吉住友里が女子優勝・総合5位、男子は大瀬和文と大杉哲也がタイで優勝・比叡山インターナショナルトレイルラン 2016 リザルト

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【追記・最終盤の大瀬、大杉の駆け引きについて二人を取り違えた表記となっていたため修正しました。2016.05.29】予想できた展開とはいえ、驚くに値する結果となりました。滋賀県大津市の比叡山で5月28日土曜日に開催された比叡山インターナショナルトレイルランは、最終盤まで競り合った大瀬和文 / Kazufumi Oose(Salomon)と大杉哲也 / Tetsuya Osugiが手を取り合って同時にフィニッシュして優勝。昨年の優勝タイムより40分以上早いフィニッシュでした。そして女子では吉住友里 / Yuri Yoshizumiが優勝しましたが、そのフィニッシュは男子優勝の大瀬、大杉からわずか14分半後、男女総合で5位という圧倒的なタイムでした。

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今回の50km / 3,700mD+のトレイルランニングレースは、今年10月にポルトガルで開催されるIAUトレイルランニング世界選手権の日本代表選考レースの一つともなっており、男女それぞれ優勝の大瀬和文、吉住友里は日本代表の内定資格を満たしたことになります。

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午前9時に比叡山延暦寺・根本中堂をスタート。境内でスピードが出過ぎないよう鏑木毅さんがペースを抑える役回りに。

終盤までもつれ込んだレース、そして吉住友里の快走が話題をさらう

Hiei-logo比叡山50kのスタート・フィニッシュ地点は比叡山延暦寺の根本中堂。この日は概ね曇り空で、午後には弱い雨がぱらつきました。湿度が高くて蒸し暑さを感じる一日でした。

男子のレースは当サイトが予想した通り、実力の伯仲したアスリートたちが接戦を繰り広げました。大杉哲也 / Tetsuya Osugi、土井陵 / 、大瀬和文 / Kazufumi Oose、近藤敬仁 / を先頭に1分以内に7–8人が走る集団が9.8km地点(A1 ロテル・ド・比叡前)を通過。その後、19.5km地点となるA2根本中堂には大瀬、近藤、大杉に九州でロードの長距離ランナーとして実績を持つ川崎雄哉 / Yuya Kawasaki、小林誠司 / Seiji Kobayashiを合わせた5人が集団で到着します。

その後、この上位集団をふるいにかけたのは八瀬方面へ下りてから現れるせりあい地蔵給水所(26.2km)までの急な登りでした。ここで先頭に立ったのは大瀬と大杉。互いに声をかけ合いながら後続を引き離し始めます。せりあい地蔵で二人に3分差で続く3番手で現れたのが川崎。マラソン以上の距離を走るのは初めてですが、多良の森、西米良など九州のトレイルランニングの大会で登りの実力を示した通り、余裕の表情で急登をクリアして先へ進みます。4番手以降は和田優一 / Yuichi Wada、近藤、佐藤岳人 / Takahito Sato、小林、鬼塚智徳 / Tomonori Onitsukaと続きますが、先行する3人に比べると足取りは重くなっています。

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せりあい地蔵給水所(26.2km)を出て先頭に立つ大瀬和文、大杉哲也。

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単独3位でせりあい地蔵給水所を出た川崎雄哉。

稜線上のトレイル、テクニカルな下りを経てアップダウンのある林道の途中となる39.2km地点では大瀬が大杉にわずかに先行します。大瀬から5分で川崎、13分で小林が続きます。和田、佐藤、鬼塚、近藤はややペースを落として後退。

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39.2km地点の林道を走る新名健太郎。この日は12位でフィニッシュ。

