前週末の主な大会のリザルトと、今週末の国内外のトレイルランニング大会の予定をお伝えしているニュース記事・DC Weeklyを今年もお届けします。このDC Weeklyへ皆様からの情報や写真の提供を歓迎します。国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーにもぜひご利用ください。
(写真・こちらは遠く2012年のOSJおんたけウルトラトレイル(現・Ontake 100)のスタート直後。Photo by Koichi Iwasa, DogsorCaravan.com)
先週末のイベント
7月14日金曜日 – 7月16日日曜日:Hardrock、Ultra Sierra Nevada
- Hardrock 100: アメリカ・コロラド州シルバートン。出場者数は140人と小規模ながら今や世界中が注目する名大会です。今回はキリアン Kilian Jornetがコース上で肩を脱臼しながらもレースを続けて4年連続の優勝を果たしました。キリアンはスタートからわずか14マイル(22.5km)の雪渓の急な下り坂で足を滑らせ、頭から転げ落ちる形で岩の上に転倒、左肩を脱臼。これまでスキーやクライミングでも脱臼の経験があるキリアンは自分で脱臼した肩を元に戻してレースを続行。中盤まではイケル・カレラ Iker Karrera、後半からはジョー・グラント Joe Grant、次いでマイク・フート Mike Foote、とともに先頭を走りましたが、いつもの彼の必勝パターンと同じく、最後の10マイルで一気にペースを上げて後続を振り切って24時間32分で優勝。2014年の初優勝以来の四連覇となりました。2位はマイク・フートで24時間55分、3位にジョー・グラントが25時間37分で続きました。女子のレースはカロリーヌ・シャヴェロ Caroline Chaverotが序盤から女子大会記録を上回るペース、男女合わせても4-5位というハイペースでリード。しかしコース後半に入り、コースを見失って標高差で400mも下ってしまうというトラブル。リカバリーも含め1時間余りもロスすることになりました。その後は前半ほどの快走とはならなかったものの、徐々に調子を取り戻して28時間31分でフィニッシュ、初挑戦で優勝を勝ち取りました。女子2位にはダーシー・ピセウ Darcy Piceuが29時間22分、3位はナタリー・マクレア Nathalie Mauclairが30時間34分。アンナ・フロスト Anna Frostは4位でフィニッシュしました。リザルトはこちら。
- Ultra Sierra Nevada (103k, 62k, 40k, 6k): スペイン南部のアンダルシアにあるシエラネバダ山脈に登るトレイルランニングレース。103kmではミゲル・ヘラス Miguel Herasが12時間23分、メラニー・ルセ Melanie Roussetが15時間41分で優勝しました。リザルトはこちら。
- Lakes Sky Ultra (56k): イギリス・カンブリア。イングランド北部のレイク・ディストリクト国立公園の中の町・アンブルサイド Amblesideを拠点に開催。56km 4500mD+のレースがイギリスのスカイランニング・ナショナルシリーズの大会となっています。リザルトはこちら。合わせて開催された40km 2800mD+のスカイレースのリザルトとコースはこちら。
7月15日土曜日 – 7月17日月曜日:野沢温泉、分水嶺トレイル
- S-Mountain 野沢温泉バーティカルキロメーター、S-Mountain The4100D マウンテントレイルin野沢温泉(65kなど): 長野県・野沢温泉村。土曜日に行われたバーティカルキロメーターはスカイランナー・ジャパンシリーズのバーティカル・カテゴリーの第4戦でした。女子は吉住友里 Yuri Yoshizumiが49分4秒と2位に11分以上の差で圧勝。女子は2位に高村まゆみ Mayumi Takamura(1時間0分37秒)、3位は須藤吉仕子 Kishiko Suto(1時間3分17秒)。男子は上田瑠偉 Ruy Uedaが40分18秒で優勝。2位に永里剛城 Goki Nagasatoが41分28秒で続き、3位は宮川鉄也 Tetsuya Miyagawaで44分41秒でした。日曜日の65kmソロ男子はのレースは大杉哲也 Tetsuya Osugiが6時間45分で優勝しています。リザルトはこちら(バーティカルキロメーター、4100D)。
- 分水嶺トレイル(84k, 120k): 青梅または奥多摩・鴨沢から清里・獅子岩まで秩父多摩甲斐国立公園のピークをつなぐ分水嶺をたどる長距離の山岳縦走大会。
7月15日土曜日 – 7月16日日曜日:Eiger, Tahoe, Vermont, OSJおんたけ、OMM LITE
- Eiger Ultra Trail (101k / 51k /36k/ 16k): スイス・グリンデルワルトを拠点に開催。Ultra Trail World Tourの第13戦、Proカテゴリーの大会でした。となっています。101kの男子はステファン・ヒューゲンシュミット Stephan Hugenschmidtが大会記録を37分上回る11時間1分で優勝。ヒューゲンシュミットは30歳のドイツ人でこれまでTransvulcaniaで2014年に5位、16年に6位、2016年はScenic Trail 54kやSwiss Irontrail T121で優勝、IAUトレイル世界選手権(ポルトガル)で10位といった結果を残しています。14分差でこの大会で14年、15年に優勝しているウルス・イェンザー Urs Jenzerが2位、3位はジョルディ・ガミト Jordi Gamito。4位はトーマス・エバンス Thomas Evansでした。女子はアンドレア・ヒューザー Andrea Huserが13時間46分で昨年に続いて優勝しています。日本関係では奥宮俊祐 Shunsuke Okunomiyaが男子46位(14時間59分)、常田めぐみ Megumi Tokidaが女子22位(18時間38分)でした。リザルトはこちら。
