上田バーティカルレース・太郎山登山競走 2017 リザルト #UedaVK #上田VK

今年で3回目の開催となる上田バーティカルレース・太郎山登山競走(上田VK)が昨日5月3日水曜日に長野県・上田市の太郎山で開催されました。有力選手が集まった5km / 1000mD+のレースでは宮原徹 Toru Miyahara吉住友里 Yuri Yoshizumiがそれぞれ昨年の自身による大会記録を更新して三連覇、二連覇を達成。あわせて開催されたユース日本選手権は上田瑠偉 Ruy Ueda滝澤空良 Sora Takizawaがそれぞれチャンピオンとなりました。


(写真・50分を切る大記録で女子優勝の吉住友里 Yuri Yoshizumiのフィニッシュ。Photo by Koichi Iwasa / DogsorCaravan.com)

Sponsored link


2015年の初開催以来、上田バーティカルレース・太郎山登山競走(上田VK)は日本におけるバーティカル・キロメーターの代表的な大会として知名度が高まっています。この大会をきっかけにスカイランニングに関心を持つランナーも少なくありませんが、一方で上田では市民が日頃から親しんでいる太郎山に登る大会として知られるようになり、地元からも6歳から72歳まで多くの皆さんが今年の大会に参加しました。この日も3.3kmで標高差700mを駆け上がる一般コース(真田幸村コース)と合わせて、約500人の選手が5月の青空の下、太郎山山頂を目指しました。

真田幸村コースで70代男子優勝の小宮山隆彦さんは2回目の完走。「太郎山は上田の人たちに愛されている山」と話す。

スタートラインとなる大星神社では太鼓で見送り。

大鳥居ではホラ貝。

太鼓とドラムのセッションでランナーを励ます。

Skyrunner-Japan-Series-logo-768x744スカイランナー・ジャパンシリーズ(SJS)およびユース日本選手権となっている5km / 1000mD+のレースは今年から出場資格が設定されたことから、エントリーは160人強と昨年より半減したものの出場選手のレベルは高くなり、少数精鋭のエリートレースという性格が強くなりました。

女子のレースでは昨年の上田VKで優勝して以来、バーティカルキロメーターで国内では無敵の存在である吉住友里 Yuri Yoshizumiが、49分54秒という圧倒的な好タイムで太郎山山頂にフィニッシュ。昨年は2位に7分差をつけて51分49秒で優勝した吉住は大会前日にも50分切りが目標と話していました。今回は疲労が抜けきっていないかったといい、コース途中の給水ポイントの通過タイムも目標を下回ったといいます。それでも諦めることなく走りきることで目標としていた50分以内でのフィニッシュを達成。男女総合でも21位となるタイムで昨年に続いて2回目の優勝を手にしました。来月11日木曜日にはスペイン・カナリア諸島で開催されるスカイランニング世界シリーズの開幕戦・Transvulacania VKでの活躍が期待されます。

吉住に続く2位は一昨年優勝の小林由貴 Yuki Kobayashiと昨年2位の高村貴子 Takako Takamuraの間で争われ、結果は小林が55分47秒、高村がわずか7秒差でそれぞれ2位、3位となりました。二人の自己ベストは小林が58分32秒(2015年)、高村が58分47秒(2016年)で、今回の二人の55分台というタイムもかなりの好成績。上位3人は高いレベルのレースとなりました。

2位の小林由貴 Yuki Kobayashi。

3位の高村貴子 Takako Takamura。

4位には58歳で昨年のSJSバーティカル女子年間4位の須藤吉仕子 Kisihiko Sutoが続きました。5位はクロスカントリースキーで活躍する19歳、滝澤空良 Sora Takizawa、6位は栗崎恵理子 Eriko Kurisaki。23歳以下が対象となるユース日本選手権は滝澤が優勝、2位に22歳の栗崎、3位は21歳の柿本恵理 Eri Kakimotoとなりました。このほか、7位には韓国から参加したYeji Jeong イ・ジェオン 、10位は富士登山競走などで活躍する荻原真紀 Maki Ogiwaraでした。

