尾瀬岩鞍バーティカルキロメーター 2017 リザルト #OzeVK

Skyrunner-Japan-Series-logo-768x744今年の尾瀬岩鞍はアメリカのトップ・アスリートが皇帝・宮原徹に2分差をつけて圧倒的な実力を見せつけました。10月14日土曜日に群馬県片品村の尾瀬岩倉ホワイトワールドで第三回となる尾瀬岩鞍バーティカルキロメーター Oze Iwakura Vertical Kilometer(尾瀬VK)が開催されました。スカイランナー・ジャパンシリーズ Skyrunner® Japan SeriesのVKカテゴリーの最終戦となったエキスパートコース(5km/1000mD+)ではジョー・グレイ Joseph Gray(アメリカ)が40分49秒で優勝し、2番手となった宮原徹 Toru Miyaharaに2分18秒差をつけました。女子では吉住友里 Yuri Yoshizumiが49分46秒で優勝。ジャパンシリーズの年間チャンピオンは宮原徹、吉住友里と決まり、特に吉住はシリーズ全7戦全てに出場し、全てで優勝するという完全優勝で今シーズンを締めくくりました。

(尾瀬岩鞍VKを力強くフィニッシュしたジョー・グレイ Joe Gray。Photo by Koichi Iwasa, DogsorCaravan.com)

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国際的なVKの基準を満たすエキスパートコース(5km/1000mD+)のコースはホワイトワールド尾瀬岩鞍スキー場の標高1000mから1700mまでのゲレンデで開催。スタートから約1.5kmで標高差400mを登ったところから、標高差200m強の下りを挟んで再び登り返し、途中で再び標高差100mの下り。最後は残り1kmで標高差300mを登ります。登りの中には斜度40度近い泥の急坂を両手を使って登る箇所も現れます。大会当日は前日までの雨は上がりましたが、コースは濃い霧に覆われました。

ジョー・グレイが日本のバーティカル・キロメーターに初挑戦

今回のレースを制したのはアメリカのジョー・グレイ Joseph Gray。地元のコロラドで開催される全米で有名な山岳レース、Pikes Peak Ascentで2016年に優勝。このレースで前年に優勝した経験を持つ宮原徹は同じレースで13分差の5位。このレースのスタート直前まで自分の荷物と格闘していて、ライバルのトップ選手がスタートした後から追いかけることになったにもかかわらず勝利を手にしています。宮原徹が「別次元の強さ」というグレイは現在33歳。マウンテンランニングの全米選手権優勝は11回、世界選手権の米国代表チームには19回。昨年はブルガリアで開催された世界選手権で優勝しています。この他にもトレイルランやクロスカントリー走でも成績を残していて、日本には妙高で2011年に開催されたスノーシュー世界選手権のための来日していて、400mの部で金メダル、15kmの部で銀メダルを獲得。今回の尾瀬岩鞍は泥と霧の中のレースとなりましたが、「子どもの頃住んでいたワシントン州の天気と似ていて楽しかった」とレースを振り返りました。当サイトでは追ってグレイとのインタビューをお届けします。

全身に汗を滴らせてフィニッシュしたジョー・グレイ Joe Gray。

バーティカル・キロメーターの皇帝・宮原徹 Toru Miyaharaはグレイについでの2位。宮原は上記のように2016年に続いて、2017年8月にもPikes Peak Ascentでグレイと対決。優勝したグレイに続いて宮原は2位となりましたが、タイムは10分差でした。当サイトには「今回の尾瀬岩鞍では1分半以内の差でグレイに続きたい」と話していました。ウェーブスタートの最後尾となったグレイの20秒前にスタートした宮原は約1.5kmの登りの途中でグレイに追いつかれてからも、敢えてグレイと並んで走りますが、やはり地力に勝るグレイに引き離されます。結果として前半にオーバーペースとなった宮原はコース最終盤の登りではいつものように走らずに歩いて登るほどの苦しいレースに。40分49秒で優勝したグレイに続き、43分7秒でフィニッシュしました。

