当サイトでもitraをはじめとするトレイルランニングの競技団体の動きを紹介していますが、そうした動きに関連する最近のフランスでの話題をご紹介します。
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トレイルランニングにフランス陸連が課税?
フランスは世界でも最もトレイルランニングに勢いがあり、様々な動きが起きていてこのスポーツの先進国といえます。そのフランスでトレイルランニング大会にフランス陸連が「課税」する方針とのニュースが話題になりました。
このニュースを伝えたのはフランス・ブルターニュの地方紙であるLe Télégramme紙の日曜版(3月22日)。同紙によると、3月21日土曜日にブルターニュの都市、ラニオンでの会合でフランス陸連会長のベルナール・アンセルム氏は、「トレイルランニング大会は陸連の管轄下で開催するように仏スポーツ省と検討を進めている」、「トレイルランニング大会から資金を集めることで、健康診断結果の登録など選手に対する陸連のサービスを強化できる」と発言したとのこと(フランス陸連はこの記事に対して「発言を曲解して伝えている、陸連は営利を求めていない(Facebookより)」とコメントしています)。
この陸連会長の発言はフランス陸連がトレイルランニング大会に「課税」しようとしている、と伝えられ、フランスのトレイルランニングコミュニティでは強い反発の声が上がりました。例えばアスリートでTeam Salomonのマネージャーでもあるグレッグ・ヴォレ/greg volletは「これではかつてマウンテン・バイクで起こったのと同じことになってしまう(Facebookより)」と強く批判しています。
競技団体にはランナーの声がもっと反映されるべき、というフランソワの発言
こうした動きの中で3月27日に口を開いたのがフランソワ・デンヌ/François D'Haene。昨年utmbやutmfで優勝したトップアスリートとして知られるフランソワは、フランス陸連やITRAはトレイルランニングから自由を奪おうとしており、競技団体にはランナーの声がもっと反映されるべきだと発言しました(Facebookより)。ITRAからの求めに応じて半年間にわたって話し合ってきたが、結局ランナーの声が十分に伝わる組織とならなかったとしてITRAを批判。ITRAも運営に協力する5月のトレイルランニング世界選手権についても、国別代表選手が競ったり、代表選手が先行してスタートすることはトレイルランニングの価値観にそぐわないとして、自身は参加を見送ると表明しました。
このフランソワの発言はFacebookで1800件以上シェアされ、様々な意見が交わされています。例えば、こちらも昨年のUTMFに来日し、レユニオンで優勝などの実績を持つナタリー・マクレア/nathalie mauclairはフランソワの考えに理解を示しつつも世界選手権には存在意義があり、その運営形式にも合理的な形式があるはずとの見方を示しています(Facebookより)。
こうした動きにITRAではFacebookへの4月2日の投稿で、理事会にエリート選手を加えるなど、ランナーの声を取り入れることに努力しており世界選手権についてもエリート選手との意見交換をすでに始めていることを説明。トレイルランニングのあり方について幅広く意見を述べあうことを呼びかけています。
先進国・フランスでもトレイルランニングの競技団体のあり方や尊重すべき価値観についてはコミュニケーションの途上
以上では最近のフランスでの議論についてご紹介しましたが、トレイルランニングの先進国であるフランスでも、このスポーツのあり方については議論の過程にあることがわかります。最初のブルターニュの地元紙の報道もフランス陸連の考えをフェアに伝えたかどうかは明らかではありません。またITRAについては組織の立ち上げの過程で取り組むことに優先順位を設ける必要もあるはずで、それが理想論との間にギャップを生むのかもしれません。
当サイトではこうしたトレイルランニングのスポーツとしての成長や未来を考えるための情報も引き続きお伝えします。