[DC] 松本大、星野緑が優勝、第三回上州武尊山スカイビュートレイル リザルト

【追記・上位選手のコース上での写真を加えました。】

9月29日(日)に群馬県川場村で開催された第三回上州武尊山スカイビュートレイル/Yamada Noboru Memorial Cup 2013は50k、25k、親子トレイルの部(4km)などが開催されました。 快晴の空の下、約1000人のランナーが川場村の里山の森の空気や険しい山を登ったあとの武尊山からの絶景を楽しみました。

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レースの結果

スカイビュートレイルの部(50km)はリニューアル後のこの大会で三連覇を目指す松本大(Salomon)が序盤からリード。しかし、背後には昨年のこの大会で5位の荒井健の足音を聞きながらのリードとなり、昨年よりも早いペースで進みます。第一関門の川場野営場(当方計測で約21km地点)での松本のリードはわずかに1分程度。

しかし、ここから先の武尊山への登山道では、松本が圧倒的な強さを発揮。地元群馬県出身で学生時代からリニューアル前の「山田昇記念杯登山競争大会」でこのコースに親しんできた松本は大きな傾斜、岩の段差、笹で滑りやすいトラバース、家の串山から武尊山(沖武尊)までのやせ尾根などの難所を次々にクリアし、後続とのリードを広げます。この区間で3位につけていた貝瀬淳(Asics)が2位に浮上。

得意の下りを駆け抜けるトップの松本大。

得意の下りを駆け抜けるトップの松本大(Salomon)。写真は上州武尊山スカイビュートレイル実行委員会・出納全彦。

自分のペースを守って2位につけた貝瀬淳。

自分のペースを守って2位につけた貝瀬淳(Asics)。写真は上州武尊山スカイビュートレイル実行委員会・出納全彦。

序盤を積極的に攻め、松本と一時は僅差だった荒井健。

序盤を積極的に攻め、松本と一時は僅差だった荒井健は3位でフィニッシュ。写真は上州武尊山スカイビュートレイル実行委員会・出納全彦。

約27km地点(当方計測)の上州武尊山山頂下のチェックポイントから先の下り区間ではますます松本がスピードを上げ、結局自身の大会記録を6分近く更新し、いよいよ5時間切りが視野に入る5時間50秒で3回連続3回目の優勝を果たしました。

女子は地元群馬県の星野緑長谷川香奈子の対決に。一旦は今年のOSJおんたけスカイレースで優勝している長谷川がリードしたものの、武尊山の山岳ルート区間で星野にリードを許すことに。結局、わずか4分強の差で星野緑が優勝。2009年のハセツネ優勝者である星野が、出産からの復帰の今シーズンに八ヶ岳スーパートレイル・100kに続いて地元・川場村でのこのレースも制しました。

女子優勝の星野緑(La Sportiva)が武尊山からの下りを笑顔で飛ばしていく。

女子優勝の星野緑(La Sportiva)が武尊山からの下りを笑顔で飛ばしていく。写真は上州武尊山スカイビュートレイル実行委員会・出納全彦。

女子2位の長谷川香奈子。フィニッシュではわずか4分の差まで追い込んだ。

女子2位の長谷川香奈子。フィニッシュではわずか4分の差まで追い込んだ。写真は上州武尊山スカイビュートレイル実行委員会・出納全彦。

優勝した松本大(左)と星野緑(右)

優勝した松本大(左)と星野緑(右)Photo by Koichi Iwasa/DogsorCaravan.com

リザルト(公式サイトの上州武尊山スカイビュートレイル速報より)

スカイビュートレイルの部(50km) 完走者421人

(男子)

  1. 松本 大(Salomon)/群馬県 5:00:50 (大会新記録<2012年の松本大/5:06:41より>)
  2. 貝瀬 淳(Asics)/新潟県 5:21:44
  3. 荒井 健/東京都 5:27:16
  4. 土井 隆/大阪府 5:50:47
  5. 高橋 和之/山形県 5:50:58
  6. 石川 朋奈/千葉県 5:55:58
  7. 嶋崎 功一/東京都 5:56:49
  8. 竹原 直矢/神奈川県 6:03:40
  9. 塚越 幹/群馬県 6:10:01
  10. 白石 忠章/群馬県 6:18:52

(女子)

