GTWS第7戦ピッツ・アルパインは悪天候で短縮コースに。男女ともに初優勝、男子はティモシー・キベット、女子はナオミ・ラングが制す

2025年8月2日（土）にオーストリアのピッツタール渓谷 Pitztal において、GTWS（ゴールデントレイルワールドシリーズ）の第7戦「Salomon Pitz Alpine Glacier Trail」が開催されました。アルプスの高峰が連なる雄大なコースは、雨と山頂付近が悪天候による厳しいコンディションとなったため、当初の23.5km、1,700mD+のコースが、距離20kmで累積獲得標高1,000mへと短縮されました。レースの結果は男子はティモシー・キベット Timothy Kibett (KEN)、女子はナオミ・ラング Naomi Lang (GBR) が、それぞれGTWSでの初優勝を飾りました。日本からは高村貴子 Takako Takamuraが参戦し、女子27位でフィニッシュしました。

（写真はGTWS第7戦ピッツ・アルパインの女子のレースのスタート。Photo © Golden Trail World Series | Rising Story）

女子レースではテクニカルな下りで抜け出したラングが初勝利

女子のレースは序盤、キャロライン・キムタイ Caroline Kimutai (KEN)、フィラリーズ・ジェルート・キサン Philaries Jeruto Kisang (KEN)、フェイス・キプラガト Faith Kiplagat (KEN) のケニア勢が力強いペースでけん引します。しかし、フラワーコースの最初のループを終えるとレースの様相は一変します。後方から追い上げてきたナオミ・ラング Naomi Lang (GBR)とマレン・オサ Malen Osa (ESP)の二人が先頭集団に追いつき、レースの主導権を握りました。

女子のレースをリードするナオミ・ラング。Photo © Golden Trail World Series | Rising Story

その後、この日の短縮されたコースで唯一の大きな登りセクションで、先頭集団は再び一つの塊となります。ラング、オサ、キムタイ、キプラガト、アンドリン・ベンヤミンセン Andrine Benjaminsen (NOR)、キサン、マリア・フエンテス Maria Fuentes (ESP)らが1分以内にひしめく混戦模様となりました。

勝負の行方を決定づけたのは、コース最高地点からフィニッシュ地点のマンダルフェン Mandarfen へと続く、テクニカルで難易度の高いチロル地方特有の下りでした。ここで果敢にアタックしたラングが後続との差を一気に広げます。下りを終えた時点で、2位のオサに1分、キプラガトとベンヤミンセンには2分ものリードを広げていました。

続く最終ループでもその勢いを維持したラングが、見事GTWS初優勝となるフィニッシュを決めました。2位には同じくチームサロモンのチームメイトのオサが入りました。3位には終盤にペースを上げたベンヤミンセンが入りました。

優勝したラングは次のようにコメント。「レースは本当に速いペースで始まったので、私は先頭集団にはつきませんでした。最初のループでコースがテクニカルになったとき、マレン・オサと一緒に行動し、協力し合いました。チームメイトでありルームメイトでもある彼女がいてくれたことは素晴らしかったです。登りでは、これが唯一の本格的な登りだったので全力を尽くしました。下りでは思い切って攻めて、差を広げようと試みました。前回のノーリでのレースがあまり良くなかったので、こうしてシリーズで勝利を収め、復活できて本当に嬉しいです。」

キベットが下りで他を圧倒し男子優勝の栄冠を掴む

男子のレースも序盤から猛烈なスピードで展開します。5km地点を7人の選手が20分を切るタイムで通過しました。続く登り区間で少しずつ差が生まれ始めましたが、コース最高地点では依然として10人もの選手が1分以内で競り合う接戦となりました。先頭集団を形成したのは、ティモシー・キベット Timothy Kibett (KEN)、テイラー・スタック Taylor Stack (USA)、マイケル・セレロ・サオリ Michael Selelo Saoli (KEN)、サムウェル・キプロティッチ Samwel Kiprotich (KEN)、ダン・カーツ Dan Curts (USA)といったアスリートでした。

男子のレースのスタート。Photo © Golden Trail World Series | Rising Story

女子のレースと同様にテクニカルなダウンヒルが男子のレースでも勝負の分かれ目となりました。下りを終えてフラワーコースの要となるマンダルフェン Mandarfen に戻ってきた時点で、キベットは2位のスタックとキプロティッチに1分差をつけていました。

この日のレースを制したティモシー・木ベット。Photo © Golden Trail World Series | Rising Story

最終ループまで激しいレース展開は持ち越されます。キベットは力強い走りでリードを守り抜き、見事優勝。2位争いは、キプロティッチがスタックをかわして「サロモン・ミリマニ・ランナーズ」のチームメイトの二人が優勝、準優勝を分け合いました。3位にはスタックが入りました。

キベットが首位でフィニッシュ。Photo © Golden Trail World Series | Rising Story

優勝したキベットはフィニッシュ後、こう語っています。「今日のこの勝利を達成するのを助けてくれたチーム全員に感謝したいです。彼らなしでは成し遂げられませんでした。このレースに至るまでの準備は素晴らしかったです。」

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Salomon Pitz Alpine Glacier Trail リザルト

全体のリザルトはこちら。

女子トップ10

ナオミ・ラング Naomi Lang (GBR) – 1:49:51
マレン・オサ Malen Osa (ESP) – 1:50:20
アンドリン・ベンヤミンセン Andrine Benjaminsen (NOR) – 1:52:28
マリア・フエンテス María Fuentes (ESP) – 1:53:30
フェイス・キプラガト Faith Kiplagat (KEN) – 1:53:49
フィラリーズ・ジェルート・キサン Philaries Jeruto Kisang (KEN) – 1:56:28
キャロライン・キムタイ Caroline Kimutai (KEN) – 1:56:56
ヴェロニカ・マトゥシュチャク Weronika Matuszczak (POL) – 1:58:03
サラ・ウィルホイット Sara Willhoit (GBR) – 1:58:15
サラ・カーター Sarah Carter (USA) – 1:58:15

女子トップ5。Photo © Golden Trail World Series | Rising Story

男子トップ10

ティモシー・キベット Timothy Kibett (KEN) – 1:32:43
サムウェル・キプロティッチ Samwel Kiprotich (KEN) – 1:32:47
テイラー・スタック Taylor Stack (USA) – 1:33:40
マイケル・セレロ・サオリ Michael Selelo Saoli (KEN) – 1:33:42
ナション・キプリモ Nashon Kiplimo (KEN) – 1:34:56
ピエール・ガルブルダン Pierre Galbourdin (FRA) – 1:35:12
ドミニク・ローリ Dominik Rolli (SUI) – 1:35:27
トーマス・ローチ Thomas Roach (GBR) – 1:36:04
エファンタス・ムワンギ・ニェリ Ephantus Mwangi Njeri (KEN) – 1:36:14
ヨナス・ソルディニ Jonas Soldini (SUI) – 1:37:05

男子トップ5。Photo © Golden Trail World Series | Rising Story

次戦はレギュラーシーズン最終戦、シエール・ジナールへ

GTWSの次戦は来週8月9日（土）にスイスで開催される「シエール・ジナール Sierre-Zinal」です。スピードと持久力の両方が試されるこの高速コースをせいするのは誰か。毎年世界最高の選手たちが集結する、この大会で、4月の神戸で始まったGTWSの全8戦が一旦完結。このレギュラーシーズンの結果によって選ばれる出場者が招かれる、グランドファイナルは10月9-10日にイタリアで開催されます。

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