トランスグランカナリア Transgrancanaria HG 2017 リザルト #UTWT

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ヨーロッパにおけるトレイルランニングのシーズン開幕は、26歳のカタルーニャの若手、パウ・カペル Pau Capellが大会記録を更新して優勝。女子はスペインのアサラ・ガルシア Azara Garciaがチャンピオンとなりました。日本から参加した Shunsuke Okunomiyaは中盤から大きくペースを落として68位に終わりました。

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(写真・コースのハイライトとなるヌブロ岩 Roque Nubloまでの往復部を走るパウ・カペル Pau Capell。Photo by Koichi Iwasa / DogsorCaravan.com )

ヨーロッパではリゾート地として有名な、北大西洋のカナリア諸島・グランカナリア島で春に開催されるトランスグランカナリア TransgrancanariaUltra-Trail World Tourのヨーロッパにおける開幕戦として世界から注目が集まる大会です。グランカナリア島は小さな島ながら島の各地に特有の天候があり、今年も樹林帯から灼熱の荒野まで次々と移り変わる125km / 8,000mD+のコースで大会は開催されました。

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午後11時に島北部の港町、アガエテ Agaeteをスタート。

2月24日金曜日の午後11時(日本時間25日土曜日午前8時)にスタートしたレースでは26歳のカタルーニャのランナー、パウ・カペル Pau Capell Gilが序盤からリードして優勝。2位には14分差でリトアニアのバイダス・ズラビス Vaidas Zlabysが入りました。UTWTのレースで優勝争いに加わるのは初めてで、今回はその力を世界に示しました。そして昨年のチャンピオン、ディドリク・ヘルマンセン Didrik Hermansenが終盤の下りで順位を上げて3位になりました。女子では昨年のトレイルランニングの主だったタイトルを総なめにしたカロリーヌ・シャヴェロ Caroline Chaverotが序盤にリタイアするサプライズ。女子のレースはアサラ・ガルシア Azara García De Los Salmonesがリード。終盤にかけてリードを広げて優勝を勝ち取りました。2位には終盤に順位を上げたアンドレア・ヒューザー Andrea Huserが50分差でフィニッシュ。3位はメラニー・ルセ Mélanie Roussetでした。

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26歳のカタルーニャの若手、パウ・カペル Pau Capellが大会記録を更新して優勝。

合わせて開催されたレースの中では前日に開催された42kmのMaratonでヌリア・ピカス Núria Picas(スペイン)が優勝。男子はアルベルト・プヨル Albert Pujol Garciaが優勝、ライアン・サンデス は4位でした。82km Advancedではセバスチャン・シェニョー Sébastien Chaigneauが優勝。今年初開催の265kmの360°はともにイタリアのピーター・キーンゼル Peter Kienzlルカ・パピ Luca Papiが一緒に56時間58分38秒でフィニッシュして初代チャンピオンとなりました。

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UTMFでの活躍で日本でもおなじみのセバスチャンは82kmのレースで優勝。

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レースの展開

125kmのレースは島北部の港町・アガエテ Agaeteを午後11時にスタート。小さな港町は熱狂的な盛り上がりを見せます。レースは序盤からパウ・カペル Pau Capell Gilがリード。Altavista 27.2kmではカペルから4分遅れて、バイダス・ズラビス Vaidas Zlabys、ジョルディ・ガミト Jordi Gamito Baus、ダニエル・ユング Daniel Jungが追います。この中からズラビスが飛び出し、カペルを追撃。Fontanales 42.5kmでは1分差、Teror 56.2kmではわずか11秒差まで追い上げます。この間一時はズラビスがトップに立ったこともあった様子です。しかし、Cruz De Tejeda 67.3kmへの登りでズラビスはコースをロスト、カペルとの差は13分まで拡大。2番手、3番手はカペルから9分差でガミト、ディエゴ・パゾス Diego Pazosが追うことになります。

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テロル Teror 56.2kmで補給するティム・オルソン Timothy Olson。

この後、ズラビスはペースを落とすことなく、Roque Nublo 78.7kmまでの登りパートでガミト、パゾスをかわして単独2位、カペルと9分差と追い上げます。この後、下り基調のパートに入ってカペルは独走態勢に入りますが、ズラビスも諦めずに追撃。フィニッシュでは14分35秒差で2位となりました。優勝したパウ・カペル Pau Capell Gilは昨年、HK100で4位、Transgrancanariaで3位、Ultra-Trail Australiaで優勝、そしてTDSで優勝するなどしてブレイクしたアスリート。今シーズンもトップ選手としての活躍を予感させる見事な内容での快勝でした。2位のバイダス・ズラビス Vaidas Zlabysはリトアニアのランナー。このTransgrancanariaでは2015年に18時間32分で33位、昨年は14時間30分で8位。昨年のIAUトレイル世界選手権・Trans Peneda-Gerez 85kで20位といったリザルトを残していますが、UTWTのレースで優勝争いに加わるのは初めてのこと。3回目のTransgrancanariaでその実力を開花させました。

