[DC] リオネルがリード、カネパが失格。途中経過 2014 トル・デ・ジアン/Tor des Géants #tor14

イタリアのヴァッレ・ダオスタ自治州で開催中のトレイルランニングレース、トルデジアン/Tor des Géants(以下、TdG)は9月7日(日)午前10時(日本時間同日午後5時)にスタートし、本稿執筆時点(日本時間9日午前4時)で36時間が経過。トップのランナーは、330km/24,000mD+のコースの後半に入っています。

日本のUTMFでも活躍したリオネル・トリベル/Lionel Trivel(フランス、HOKA)が現在リード。一方、女子ではトップを走っていたフランチェスカ・カネパ/Francesca Canepa(イタリア)がコース上のチェックポイントを通過していない、として失格になるというハプニングも。

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上位選手の動き

TdG-logo現在トップを走るのはリオネル・トリベル/Lionel Trivel(フランス、HOKA)。二日目の朝となる24:21でDonnas / 149kmに到着。後続に+77分差で安定した足取り。さらに33:55(日本時間9日火曜日午前2時55分)にはNiel / 186.7kmを通過しています。

リオネルは昨年のこの大会で4位。UTMFで昨年9位、今年5位で表彰台に立っています。そのリオネルを追っているのは昨年3位のフランコ・コレ/Franco Colle (イタリア、Tecnica)と今年のUTMFで4位のアントワーヌ・ギュイヨン/Antoine Guillon (フランス・WAA)。二人はほぼ同時にDonnasのエイドを出発しています。後半の安定感で光るアントワーヌが、リオネルにどこまで迫るかに注目。

Rifugio Deffeyes / 26.7kのエイドを出るリオネル・トリベル/Lionel Trivel。Photo courtesy of Tor des Geants.

Rifugio Deffeyes / 26.7kのエイドを出るリオネル・トリベル/Lionel Trivel。Photo courtesy of Tor des Geants.

続く4番手、5番手にはニック・ホロン/Nichademus Hollon(アメリカ、Ink N’ Burn)とクリストフ・ルソー/Christophe Le Saux(フランス・WAA)。日本からの参加で昨年8位の小野雅弘/Masahiro Ono(日本、HOKA/Montura、昨年のレース後の当サイトのインタビューはこちら)は31位でDonnas / 149kmを出発。

一方上位選手でもリタイアする選手も。2012年優勝、昨年2位のオスカー・ペレス/Oscar Perez Lopez (スペイン)がDonnas / 149kmに6番手で入りながらリタイア。ジョン・ティッド/John Tiddもトップ10圏内ながらChardonney / 130kmで。アメリカのスコット・ハイミー/Scott Jaime(Pearl Izumi)はValgrisenche / 49kmで。

女子では、一昨年昨年とこの大会を連覇しているフランチェスカ・カネパ/Francesca Canepa(イタリア)が総合で7番目という好タイムでDonnas / 149kmに到着したものの、コースをショートカットした疑いから大会側が審議に入る事態に。結局カネパはここでレースをリタイア。現在女子トップはエミリー・ルコント/Emilie Lecomte(フランス)。2012年にレユニオンで優勝、今年はAndorra Ultra Trailの170kmで2位などの実力者です。なお、女子で参加者リストに名前のあったリジー・ホーカー/Lizzy Hawker(スイス、The North Face)は出場を見送っています。

また、日本からの参加者はスタートラインに立った21人全員がコースを進んでいます。

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フランチェスカ・カネパが「チェックポイントを通過しなかったため」失格

現地時間で二日目月曜日の午後(日本時間8日月曜日深夜)になって飛び込んできたのは信じられないニュースでした。現地メディアの情報を元にすると以下のような経過です。

カネパは13時頃、Donnas / 149kmのライフベースに到着。ところが、その手前のCogne / 102km近辺で自動車に乗って登りのコースをショートカットした疑いがある、との他の選手から申告があったため大会側が審議に入ります。そのことをエイドで伝えられたカネパはその疑いを否定して泣き崩れたとのこと。結局審議の結果を待たずにカネパはリタイアを決めました。

その後、同日の夕方に大会側はカネパがCogneを出てから間近いLes Goilles / 107kmのチェックポイントを通過していないとして失格との判断を下しました。

Colle de la Crosatie / 35.8kを越えるフランチェスカ・カネパ/Francesca Canepa 。Photo courtesy of Tor des Geants.

Colle de la Crosatie / 35.8kを越えるフランチェスカ・カネパ/Francesca Canepa 。Photo courtesy of Tor des Geants.

現時点ではこれ以上の情報はなく、また、大会側が理由を示して失格との判断を下した以上、細かい事情等は明らかになることはないかもしれません。ただ、単純にチェックポイントでの通過チェックの手続きをしなかっただけで失格となることは考えにくく、そこには何らかに事情があったのだろうと推測されます。

しかし、それが伝えられた通り、自動車に乗せてもらってコースをショートカットした、というのは信じがたいことです。明らかな意図を持っての不正であるばかりか、その不正を助ける何者かがいたことになります。そもそもこのレースは賞金を争うレースではなく、またトレイルランニングというスポーツ自体がアスリートの価値がレースの勝負だけで決まるわけではない、という認識もあるはずで、そのような不正を行う意義は何もないはず。

カネパはこのTdGだけでなく、2012年UTMB(短縮版)で2位、今年もHong Kong 100、Eiger Ultra Trail(101k)で優勝、Lavaredo Ultra Trail(119k)とBUFF Epic Trail(96k)で2位と様々なレースで結果を出しているアスリートでその実力は今回の失格で変わるものではないでしょう。当サイトとしては、彼女が事実関係を明らかにしたうえで、今後もその実力を発揮することを願います。

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