いよいよ今週末開催のウェスタンステイツ(Western States Endurance Run, WS100)。アメリカ・カリフォルニア州のスコー・バレー(Squaw Valley)からオーバーン(Auburn)までを結ぶ100.2マイル。100マイルのランニングレースの起源である伝統のレースは今年で第40回目を迎え、6月29日土曜日午前5時(日本時間同日午後9時)にスタート。当サイト岩佐も幸運にも昨年に続いて出場権を得て参加します。
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ウェスタンステイツについての情報、当日のレース速報
ウェスタンステイツについての情報はこちらをご覧ください。
- 大会公式サイト
- 様々な写真と情報が満載の今年の大会パンフレット
- レース当日の通過タイムなどのライブアップデート(ultralive.net)
- 当サイト岩佐のBib No.は「234」です。
- レース当日の上位選手のレース展開速報(当日までにアップデートします)
- 当サイト岩佐の昨年の参戦記などのWS100関連記事
- 当日のフィニッシュ地点、Auburnの天気予報
- 21日金曜日時点では当日29日の最高気温は37℃(99°F)。これは灼熱のレースで知られた2009年(鏑木毅さんが2位)のレースと同様の暑さ。寒かった昨年の最高気温は22℃(71°F)。
- 毎年話題になるコース上の積雪については今年はほとんどない模様。
今年の見どころ
- Ian Corlessによる今年のWestern Statesに関する有力選手紹介記事
- iRunFar.comによる今年のWestern Statesの女子有力選手紹介記事
- iRunFar.comによる今年のWestern Statesの男子有力選手紹介記事
そして当サイト・岩佐は?
- 昨年に続いて今年も岩佐のチェックポイント通過状況がレース当日にultralive.netから自動配信でさらされる予定です。ご興味ある方は岩佐のTwitterアカウント @Koichi2000、岩佐のFacebookウォールをご覧ください。
今回は鏑木毅さんのBighorn 100参戦に同行して早くから渡米。レースでの鏑木さんのサポート(クルー)そして鏑木さんの優勝、続くボルダー滞在で慌ただしくも様々な刺激を受けた10日間が過ぎ、帰国する鏑木さんをデンバー空港で見送ったのが本稿執筆の前日。当方もコロラドからカリフォルニアに移動してようやく自分が走るレースのことが気になってきたところ。 正直なところ、昨年以上に不安な今年のウェスタンステイツ。
- いろいろ自分の身辺事情が変わったこともあり(lol)、レースに出る機会が減った。昨年のウェスタンステイツ以降に出たレースは、11月のOSJ八ヶ岳スーパートレイル(100マイル、DNF)と今年2月のイベント、六甲全山縦走キャノンボールラン(Power、約100k)のみ。5月にUTMFを走った昨年に比べると自分の調子を客観的に知る機会が少ない気が。
- トレーニングについては、年が明けるまでは諸々の理由により例年より少ない。年が明けてから地元の鎌倉での長時間のランの回数を増やす一方、激坂でのショートヒル・リピートを週一回ほど取り組む。しかし4月は再びUTMFなど諸々の事情でかなり練習量が減少。5月に入ってからはここが最後のがんばり時と考えて毎週末のバックトゥバックに精力的に取り組むものの、5月が終わる頃にはバックトゥバックの合間の平日のランニングやスピードワークなどでパフォーマンスが落ち、やや疲労がたまりがちな印象。
- 今年のウェスタンステイツの暑さ。昨年は暑さを予想して寒くて驚いたが、後になって考えてみれば、暑いはずのキャニオンの底も吹く風が爽やかな絶好のコンディション。当方は100キロ地点まで24時間で完走するペースで進んだものの、補給のタイミングがずれたりして結局その後大減速。25時間27分で完走。今年が暑くなるならこれまでには経験のない世界にチャレンジすることになる。ちなみに天候に恵まれた昨年の完走率は82%。暑かったことで知られる2009年の完走率は59.6%。
もちろん、今年こそは名誉ある24時間以内の完走(完走者に与えられるバックルが制限時間の30時間以内完走のブロンズではなくシルバーになる)を死ぬ気で達成したい、という思いがある。とはいうものの、昨年の失敗の理由の一つは自分が作ったエイドへの到着目標時間を意識しすぎて、結局実力不相応のオーバーペースで潰れたこと。結局のところは自分の実力を超えた無理な走り方で100マイルを完走することはできない。今年が暑いレースになるならなおさらで、序盤の無理は致命的な失敗になる。
とはいうものの、終盤に自分の実力を打ち破るプッシュを自分に仕掛けることができるかどうか、も結果を大きく左右する。今回、鏑木さんのBighorn 100でのランをこの目でみて、この点での鏑木さんの凄まじさに背筋が震えた。82マイル地点で余裕の表情を浮かべるトップのZach Millerと、その20分後に苦しそうな表情を浮かべてほとんど何も補給しないでジャケットだけを着込んでエイドを出た2位の鏑木さんをみたとき、正直なところ鏑木さんが優勝できるとは思えなかった。しかし、鏑木さんは数少ないチャンスを絶対に無駄にしない、という強い意志を失うことなく、その後苦しみながらも大逆転劇を仕掛けて見事に優勝した。トレーニングの量、体の出来(fitness)、レース中の体調や補給といった客観的なことが結果を左右することはもちろんだが、メンタルや動機付けの強さは時に信じがたい力を発揮することを、鏑木さんがトップでフィニッシュしたときに思い知った。
自然体で構えつつも、強い動機付けで立ち向かう。鏑木さんが成し遂げたことと同じことが自分に出来るはずもないが、自分に取ってはどんなことができるだろうか、とSquaw Valleyをスタートするまでに考えてみたい。