ディエゴ・パゾス Diego Pazos(右)とマキシム・カザジャス Maxime Cazajousがヌブロ岩へ。

3位には昨年優勝のディドリク・ヘルマンセン Didrik Hermansen。今回は中盤までトップ10の後半を走っていましたが、終盤の走りやすい下りに入ってから一気にペースを上げて3位に浮上。昨年の自身の優勝タイムに約10分遅れてトップ3入りを果たしました。4位、5位はジョルディ・ガミト Jordi Gamito Bausマキシム・カザジャス Maxime Cazajousがほぼ同着でした。6位はアントニー・ガイ Anthony Gay、7位は昨年のUTMFに参戦していたベノワ・ジロンデル Benoit Girondel、8位にディエゴ・パゾス Diego Pazos、9位にアンディ・サイモンズ Andrew Symonds、10位にティモシー・オルソン Timothy Olsonが続きました。

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男子のトップ5。左から4位のGamito、2位のZlabys、優勝のCapell、3位のHermansen、5位のCazajous。

このほか、アントワン・ギュイヨン が24位、サンゲ・シェルパSange Sherpaが26位でフィニッシュ。日本の奥宮俊祐 Shunsuke Okunomiyaは序盤は20位台でのスタートでしたが、その後はペースを維持できず体が重くなりはじめます。夜が明けるとさらに足は遅くなりはじめ、最後は68位、18時間21分でのフィニッシュ。レース後は「力を出し切れなかった」と振り返りました。

68位でフィニッシュした奥宮俊祐 Shunsuke Okunomiya。フィニッシュラインでインタビュー。

女子は昨年のこの大会で優勝、準優勝のカロリーヌ・シャヴェロ Caroline Chaverot、アンドレア・ヒューザー Andrea Huserが再びリードするかと思いきや、Tamadaba 9.8kmでトップに遅れることシャヴェロは6分、ヒューザーは10分という展開に。代わってレースをリードしたのはアサラ・ガルシア Azara García De Los Salmonesでした。いつも前半から積極的に攻めるタイプのガルシアは後続との差をぐいぐい広げますが、後半に入るとややペースは落ち気味に。しかしフィニッシュまで後続との50分差を保って優勝。フィニッシュラインで笑顔を見せた後は担架で運ばれるほどの激しい走りでした。

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Garañón 81.7kmに女子トップで到着したアサラ・ガルシア Azara García De Los Salmones。

2位になったのはアンドレア・ヒューザー Andrea Huser。この日はトップ10後半で前半を走りましたが、後半の山岳パートで徐々に順位を上げ、コースが下に転じるPico De Las Nieves 84.0kmでは、ガルシアに54分差の2位に。いつもの通り、粘り強さと安定感のあるレース展開でした。ヒューザーと同様に前半に抑えて後半に順位を上げたのは今回3位でフィニッシュしたメラニー・ルセ Mélanie Roussetです。一時はヒューザーと並走する強さを見せました。昨年はレユニオン Diagonale des Fousで4位になるなどのフランスの実力派です。

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後半の粘り強い走りを今回も見せつけた2位のアンドレア・ヒューザー Andrea Huser。

4位はクリスティン・ベルグルンド Kristin Berglund。オーストリア在住のスウェーデン人で、もっぱら地元の大会で活躍していて、昨年はZugspitz Ultratrailで優勝、Trans Alpine Runで2位などの活躍をみせています。5位はイルディコ・ヴェルミシャー Ildiko Wermescher(ハンガリー)、6位はマリア・ピラ Maria Mercedes Pila Viracocha(エクアドル、スペイン在住)で昨年のAdvanced 83kで3位、Penyagolosa 117kやGran Trail Peñalara 113kで優勝しています。7位にジュリエット・ブランシェ Juliette Blanchet(フランス)、8位にリサ・ボルザニ Lisa Borzani、9位にレティティア・ピビス Laetitia Pibis(フランス)、10位にマヌエラ・ヴィラセカ Manuela Vilaseca(スペイン)が続きました。

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テロル Teror 56.2kmで補給するクリスティン・ベルグルンド Kristin Berglund。

なお、途中でリタイアした主な有力選手は、カロリーヌ・シャヴェロ Caroline Chaverot(33.2km地点)のほか、フルビオ・ダピ Fulvio Dapit(33.2km地点)、パウ・バルトロ Pau Bartoló Roca(42.5km地点)、ダニエル・ユング Daniel Jung (42.5km地点)、ジェンマ・アレナス Gemma Arenas Alcazar(42.5km地点)、ジェライ・デュラン Yeray Duran Lopez(56.2km地点)、ドミトリ・ミチャエフ Dmitry Mityaev(67.3km地点)などでした。

