石川県加賀市で6月19日から22日にかけて開催された「加賀スパトレイルエンデュランス100 by UTMB」(Kaga Spa Trail Endurance 100 by UTMB)が閉幕しました。日本で初めて開催されるUTMBワールドシリーズの大会として大きな注目を集め、21日に行われた100km、50km、20kmの三つのレースには、世界26の国と地域から合計2,537人の選手が参加しました。
(写真 KagaSpa 100のスタート。Photo © Doryu Takebe / Kaga Spa by UTMB)
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大会当日は最高気温が36.9℃に達する厳しいコンディションとなりましたが、選手たちは1,300年の歴史を持つ山中温泉を拠点に、富士写ヶ岳や大日山、鞍掛山といった加賀の里山に挑みました。コースは走りやすい林道から、岩場やロープが設置されたテクニカルなセクションまで変化に富み、選手の総合力が試される設定でした。完走率は50kで72%、100kでは39%に止まりました。
本大会の完走者は、トレイルランニングの世界最高峰の舞台であるUTMBワールドシリーズファイナル(フランス・シャモニー)への出場権をかけた抽選に参加できる「ランニングストーン」を獲得しました。また、100kmと50kmの男女トップ3選手には、それぞれファイナルのCCC、OCCへ抽選なしで出場できるダイレクトエントリー権が授与されました。
以下では各レースのリザルトを紹介します。リザルトの詳細はこちらのリンクからご覧いただけます。
KagaSpa 100 – 秋山穂乃果が総合4位の快走、男子は黒河輝信が制す
距離99.7km、累積獲得標高6,148mの最長カテゴリー「KagaSpa 100」では、国内外のトップ選手が山中温泉の背後に控える山々で激しい戦いを繰り広げました。
女子のレースは、UTMBワールドシリーズ初参戦の 秋山穂乃果 Honoka AKIYAMA (JPN) が、他の選手を圧倒する安定した走りを披露。13時間50分7秒というタイムでフィニッシュし、男女総合でも4位に入る快挙を成し遂げました。秋山は今回がHOKAのサポートアスリートとして初めてレースに参戦。「サポートしてくれたチームのおかげで最高のパフォーマンスを発揮できました。今日の優勝をきっかけにして、UTMBワールドシリーズファイナルに参加して、いつかUTMBで優勝したいと思います」と、世界への意欲を語りました。およそ1時間半の差で2位には 吉住友里 Yuri YOSHIZUMI (JPN) が続きました。吉住も男女総合では9位に入りました。3位には 岩井絵美 Emi IWAI (JPN) が続きました。

秋山穂乃果 Honoka AKIYAMA Photo © Doryu Takebei / Kaga Spa by UTMB
男子のレースは、黒河輝信 Terunobu KUROKAWA (JPN) が序盤から単独でレースをリード。気温が上昇し、多くの選手がペースを落とす中、力強い走りを維持し、12時間49分6秒でフィニッシュ。加賀スパの初代チャンピオンの栄冠を手にしました。黒河は「苦しい時に僕を応援してくれた人たちのおかげで走り切ることができました。暑い一日でしたが、最後まで周りを気にせず自分の走りができました」と、勝利の喜びを語りました。2位には後半に順位を上げた 三浦裕一 Yuichi MIURA (JPN) が30分差で続きました。三浦に6分差の3位には2015年UTMF優勝、2016年UTMB準優勝の実績を持つ ゲディミナス・グリニウス Gediminas GRINIUS (LTU) が入りました。

100Kで優勝した黒河輝信。Photo © Doryu Takebe / Kaga Spa by UTMB
KagaSpa100 女子 トップ10
- 秋山穂乃果 Honoka AKIYAMA (JPN) 13:50:07
- 吉住友里 Yuri YOSHIZUMI (JPN) 15:23:50
- 岩井絵美 Emi IWAI (JPN) 16:12:00
- ジョウ・ルイファン Ruifang ZHOU (CHN) 16:36:15
- ナタリア・マストロタ Natalia MASTROTA (ITA) 16:37:17
- 寺田未奈 Mina TERADA (JPN) 16:58:11
- 徳本順子 Junko TOKUMOTO (JPN) 17:23:41
- 能津遊来 Yuki NOZU (JPN) 17:47:11
- 井筒智子 Tomoko IZUTSU (JPN) 17:49:29
- 坂井真弓 Mayumi SAKAI (JPN) 19:07:28

