マウントフジ100 Mt. FUJI 100 2025 リザルト

【追記・選手の氏名の表記を修正しました。2025.05.02】

ホアキン・ロペス Joaquin Lopezがレース後半に渾身の走りを見せ、17時間48分という圧倒的なタイムで優勝。ITRAスコアやUTMBインデックスで900を大きく上回るレベルで、大会の歴史に残る偉大な結果を残しました。

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4月25日金曜日から27日日曜日までの3日間、「マウントフジ100 Mt. FUJI 100 2025」が開催されました。100マイルの「FUJI100mi」とそのコース後半部を走る「KAI70k」に加え、今年は新たに「ASUMI40k」が加わり、合計3つのレースが行われました。

FUJI100miでは、ホアキン・ロペス Joaquin Lopez (ECU) が17時間台という驚異的な大会新記録で男子優勝を果たし、女子はチャン・マンイー ManYee Cheung 張敏怡 (HKG) が2019年大会の5位から飛躍し、優勝を飾りました。KAI70K、ASUMI40kの記録とともに今回のマウントフジ100を振り返ります。

(写真 FUJI100miのスタート。Photo © Fuji Hakone Izu Trail Support)

FUJI100mi:ホアキン・ロペスが17時間台の歴史的快挙、女子はチャン・マンイーが制す

距離約168.0km、累積標高+6,254mの「FUJI100mi」は、4月25日金曜日の午後5時に静岡県富士市の富士山こどもの国をスタートしました。

男子レースは、序盤からホアキン・ロペス Joaquin Lopez (ECU) とデン・グオミン Guomin Deng (CHN) の二人がレースをリードする展開となりました。100km地点を過ぎたあたりからロペス選手が単独トップに立ち、テクニカルな山岳セクションで後続との差を一気に広げました。そのまま力強い走りでフィニッシュまで駆け抜け、17時間48分40秒というタイムで優勝。これは2012年の大会創設以来、最速となる歴史的な記録です。ロペス選手はフィニッシュ後、「経験した中で最も技術的に難しいレースだったが、努力が報われたことに興奮している」と語りました。また、ラテンアメリカ出身のランナーとして、2012年STY優勝のフェルナンダ・マシェール Fernanda Maciel (BRA) 以来、この大会で表彰台に立つのは二人目となる栄誉に感謝の意を示しました。

ホアキン・ロペス Joaquin Lopez は大会新記録となる17時間48分40秒でフィニッシュ。Photo © DogsorCaravan

ホアキン・ロペス Joaquin Lopez は大会新記録となる17時間48分40秒でフィニッシュ。Photo © DogsorCaravan

2位争いは終盤まで熾烈を極めました。深夜に30分以上のコースロストがあったデン・グオミンは最後まで粘り強い走りを見せ18時間56分43秒で2位に入りました。わずか38秒差の3位には、日本の川崎雄哉 Yuya Kawasaki (JPN) が18時間57分21秒でフィニッシュ。「日本の大会で日本のランナーとして意地を見せたかった。コース上でたくさんの方に応援していただいたおかげで最後まで走り切れました」と語り、愛息を抱いてゴールしました。4位にはタイラー・グリーン Tyler Green (USA) が19時間05分36秒で続きました。続いて、コースを進むにつれて着実に順位を上げた池畑拓哉 Takuya IKEHATA (JPN)が5位でフィニッシュ。昨年のこの大会では24時間22分で19位でしたが、今年は20時間28分と会心の走りを見せました。6位には吉野大和 Yamato YOSHINO (JPN) が20時間34分で続きました。前週に神戸トレイルの21kを走ったばかりですが、初めての100マイルのトレイルレースで手応えを掴みました。7位は竹村直太 Naota TAKEMURA (JPN)、8位に小原将寿 Masatoshi OBARA、9位にマチュー・クレマン Mathieu CLEMENT (SUI) 、10位が前田皓大 Akihiro MAEDA (JPN)でした。