4位の須藤吉仕子 Kisihiko Suto。

7位の韓国から参加したYeji Jeong イ・ジェオン。

「真田幸村コース」で女子総合優勝の渡部春雅 Kasuga Watabe(中)。

中学生の渡部春雅 Kasuga Watabeは他のスカイランニングの大会では例えば昨年の経ヶ岳VLで女子総合で優勝する実力で注目されています。今回の上田VKでは5km / 1000mD+のレースは出場資格が高校生以上となっているため、3.3km / 700mの「真田幸村コース」に出場。結果は34分4秒で女子総合優勝、男女総合で18位でした。来年の5kmの「猿飛佐助コース」へのデビューは注目を集めそうです。

ユース日本選手権・女子の表彰台。左から2位の栗崎恵理子 Eriko Kurisaki、優勝した滝澤空良 Sora Takizawa、3位の柿本恵理 Eri Kakimoto。

男子では、この上田VKでは二連覇していて国内のVKでは無敵の存在であるバーティカルの皇帝・宮原徹 Toru Miyaharaが、今回は体調がすぐれないと伝えられていました。大会の前週に風邪を引き、大会当日は熱こそ引いたものの鼻水が止まらないという状況でしたが、大会当日は予定通り全参加者の最後尾からスタート。宮原の20秒前にスタートした昨年3位の上田瑠偉 Ruy Uedaとの競り合いになりました。スタート直後の登りでは上田がペースで上回り、宮原を引き離しましたが、給水ポイントへの下りの途中で宮原が上田に追いつきます。給水ポイントからの登り返しでは宮原が先行しますがリードは小さく、上田は宮原の背中を追います。フィニッシュまで6-700mにある急坂の登りで上田は宮原についに追いつきました。しかし、ここから宮原が一気に上田を引き離しにかかります。結果、宮原は上田よりも34秒早い42分50秒でフィニッシュして優勝。風邪が抜けきらないにもかかわらず巧みなレースで上田の追随を許さなかったほか、タイムも昨年の自身の優勝タイムである42分57秒を7秒上回って大会記録を更新するというレース内容で、34歳の今も「皇帝」の異名にふさわしい宮原徹の圧倒的な強さは健在です。

風邪気味ながらも大会記録を更新して優勝した宮原徹 Toru Miyahara。

2位に続いたのは上田瑠偉で、タイムは43分24秒。バーティカルにデビューした昨年の44分43秒(2位)から1分19秒縮めました。この日は4月初めのハセツネ30k、前々週末のKorea 50kで優勝とよい内容のレースが続いた後。上田は大会前日は「特に疲労は残っていない」と話していましたが、当サイトが見たところでは表情に少し疲れが残るようにみえました。とはいえ、この日優勝した宮原とのタイム差は34秒で昨年の1分46秒から大幅に縮めました。上田が宮原に競り勝つ日はそう遠くなさそうです。

これも読む
南三陸で里山とイヌワシと人間を繋ぐ現在進行形の物語。パタゴニア・フィルム「共生のために走る」【レビュー】

3位は九州・鹿児島を拠点に富士登山駅伝やロードレースで活躍する永里剛城 Goki Nagasato。スカイランニングでは昨年の尾瀬岩鞍VKで宮原についで2位、西米良スカイランニングクエストで優勝しています。今回は国内の有力選手がそろう中でその実力を発揮しました。4位にはクロスカントリースキーのトップ選手である馬場直人 Naoto Baba、5位は昨年5位の新牛込崇史 Takashi Shinushigomeでした。

3位の永里剛城 Goki Nagasato

4位の馬場直人 Naoto Baba

ユース日本選手権は上田、馬場に続いて3位に市川創史 Soushi Ichikawa。今年1月の箱根駅伝で山登りの5区を走った市川は先日のハセツネ30kで上田瑠偉に続く2位となったばかりでしたが、この日も男子総合でも6位、46分38秒と活躍しました。4位は18歳の小椋悠 Yu Ogura(総合8位)、5位は吉野大和 Yamato Yoshino(総合9位)でした。

ユース日本選手権・男子の表彰台。左から2位の馬場直人 Naoto Baba(専修大)、優勝した上田瑠偉 Ruy Ueda(Columbia Montrail / Mountain Hardwear)、3位の市川創史 Soushi Ichikawa。

このほか、昨年までスカイランニングのジュニアシリーズで優勝を重ねていて、高校生となった今年初めて上田VKに参戦した近江竜之介 Ryunosuke Ohmiは15位(48分36秒)でのデビューとなりました。