最終盤となる44.7km(A4横川)からの下りの林道では大杉が次第にスパートをかけて大瀬をリードしますが、最終盤に現れた標高差150mの登りで大瀬は大杉をとらえました。しかし大杉も負けじと大瀬から離れずに後を追います。【追記・この大瀬、大杉の駆け引きについて二人を取り違えた表記となっていたため修正しました。2016.05.29】最後に残ったフィニッシュまでの坂道を二人は互いに相手の前に出ようとすることなく、今日一日の互いの健闘を称え、一緒に走った時間を惜しむように手を取り合って5時間29分でフィニッシュ。コース変更で昨年よりタイムは早くなることが予想されてはいたものの、昨年の優勝タイム(6時間10分36秒、土井陵)を40分も上回ることになりました。大瀬と大杉は実質的に同着(タイ)で優勝ですが、計時記録に従い大瀬が1位、大杉が2位となりました。

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手を取り合ってフィニッシュした大瀬和文(右)と大杉哲也。

3位には川崎雄哉が9分差で続きました。九州で陸上選手として活躍し、最近はトレイルのレースでも上位に入っている川崎は、初めて走る50kmのレースとなる今日は周りの様子を見て序盤はかなり抑えて入ったとのこと。終始余裕のある表情でトレイルを走るのを楽しんでいる様子で、言い換えれば今回はある程度余力を残した走りだったといえそうです。今後注目の存在となるでしょう。4位の小林誠治も九州で実業団ランナーとして活躍した実績の持ち主。この日は中盤に少しペースを落としましたが、その後は崩れることなく持ち直し、ベテランらしい走りを見せました。このほか、トップ10には5位に寺尾修 / Osamu Terao、6位に福井哲也 / Tetsuya Fukui、8位に上山達也 / Tatsuya Kamiyamaが入りました。7位の近藤敬仁、9位の鬼塚智徳は優勝候補の一角でしたが、力を出しきれませんでした。10位に入ったのはアメリカ・コロラドから参戦したジョー・グラント / Joe Grant。この日のジョーは4月に参加した750マイルのMTBレースからのリカバリー中で、足に痛みを感じながらのレースとなりましたが、終盤まで大きく崩れることなく完走。アメリカのトレイルランニングの自由なカルチャーを体現するジョーは、大会会場で多くの人に握手や写真撮影を求められ、日本での人気ぶりを示していました。

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序盤を走るジョー・グラント / Joe Grant。コースの美しさが印象的とフィニッシュ後に振り返っていました。

この日の比叡山50kで最大の話題となったのは男子のレースではなく、女子ランナーとして圧倒的な実力を見せつけた吉住友里 / Yuri Yoshizumiだったかもしれません。当サイトが事前に予測した通り、マラソンPRが2時間37分という走力、市民マラソンでの優勝経験、そして今年に入ってからのハセツネ30k、上田VKの結果からすれば、女子のレースで吉住は優勝候補の筆頭でした。この日の吉住は9.8km地点に男子トップから+7分、男女総合で20位以内で現れました。19.5km地点でも男子トップから+11分、そして難所の急坂を登りきった26.5km地点(せりあい地蔵)には+15分の総合9位。39.2km地点の林道では+16分の総合6位。フィニッシュは+14分半の総合5位。26.5km以降のコース後半では男子優勝の大瀬、大杉とほとんど互角のペース、終盤の10km強については大瀬、大杉を上回るペースで走ったことになります。

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男子トップ選手に引けを取らない走りを見せた吉住友里。

日本のトレイルランニング界で女子のアスリートがこれほどの実力を見せたことは初めてで、大会プロデューサーの鏑木毅さんも「今年の日本のトレイルランニング界の最大の出来事になるはず」と吉住の活躍に驚きを隠しませんでした。この日の自身の活躍について吉住は「楽しく自分のペースで走っていただけ」と明るく振り返りました。今回が初めてのマラソンを超える距離の大会でしたが、今後については「まずはバーティカル・キロメーターのレースで世界選手権を目指したい」と話しました。

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女子優勝だけでなく、男女総合で5位となった吉住友里のフィニッシュ。

女子の2位には6時間59分で大石由美子 / 。大石は序盤にコースをロストするトラブルがありましたが、7時間を切るタイムは昨年の女子優勝タイム(7時間7分21秒、丹羽薫)を上回る好記録です。3位には23歳の大学生、 / Takako Takamuraが続き、4位には昨年のこの大会のチャンピオン、丹羽薫 / 。5位、6位には上田愛 / Megumi Ueda、折戸小百合 / Sayuri Oritoが続きました。