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ヨーロッパのシーズン入りを告げる大会が日本で注目されるのはこれから

トランスグランカナリアはUltra-Trail World Tourの第3戦となってからは、春のトレイルランニングの開幕を告げる大会として注目度を高めています。今回のパウ・カペルの優勝は昨年に続く今シーズンの活躍を予感させます。2位に入ったズラビスもこれを機会に国際的なトレイルランニング大会で注目を浴びる存在となりそうです。

125kmで8000mD+という数字だけをみれば、さほど難しくはないコースに思うトレイルランナーもいるかもしれません。しかし、深い渓谷が刻まれた火山島の気候は多数の微気候(microclimate)があるといわれ、コース序盤の島の北部は樹林帯が広がりトレイルもふかふかとした日本のトレイルランナーにはおなじみの雰囲気。高度が上がっていくと、ヌブロ岩 Roque Nubloをはじめとする自然の作った奇岩やテーブルマウンテンといった、独特の景観が広がる岩場に。コース後半は島の南側の乾燥したトレイルとなり、フィニッシュのマスパロマスは砂丘も広がる荒涼とした大地に開発された一大リゾート拠点です。今回も序盤の山中は深い霧に時折雨が混じり、気温は5-6℃、風も強くて海辺の強い日差しからは想像もできない厳しいコンディションの夜でした。その後、夜が明けると今度は強い日差しが照りつけて、ランナーの力を奪います。その意味ではかなり難度の高い、そしてやりがいのあるトレイルランニングレースといえます。

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木曜日のMaratonのスタートするガラニョン Garañónの朝は冷たい霧の中だった。

大会の雰囲気、運営は2003年から続く、今やスペインを代表する大会だけあって、入念に準備と計画されていて、例えばUTMBと比べても遜色がないレベルです。スペインがある面ではフランスを超えるトレイルランニング・スカイランニングの大国である理由がわかる気がしました。

今回、125kmのレースには740人中15人の日本人が参加され、日本からの参加者は年々増えていますが、この大会の魅力や充実度を考えれば日本からもっと多くの挑戦者を迎える可能性は高そうです。1960年代の遠洋漁業の最盛期以来、カナリア諸島は日本との縁が深いとのことですが、そこにトレイルランニングという新しいきっかけが加わることになるかもしれません。

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スタートを前にした日本人参加者の皆さん。

リザルト

大会公式のリザルトはこちらから。

男子 Men

  1. パウ・カペル Pau Capell Gil、スペイン) 13:21:03
  2. バイダス・ズラビス Vaidas Zlabys(Thermowave、リトアニア) 13:35:38
  3. ディドリク・ヘルマンセン Didrik Hermansen(Asics、ノルウェー)13:50:06
  4. ジョルディ・ガミト Jordi Gamito Baus(Compressport、スペイン) 13:53:53
  5. マキシム・カザジャス Maxime Cazajous (HOKA One One、フランス)13:53:54
  6. アントニー・ガイ Anthony Gay(Oxstis、スペイン) 14:08:46
  7. ベノワ・ジロンデル Benoit Girondel(Asics、フランス) 14:13:27
  8. ディエゴ・パゾス Diego Pazos(Compressport、スイス) 14:17:00
  9. アンディ・サイモンズ Andrew Symonds(Scott、イギリス) 14:18:38
  10. ティモシー・オルソン Timothy Olson(The North Face、アメリカ) 14:22:40

68 奥宮俊祐 Shunsuke Okunomiya(Columbia montrail / 、日本) 18:21:17

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アルテナラ Artenara 33.2kmを通過する奥宮俊祐 Shunsuke Okunomiya。

女子 Women

  1. アサラ・ガルシア Azara García De Los Salmones (スペイン) 16:25:20
  2. アンドレア・ヒューザー Andrea Huser (Mammut、スイス) 17:15:45
  3. メラニー・ルセ Mélanie Rousset(WAA、フランス) 17:30:40
  4. クリスティン・ベルグルンド Kristin Berglund(Salomon、スウェーデン) 18:00:04
  5. イルディコ・ヴェルミシャー Ildiko Wermescher(Mammut、ハンガリー) 18:17:43
  6. マリア・ピラ Maria Mercedes Pila Viracocha(エクアドル) 18:40:01
  7. ジュリエット・ブランシェ Juliette Blanchet(Vibram、フランス) 18:59:26
  8. リサ・ボルザニ Lisa Borzani(Tecnica、イタリア) 19:02:13
  9. レティティア・ピビス Laetitia Pibis(フランス) 19:09:46
  10. マヌエラ・ヴィラセカ Manuela Vilaseca、スペイン) 19:36:25 Esp (España)
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