リザルト

大会のリザルトのリンクはこちら:猿飛佐助コース(スカイランナー・ジャパン・シリーズ、ユース日本選手権)真田幸村コース

猿飛佐助コース(スカイランナー・ジャパン・シリーズ)

女子 / Women

女子表彰台。左から4位の須藤吉仕子、2位の小林由貴、優勝の吉住友里、3位の高村貴子、5位の滝澤空良。

  1. 吉住友里 Yuri Yoshizumi 49:54
  2. 小林由貴 Yuki Kobayashi (岐阜日野自動車) 55:47
  3. 高村貴子 Takako Takamura (旭川医大) 55:54
  4. 須藤吉仕子 Kisihiko Suto 1:04:57
  5. 滝澤空良 Sora Takizawa 1:06:29
  6. 栗崎恵理子 Eriko Kurisaki 1:08:32
  7. Yeji Jeong イ・ジェオン (Team Salomon Korea) 1:08:40
  8. 岩楯志帆 Shiho Iwadate 1:08:55
  9. 柿本恵理 Eri Kakimoto (羽生陸協) 1:11:34
  10. 荻原真紀 Maki Ogiwara 1:12:24
これも読む
コートニー・ドウォルターが圧倒的な勝利、Nice Côte d'Azur by UTMB 2024 リザルト

男子 / Men

男子の表彰台。左から4位の馬場直人、2位の上田瑠偉、優勝の宮原徹、3位の永里剛城、5位の新牛込崇史。

  1. 宮原徹 Toru Miyahara (滝ヶ原自衛隊) 42:50
  2. 上田瑠偉 Ruy Ueda (Columbia Montrail / Mountain Hardwear) 43:24
  3. 永里剛城 Goki Nagasato (国分自衛隊) 44:54
  4. 馬場直人 Naoto Baba (専修大学) 45:10
  5. 新牛込崇史 Takashi Shinushigome (滝ヶ原自衛隊) 45:48
  6. 市川創史 Soushi Ichikawa 46:38
  7. 宮川鉄也 Tetsuya Miyagawa 47:17
  8. 小椋悠 Yu Ogura 47:35
  9. 吉野大和 Yamato Yoshino 47:42
  10. 横山忠男 Tadao Yokoyama 47:55
  11. 八田康裕 Yasuhiro Hatta 48:01
  12. 名取将大 Masahiro Natori (東海大学) 48:04
  13. 星野和昭 Kazuaki Hoshino 48:04
  14. 藤飛翔 Tsubasa Fuji (早稲田大学) 48:30
  15. 近江竜之介 Ryunosuke Ohmi 48:36
  16. 今井洋二 Yoji Imai (エプソンアヴァシス) 48:59
  17. 市川竜太郎 Ryutaro Ichikawa (滝ヶ原自衛隊) 49:01
  18. 秋元佑介 Yusuke Akimoto (第一空挺団) 49:17
  19. 工藤祐輔 Yusuke Kudo 49:24
  20. 渡辺良治 Ryoji Watanabe 49:30

ユース日本選手権・女子 / Women

  1. 滝澤空良 Sora Takizawa 1:06:29
  2. 栗崎恵理子 Eriko Kurisaki (CKPJT) 1:08:32
  3. 柿本恵理 Eri Kakimoto (羽生陸協) 1:11:34
  4. 池田華子 Hanako Ikeda (仙台大学) 1:12:31
  5. 前川里穂 Riho Maekawa (Bukka SC) 1:17:11
これも読む
DC Weekly 2022年4月26日 UTMF、Panyagolosa、Canyons by UTMB®︎、MIUT/100km世界新記録、DEEP JAPAN 100、VJC

ユース日本選手権・男子 / Men

  1. 上田瑠偉 Ruy Ueda (Columbia Montrail / Mountain Hardwear) 43:24
  2. 馬場直人 Naoto Baba (専修大学) 45:10
  3. 市川創史 Soushi Ichikawa 46:38
  4. 小椋悠 Yu Ogura 47:35
  5. 吉野大和 Yamato Yoshino 47:42
この記事が気に入ったらDogsorCaravanをBuy Me a Coffeeで直接サポートできます!

Buy Me a Coffee

Sponsored link