GTWSグランドファイナル・プロローグはマダリナ・フロレアとエルハウシン・エラザウィが圧勝、年間タイトルに王手

トレイルランニングの最高峰シリーズ、GTWS(ゴールデントレイルワールドシリーズ)は今週末、イタリアのガルダ・トレンティーノ Garda Trentinoで開催されるグランドファイナル、「Ledro Sky Trentino」でクライマックスを迎えます。その初日となるプロローグが10月10日金曜日に行われ、女子はマダリナ・フロレア Madalina Florea (ROU)、男子はエルハウシン・エラザウィ Elhousine Elazzaoui (MAR)がそれぞれ圧勝。シリーズ総合ランキング首位の二人がそのリードをさらに広げ、年間チャンピオンの座に大きく近づきました。

(写真 女子プロローグを制したマダリナ・フロレア Madalina Florea。Photo © Rising Story / Justin Galant / GTWS)

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プロローグは距離6.9km、獲得標高500mのショートコース。コースプロフィールは、スタートから一気に駆け上がる急な登りが続き、その後フィニッシュまでテクニカルな下りが待ち受ける、いわば「バーティカル」なレイアウトです。登坂力と下りの技術力、その両方が厳しく試される設定で、決勝レースを前に、各選手の現在のコンディションを占う重要な一戦となりました。

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女子:フロレアがライバルを圧倒

女子のレースは、年間タイトルの行方を占う上で極めて重要な一戦となりました。総合ランキング上位6名がわずか100ポイント差以内にひしめく大混戦模様で、誰が勝ってもおかしくない緊張感の中でスタート。各選手が1分ごとにスタートするタイムトライアル形式の中、序盤にレースを動したのはローレン・グレゴリー Lauren Gregory (USA)でした。彼女はコース最高地点で26分19秒という素晴らしいベンチマークタイムを記録し、暫定首位に立ちます。しかし、その後方からスタートした総合首位のフロレアが、異次元の走りでライバルたちを圧倒。グレゴリーを遥かに上回る驚異的なペースで急峻な登りを駆け上がりました。

勝負の分かれ目となったのは、コース前半の登りでした。中間計測ポイントとなった頂上で、フロレアは暫定首位のグレゴリーに対してすでに1分もの圧倒的な大差を築き上げていました。この短い登り区間だけで築いたアドバンテージは、彼女の驚異的なアップヒルでの能力を示すものでした。フロレアはその後のテクニカルな下りでも安定した走りを見せ、その勢いのままフィニッシュ。最終的に、下りで追い上げた2位のグレゴリーに11秒差をつける39分55秒で勝利を掴みました。3位には、年間タイトルを争うライバルのジョイス・ニェル Joyce Njeru (KEN)が続いています。

レース後、満面の笑みでフロレアは「今日は短く速いレースで、とても楽しめました。テクニカルなコースでしたが、万全の準備ができていました。私はフラットコースが得意だと見られがちですが、どんな地形でも高いパフォーマンスを発揮できるコンプリートなランナーであることを証明したかったのです」と語り、今回の勝利への強い意志を覗かせました。このプロローグでの圧勝により、彼女はポイントを上積みし、年間タイトル争いで決定的なアドバンテージを得ました。土曜日の決勝では、たとえ最大のライバルであるニェルが優勝したとしても、自身が2位に入れば年間チャンピオンが確定するという、非常に有利な状況で最終決戦に臨みます。

女子プロローグ リザルト

全体のリザルトはこちら

  1. マダリナ・フロレア Madalina Florea (ROU) – 39:55
  2. ローレン・グレゴリー Lauren Gregory (USA) – 40:06
  3. ジョイス・ンジェル Joyce Njeru (KEN) – 41:17
  4. サラ・アロンソ Sara Alonso (ESP) – 41:19
  5. ロサ・ララ・フェリウ Rosa Lara Feliu (ESP) – 42:04
プロローグの女子トップ3。Photo © Rising Story / Justin Galant / GTWS

プロローグの女子トップ3。Photo © Rising Story / Justin Galant / GTWS

23 髙村貴子 Takako Takamura (JPN) – 46:34
32 小谷奈穂 Naho Kotani (JPN) – 50:31
33 寺田未奈 Mina Terada (JPN) – 52:37
37 太田美紀子 Mikiko Ota (JPN) – 55:13

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男子:エラザウィが盤石のレース運びでケニア勢を突き放す

男子のレースも、女子と同様の展開となりました。プロローグ開始前、総合首位のエルハウシン・エラザウィ Elhousine Elazzaoui (MAR)と、2位のパトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN)、3位のフィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN) のケニア勢とのポイント差はわずか12ポイントでした。

しかし、この日のエラザウィの走りはずば抜けていました。中間計測地点で、先行していたクリスチャン・アレン Christian Allen (USA)のタイムを35秒も更新。この時点でライバルのキプンゲノには41秒、キリアゴには1分26秒もの差をつけていました。エラザウィは下りでもそのリードを維持し、フィニッシュでは2位のジョーイ・ハドーン Joey Hadorn (SUI)に2分以上の大差をつける32分24秒で圧勝しました。ライバルのキプンゲノは4位、キリアゴは8位に終わっています。

プロローグを制したエルハウシン・エラザウィ Elhousine Elazzaoui (MAR)。Photo © Rising Story / Justin Galant / GTWS

プロローグを制したエルハウシン・エラザウィ Elhousine Elazzaoui (MAR)。Photo © Rising Story / Justin Galant / GTWS

エラザウィは「とても嬉しいです。ここレドロに来た時から、プロローグへのモチベーションは非常に高かった。これまでプロローグでは常に勝ってきた経験が活きました。戦略は、上りをコントロールして下りで全力を出すというもので、それがうまくいってよかったです」とコメント。彼もまた、日曜日の決勝で2位に入れば、キプンゲノが優勝しても年間タイトルを手にすることができます。

男子プロローグ リザルト

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  1. エルハウシン・エラザウィ Elhousine Elazzaoui (MAR) – 32:24
  2. ジョーイ・ハドーン Joey Hadorn (SUI) – 34:38
  3. テイラー・スタック Taylor Stack (USA) – 34:54
  4. パトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN) – 34:55
  5. クリスチャン・アレン Christian Allen (USA) – 34:57
プロローグの男子トップ3。Photo © Rising Story / Justin Galant / GTWS

プロローグの男子トップ3。Photo © Rising Story / Justin Galant / GTWS

26 上正原真人 Masato Kamishohara (JPN) – 38:49
27 山口大河 Taiga Yamaguchi (JPN) – 38:52
37 牛田美樹 Miki Ushida (JPN) – 41:34

決勝は土日に開催

グランドファイナルの決勝レースは、女子が土曜日、男子が日曜日のそれぞれ現地時間正午(日本時間同日午後7時)にスタートします。コースは距離21km、獲得標高1,600m。この最終決戦の模様は、HBO Max、Eurosport、discovery+、TNT Sportsでライブ配信される予定です。ただし、これらのサービスはいずれも日本国内からの視聴は通常サポートされていないため、日本からのライブ視聴は難しい見込みです。

レース開幕の前日に顔を揃えた日本からの参加選手。Photo © Rising Story / Justin Galant / GTWS

レース開幕の前日に顔を揃えた日本からの参加選手。Photo © Rising Story / Justin Galant / GTWS

(Source: GTWS)

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