あえて序盤にジョー・グレイにペースを合わせてついていったという宮原徹。

3位には43分49秒で永里剛城 Goki Nagasato、4位には新牛込崇史 Takashi Shinushigomeと今シーズンのVKで活躍する二人が続きました。フィニッシュライン直前では宮原とその背後を必死で追う二人が一緒になって倒れこむように駆け込んでくるという緊張感あふれるレースとなりました。5位には最近上位入りすることが増えている若手のホープ、吉野大和 Yamato Yoshino。スタート直後から積極的にペースを上げて全力を出しきる走りを見せました。

手前から新牛込崇史、宮原徹、永里剛城が相次いでフィニッシュ。

女子のレースはバーティカル・キロメーターのクイーンで8月にはUTMBのレースで56kmのOCCで4位となったことでも話題の吉住友里 Yuri Yoshizumiが圧勝。コースが若干異なるため直接比較はできませんが昨年の自身の優勝タイムである49分31秒にはおよばないものの、今回の49分46秒は男女総合で14位となる好タイムでの優勝です。2位になったのは昨年と同じく小川ミーナ Mina Ogawa。57分10秒で吉住との差は7分39秒と昨年(5分58秒)より広がりましたが、今回も第一人者として存在感を示しました。3位にはこちらも昨年に続いて加藤揚子 Yoko Katoが59分34秒、4位も昨年に続いて星野緑 Midori Hoshinoが1時間1分51秒で続きました。5位には今回がバーティカル・キロメーターに初挑戦となった福島舞 Mai Fukushimaが1時間2分44秒で入りました。

シリーズ全7戦全てに出場、優勝した吉住友里。

2位となった小川ミーナのスタート。

今回がVK初挑戦だった福島舞。

このほか、エキスパートコース・高校生の部では、男子は松本良介 Ryosuke Matsumotoが男子総合8位となる47分22秒で優勝しています。この日は距離3kmで700mD+を登るチャレンジコースも開催され、一般の部のほか10人が参加して中学生の部のレースが行われました。さらにスタート地点の1.1kmの周回コースでは小学1、2年生は1周、3、4年生は2周、5、6年生は3周するキッズスカイレースも行われ、61人の小学生が参加しました。

小学1、2年生と一緒にキッズレースを走る吉住友里。

マウンテンランニング世界チャンピオンのジョー・グレイも小学5、6年生と一緒に走った。

スカイランナー・ジャパンシリーズのVKチャンピオンが決定

今回の尾瀬岩鞍VKで今年のスカイランナー・ジャパンシリーズ Skyrunner® Japan SeriesのVKカテゴリーは全7戦が閉幕。今年の年間チャンピオンはポイントが20%加算される今回のリザルトを持って、宮原徹 Toru Miyahara吉住友里 Yuri Yoshizumiが男女の年間チャンピオンに確定。ともに2016年に続いてタイトルを守ることとなりましたが、特に吉住は全7戦(上田、高社、びわ湖、野沢、蔵王、粟ケ岳、尾瀬岩鞍)の全てに出場して全て優勝という完全優勝を成し遂げる快挙でした。年間ランキング男子は宮原の金メダルに続いて永里剛城 Goki Nagasatoが銀メダル、新牛込崇史 Takashi Shinushigomeが銅メダル。女子は吉住が金メダルで銀メダルは滝澤空良 Sora Takizawa、銅メダルは須藤吉仕子 Kishiko Sutoと決まりました。

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スカイランナー・ジャパンシリーズ Skyrunner® Japan Seriesは今週末に開催されるSky Classicカテゴリーの最終戦、西米良スカイランニングクエストで今年の全日程を終えます。

左から男子2位の宮原徹、男子優勝のジョー・グレイ、女子優勝の吉住友里、男子4位の新牛込崇史、男子3位の永里剛城。

子どもたちに求められてサインをしたジョー・グレイ。

ユース世界選手権報告会

大会終了後、今年7月にヨーロッパのピレネー山脈の中の国、アンドラで開催されたスカイランニング・ユース世界選手権 Youth Skyrunning World Championshipsに参加した日本代表選手チームによる報告会が行われました。報告会では今年5月に開催され、日本代表選考レースとなっていた上田バーティカルの思い出から始まり、国内での二回の合宿では競技面での知識だけでなく、山を駆け上がり駆け下りるというスカイランニングの本質を確かめるツーリングを経験したことが紹介されました。