Kaga Spa 100 の表彰式より。Photo © Sho Fujimaki / Kaga Spa by UTMB
KagaSpa100 男子 トップ10
- 黒河輝信 Terunobu KUROKAWA (JPN) 12:49:06
- 三浦裕一 Yuichi MIURA (JPN) 13:20:59
- ゲディミナス・グリニウス Gediminas GRINIUS (LTU) 13:26:24
- 杉本愉 Satoshi SUGIMOTO (JPN) 14:15:12
- 水谷冠太 Kanta MIZUTANI (JPN) 14:36:02
- 工藤真理 Masamichi KUDO (JPN) 15:10:40
- 河内陽介 Yosuke KAWAUCHI (JPN) 15:18:33
- 吉村健佑 Kensuke YOSHIMURA (JPN) 15:38:34
- 清田広輝 Koki SEITA (JPN) 15:59:22
- 板本章弘 Akihiro ITAMOTO (JPN) 16:02:00
KagaSpa 50 – 地元出身の髙村貴子が圧勝、男子はオニファが激戦を制す
距離55.9km、累積獲得標高2,717mの「KagaSpa 50」は、スピードとテクニックが求められる高速レースとなりました。
女子の部では、地元石川県白山市出身の 髙村貴子 Takako TAKAMURA (JPN) が圧倒的な強さを見せつけ、6時間31分52秒で優勝。このタイムは男女総合でも5位に入る快走でした。髙村選手は「身体の動きは必ずしも良くありませんでしたが、安定したペースで走るように心がけました。地元のレースを走ることが気持ちの支えになりました」と語りました。1時間余りの差で2位に石原菜美 Nami ISHIHARA (JPN) が続きました。3位には北京五輪で陸上競技の中国代表選手という経歴を持つジン・ユアン Yuan JIN 金源 (CHN) が入りました。

厳しい暑さの中、エイドを後にする髙村貴子。 Photo © Sho Fujimaki / Kaga Spa by UTMB
男子は、”スティングレイ”の愛称で知られる ジョン・レイ・オニファ John Ray ONIFA (PHL) 選手が、後半の山岳セクションで抜け出し、5時間54分46秒で優勝しました。オニファは「とても厳しいレースで、途中の37km地点では思わず足が止まってしまいました。そこで沢の水を頭からかぶったところ何とか走り続けることができました」と、過酷なレースを振り返りました。2位にはベテランの 奥宮俊祐 Shunsuke OKUNOMIYA (JPN) が入りました。続いて野口拓也 Takuya NOGUCHI (JPN) がフィニッシュしてトップ3に続きました。

Kaga Spa 50のレース序盤で競り合うスティングレイと田村健人。 Photo © Sho Fujimaki / Kaga Spa by UTMB

KagaSpa 50で準優勝でレースを終えた奥宮俊祐。 Photo © Sho Fujimaki / Kaga Spa by UTMB
KagaSpa 50 女子 トップ10
- 髙村貴子 Takako TAKAMURA (JPN) 06:31:52
- 石原菜美 Nami ISHIHARA (JPN) 07:34:17
- ジン・ユアン Yuan JIN 金源 (CHN) 07:57:47
- ウン・チンナム Chin Nam NG (HKG) 08:01:40
- 島優子 Yuko SHIMA (JPN) 08:12:50
- ユエン・チーユウ・ヨヨ Chi Yiu Yoyo YUEN (HKG) 08:16:06
- チョン・ツィマン Tsz Man CHUNG 鍾芷蔓 (HKG) 08:18:32
- ロウ・クワンワイ Kwan Wai LAW (HKG) 08:26:12
- チャウ・チンラム Ching Lam CHAU (HKG) 08:27:42
- 佐藤優子 Yuko SATO (JPN) 08:31:37

