神戸トレイル Kobe Trail 2025 プレビュー・Golden Trail World Series改め「GTWS」開幕戦は4月19日土曜日開催

2回目の開催となるトレイルランニングイベント「Kobe Trail(神戸トレイル)2025」は、神戸市で2025年4月19日土曜日と20日日曜日の二日間にわたって開催されます。都市と自然が近接する神戸の六甲山地を舞台とし、「都市型トレイルランニング・エンターテインメント・フェス」というコンセプトを掲げています。

(Photo @colinolivero @GoldenTrailSeries @KobeTrail)

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Golden Trail World Series(ゴールデントレイル・ワールドシリーズ)は4月16日のプレスリリースでシリーズ名称を「GTWS」に改称し、ロゴなども新しくすることを発表しました。


GTWSは、サブウルトラ・ディスタンスのトレイルランニングにおける世界最高峰のシリーズ戦であり、2025年も昨年と同様に総額30万ユーロの賞金をかけて世界各地でレースが開催されます。

今年の「GTWS」開幕戦となるのはKobe Trailの初日、土曜日に行われる21kmのレースです。今回も世界トップクラスのアスリートたちが六甲山に集結します。この21kmのレースには日本国内からも多くのランナーが参加し、総勢で男子253名、女子49名がエントリーしています。さらに二日目の土曜日には15kmのソロ、リレーやキッズレースも予定されています。国際都市・神戸にふさわしく、世界から集まるランナーとともに、トレイルランニングを観戦し、走り、楽しむことができるイベントです。

この記事では、Kobe Trailの初日に開催されるGTWS開幕戦の概要と、出場予定の注目エリート選手について紹介します。

土曜日開催のGTWS開幕戦、掬星台を中心とする4つのループ

GTWS開幕戦となるレース「KOBE 21k GTWS」は、4月19日(土)に開催されます。コースは距離21.3km、累積獲得標高2,109mと、テクニカルでタフな設定です。スタート・フィニッシュ地点は、標高約700mに位置する摩耶山山頂近くの掬星台(きくせいだい)です。掬星台は日本三大夜景の一つとして知られる展望スポットで、ロープウェーでのアクセスも可能です。

コースは掬星台を中心とする4つの周回コースで構成され、その形状から「フラワーコース」と呼ばれています。このレイアウトは、GTWSのファイナルなどでも採用されており、選手が何度も会場を通過するため、観客はレース展開を間近で何度も見ることができます。また、エイドステーションや救護スタッフを会場に集約できるメリットもあります。4つのループの詳細は昨年と同じで以下の通りです。

  • Loop 1 (3.7km 295mD+): 掬星台の北側を時計回り。
  • Loop 2 (6.1km 516mD+): 掬星台から南西方向を時計回り。
  • Loop 3 (6.2km 671mD+): 掬星台から東側へ下りて登り返す周回。
  • Loop 4 (5.3km 627mD+): Loop 3と同様に東側へ下りて登り返すが、反時計回り。最も急峻なセクション。

レース当日は、メイン会場の掬星台でレース観戦だけでなく、飲食や音楽、出展ブースなどが楽しめる「TRAIL MARCHE(マルシェ)」や「トレイル・フェス」も開催され、参加者や応援者、家族も楽しめる空間が提供されます。

また、19日(土)のレース終了後、18時30分からは新神戸駅近くのSOLA KOBEにて、レセプションパーティー「TRAIL DISCO」が開催されます。このパーティーでは「KOBE 21k」のエリートランナー表彰セレモニーも行われる予定です。

GTWS開幕戦の翌日、20日(日)には、同じく摩耶山掬星台を会場に、KOBE 15k、KOBE 15k EKIDEN(リレー)、KOBE 4k、KOBE 4k Pairの各レースが開催されます。

GTWS 2025シーズンが神戸からスタート

サロモンによって2018年にGolden Trail World Seriesとして設立された「GTWS」は、世界のトップアスリートが集う最高峰のシリーズ戦です。

