小原将寿選手に聞く、実践的なエネルギー補給の方法論 #PR


信越五岳トレイルランニングレースで鮮やかな勝利を収めた小原将寿 Masatoshi Obara さんにお話を聞きました。

DogsorCaravanでは特集記事「ゆっくり吸収される糖質、パラチノースを知る」をシリーズでお送りします。

前回の第一回の記事では、一般的な糖質と比べて身体へゆっくり吸収されるパラチノースをレース中の補給に取り入れることで、自分の走力をフルに発揮できる可能性が高まることを紹介しました。

第二回となるこの記事では、小原将寿 Masatoshi Obara 選手のインタビューをお送りします。2019年UTMBでの8位のほか、先日の信越五岳トレイルランニングレース・100マイルでも優勝した小原さんは、トレイルランニングにおいて、日本を代表するアスリートの一人です。

最近ではコーチとしての資格を取得してトレイルランニングについて体系的に学んでいるという小原さんに、レース中の補給についてのこれまでの経験とそこから学んだことを話していただきました。

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アスリートからコーチングへと関心を広げている小原さん

小原将寿(おばら・まさとし)さん 1982年生まれ、北海道北見市出身。野球少年だった小学生の頃から大学卒業まで野球に打ち込む。社会人になって始めたランニングで才能を発揮。トレイルランニングでは2013年のハセツネCUPで4位となるなど、長距離のレースで注目されるようになり、2019年にはウルトラトレイルマウントフジで4位。同年のUTMBで8位となって日本の男子選手としては鏑木毅以来となる表彰台に立つ。今シーズンは5月にトレニックワールド100マイル in 彩の国、9月に信越五岳トレイルランニングレース100マイルで優勝している。1児の父。

小原将寿(おばら・まさとし)さん 1982年生まれ、北海道北見市出身。野球少年だった小学生の頃から大学卒業まで野球に打ち込む。社会人になって始めたランニングで才能を発揮。トレイルランニングでは2013年のハセツネCUPで4位となるなど、長距離のレースで注目されるようになり、2019年にはウルトラトレイルマウントフジで4位。同年のUTMBで8位となって日本の男子選手としては鏑木毅以来となる表彰台に立つ。今シーズンは5月にトレニックワールド100マイル in 彩の国、9月に信越五岳トレイルランニングレース100マイルで優勝している。1児の父。

DogsorCaravan 岩佐小原さんはトレイルランニングの中でも100kmや100マイルといったウルトラディスタンスのレースで世界トップクラスの成績を残してきたアスリートです。最近では自らが選手として走るだけでなく、他の選手にコーチをすることにも関心があると聞いています。

小原さん:10年以上、トレイルランニングでもっと強い選手になりたいと思ってやってきたんですが、自分の年齢も上がってきました。最近は自分の経験を共有して、次世代のランナーたちのレベルアップをサポートしたいと感じるようになりました。先日、アメリカのUESCA (United Endurance Sports Coaching Academy) でウルトラランニングのコーチ資格を取得し、加えて今はランニングの資格取得を目指して勉強しています。

DCコーチングの資格を通じて、補給やトレーニングに関する知識が深まったと感じますか?

小原:はい、以前は人から聞いたアドバイスやアイディアを自分の身体を実験台にして試すので試行錯誤することも多かったですが、コーチングの勉強をすることで、運動生理学や解剖学といった理論とこれまでの経験が繋がるようになりました。

レース中の補給は試行錯誤の連続だった

DC私はUTMB、ウルトラトレイルマウントフジ、信越五岳、ハセツネCUPと様々なレースを取材する中で、小原さんの活躍を目にしてきました。トップクラスの選手であってもレース中の補給が上手くいかなくて胃腸のトラブルを起こすことが少なくありませんが、小原さんは補給に関して非常に成功しているようにみえます。ご自身ではどう評価していますか?

