プレビュー・トランスグランカナリア / Transgrancanaria HG 2016・北大西洋、カナリア諸島の125km、UTWT第3戦

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日本時間で明日3月5日朝にスタートするトランスグランカナリア / Transgrancanaria HGには欧州を中心に長距離トレイルランニングのトップアスリートが集まり、ヨーロッパでのシーズン開幕を告げる大会となりそうです。今回のトランスグランカナリアは今年のUltra-Trail World Tour第3戦、年間ランキングでのポイントが加算されるセリエ・レーベルの最初の大会となります。

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(写真・昨年のTransgrancanariaより。ヌブロ岩を背景に走るシリル・コワントル。Photo courtesy of Transgrancanaria)

2003年から続く欧州トレイルランニングの開幕イベント

TransgrancanariaHG-TGC-logoトランスグランカナリアは北大西洋のモロッコ沖に浮かぶカナリア諸島(スペイン)のグラン・カナリア島で2003年に始まったトレイルランニング大会です。125kmのレースのほか、83km、44km、31km、19kmのレースが行われ、19kmのコースでは大人と子どもが一緒にスタートからフィニッシュを目指すイベントも開催されます。125kmは島北部の港町・アガエテ/Agaeteを3月4日(金)午後11時(日本時間5日土曜日午前8時)にスタート。樹林帯のアップダウンを繰り返して、テロル/Teror(56.2km)を経て島中央部へと高度を上げ、巨大な一枚岩の先に屹立するヌブロ岩/Roque Nubloを経て、ガラニャン/Garañón(81.7km)へ。ここから先、島の南部へ向かう砂漠のようなトレイルを駆け抜けて、マスパロマス灯台/Faro de Maspalomas(123.7km)のフィニッシュへ。125km / 8,000mD+のコースは前半の樹林帯から中盤以降の乾いた岩と砂のトレイルまで多様な顔を見せます。コース上の標高の最高地点は1,938mとなっています。制限時間は30時間。Ultra-Trail World Tourのほか、スペインの国内シリーズ戦であるSpain Ultra Cupにも参加しています。

The North Face Transgrancanaria 2015 English Official video – YouTube

Transgrancanaria-logo

[DC] トランスグランカナリア・ある島のレースの歩み/Transgrancanariaは3月1日開催

2014.02.07

欧州の有力選手が集まる今年のトランスグランカナリア

今回のトランスグランカナリアには各レース合わせてのべ3,400人のランナーが参加。日本からの12人を含む877人のランナーがエントリーしていて、日本時間5日土曜日午前8時にスタートする125kmのTransgrancanariaのレースの状況、参加選手の順位速報などはLiveTrailのウェブサイトで見ることができます。

UTWT-Ultra Trail World Tour logoUltra-Trail World Tourの第3戦、欧州における長距離トレイルランニングの開幕戦ともいえる今回のトランスグランカナリアには欧州の著名なアスリートが多数集まりました。アメリカからも有力選手が参加し、「春のUTMB®」ともいえる豪華な顔ぶれとなっています。今シーズンの各選手の活躍ぶりを占ううえでも注目が集まります。以下では主な有力選手を紹介します。

女子 / Women

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ヌリア・ピカス / Nuria Picas

2014年のUTMFに参戦して優勝したヌリア・ピカス / Núria Picas(スペイン)の名前は日本のファンにもおなじみでしょう。このトランスグランカナリアでは昨年、一昨年と優勝しているヌリアが今年は三連勝を狙っています。昨年はレユニオンでも優勝しています。

そのヌリアを追うのは、こちらもUTMFに昨年来日して優勝したウシュエ・フライエ / Uxue Fraile(スペイン)。昨年はUTMFの他にもUTMBで2位、Eiger Ultra Trailで4位となっており、トランスグランカナリアでも2014年に6位となっています。一方、昨年のこの大会で2位となっているのがカロリーヌ・シャヴェロ / Caroline Chaverot(フランス)で昨年はLavaredo、Eigerで優勝。しかし、シーズン後半のUTMBやレユニオンでは出場したもののリタイアしており、そのパフォーマンスにはやや波があります。中国のドン・リー / Dong Liは昨年2015年にHong Kong 100で2位、トランスグランカナリアで3位、TNF 100 Australia(現/Ultra Trail Australia)で優勝など、世界的なレースで頭角を示した27歳。今年は1月のHong Kong 100で圧勝したばかり。欧州の注目レースでアジア勢が優勝をつかめば大きな話題となるでしょう。

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ウシュエ・フライエ / Uxue Fraile

欧州の長距離トレイルランニングで上位常連のタフな女性アスリートも上位をねらいます。まずはスイスのアンドレア・ヒューザー / Andrea Huserデニス・ジンマーマン / Denise Zimmermann。二人とも昨年はUTWTのシリーズ戦を中心に積極的にレースに出場して結果を残しています。ヒューザーは昨年はトランスグランカナリアで4位、Eigerで2位、Swiss Irontrailの200kmで優勝、レユニオン3位。ジンマーマンは何と言ってもUTMBで3位となったのが印象に残りました。スペインからはシルビア・トリゲロス / Silvia Triguerosで彼女は昨年のUTMBで4位、先日のHong Kong 100では3位となっています。フランスからはエミリー・ルコント / Emilie Lecomte。レユニオンで2009年、2012年に優勝しており。昨年は2位でした。イタリアのリサ・ボルザニ / Lisa Borzaniは昨年、今年とHong Kong 100で2位になっています。