大会終了後に行われたユース世界選手権の報告会。

7月末に実際に現地に入ってからは、ヨーロッパを中心とした各国のユース世代の選手たちと交流を深めたエピソードの数々が紹介されました。また、日本代表選手の中から上位に食い込む選手を出そうと、レースでは日本代表選手で集団を作って走ることでお互いを励ましあおうという作戦を練っていた、とのこと。クラウドファンディングを活用するなど、多くの支援者のサポートを得て実現したユース世界選手権への日本代表チーム派遣について、JSA代表の松本大さんからは「ユースチームキャプテンの藤飛翔を中心に、ユースチームのメンバーはこの一年で目覚ましい成長を遂げた」とコメント。スカイランニングの次世代を担う選手たちに今後も機会を与えていきたいと抱負を話しました。

プレゼンテーションをしたユース世界選手権に出場した3人。左から鈴木龍弥、藤飛翔、名取将大。

今年のユース世界選手権の日本代表チームの成績についてはこちらの記事でご紹介しています

リザルト

大会全体のリザルトはこちら

エキスパートコース(5km/1000mD+)・一般の部

男子 / Men

  1. ジョー・グレイ Joe Gray (Merrell) 40:49
  2. 宮原徹 Toru Miyahara(滝ケ原自衛隊) 43:07
  3. 永里剛城 Goki Nagasato(滝ケ原自衛隊) 43:49
  4. 新牛込崇史 Takashi Shinushigome(滝ケ原自衛隊) 44:29
  5. 吉野大和 Yamato Yoshino 45:04
  6. 八田康裕 Yasuhiro Hatta 46:30
  7. 宮崎大夢 Hiromu Miyazaki 47:11
  8. 今井洋二 Yoji Imai 47:27
  9. 鈴木龍弥 Ryuya Suzuki 47:30
  10. 藤飛翔 Tsubasa Fuji(Salomon) 47:40
  • 高校の部の松本良介 Ryosuke Matsumotoは47:22で総合順位では8位。

女子 / Women

  1. 吉住友里 Yuri Yoshizumi 49:46
  2. 小川ミーナ Mina Ogawa (PUMA RC) 57:10
  3. 加藤揚子 Yoko Kato 59:34
  4. 星野緑 Midori Hoshino (La Sportiva) 1:01:51
  5. 福島舞 Mai Fukushima 1:02:44
  6. 須藤吉仕子 Kishiko Suto 1:02:46
  7. 渡邉ゆかり Yukari Watanabe 1:04:35
  8. 柿本恵理 Eri Kakimoto 1:04:57
  9. 高村まゆみ Mayumi Takamura 1:05:46
  10. 下平磨利子 Mariko Shimodaira 1:06:23
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2017年スカイランナー・ジャパンシリーズ Skyrunner® Japan Series・VKカテゴリー

全体のリザルトはこちらから。

男子 Men

  1. 宮原徹 Toru Miyahara(滝ケ原自衛隊) 405.6ポイント
  2. 永里剛城 Goki Nagasato(滝ケ原自衛隊) 347.6ポイント
  3. 新牛込崇史 Takashi Shinushigome(滝ケ原自衛隊) 320.4ポイント
  4. 吉野大和 Yamato Yoshino 313.6ポイント
  5. 宮川朋文 Tomofumi Miyagawa 264.4ポイント

女子 Women

  1. 吉住友里 Yuri Yoshizumi 420ポイント
  2. 滝澤空良 Sora Takizawa 298ポイント
  3. 須藤吉仕子 Kishiko Suto 290.8ポイント
  4. 高村まゆみ Mayumi Takamura 255.2ポイント
  5. 小川ミーナ Mina Ogawa (PUMA RC) 193.6ポイント
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