キリアン・ジョルネとザック・ミラーがUTMBのボイコットを呼びかける。アスリート仲間に送信したとされるメールが明らかに

UTMBを4度制したキリアン・ジョルネ Kilian Jornetと昨年のUTMBで2位のザック・ミラー Zach Millerが連名で世界中のトレイルランニングのエリート選手にメールを送信し、UTMBへのボイコットを呼びかけていることが明らかになりました。

このメールの内容を明らかにしたのはランニングコーチのマーチン・コックス氏です。メールはUTMBがトレイルランニングというスポーツに大きな貢献をしてきたことを認めつつも「最近のUTMBとIronman(筆者注・UTMBはIronmanと業務提携している)の方向性に懸念がある」として、今年のUTMBに出場せず「他の大会」を選ぶことを呼びかけています。しかし、具体的にどのような出来事について懸念を抱いたのかは明記していません。世界トップクラスの選手たちが参加しないことでUTMBにアスリートの意思を示すことができるとしています。

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カナダ・ブリティッシュコロンビア州のウィスラーでUTMBワールドシリーズの大会が新たに開催されることが昨年秋に発表されたのをきっかけに、北米を中心にトレイルランニング界でUTMBに対して強い批判が巻き起こりました。そのきっかけはワールドシリーズの一つとなる「by UTMB」の大会が新たに認められた一方で、アスリートとしても著名なゲイリー・ロビンスが中心となってそれまで開催していたトレイルランニング大会が、コースとなるリゾート地の所有会社から翌年の開催が認められなかったことでした。UTMBが地域のランニングコミュニティが育てて愛されてきた大会を、Iroman流のやり方で不当に追い出して、画一的な大会を押し付けた、として炎上することになりました。

このほかにもUTMBをめぐる最近の論争には以下のものがあります。

  • UTMBワールドシリーズのライブ配信のコメンテーターを務めていたコリーン・マルコムが、「率直すぎる物言い」を理由にコメンテーターを解任される。(2023年12月)
  • カナダ・ブリティッシュコロンビア州のウィスラーにUTMBワールドシリーズの大会開催が登場した一方で、既存の大会の開催が認められないことが明らかに。(2023年10月)
  • Transvulcania が2023年を最後にUTMBワールドシリーズから離脱することを発表。(2023年9月)
  • UTMBワールドシリーズファイナルのスポンサーとなっている自動車メーカーのダチアについて、CO2排出の原因を作っているとしてイギリスのランニングコミュニティが契約破棄の請願を行う。これにキリアンが支持を表明。(2023年8月)
  • ウルトラトレイルマウントフジがその大会やレースの呼称についてUTMBから異議申し立てを受けているとして、「UTMF」を「FUJI」に改称(2023年1月)。続いて大会名自体を「Mt. FUJI 100」に改称(2023年10月)。

キリアン・ジョルネとザック・ミラーが送信したとされるメールの全文

*原文は英語で以下は当サイトによる日本語訳です。

こんにちは、

キリアン・ジョルネとザック・ミラーです。このメールを受け取っているということは、私たちのスポーツにおけるトップアスリートの一人であるということです。私たちは、この厳選された少数の方々から始めることで、努力をもっと集中させ、圧倒されないようにしたいと思っています。それはさておき、このメールの主旨は何かというと、以下の通りです。

実は、今年(2024年)のUTMB以外のレースで、お互いに競争することへのコミットメントに興味があるかどうかを尋ねたくて連絡しています。多くの方がUTMBに強い繋がりを持っていること(個人的な目標、スポンサーからのインセンティブ、キャリア目標など)は理解していますが、ここで私たちが言いたいことを聞いていただきたいと思います。まず、UTMBは素晴らしいレースであることを認めたいです。最近ドラマが多いにもかかわらず、レースとその組織はウルトラランニングのスポーツに多くの良い影響を与えています。

UTMBは今や世界中のトップランナー、スポンサー、メディア、ファンが集まる世界選手権のようなイベントとなっています。これは年間の大イベントとなり、私たちのスポーツを地図に載せるのに大いに役立っています。このようなイベントがあることで、私たちのような人々に多くの機会が生まれ、スポーツに多くの資金と注目が集まります。これは良いことだと私たちは感じています。

しかし、スポーツの成長と発展がこれらの方法で進むことは良いことかもしれませんが、成長がポジティブで健全な方法で行われることも重要です。残念ながら、UTMB、UTMBグループ、アイアンマンが取った現在の方向性には懸念があります。私たちが指摘できる懸念点は多々ありますが、要するに、彼らはスポーツとその関係者の最善の利益を考えて自分たちやイベントを管理していないと感じています。

私たちは、レーススペースがビジネスであることを理解し、組織がお金を稼ぐことに問題はありません。しかし、人々を不当に扱ったり、邪魔になるものはすべて踏みつけたりすることなく、これを行う方法があると感じています。簡単に言うと、私たちは彼らにビジネスをうまく運営してほしいのです。彼らには思いやりを持ってほしい。彼らには「自分たちにどう利益をもたらすことができるか?」だけでなく、「トレイルランニングスポーツ全体をどう改善することができるか?」も考えてほしいのです。

残念ながら、彼らがこれを上手く行っているとは思えません。彼らと座って話し合い、コースを修正して物事を正しい軌道に戻すことができればいいのですが、彼らが何かを変えることはないだろうと恐れています。ただし、エリートアスリートとして、私たちは声を上げることができます。

私たちの不満を伝え、圧力をかける最良の方法は、一緒になって別のレースに参加することかもしれません。トップ15位の男女ランナーがUTMBのスタートラインに不在であれば、それは大きな意味を持ちます。それによって、私たちが満足していないことを彼らに伝え、変更を迫ることができるでしょう。

そこで、あなたの意見を伺いたいと思います。私たちはUTMBの代わりに出場できる潜在的なレースを既に特定していますが、その前に、あなたがどう思うか教えてください。同じか似たような懸念を持っていますか?別のレースで競争することに興味はありますか?ぜひ教えてください。そうすれば、対話を続け、次のステップについて話し合うことができます。そして、これがUTMBに対する悪意のあることではないことを理解してください。ここでのアイデアは、UTMBとアイアンマンに圧力をかけて、ポジティブな変化をもたらす方法を見つけることです。いつかUTMBに行って、彼らがスポーツを良くしていると感じることができれば素晴らしいです。

とにかく、あなたの意見を教えてください。以下のメールアドレスで返信してください。

another.way.to.run@gmail.com

また、興味のある人がこれらのことについて口頭で話し合うことができるように、Zoomコールを設定することができるかもしれません。

読んでいただき、ありがとうございました!

キリアン・ジョルネ、ザック・ミラー

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