2018年のスカイランナー・ワールドシリーズの日程が発表に。カテゴリーを集約、世界のアスリートが競う場へと2019年から改革へ #Skyrunning

スカイランニングのレースサーキットとして毎年注目されるミグラン・スカイランナーワールドシリーズ Migu Run Skyrunner®︎ World Seriesの来年2018年の日程が発表されました。来年のシリーズ戦は再来年の2019年からの大改革に備え、コースの距離などで分けられているカテゴリーは従来の3つから2つに集約されます。そして2019年はカテゴリーは撤廃、ポイントが加算される4つの「スーパースカイレース」、シーズン最大のイベントとして参加資格を満たしたアスリートのみが参加できる「スカイマスターズ」を10月前半に開催。シーズンランキングはワールドシリーズのみからなる「シーズンランキング」に加え、ワールドシリーズに各国のナショナルシリーズのポイントを加えて、直近1年間の総ポイント数で決める「52週ランキング」を新設。52週ランキングの上位者はワールドシリーズのレースへの招待などの特典が与えられます。

以下、スカイランナーワールドシリーズから発表された内容を詳しくご紹介します。

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スカイランナーワールドシリーズから発表された内容は以下のリンクから。

2018年のミグラン・スカイランナーワールドシリーズの日程

来年のワールドシリーズはコースが50km以内の「Sky Classic」とそれ以外の「Sky Extra」(従来のSky ExtremeとSky Ultraをあわせたもの)の二つのカテゴリーが設けられます。レースは前者が11、後者が8の合計19レース。まだ発表されていないレースもありますが、ブルガリアのPirin Ultra SkyRace(10月)のほかは2017年のワールドシリーズとなっていたレースから構成されます。以下のうち、太字の5つのレース(Livigno SkyMarathon、SkyRace Comapedrosa、Limone Extreme、UltraSkyMarathon Madeira、Trofeo Kima)はランキングのポイントが50%加算されるボーナスレースとなります。

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二つのカテゴリーについてそれぞれのランキングが集計され、各選手が各レースで得たポイントのうち高いものからSky Classicは最大5つ、Sky Extraは最大4つが集計されます。さらに来年は両カテゴリーにまたがるオーバーオール・ランキングが設けられます。オーバーオール・ランキングは各選手のリザルトのうち、両カテゴリーそれぞれ2つ(計4つ)が集計対象となります。

以上の三つのランキングについて、シーズン最後に集計した結果に基づき、各ランキングの男女トップ3の選手に賞金が与えられます。賞金総額は6万6千ユーロと2017年の6万ユーロから増額。オーバーオール・ランキング上位者の賞金は他の二つの2倍で、オーバーオールランキング年間チャンピオンには1万ユーロが与えられます。