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男子 / Men

昨年のUTWT年間チャンピオンに輝いたアントワン・ギュイヨン / Antoine Guillon(フランス)が今年のUTWTをこのトランスグランカナリアでキックオフします。昨年はHong Kong 100で3位、レユニオンで優勝し、今年1月1日に香港で開催されたUltra Trail Tai Mo Shanの160kmで優勝。山岳コースからスピードレースまでしぶといレースぶりに定評のあるアントワンがこのトランスグランカナリアでも上位を争うことになるでしょう。

昨年のUTMFで優勝したゲディミナス・グリニウス / Gediminas Grinius(リトアニア)も今回の優勝候補の一人です。ゲディミナスは昨年のこの大会の優勝者であり、今年は1月のHong Kong 100で3位となってシーズンをスタートしています。同じく昨年のUTMFで4位だったソンドル・アムダール / Sondre Amdahl(ノルウェー)も上位をねらいます。昨年のトランスグランカナリアでは4位でした。

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ゲディミナス・グリニウス / Gediminas Grinius

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ソンドル・アムダール / Sondre Amdahl

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アントワン・ギュイヨン / Antoine Guillon

さらにトップ10圏内には欧州を中心にアメリカ、アジアの選手が以下のように並びます。

  • シリル・コワントル / Cyril Cointre(フランス):昨年はHong Kong 100で4位、トランスグランカナリアで5位。今年2月のTarawera Ultramarathonでは10位。
  • ディドリク・ヘルマンセン / Didrik Hermansen(ノルウェー):昨年のトランスグランカナリアで2位。UTMFでは上位を走りながらも残念ながらリタイア。
  • ジョナス・ブード / Jonas Buud(スウェーデン):2月のTarawera Ultramarathonで優勝。昨年はロードのウルトラマラソン・IAU 100km世界選手権で優勝。100kmの走りやすいコースでのスピードでは世界トップクラスのウルトラランナーです。
  • ジュリアン・ショリエ / Julien Chorier(フランス):長距離トレイルランニングの世界的なトップアスリートで2012年UTMF優勝。トランスグランカナリアでは2014年に2位になっています。昨年はウェスタン・ステイツで6位でした。
  • セバスチャン・セニョー / Sebastien Chaigneau(フランス):こちらも2013年UTMFで3位など日本でもおなじみの世界的なトップアスリート。その後の2014年のシーズンはレース中に大きく体調を崩してリタイアすることが続いていましたが、昨年のSTYでは優勝して元気な姿を見せています。トランスグランカナリアは2012年、2013年に優勝している縁のあるレースです。
  • ジェライ・デュラン / Yeray Durán(スペイン):地元カナリア諸島のランナーで、この大会での活躍で世界のトレイルランニング界で知られるようになりました。今年1月のHong Kong 100で5位。
  • フランコ・コレ / Franco Colle(イタリア):イタリア・アオスタのランナーで、トル・デ・ジアンで活躍して2014年には優勝。2014年Eiger Ultra Trailで2位となり、昨年はアメリカのThe Rut 50kで優勝しています。
  • パウ・バルトロ / Pau Bartolo(スペイン):CCCで2014年優勝、昨年2015年はTDSで優勝。今年1月のHong Kong 100に出場してケガのためリタイアしています。
  • ジョルディ・ガミト / Jordi Gamito(スペイン):昨年はHong Kong 100で5位、レユニオンで6位、UTMBで13位。今年のHong Kong 100にも出場していて6位でした。
  • セス・スワンソン / Seth Swanson(アメリカ):2014年、2015年にウェスタン・ステイツで2位に。昨年はUTMBでも4位に入る活躍でした。
  • ティム・トレフソン / Tim Tollefson(アメリカ):昨年のCCCでチームメイトのザック・ミラーに続いて2位となってアメリカ勢の実力をシャモニーで示しました。
  • Yan-Longfei-Square

    ヤン・ロンフェイ / Longfei Yan

    ヤン・ロンフェイ / Yan Long Fei(中国):昨年、Hong Kong 100で優勝したほか、TNF 100 Australiaで4位に。スカイランニングのレースにも積極的に挑戦しています。今年1月のHong Kong 100では2位でした。昨年はリタイアとなったこのトランスグランカナリアでどんな走りを見せるか。

  • ユン・ヤンキャオ / Yun Yan-Qiao(中国):こちらも中国のウルトラランナー。TNF 100 Chinaなど中国国内での優勝のほか、昨年のTNF 100 Australiaで3位でした。
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