シリーズのさらなる飛躍を目指し、2025年シーズン開幕直前の4月16日には、大手メディア・エンターテイメント企業であるWarner Bros. Discovery (WBD) Sportsとの複数年にわたるパートナーシップが発表されました。この提携により、WBD Sports EuropeはGTWSレースの映像制作、国際配信、各地域での放送を担当し、EurosportやMax、discovery+などのプラットフォームを通じて100カ国以上でのライブおよびオンデマンド配信を実現します。また、デジタルメディアでのプロモーション強化や、新たなスポンサー獲得、新規市場開拓も共同で進められ、トレイルランニングの魅力をより広範な視聴者層に届けることを目指しています。無料動画コンテンツやニュース、ハイライト映像などもEurosport.comやGTWS公式YouTubeチャンネルなどで提供される予定です。

2025年シーズンは、この神戸での開幕戦を皮切りに、中国(万里の長城)、イタリア、スペイン、アメリカ、そして初開催となるメキシコとオーストリアを含む全8戦が世界各地で開催されます。各選手のベスト3レースの結果に基づいたポイントランキング上位者(男女各30名)を集めて行われるグランドファイナルについても、4月16日に開催地が発表されました。グランドファイナルは10月9日から12日にイタリア北部、ガルダ湖に近いレードロ渓谷で開催され、昨年までと同様にプロローグとファイナルレースで構成され、ここで年間チャンピオンが決定します。

昨年の神戸での開幕戦も非常にレベルの高い選手層となりましたが、今年も同様に世界各国からトップレベルのエリートランナーが参戦し、シーズン序盤の重要な一戦として激しいレースが繰り広げられることが予想されます。

昨年の神戸トレイル21kmで女子優勝のモード・マティス。Photo @justingalant @GoldenTrailSeries @KobeTrail

GTWS開幕戦に登場する注目エリート選手

Kobe Trail 2025のGTWS開幕戦には、世界のトップランナーと日本の実力者が多数参加します。ITRAパフォーマンス・インデックス(PI)と共に注目選手を紹介します。(PIは4月16日時点)

女子の部

  • ジョイス・ニェル Joyce Muthoni Njeru (ケニア, PI 792): 2024年のGTWS年間チャンピオン。ケニア出身で登りの強さとテクニカルな地形への適応力が武器。昨年の神戸では4位だったが、その後GTWSで3勝(中国・スーグニャンシャン、アメリカ・Headlands、アメリカ・mammoth)を挙げるなど圧倒的な強さを見せた。社会貢献活動にも熱心に取り組んでいる。今年もシリーズ優勝候補の一人。
  • サラ・アロンソ Sara Alonso (スペイン, PI 785): 昨年のKobe Trailで2位。2022年のMarathon du Mont-Blanc優勝者でもある実力者。今季も上位争いが期待される。2024年OCC4位。
  • フロレア・マダレナ Florea Madalina (ルーマニア, PI 790): ITRA PIではニェルに次ぐ高いレベル。2023年のグランドファイナルでプロローグ、ファイナルをいずれも制した。昨年のGTWSファイナル前のHeadlands 27Kではニェルと接戦を演じるなど、高い実力を持つ。
  • ローレン・グレゴリー Lauren Gregory (アメリカ, PI 777): アメリカの若手有望株。昨年のGTWSファイナルではプロローグ、ファイナルとも2位で注目された。
  • マレン・オサ Malen Osa Ansa (スペイン, PI 749): 2024年のGTWS年間ランキング3位。Zegama-Aizkorri準優勝など安定した成績を残している。
  • 高村 貴子 (日本, PI 737): ハセツネCUP5連覇など、国内では圧倒的な強さを誇る。昨年の神戸トレイルでは9位。その後、APTRC選手権ロングで金メダル、ChiangMai by UTMB 50kで3位、今年のハセツネ30K優勝。
  • 秋山 穂乃果 Honoka Akiyama (日本, PI 740): 2024年スカイランニング世界選手権スカイウルトラ銀メダル、APTRC選手権ショート銅メダルなど国内外のレースで活躍しており、世界の強豪相手にどこまで食い込めるか注目。
  • その他、田中 吉美 (PI 679)Betty Bergstrand (スウェーデン, PI 674)相原 千尋 (PI 666)Magdalena Kraszpulska (ポーランド, PI 650)林 楓 (PI 646) など、国内外の実力者がエントリーしている。
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男子の部

  • パトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (ケニア, PI 952): 昨年のKobe Trail優勝。マウンテンランニング世界選手権(Uphill)連覇の実績を持つ、現役最強クラスの選手。今年も優勝候補筆頭。
  • フィレモン・キリアゴ Philemon Ombogo Kiriago (ケニア, PI 950): Kipngenoのチームメイトでありライバル。昨年のSierre-Zinal優勝など、急成長中の若手。今回はケニア勢のワンツーフィニッシュもあり得る。
  • シルバン・カシャール Sylvain Cachard (フランス, PI 921): 登坂力に定評のあるフランスの実力者。テクニカルなコースでの走りにも注目。
  • 上田 瑠偉 (日本, PI 912): 日本のエースであり、日本人トップのITRA PIを持つ。昨年のKobe Trailでは17位。GTWSでは2022年のMarathon du Mont-Blancでの3位で表彰台経験もある。母国開催のレースで世界のトップに挑む。
  • ダニエル・パティス Daniel Pattis (イタリア, PI 904): 欧州のレースで常に上位に入るイタリアの実力者。
  • イウ・ネット・プッチ Ïu Net Puig (スペイン, PI 885): スペインの若手選手。欧州のスカイランニングのレースで表彰台の経験を持ち、着実に力をつけている。
  • 小笠原 光研 Koken OGASAWARA (日本, PI 884): ハセツネCUPで2年連続3位など、安定した実力を持つ日本のトップランナー。昨年の神戸トレイルで19位。
  • 近江 竜之介 Ryunosuke Omi (日本, PI 879): 昨年のハセツネ30K優勝者。若手のホープとして期待がかかる。昨年は日本の選手として最高位の12位。
  • 吉野 大和 Yamato Yoshino (日本, PI 879): ハセツネCUPで2022年と2024年に優勝。2025年Hong Kong 100-Half 56kで4位。昨年の神戸トレイルで21位。
  • ジョン・レイ・オニファ John Ray “Stingray” Onifa (フィリピン, PI 877): アジアを代表するトレイルランナーの一人。昨年のAPTRC選手権ショートで金メダル。
  • ジョーイ・ハドーン Joey Hadorn (スイス, PI 873): 昨年の神戸トレイルで2位。オリエンテーリングで世界レベルの実力を持つアスリートでトレイルランニングでも高い走力を見せる。2022年WMTRC世界選手権アップヒルで4位。
  • その他、ユーホ・イリネン Juho Ylinen (フィンランド, PI 877) ファビアン・ベネロ Fabián Venero (スペイン, PI 872)ダミアン・ボグダン Damian Bogdan (ルーマニア, PI 869) テオ・ブルジョワ Theo Bourgeois (フランス, PI 869)アンデシュ・キアラビック Anders Kjærevik (ノルウェー, PI 858) といった欧州の強豪や、山口大河 Taiga Yamaguchi (PI 844)藤飛翔 Tsubasa Fuji (PI 837) など、多くの日本人有力選手も参戦し、層の厚いレースとなります。

昨年男子優勝のパトリック・キプンゲノ。Photo @colinolivero @GoldenTrailSeries @KobeTrail

DogsorCaravanでは大会会場からGTWS開幕戦の模様を発信

Kobe Trail 2025は、2年連続でGTWSの開幕戦として開催され、世界のトレイルランニングシーンから大きな注目を集めるイベントとなります。

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