トランスグランカナリア Transgrancanaria HG 2018 リザルト

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コース序盤が新しくなった125kmのレースは、長距離トレイルランニング界で注目の若手でカタルーニャの27歳、パウ・カペル Pau Capellが優勝。昨年に続いて連覇を果たしました。女子はポーランドのマグダレナ・ラチャック Magdalena Łączakが終始リードして、UTWTのレースで初勝利を果たしました。例年通り、欧州におけるUTWTの開幕戦として注目を集めるとともに、64kmのレースもスペイン陸連によるトレイル・スペイン選手権となったことから多くの有力選手が集まるハイレベルなレースとなりました。

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(写真・今年からスタート地点となった、ラス・パルマス・デ・グランカナリアのラス・カンテラス海岸を午後11時にスタート。Photo by Koichi Iwasa / DogsorCaravan.com )


ヨーロッパではリゾート地として有名な、北大西洋のカナリア諸島・グランカナリア島で春に開催されるトランスグランカナリア TransgrancanariaUltra-Trail World Tourのヨーロッパにおける開幕戦として世界から注目が集まる大会です。今年はコースが一部変更になり、125km 7,500mD+のコースで大会は開催されました。

レースの展開

グランカナリア島の中心となる人口40万人の都市、ラス・パルマス・デ・グランカナリアのラス・カンテラス海岸が125kmのレースの新しいスタート地点となりました。多くのレストランやお店、ホテルが美しい砂浜に沿って立ち並ぶ海岸は午後11時のスタートに向けて賑わいを増していきます。穏やかな浜風が吹く中を886人の選手がスタート。

男子のレースはUTMBで二回連続で3位となっているティム・トレフソン Tim Tollefson(アメリカ)、昨年のUltra-Trail Australiaで3位のオーレリアン・コレ Aurélien Collet、そしてパウ・カペル Pau Capellの3人が先頭集団を作りました。スタート前から足に故障を抱えていたトレフソンが50km地点のエイドを一旦出てからまた戻ってリタイア。コレとカペルの二人のレースは、このコースの象徴である巨大な岩盤に二つの巨石が屹立しているヌブロ岩 Roque Nubloを経て、ガラニョン Garañón(84.3km地点)まで続きます。しかし90km付近からコースが下り基調に転じると、この時を待っていたパウ・カペルがコレに先行しはじめます。その差はタンテ Tunte(96.8km地点)で2分、アヤガウレス Ayagaures(108.9km地点)で4分弱。そしてフィニッシュに向かう最終盤でさらにダメ押しするかのようにペースをあげて12時間42分でフィニッシュ。2位のコレとの差は14分まで広がっていて、圧倒的なその実力を発揮しました。コレはトランスグランカナリアには初出場で2位の好成績を手にしました。

昨年に続く2回目の優勝を勝ち取ったパウ・カペル Pau Capell。

2位でフィニッシュしたオーレリアン・コレ Aurelien Collet。

先頭の3人に続く選手ではドミトリ・ミチャエフ Dmitry Mityaev(ロシア)、アンドリス・ロニモイス Andris Ronimoiss(リトアニア)がリタイア。そうした中でアルテナラ Artenara(62.6km地点)で3番手になったクリストファー・クレメンテ Cristofer Clementeがそのまま3位でフィニッシュ。優勝したカペルからは40分差でした。昨年12月のスカイランニング・アジア選手権・MSIG Lantau 50で優勝しているクレメンテはカナリア諸島のゴメラ島在住です。4位はダニエル・ユング Daniel Jung (イタリア)、5位にこちらもカナリア諸島・テネリフェ島在住のホセ・ルチャルド José David Lutzardo Barrosoと続きました。