コース中盤でロストしたものの、懸命にコースを進むデン・グオミン Guomin Deng Photo © DogsorCaravan

コース中盤でロストしたものの、懸命にコースを進むデン・グオミン Guomin Deng Photo © DogsorCaravan

女子のレースは序盤にクラウディア・トレンプス Claudia Tremps (ESP) がリードしましたが、足首の捻挫により52.6km地点のF2麓エイドでリタイア。その後はチャン・マンイー ManYee Cheung 張敏怡 (HKG) がレースを支配しました。終始安定した走りで後続を引き離し、23時間42分00秒でフィニッシュ。2019年大会の5位から大きく飛躍し、優勝を勝ち取りました。チャンは「6年前に出場したときよりも自分のコンディションがよく、前回のタイムを大幅に更新できたので嬉しい」と喜びを語りました。また、「昨年のマウントフジ100でコートニー(・ドウォルター)が優勝したことにとっても興奮しました。彼女のリラックスした、自由なスタイルが大好きで、憧れています」と今後の目標についても触れました。

FUJI100miで女子優勝のチャン・マンイー ManYee Cheung のフィニッシュ。Photo © DogsorCaravan

FUJI100miで女子優勝のチャン・マンイー ManYee Cheung のフィニッシュ。Photo © DogsorCaravan

女子のレースをリードしていたクラウディア・トレンプス Claudia Trempsだが、最初のCPとなる富士宮までに足首のトラブルがあった。Photo © DogsorCaravan

女子のレースをリードしていたクラウディア・トレンプス Claudia Trempsだが、最初のCPとなる富士宮までに足首のトラブルがあった。Photo © DogsorCaravan

2位には、コース後半に順位を上げたチャン・ホイピン Huiping ZHANG 张潓萍 (CHN) が24時間35分51秒で入りました。3位には日本の伊東ありか Arika ITO (JPN) が24時間59分43秒でフィニッシュし、表彰台を獲得。「昨年は力を出しきれなかったが、その悔しさをバネに走った。短い距離よりも100マイルが好きで、今回は楽しく走れた」とレースを振り返りました。4位には枝元香菜子 Kanako EDAMOTO (JPN)、5位にはウェン・ファンユアン FangYuan WEN (CHN) が続きました。ウェンは2023年の5位に続いて、この大会で2度目の表彰台に立ちました。6位は2022年準優勝の矢野淳子 Junko YANO (JPN)、7位はチャオ・フェン Fen ZHAO 赵芬 (CHN) 、8位に川名亜実 Tsugumi KAWANA (JPN) 、9位に原智美 Tomomi HARA (JPN)、10位が板橋黎華 Reika ITABASHI (JPN) となりました。

FUJI100mi女子の表彰式より。Photo © DogsorCaravan

FUJI100mi女子の表彰式より。Photo © DogsorCaravan

KAI70k:シェン・ジアシェン、アンナ・タラソワが快勝

距離約70.2km、累積標高+3,052mの「KAI70k」は、4月26日土曜日の13時30分に富士北麓公園をスタートしました。

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男子レースは、シェン・ジアシェン Jiasheng SHEN 申加升 (CHN) がスタートから積極的にレースを進め、終始リードを保ちました。6時間38分40秒でフィニッシュし、日本での初レースを見事な勝利で飾りました。シェン選手は「今日の調子はとても良く、素晴らしいコースだった。走りやすいセクションが多く、自分に合っていた」とコメントし、「初めて参加したが、皆さんが優しく、レースでは素晴らしい経験ができ、全てがよい印象。来年か再来年にはFUJI100miに挑戦したい」と新たな目標を語りました。

2位には、日本の大学に留学中のマルセル・ヘーヒェ Marcel Hoeche (GER) が6時間56分57秒で入りました。フィニッシュ後のインタビューでは「マウントフジ100は夢のレース。その夢が叶い、2位になれて本当に嬉しい」と喜びを語りました。3位には日本の古賀 聖 Sei KOGA (JPN) が7時間25分41秒で入りました。