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Trans-Peneda-Geres-2016今回の比叡山50kはIAUトレイルランニング世界選手権の日本代表選考レースの一つとなったこともあって、上記のように日本を代表する選手が参加するハイレベルなレースとなりました。しかし、日本を代表する霊峰であり、京阪神の大都市からもアクセスしやすい身近な山である比叡山を一日かけて駆け巡るこの大会は、初心者から上級者までそれぞれにやりがいを感じられ、自然に触れることのできる魅力ある大会です。関西のトレイルランニングを代表するイベントとして、多くの人に親しまれる大会となる可能性を感じました。その結果として、今後は日本全国から、そして海外からもより多くのトレイルランナーを集めることになりそうです。

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せりあい地蔵給水所は関西のトレイルランナーが運営。熱狂的な応援で選手を励ます。

比叡山インターナショナルトレイルラン リザルト

参加者全員のリザルトは大会ウェブサイト(PDFへのリンク)からご覧ください。

男子 / Men

  1. 大瀬和文 / Kazufumi Oose (Salomon) 5:29:43
  2. 大杉哲也 / Tetsuya Osugi 5:29:43
  3. 川崎雄哉 / Yuya Kawasaki 5:38:44
  4. 小林誠治 / Seiji Kobayashi 5:43:00
  5. 寺尾修 / Osamu Terao 5:49:12
  6. 福井哲也 / Tetsuya Fukui 5:50:30
  7. 近藤敬仁 / Yoshihito Kondo) 5:54:26
  8. 上山達也 / Tatsuya Kamiyama 5:55:38
  9. 鬼塚智徳 / Tomonori Onitsuka(The North Face) 5:57:13
  10. ジョー・グラント / Joe Grant(Buff / SCARPA) 5:58:44
  11. 白戸 一 / Hajime Shirato  6:02:05
  12. 新名健太郎 / Kentaro Shimmyo(HOKA OneOne) 6:02:26
  13. 河村剛 / Tsuyoshi Kawamura 6:04:31
  14. 今西泰彦 / Yasuhiko Imanishi 6:11:38
  15. 伊藤健太 / Kenta Ito 6:12:50
  16. 千坂充宏 / Atsuhiro Chisaka 6:15:03
  17. 水越友洋 / Tomohiro Mizukoshi 6:15:07
  18. 大槻文悟 / Bungo Otsuki 6:18:51
  19. 山本健文 / Takefumi Yamamoto 6:19:43
  20. 前川裕 / Hiroshi Maekawa 6:25:26
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比叡山インターナショナルトレイルラン・男子の表彰式。左から6位の福井哲也、4位の小林誠治、3位の川崎雄哉、タイ優勝(記録上2位)の大杉哲也、タイ優勝の大瀬和文。5位の寺尾修は欠席。

女子 / Women

  1. 吉住友里 / Yuri Yoshizumi 5:44:15
  2. 大石由美子 / Yumiko Ohishi / UltrAspire) 6:59:09
  3. 高村貴子 / Takako Takamura) 7:04:30
  4. 丹羽薫 / Kaori Niwa(Salomon) 7:18:36
  5. 上田愛 / Megumi Ueda 7:27:18
  6. 折戸小百合 / Sayuri Orito 7:31:22
  7. 小沼興 / Ko Komuma 7:38:37
  8. 三浦枝利子 / Eriko Miura 7:56:20
  9. 木村 真由美 / Mayumi Kimura 7:58:17
  10. 惠中彩恵 / Sae Enaka 8:00:06
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比叡山インターナショナルトレイルラン・女子の表彰式。左から6位の折戸小百合、5位の上田愛、3位の高村貴子、優勝の吉住友里。2位の大石由美子、4位の丹羽薫は欠席。

謝辞

今回の比叡山インターナショナルトレイルランのライブ速報にあたっては、大会実行委員会にご協力いただきました。心より感謝いたします。

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