スイスの登山家であるウーリー・ステック Ueli Steckが4月30日に世界最高峰・エベレストで登山中に滑落死したことがメディアで報じられました(時事通信、The Himalayan Times)。フリーソロでアイガー北壁を駆け上がる最速登頂記録達成の様子を収めた動画でトレイルランニングコミュニティでもよく知られた、アルパインクライミングのスーパースターがこの世を去りました。
(画像・ウーリー・ステックの滑落事故についてアナウンスしている公式ウェブサイト)
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ステックはエベレストの登山ルートの中でも難コースで登樊の記録も少ない西稜ルートから山頂を目指し、そこから主要ルートで南側のコルを経由してローツェへと縦走するプロジェクトに取り組むため、現地入りしていました(プロジェクトについては下のビデオを参照)。ステックのFacebookページによれば、本番を前に滞在中のキャンプIIから付近の山へ登り下りすることで高地馴致していたところで、4月30日は早朝からヌプツェに単身で登っていたところ滑落。1000m下で遺体が発見されて収容された模様です。
アルプスやヒマラヤでの様々な登山プロジェクトにより、登山界で最も権威ある賞・ピオレドールを2009年、2014年に受賞している著名なアルパインクライマーで、その優れた登山技術と体力は正確無比に時を刻むスイス製時計のようだとして「スイス・マシーン」という異名を持っていました。
トレイルランニングのファンの間では2008年に通常は複数人のチームで二日はかけて登るアイガー北壁をフリーソロでわずか2時間47分33秒で登頂して最速登頂記録を作ったことが、その様子を捉えた動画(下参照)とともに世界的に話題となりました。
トレーニングでは在住するスイス・グリンデルワルトの山を走ることも多く、地元で開催されるアイガー・ウルトラトレイル Eiger Ultra Trailでは大会アンバサダーを務めていました。また、UTMBでは2015年、2016年に55kmのOCCを完走しています。
お悔やみ申し上げるとともにご冥福をお祈りいたします。