  1. 星野 緑(La Sportiva)/群馬県 6:49:27 (総合29位)
  2. 長谷川 香奈子/群馬県 6:53:50
  3. 政 正恵/埼玉県 7:02:24
  4. 道田 明子/神奈川県 7:19:50
  5. 加藤 揚子/群馬県 7:21:15
  6. 澁谷 佳代/新潟県 7:22:50
  7. 緒方 雅子/埼玉県 7:31:06
  8. 坂井 優里/神奈川県 8:05:06
  9. 永元 良佳/大分県 8:13:54
  10. 小野 美知江/群馬県 8:20:33
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里山トレイルの部(25km) 完走者434人

(男子)

  1. 牛田 美樹/群馬県 1:44:33
  2. 押江 優一/埼玉県 1:45:36
  3. 矢嶋 信/埼玉県 1:53:15
  4. 桑門 広/東京都 1:55:10
  5. 貝瀬 健太/新潟県 1:57:58
  6. 池田 幸男/栃木県 2:00:31

(女子)

  1. 片野 佳子/茨城県 2:22:01 (総合26位、大会新記録<2012年の片野佳子/2:39:50より>)
  2. 渡辺 真紀子/茨城県 2:22:42
  3. 黒子 由佳里/栃木県 2:28:00
  4. 楠瀬 祐子/東京都 2:31:50
  5. 芦澤 ひとみ/東京都 2:35:29
  6. 小川 るり子/埼玉県 2:40:22

少しテクニカルなコースと稜線からの絶景が楽しい本格的なトレイルランニングイベント

今回、当サイトの岩佐はこのレースの序盤のスィーパーを務め、中盤からはスィーパーの仕事を離れて写真を撮影しながら選手の皆さんとともに50kmのコースを走った。

武尊山手前の家の串山からの眺め。

武尊山手前の家の串山からの眺め。この先はコース中でも最難関のやせ尾根が続く。Photo by Koichi Iwasa/DogsorCaravan.com

天候に恵まれた今回は、標高2000mを超える武尊山の稜線上でも日差しを受けながら眼下に続くダイナミックな稜線、雲海の向こうに頭をみせる富士山をはじめとする山々を見渡すことができた。日本のトレイルランニングレースでもここまでの眺望が楽しめるレースは他にないかもしれない。

武尊山山頂から先、剣が峰山付近からの眺め。

武尊山山頂から先、剣が峰山付近からの眺め。Photo by Koichi Iwasa/DogsorCaravan.com

しかし、それほどの眺望が楽しめるまでの道のりはなかなか手強い。川場野営場を超えて登山道に入ると、上記のようにややテクニカルな区間が時々現れる。それほど長く続くわけではないが、大きな岩を手でつかみながら登ったり、滑る笹の斜面で足下を確かめながら進むのはちょっとしたスリルが楽しめる。

群馬県の北部、川場村で開催されるローカルなトレイルランニングレースのように思えるかもしれないが、そのコースはかなり個性的で他では経験できない登山的な要素が楽しめるレースだ。そしてトレイルランニングのファンにとっては、このレースの前進となる山田昇記念杯登山競争大会は鏑木毅や今回優勝の松本大をはじめとする名トレイルランナーを育んだ舞台としても、興味が尽きない。さらには、今回のレース前の説明会でも大会側から紹介があった100kmを超える新レースが来年のこのイベントに加わるという話題にも注目だ。

ただ、この大会が今後魅力あるイベントに成長していく上では課題も多いように思える。当方の印象であるが、登山的な要素があるタフなレースであるわりには、トレイルランニングの経験は少ないランナーも多いように思えた。登山的な要素に関していえば、トレッキングボールの取り回しがやや雑(後ろのランナーに石突きが当たりそう)だったり、危険箇所で三点保持ではなく垂らしてあるロープに体重を預けて登ったり、といったあたりは少し学んでおくことでより安全なイベントとなるだろう。また、大会ウェブサイトはリザルトの速報をはじめ様々な情報が満載だが、大会がより多くの人に知られるにはナビゲーションに改善の余地は大きい。

剣が峰の巻き路は倒れた笹竹に覆われた区間も。

コースでは前武尊のすぐ先、剣が峰のピークを避ける巻き道だが、笹竹がなぎ倒された斜面となっていてあわてて走ろうとすると足下を滑らせることになる。Photo by Koichi Iwasa/DogsorCaravan.com

とはいうものの、今後もこの大会が魅力あるイベントとして成長していくことに期待したい。

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