今年は9月に山形県・蔵王温泉で開催されたZAO Skyrunningでバーティカル・キロメーターとSkyのカテゴリーのスカイランニングアジア選手権 Skyrunning Asian Championshipsが開催されました。そして残るUltraカテゴリーのアジア選手権が明日12月3日に香港で開催されます。昨年のアジア選手権が開催された香港・ランタオ島のMSIG Lantau 50の50kmのレースが今年もUltraカテゴリーのアジア選手権です。UTMBで優勝したばかりのルドビック・ポムレやカロリーヌ・シャヴェロが参加して注目された昨年に比べると、今年のMSIG Lantau 50はもっぱらアジアの選手だけの上位争いとなりそうです。参加者の一覧はこちらから。
当サイトでは今回も現地から3日日曜日午前6時30分(日本時間同日午前7時30分)にスタートするMSIG Lantau 50 / スカイランニングアジア選手権の模様をお伝えする予定です。DogsorCaravanのツイッターアカウント(@DogsorCaravan)、DogsorCaravanのFacebookページをフォローしてお楽しみください。
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(写真・昨年のMSIG Lantau 50で優勝したニコラ・マルタン Nicola Martin。Photo by Koichi Iwasa, DogsorCaravan.com)
自然豊かなランタオ島のトレイルは高度感あり
今回、スカイランニングアジア選手権となるMSIG Lantau 50のレースの概要を見ていきましょう。
MSIG Lantau 50
3日日曜日には16km、27km、50kmのレースが開催され、この中の50kmがUltraカテゴリーのアジア選手権です。スタート・フィニッシュはランタオ島の玄関口となるTung Chung。スタートから最初のチェックポイントとなるCP1 Ngong Pingまではケーブルカーの下にある直線の登りを含む9.5km。ここからケーブルカーの駅を経て西方向に延びる稜線を経て、CP2 Catch Water(24.3km地点)へ。Shek Pikの貯水池の堤防上を経てCP3 Shek Pik BBQ(32.1km地点)を出るとここからのコース後半に、コースのハイライトとなるLantau Peak(934m)、Sunset Peak(869m)の二つの山への急登が待ち受けます。二つのピークの間にはCP4 Pak Kung Au(41.7km地点)があり、Sunset Peakからの長い登りが終わるとCP5 Pak Mong(50.9km地点)。ここからは走りやすいトレイルでフィニッシュへ向かいます。正確なコース全長は54.8kmで累積獲得高度は3,500mD+。昨年の優勝タイムは男子がニコラ・マルタン Nicolas Martin(フランス)で5:41:51、女子がカロリーヌ・シャヴェロ Caroline Chaverot(フランス) 6:27:09でした。
MSIG Lantau 50k スカイランニングアジア選手権の有力選手
男子 Men
男子は昨年のこの大会で2位になったクリストファー・クレメンテ Cristofer Clemente(スペイン)が今年のLantau 50kに帰ってきました。スペイン・カナリア諸島のアスリートで今年はトレイル世界選手権(Trail Sacred Forest)で2位、80km du Mont-Blancで2位と欧州のトレイルランニング、スカイランニングのトップ選手として知られていて、今回のMSIG Lantau 50kの優勝は固いと考えていいでしょう。
クレメンテを追って、アジア選手権のチャンピオンを狙うのはまず日本の大瀬和文 Kazufumi Ose。香港の大会に積極的に挑戦して今年は2月の9 Dragons 50mileや3月のTransLantau 50kで優勝、11月のOxfam Trailwalkerでも4位に。今シーズンはPenyagolosa Trails 115kで8位、Ultra-Trail Australia 100kで9位のほか、国内のスパトレイルで優勝、美ヶ原80kで3位という結果を残しています。