大きく変わる2019年のワールドシリーズ

2018年のワールドシリーズの日程とともに、再来年2019年以降のワールドシリーズについて、カテゴリーの一本化などの方針が示されました。

  • コース距離などによるカテゴリーを撤廃:従来、コースの距離や難易度によって分けられていたカテゴリーはなくなり、全てのレースの結果は同じランキングに集約されます。「優れたスカイランナーはどんな距離のスカイレースでも力を発揮できるようになるべき」(発表資料)との考え方に基づく変更です。
  • 開催時期を拡張:従来のワールドシリーズの中心となる欧州のレースは5月の後半に開幕して9月中には一段落、という日程でした。これを2019年は欧州以外のレースも加えて4月初旬には開幕し、10月中旬に閉幕する日程となります。ワールドシリーズを構成するのは15から20レース、さらにシーズン最終戦として後述の参加資格を満たした選手だけによる「スカイマスターズ The Sky Masters」が開催されます。
  • レースのステータスとして「スーパースカイレース」を新設:上記のようにカテゴリーは撤廃されますが、ワールドシリーズのレースのうち4つを「スーパースカイレース SuperSky Race」に指定。スーパースカイレースではランキングで集計されるポイントが通常のレースの4倍となります。なお、ランキングでは各選手の獲得したポイントのうち高いものから5つが集計され、そのうちスーパースカイレースは3つまで集計対象となります。
  • 一年のクライマックスとなる「スカイマスターズ」を新設:10月前半には、ワールドシリーズの頂点となるレース「スカイマスターズ」が開催され、ここでシーズンランキングも決定することになります。発表資料によれば、このレースはヨーロッパ・アルプス、またはピレネー山脈で開催し、年によってコースの距離は様々となるが2019年については40km程度、シーズンランキングへのポイントはスーパースカイレースと同じかそれ以上とする予定。また既存の大会の1レースとして開催されるかもしれないが、一般の参加者のレースとは別のレースとして開催されます。
  • 「スカイマスターズ」には参加資格を設定:スカイマスターズに参加できるのは、直近のシーズンランキングおよび開催8週前の52週ランキング(後述)で男女上位30位以内、各スーパースカイレースで男女上位7位以内、通常のスカイレースで男女上位3位以内、各国シリーズ戦で指定されたレースの男女優勝者、各国シリーズ戦の男女年間チャンピオン、に該当するアスリートのみとなります。
  • シリーズの各レースで男女上位選手に賞金:これまで賞金の対象となるのはシーズンランキングの上位選手だけでしたが、2019年はシリーズの各レースで男女のそれぞれ上位10人に賞金が与えられます。通常のスカイレースでは男女優勝者にそれぞれ千ユーロ、総額6千ユーロ、スーパースカイレースは男女優勝者それぞれに2千ユーロ、総額1万ユーロとなります。
  • シーズンランキングの賞金総額は10万ユーロに増額:加えて、シーズンランキングの上位選手にも賞金が与えられます。賞金の対象となるのは男女それぞれの上位10人で男女の年間チャンピオンにはそれぞれ1万5千ユーロ。総額で10万ユーロとなります。2018年はシーズンランキングの賞金のみが与えられ、対象は男女各上位3人で総額は6万6千ユーロであることを考えると大幅な拡充です。
  • ランキングに各国シリーズ戦が対象となる「52週ランキング」を新設:ポイントによるシーズンランキングでは、ワールドシリーズのレースからなる「シーズンランキング」の他に、ワールドシリーズに各国のナショナルシリーズのポイントを加えて、直近1年間の総ポイント数で決める「52週ランキング」を新設。このランキングは毎週更新されることになり、52週ランキングの上位者はワールドシリーズのレースへの招待などの特典が与えられます(該当するワールドシリーズのレースの8週前のランキングに基づいて招待されることとなります)。

当サイトの若干の考察:スカイランニングは真に世界的なスポーツを目指す

以上がミグラン・スカイランナーワールドシリーズ Migu Run Skyrunner®︎ World Seriesが発表した2018年の日程と、2019年からの改革のポイントです。賞金が大幅に増額されたのはスポーツの商業化や競技性を高めることに繋がりそうです。また、通常のスカイレース、スーパースカイレース、そしてごく一部のエリート選手のみ参加するスカイマスターズとレースの間に大きな差別化をすることは、メリハリをつけることで有力選手が集中してファンやメディアの注目度を高めることにつながります。最近のワールドシリーズ戦ではどのレースも同じようなメンバーで何度も順番をつけているような感じがするレースもありましたが、そうした状況は変わりそうです。

また、各国のナショナルシリーズ戦が52週ランキングやスカイマスターズへの参加資格に組み込まれることで、例えば日本の選手が日本のレースを走ることで世界のランキングに加わり、さらには世界のトップ選手と競い合う場面が増えることになります。これは欧州の選手とレースに偏っていたスカイランニングが、真に世界的なスポーツとなるうえで大きな力になるでしょう。

なお、今回の発表資料ではワールドシリーズに加わるスカイレースの定義として、16時間以内でフィニッシュでき、全体を通してしっかり走り切れるようにコースの距離は22kmから66kmの間であることとしています。ワールドシリーズのスカイレースの定義よりスカイランニングそのものの定義はより幅広いものとなるでしょうが、ワールドシリーズの動きはスカイランニングの今後の方向性を示すものとなるのかもしれません

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