Kaga Spa 50の表彰式より。 Photo © Sho Fujimaki / Kaga Spa by UTMB
KagaSpa 50 男子 トップ10
- ジョン・レイ・ガルテラ・オニファ John Ray GALUTERA ONIFA (PHL) 05:54:46
- 奥宮俊祐 Shunsuke OKUNOMIYA (JPN) 06:13:42
- 野口拓也 Takuya NOGUCHI (JPN) 06:21:55
- 牛田美樹 Miki USHIDA (JPN) 06:30:48
- ツァン・チュンキット 曾進傑 Chun Kit TSANG (HKG) 06:33:21
- 岡田裕也 Yuya OKADA (JPN) 06:43:29
- ツァン・フクチョン 曾福祥 Fuk Cheung TSANG (HKG) 06:43:57
- 山谷良登 Yoshito YAMATANI (JPN) 06:47:15
- 南出真魚 Mao MINAMIDE (JPN) 06:51:26
- マシュー・キャロル Matthew CARROLL (AUS) 06:58:52
KagaSpa 20 – 15歳の大掛莉奈が接戦を制し優勝
距離21km、累積獲得標高706mの「KagaSpa 20」では、若手の活躍が光りました。
女子のレースでは、愛知県在住の15歳、大掛莉奈 Rina OGAKE (JPN) が、ジョアンナ・モックフォード Joanna MOCKFORD (GBR) との接戦をわずか31秒差で制し、2時間3分43秒で優勝しました。実際には第一ウェーブでスタートしたモックフォードが最初にフィニッシュラインに到着したのちに大掛が二人目の女子選手として完走。大掛が10分差で第二ウェーブでスタートしていたため、わずかの差で大掛が優勝とアナウンスされると、大会会場にはどよめきと称賛の歓声が広がりました。スカイランニングのユース世界選手権への出場経験も持つ大掛は「一度試走のために山中温泉に来た時よりも、今日はずっと暑くてきつかったです」と、初々しく勝利の感想を述べました。女子3位は中野ねね Nene NAKANO (JPN) でタイムは2時間16分でした。

Kaga Spa 20で女子優勝の大掛莉奈(左)と2位のジョアンナ・モックフォード。 Photo © Sho Fujimaki / Kaga Spa by UTMB
男子は、スカイランニング世界選手権の日本代表経験を持つ 山口大河 Taiga YAMAGUCHI (JPN) 選手が1時間35分12秒で優勝。「日本でこんなに街中で応援の声を浴びながら走るのは初めてで興奮しました」と、山中温泉の温かい声援に感謝を述べました。2位にはベテランの松永紘明 Hiroaki MATSUNAGA (JPN) が1時間59分4秒でフィニッシュ。3位は佐藤大紀 Daiki SATO (JPN) で2時間2分5秒でした。
Kaga Spa Trail Endurance 20 女子 トップ10
- 大掛莉奈 Rina OGAKE (JPN) 02:03:43
- ジョアンナ・モックフォード Joanna MOCKFORD (GBR) 02:04:14
- 中野ねね Nene NAKANO (JPN) 02:16:46
- チェン・キットイー Kit Yee CHENG (HKG) 02:25:55
- ノグチ・ユウコ Yuko NOGUCHI (JPN) 02:33:00
- ヤン・ルイイ Ruiyi YANG (CHN) 02:33:29
- 坪根織衣 Orii TSUBONE (JPN) 02:34:20
- 岩瀬冴衣 Sae IWASE (JPN) 02:34:45
- 塚田礼圭 Ayatama TSUKADA (JPN) 02:38:01
- 横⼭春奈 Haruna YOKOYAMA (JPN) 02:38:40
Kaga Spa Trail Endurance 20 男子 トップ10
- 山口大河 Taiga YAMAGUCHI (JPN) 01:35:12
- 松永紘明 Hiroaki MATSUNAGA (JPN) 01:59:04
- 佐藤大紀 Daiki SATO (JPN) 02:02:05
- 植田武男 Takeo UEDA (JPN) 02:02:53
- 降矢信彦 Nobuhiko FURUYA (JPN) 02:03:36
- 吉田誠 Makoto YOSHIDA (JPN) 02:04:12
- ホラ大吏羽 Oliver HORA (JPN) 02:06:49
- イケミ・シンイチ Shinichi IKEMI (JPN) 02:08:23
- アドリアン・ティンパノ Adrien TIMPANO (FRA) 02:09:24
- 溝口太仁 Hiroto MIZOGUCHI (JPN) 02:10:12