大瀬と並ぶ展開となりそうなのは台湾の26歳、チョウ・チン Chou, Ching 周青です。今シーズンは中国のUltimate Tsaigu 63kで優勝、台湾のBeast Trail 25kで2位、Ultra Maokong 50kで優勝。10月にはMSIG HK50で2位となりました。今回のように国際的な大会での活躍が期待されます。昨年のこの大会で7位、8位となってアジア選手権金メダルと銀メダルをそれぞれ獲得したのが三浦裕一 Yuichi Miuraと町田知宏 Tomohiro Machidaです。今年の三浦は菅平42kで3位、美ヶ原80kで5位となったあと、9月の上州武尊山120kで優勝して100km超のレースでも才能を発揮。町田はOSJ奥久慈50kで優勝し、美ヶ原80kでは7位、信州戸隠50kで優勝しています。そして星野和明 Kazuaki Hoshinoにも上位を期待したいところです。今シーズンは韓国のHigh 1 Skyrunning 42kで韓国のキム・ジンワンに次いで2位でした。大瀬、三浦、町田、星野で金銀銅のメダルは独占することになるかもしれません。
このほかの有力選手は次の通りです。
- ジェレミー・リッチー Jeremy Ritcey(カナダ):今年のTranslantau 100kで3位。
- キム・ジンワン Jinwan Kim(韓国):今年のHigh 1 Skyrunning 42kで優勝。
- ノ・ヘソン Heeseong Noh(韓国): 昨年のMSIG Lantau 50kで9位、アジア選手権銅メダル。
- マルセリーノ・サナオイ Marcelino Sana-oy(フィリピン):今年のCordillera Mountain Ultra 50Kで2位。
- モハマド・ヌディン Mohamad Affindini Nudin(マレーシア):今年のMesastila Peaks Challenge 65 kmで2位。
- アルビン・ピン Alvin Png(シンガポール): 今年10月のMSIG HK50で25位。
女子 Women
女子のレースで注目はずばりミラ・ライ Mira Rai(ネパール)です。2015年のスカイランニングアジア選手権となったMSIG Sai Kung 50kで優勝して以来、2015年は80km du Mont-Blancで優勝、Tromso Skyraceで2位、今年のBen Navis Ultra 118kで優勝と世界のトップ選手として飛躍し、National Geographicの冒険家賞も受賞したミラが久しぶりに香港のレースを走ります。2014年にはMSIG Lantau 50kを6時間14分で2位となっています。その間、ケガなどもありましたが香港でどんなレースを見せるかに注目です。
ミラを追うのは日本を代表するスカイランナーの二人、丹羽薫 Kaori Niwaと星野由香理 Yukari Hoshinoです。丹羽の今シーズンは中国のUltimate Tsaigu 95k優勝に始まり、Andorra Ultra Trail 170kで2位、UTMBで4位、レユニオンで7位。シーズン最後のレースには香港を選びました。一方の星野の今年はKorea 50kで2位、フランスのTempliersで14位、美ヶ原80k優勝、アジア選手権・Zao Skyrunning 28kで2位など。アジア選手権のメダルに期待がかかります。【追記・香港在住のマリー・マクノートン Marie McNaughtonも今回のMSIG Lantau 50kにエントリー。今年はEiger Ultra Trail E101で5位、TransJeju100kやMSIG HK50で優勝しているマクノートンも優勝争いに絡んでくるでしょう。2017.12.02】
このほか、アジアの女子有力選手は次の通りです。
- タヒラ・ナジムニサ Tahira Najmunisaa Muhammad Zaid(マレーシア):今年のUltra-Trail® Unseen Koh Chang 100kで優勝。
- サンディメンチ・アバーン Sandi-Menchi Abahan(フィリピン):昨年のThe North Face 100 Hong Kong 100kで2位、今年のTDSで21位。
- チュン・マンイ Man Yee Cheung(香港):今年のMSIG HK50で4位。
- フン・ミンワイ Ming Wai Fung(香港):今年のMSIG HK50で11位。
- ジュンタラ・パンスリカン Jutharath Phansrikhum(タイ):The North Face 100 Thailand 100kで今年8位。
- アデリナ・リンタンガ Adelinah Lintanga(マレーシア): 今年のBromo Tengger Semeru 100 Ultraで2位。