- Tahoe Rim Trail (100マイル、50マイル、55km):アメリカのカリフォルニア州とネバダ州にまたがるタホ湖のネバダ州側、スプーナーレーク州立公園を会場に開催。100マイルでは鬼塚智徳 Tomonori Onitsukaが8位(21時間28分、トップから2時間59分)、田中”JR”裕康 Hiroyasu Tanakaが19位(23時間50分)でした。リザルトはこちらから。
- Vermont 100: アメリカ北東部、バーモント州で開催され、アメリカの4つの伝統ある100マイルレースからなるGrand Slam of Ultrarunningの一つとなっていることでも有名な大会です。男子はブライアン・ルジエッキ Brian Rusieckiが14時間24分で優勝、2位にはマイク・アーンスタイン Michael Arnsteinが14時間54分。女子優勝はキャサリン・キュジック Kathleen Cusickで16時間38分でした。リザルトはこちら。
- OSJ Ontake 100(100k, 100マイル): 長野県王滝村。2008年から続く日本の長距離トレイルレースの草分けといえる存在です。100k男子は牧野公則 Masanori Makinoが8時間17分46秒で優勝しています。リザルトはこちら(公開され次第リンクします)。
- OMM LITE Hakuba/Otari: 長野県白馬村、小谷村。11月に開催されるOMM Japan Raceに「必要なナビゲーションスキルと経験を学ぶ」機会として開催されるイベント。リザルトはこちら(公開され次第リンクします)。
7月15日土曜日:アイスランド
- Laugavegur Ultra Trail (55k): 今回が21回目のアイスランドで開催される55kmのP2P(Point to Point)形式のトレイルランニングレース。リザルトはこちら。
7月16日日曜日:Royal Gran Paradiso
- Royal Ultra Sky Marathon Gran Paradiso (53k): イタリアのグランパラディーゾ国立公園で開催。52.5km 4,141mD+の本格的な山岳コースで、スカイランナー・ワールドシリーズのSky Extremeカテゴリーの開幕戦でした。男子では昨年のTrofeo Kimaで優勝のビム・グルン Bhim Gurung(ネパール)が6時間41分24秒で優勝。アンドレ・ジョンソン André Jonsson(スウェーデン)が10分差で2位、3位はペレ・オーレル Pere Aurell(スペイン)でした。女子は現在Sky Classicカテゴリーでランキング首位のマイテ・マイオラ Maite Maiora(スペイン)が8時間5分28秒で優勝、27分の大差での2位にケイティ・シャイデ Katie Shide(アメリカ)、3位にエカテリーナ・ミチャエワ Ekaterina Mityaeva(ロシア)でした。リザルトはこちら。
今週末のイベント
7月21日金曜日 – 7月23日日曜日:Grossglockner
- Grossglockner Ultra Trail (110k, 50k, 30k): オーストリアのカプルーン Kaprunを拠点にオーストリアの最高峰・グロースグロックナー(標高3798m)の山麓を周回するコースで開催。110kmのコースの累積獲得高度は6500mD+。山麓、とはいえ標高2500mを超える峠を越えるパートがいくつかあり、天候によってはかなり厳しいコンディションとなる本格的な山岳コースです。
7月21日金曜日 – 22日土曜日:Dolomites
- Dolomites Vertical Kilometer®、Dolomites Skyrace (22km): イタリア北部・カナゼイで開催されるスカイランニングのクラシックイベント。21日金曜日に開催のVKはVertical Kilometer World Circuit、土曜日のスカイレースは23.5km 1,950mD+というコースでスカイランナー・ワールドシリーズのSky Classicカテゴリーのレースで、22日土曜日午前8時30分(日本時間同日午後3時30分)スタート。今回が20回目の開催です。スカイレースではコース上の8箇所からライブスリーミング映像が配信されます。VKにはアーバン・ゼンマー Urban Zemmer、スカイレースにはタデイ・ピヴィク Tadei Pivkとイタリアのトップスカイランナーが登場。日本からも松本大、上田瑠偉が出場して欧州のトップアスリートとのレースに臨みます。
7月22日土曜日 – 7月23日日曜日:妙高赤倉
- 妙高赤倉マウンテンレース バーティカル&トレイルラン25K: 新潟県妙高市。赤倉観光スキー場をメイン会場にして今年初めて開催されます。土曜日に開催されるバーティカルは斜度30度の急坂を含むスキーゲレンデを登る5km、900mD+。日曜日のトレイルランは周囲のスキー場をつないだ25kmのコースとなっています。
7月22日土曜日:Trans D’Havet, Kendall Mountain Run
- Trans D’Havet (80k): イタリア北部・バルダーニョをメイン会場にして開催。80km / 5,500mD+のテクニカルな山岳レースです。
- Kendall Mountain Run (12m): ハードロック100が開催された翌週のコロラド州シルバートンで開催。シルバートンの背後にそびえるケンダール山(3,982m)まで登って下りる19kmの登山レース。今年のアメリカのスカイランニング・ナショナルシリーズのレースとなっています。
7月23日日曜日:大雪山、霧島えびの高原
- 大雪山ウルトラトレイル(80k/40k/15k): 北海道遠軽町白滝。大雪山の山麓を走る80kのコースは78.4km 2,890mD+。
- 霧島・えびの高原 エクストリームトレイル(63k/30k): 宮崎県えびの市・鹿児島県霧島市、湧水町。今回が5回目となる九州のロングトレイルレースで、63kの累積獲得高度は3,059mD+です。