女子レースは、アンナ・タラソワ Anna Tarasova (ESP) が序盤から力を見せ、秋山穂乃果 Honoka Akiyama (JPN)、ルビー・リンドクイスト Ruby Raven Lindquist (USA) らと共にレースを進めましたが、25km地点のK2山中湖きららエイドを過ぎたあたりからリードを広げ始めました。そのまま後続を寄せ付けず、7時間44分59秒で優勝しました。

2位には、終盤に追い上げたルビー・リンドクイスト選手が、優勝からわずか3分差の7時間48分07秒でフィニッシュ。リンドクイスト選手は「とても美しいコースでした。予想以上に急でテクニカルな箇所もあり、ロープも使った。木々の間を走る夕暮れ時の霧はクールな経験でした」とコースの印象を語りました。3位にはオーロール・ダシエ・ド・ビアージ Aurore Dacier de Biasi (FRA) が8時間13分26秒で入りました。

新設のASUMI40k:モン・グアンフー、シャン・フージャオが初代王者に

今年新設された距離約40.2km、累積標高+1,445mの「ASUMI40k」は、4月26日土曜日の正午に富士北麓公園をスタートしました。

男子レースは、モン・グアンフー Guangfu Meng (CHN)、小笠原光研 Koken Ogasawara (JPN)、ツォマス・カリ Tuomas Kari (FIN) の三つ巴の展開となりました。終盤の標高差600mの登りでモン選手と小笠原選手の一騎打ちとなり、最終盤までもつれ込んだ結果、モン選手が3時間3分29秒で優勝。わずか18秒差で小笠原選手が準優勝となりました。モン選手は「先週もレースを走ったので優勝は想定外。最後の登りで前に出られたのが運が良かった」と謙虚に語りました。3位にはツォマス・カリ選手が入りました。

ASUMI40kの男子トップ3。優勝したモン・グアンフー Guangfu Meng 蒙光富(中央)、2位の小笠原光研(右)、3位のツォマス・カリ。 Photo © DogorCaravan

ASUMI40kの男子トップ3。優勝したモン・グアンフー Guangfu Meng 蒙光富(中央)、2位の小笠原光研(右)、3位のツォマス・カリ。 Photo © DogorCaravan

女子のレースは、地元の富士吉田市在住の実力者で昨年のKAI70k覇者でもある吉住友里 Yuri Yoshizumi (JPN) と、シャン・フージャオ Fuzhao Xiang (CHN) が序盤から競り合いました。中盤の下り区間でシャン選手がリードを奪い、そのまま差を広げて3時間37分33秒でフィニッシュ。シャン選手は2019年のUTMF、2023年のFUJI100miに続き、この大会で通算3度目のタイトル獲得となりました。3分半差の2位には吉住選手が入り、3位には昨年のKAI70kで2位だった岩井絵美 Emi Iwai (JPN) が3時間51分41秒で続きました。シャン選手は表彰式で「吉住選手に感謝したい。お互いリードし合ったが、最後に運が良かった。今後も一緒に切磋琢磨したい」とライバルを称えました。

FUJI100mi リザルト

リザルト速報はこちらから。

女子 Women

  1. チャン・マンイー ManYee CHEUNG (HKG) 23:42:00
  2. チャン・ホイピン Huiping ZHANG (CHN) 24:35:51
  3. 伊東ありか Arika ITO (JPN) 24:59:43
  4. 枝元香菜子 Kanako EDAMOTO (JPN) 25:51:20
  5. ウェン・ファンユアン FangYuan WEN (CHN) 26:11:48
  6. 矢野淳子 Junko YANO (JPN) 26:43:14
  7. チャオ・フェン Fen ZHAO (CHN) 27:30:08
  8. 川名亜実 Tsugumi KAWANA (JPN) 28:09:06
  9. 原智美 Tomomi HARA (JPN) 28:42:27
  10. 板橋黎華 Reika ITABASHI (JPN) 29:07:25
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男子 Men

