッチ本体の完成度は高い、ただスマホアプリの側はランニング向けに使いやすくする余地はある
AmazfitのスマートウォッチはスタンダードモデルとされるGTR & GTSモデルであっても、ランニングウォッチとしても機能が充実しています。そのAmazfitから登場したCheetahがランニングウォッチとして優れているのはもっともなことです。しかし、軽量で薄型、スポーティなデザインをまとったことでAmazfitがランニングウォッチの市場にも本格的に参入したことになります。
ただ、ウォッチ本体としては充実していても、スマホのZeppアプリも含めたランニングウォッチとしての使い勝手については、改善の余地があるように感じます。ZeppアプリはAmazfitのスマートウォッチの多様な機能をカバーしています。ランニングについては日々のアクティビティはトップページの「ホームページ」のタブからアクセス。Zeppコーチやマイルートは「プロフィール」のタブからアクセス。オフラインマップの設定は「プロフィール」の「マイデバイス」から、とやや散らばっている気がします。この辺りはGarminやSuunto、Corosであれば製品もアプリもスポーツに特化しているので迷うことは少ないです。多用途で多機能なApple Watchの場合はアプリがフィットネス、ヘルスケア、ウォッチの設定と分かれているのでわかりやすくなっています。
Amazfitは製品の投入サイクルが早く、積極的に機能の追加や改善をするブランドです。このCheetahで参入したランニングウォッチの市場でもこれから広く注目を集める存在となることでしょう。
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