小原さん:補給について自分の中で失敗しないやり方が固まってきたのは2016年以降ですね。でもそれ以前は失敗して苦しい思いをすることも多かったです。

100マイルのレースを走っているのに補給食を口にするのが50kmを過ぎてから、ということもありました。一方で100kmを過ぎると食べ物も飲み物も体が受け付けなくなるので、一般的にいいと言われている食べ物をいろいろ用意しておくのですがそれでも上手くいかない。私もそんな経験をしています。

補給のタイミングと関わりのある2つのトラブル

DCトレイルランニングではどんなにレースに向けてトレーニングを重ねても本番では補給のタイミングが合わないのか、体調を崩してしまうというランナーが少なくありません。なぜそうなってしまうのでしょうか。

小原さん:一つは補給食の摂取が追いつかなくなってエネルギーが不足して、身体がフラフラして思うように動けなくなる、いわゆる「ハンガーノック」があります。用意しておいた補給食を摂取しようとしても、ある時から吐き気がしてもう身体が受け付けない。その時点で食べるべきだと頭では理解しているものの、体が拒絶してしまうんです。

私の場合はレースの経験に加えて、トレーニングでも8時間を超えるトレーニングができるようになってから変わりました。経験的には6時間くらいのトレーニングではハンガーノックにはなりませんが、8時間、9時間とトレーニングを続けるとそうはいきません。経験を重ねるにつれ、食べ物や補給の適切な量やタイミングについての理解が深まってきました。

最初は適切な補給量がわからなくて、たくさん食べたり、逆に控えめにしてみたりと模索していました。しかし、徐々に1時間に250キロカロリーの摂取が私にとって適正だとわかりました。最近コーチング資格のための学習をする中で、運動生理学でも同じ説明がされていることを知りました。実践で得た経験が理論と一致していることを知った時は、自分の感覚が正しかったんだと実感しました。

DC研究熱心な小原さんらしいエピソードですね。以前、毎日練習日誌をつけていると伺ったことがあります。

小原さん:練習日誌で気がついた補給のタイミングのトラブルがもう一つあります。レース中にカフェイン摂取やエネルギー補給のためにコーラを飲むことがあるんですが、その後突然走れなくなることがあります。そんなことも練習日誌に書き留めています。ある時、その日誌を読み返していると同じことが3度起きていて、決まってエイドでコーラを2杯飲んだ後だったことに気づきました。

私の解釈ではいわゆる「インスリンショック」が起きていたのではないかと思います。つまり、コーラを飲み過ぎて急激に血糖値が上がり、インスリンが分泌されると急に血糖値が下がる。その結果、突然足が思うように動かず、眠気を感じる。

このことに気づく前は、ハンガーノックが起きた時と同じようにエナジージェルを摂っていたのですが、それでは調子が戻らないんですね。インスリンショックなのではと気づいてからは、補給をするのではなく少しペースを落としてみたところ、1時間ぐらいでまた足が動くようになりました。

ハンガーノックは多くの人が知っている現象ですが、同じような症状でも原因が異なることもある、と知っておくと良いと思います。

糖質による吸収の速さの差を意識するのが、小原流のレース中の補給術

DC経験を重ねるうちに1時間あたり250キロカロリーの補給をするのが適切だと気づいたとのことですが、具体的にはどのようにして補給すればいいでしょうか。

小原:私の経験からは、エナジージェルだけで全てのカロリーを摂取しても、胃腸がうまく働かないような気がします。ジェルだけではなく、固形物や水も一緒に摂取することで、体内の循環がよくなるように思いますね。

最近、エネルギー源となる糖質の種類についての知識も学んでいます。ブドウ糖のような単糖類は消化や吸収が早いので、急激なエネルギー供給が期待できます。一方、多糖類は分子構造が複雑なので消化に時間がかかり、効果は遅れて現れます。こういう性質の違いを知って、どんな糖質をどのように摂取するか、どんなタイミングで摂取するか、考える必要があると知りました。

DC例えば100マイルや100キロのレースを走る場合に、小原さんはどんな補給食をどんなタイミングで口にしますか?