  1. ホアキン・ロペス Joaquin LOPEZ (ECU) 17:48:40
  2. デン・グオミン Guomin DENG (CHN) 18:56:43
  3. 川崎雄哉 Yuya KAWASAKI (JPN) 18:57:21
  4. タイラー・グリーン Tyler GREEN (USA) 19:05:36
  5. 池畑拓哉 Takuya IKEHATA (JPN) 20:28:55
  6. 吉野大和 Yamato YOSHINO (JPN) 20:34:37
  7. 竹村直太 Naota TAKEMURA (JPN) 20:48:15
  8. 小原将寿 Masatoshi OBARA (JPN) 20:59:51
  9. マチュー・クレマン Mathieu CLEMENT (SUI) 21:00:33
  10. 前田皓大 Akihiro MAEDA (JPN) 21:06:28

KAI70k リザルト

リザルト速報はこちらから。

女子 Women

  1. アンナ・タラソワ Anna TARASOVA (ESP) 7:44:59\
  2. ルビー・レイブン・リンドクイスト Ruby Raven LINDQUIST (USA) 7:48:07\
  3. オーロール・ダシエ・ド・ビアージ Aurore DACIER de BIASI (FRA) 8:13:26\
  4. サラ・キーズ Sarah KEYES (USA) 8:53:27\
  5. 秋山穂乃果 Honoka AKIYAMA (JPN) 9:06:26\
  6. 小谷奈穂 Naho KOTANI (JPN) 9:24:57\
  7. 寺田美奈 Mina TERADA (JPN) 9:25:03\
  8. 福田恵里佳 Erika FUKUDA (JPN) 9:49:15\
  9. 林楓 Kaede HAYASHI (JPN) 9:55:24\
  10. 市村浩美 Hiromi ICHIMURA (JPN) 10:03:08\
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男子 Men

  1. シェン・ジアシェン Jiasheng SHEN (CHN) 6:38:40\
  2. マルセル・ヘッヘ Marcel HOECHE (GER) 6:56:57\
  3. 古賀聖 Sei KOGA (JPN) 7:25:41\
  4. 長谷怜信 Ryoshin HASE (JPN) 7:32:48\
  5. 佐谷尚紀 Naoki SATANI (JPN) 7:39:24\
  6. 東翼 Tsubasa AZUMA (JPN) 7:54:13\
  7. 大畑匡孝 Masataka OHATA (JPN) 8:00:06\
  8. 高野大輝 Daiki TAKANO (JPN) 8:04:16\
  9. 町田知宏 Tomohiro MACHIDA (JPN) 8:04:20\
  10. 宋昱輝 Ricky SUNG (TPE) 8:04:38\

ASUMI40k リザルト

リザルト速報はこちらから。

女子 Women

  1. シャン・フージャオ Fuzhao Xiang (CHN) 3:37:33
  2. 吉住友里 Yuri Yoshizumi (JPN) 3:41:08
  3. 岩井絵美 Emi Iwai (JPN) 3:51:41
  4. 坪井光穂 Miho Tsuboi (JPN) 4:01:38
  5. 山内菜摘 Natsumi Yamauchi (JPN) 4:04:14
  6. 石原菜美 Nami Ishihara (JPN) 4:13:44
  7. ラム・チョーユー ChoYu LAM 林楚茹 (HKG) 4:14:45
  8. 久松佳穂 Kaho HISAMATSU (JPN) 4:40:10
  9. シャーメイン・ツァン Charmaine TSANG (HKG) 5:13:46
  10. イ・ニン Ning LI (CHN) 5:15:24
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男子 Men

  1. モン・グアンフー Guangfu Meng 蒙光富 (CHN) 3:03:29
  2. 小笠原光研 Koken Ogasawara (JPN) 3:03:47
  3. ツォマス・カリ Tuomas Kari (FIN) 3:05:48
  4. 川崎鷹丸 Takamaru Kawasaki (JPN) 3:13:41
  5. 新地司 Tsukasa Shinchi (JPN) 3:24:43
  6. 村田諒 Ryo Murata (JPN) 3:26:59
  7. 牛田美樹 Miki Ushida (JPN) 3:30:59
  8. アーチー・パラン Archie PARAN (PHI) 3:32:24
  9. レックス・ロ Rex LO (HKG) 3:32:36
  10. タム・チーホン Tsz Hong TAM (HKG) 3:33:29
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