小原将寿: 私の場合は、レース中の補給はパターン化しています。まず、エネルギーの量でいえば3時間を一つの単位と考えて、単糖類を主成分として吸収の速いエナジージェルを4本(1本あたり100キロカロリー)用意します。さらに多糖類を主成分とするドリンクミックスを400キロカロリー相当分を水に溶かしてドリンクとしてソフトボトルに入れます。

レース中は45分ごとにエナジージェル1本を摂取することを意識します。加えてエイドではバナナとか軽い固形物も少し食べます。並行してボトルから少しずつ給水していれば、ドリンクからベースとなるカロリーも一緒に補給できる、というイメージです。この時、水だけのボトルももう一つ持っているので、気温に応じてドリンクの濃さを体の中で調節しています。

全部あわせると、3時間でジェル4本とドリンクで800キロカロリー、さら少しバナナなどの固形食を摂ることで、900キロカロリーくらいになります。1時間に必要な250キロカロリーに少しゆとりを持たせるイメージです。

DCエナジージェル以外の普通の食べ物、いわゆる「リアルフード」で特におすすめのもの、小原さんが必ず摂取するものはありますか?

小原:いろいろ試してきましたが果物はいつでも食べられますね。果物は水分が多くて食べやすいし、エイドでも用意されていることが多いからありがたいです。特にバナナは相性がいいようでよく食べています。以前は自分はお米と相性がいいと思っていて、レースでもたくさんおにぎりを用意して食べていました。ただ、ある時から、レースの後半、特に100キロを過ぎたあたりからはおにぎりは食べにくいな、と気づいてしまって。固形の食物をしっかり噛むのは疲れるし、消化も大変です。

ゆっくり吸収される糖質はトレイルランニングで選手が実力を発揮するチャンスを増やす

DC小原さんは糖質からエネルギーを補給するときに、瞬時にエネルギーを得られるエナジージェルと、じわじわとエネルギーを取り入れるドリンクを使い分けているとのこと。この記事のシリーズで注目しているパラチノースはゆっくりと身体に吸収されてエネルギーに変わる糖質です。トレイルランニングでも活用できると思うのですが、どう思いますか。

パラチノースのウェブサイトより

パラチノースのウェブサイトより

小原さん:ゆっくり吸収される糖質というのは私がレース中に摂取しているドリンクと通じるものがありますね。

一般的なスポーツと比べて100マイルのような長時間のトレイルランニングスポーツを行う場合は、必要となる糖質の量だけでなく、どのように身体に吸収されてエネルギーに変わるかも意識するといいと思います。ゆっくりと持続的に吸収される補給食を活用することで、レースで実力を発揮できるチャンスが増えるでしょう。


フルマラソンの何倍もの距離、しかもいくつもの山を越えて走り続けるトレイルランニングで、世界的に活躍する小原将寿さんの強みは何か。筆者は、今の自分と目標の間のギャップをつぶさに分析する知性と、ギャップを埋めるために必要な行動を起こすパッションの両方を備えていることだと思います。

トレイルランニングは発展途上のスポーツです。新しい知見やテクニックが日々出てきます。「それらを自分の中に取り入れることはもちろんですが、ランナーの皆さんと共有してこのスポーツをもっと楽しんでもらいたい。皆さんの夢や目標を叶えるためのお手伝いができたら、と思っています。」インタビューの最後に、小原さんはそう話してくれました。

パラチノースは各地の大会でブースを出展しています

今シーズンに各地で開催されるトレイルランニングやウルトラマラソンの大会では、ゆっくり吸収される糖質、パラチノースのブースが出展されます。

パラチノース100%の補給食「PUREPALA」(ピュアパラ)をはじめとするパラチノースを使った商品を実際に手に取ってその場で購入することができるほか、ブースのスタッフの皆さんにパラチノースについて質問できる機会となります。

出展予定は次の通りです。

(提供・パラチノース