3位になったのはクリストファー・クレメンテ Cristfer Clemente。カナリア諸島ゴメラ島在住。

女子のレースはカロリーヌ・シャヴェロ Caroline Chaverotの体調は十分ではなく序盤でリタイア。アンドレア・ヒューザー Andrea Huserも出足が鈍いという具合。二大女王をおいて先頭にたったのがマグダレナ・ラチャック Magdalena Łączakでした。続く女子選手は入れ替わりながらも。結局ラチャックと2位以下の選手の差が縮まることはなく、そのままラチャックが15時間18分で優勝。2位との差は約40分でした。ラチャックは専ら自国のポーランドのトレイルレースで優勝を重ねていますが、欧州では2014年の80km du Mont-Blancで3位、2015年のTransvulcaniaで5位、2016年のHaria Extreme 100kで優勝といった実績をもつ40歳です。

この日の女子のレースをリードしたポーランドのマグダレナ・ラチャック Magdalena Łączakが優勝。

2位争いではエイミー・スプロストン Amy Sproston(アメリカ)が一時リードしますが、80km過ぎでリタイア。アルテナラ Artenara(62.6km地点)でラチャックから17分差の2位になったアンドレア・ヒューザーがそのまま2位でフィニッシュ。ヒューザーに続いたのはフェルナンダ・マシェール Fernanda Macielでしたが、後半は順位を落とすことに。3位になったのはエカテリーナ・ミチャエワ Ekaterina Mityaeva (ロシア)、4位はベス・パスコール Beth Pascall(イギリス)、5位にエバ・スペルガー Eva Sperger(ドイツ)が続き、フェルナンダ・マシェール Fernanda Macielは6位でのフィニッシュでした。

この大会で3回連続の2位となったアンドレア・ヒューザー Andrea Huser。

3位のエカテリーナ・ミチャエワ Ekaterina Mityaeva (ロシア)。

なお、途中でリタイアした主な有力選手は上記で触れたほかは、男子のマリオ・メンドーザ Mario Mendoza(50km地点)、マキシム・カザジャス Maxime Cazajous(82km地点)、ウォルター・マンザー Walter Manser(74km地点)、セバスチャン・シェニョー Sebastien Chaigneau(50km地点)、エマヌエル・ゴー Emmanuel Gault(39km地点)などでした。

優勝争いが期待されたティム・トレフソン Tim Tollefsonは足の故障で50km地点でリタイア。

125kmのコースの後半部で開催されたのがAdvanced 64kのレースです。今年はこのレースがスペイン陸連(RFEA)によるトレイル・スペイン選手権となったことからスペイン国内の有力選手の多くがこちらに出場しました。男子のレースは序盤から積極的に仕掛けてくる選手が少なくなく、優勝したパブロ・ヴィラ Pablo Manuel Villa Gonzálezは序盤の19km地点では先頭から3分の差をつけられていました。しかし、後半に入ると実力で勝るヴィラがリードするようになり優勝を勝ち取りました。2位にはポルトガルのエリオ・フモ Hélio Fumo、3位にフアン・ソモハノ Juan Jose Somohano Peramato、4位にサンティアゴ・メスキータ Santiago Mezquita Fernándezという結果となりました。スペイン選手権としてはヴィラ、ソモハノ、メスキータの3人がトップ3となりました。女子は昨年の125kで優勝しているアサラ・ガルシア Azara García De Los Salmonesがあとは走りやすい林道などを残すだけの47km地点までレースをリードしたものの、最終盤で後続の選手に追われます。残り3km地点ではライア・カニェス Laia Cañes Badenesが先頭に立ち、ここで勝負は決まったかに思われました。ところがこの時30秒差で続いていたモニカ・ビーブス Mónica Vives Vilaがカニェスを交わして優勝。2位のカニェスとは21秒差でした。ビーブスは中盤までトップとは5-6分遅れて走っていたところからの大逆転を見せました。スペイン選手権女子は、ビーブス、カニェス、ガルシアがトップ3に決まりました。男女それぞれのトップ3はスペイン代表選手として今年5月に同じくスペインで開催されるトレイル世界選手権Penyagolosa Trailsに出場します。

スペイン選手権男子チャンピオンのパブロ・ヴィラ Pablo Manuel Villa Gonzále。

スペイン選手権女子チャンピオンのモニカ・ビーブス Mónica Vives Vila。

日本からは遠いが、シーズン最初の2月に一度は行ってみたい

当サイトがトランスグランカナリアの現地取材をしたのは昨年に続いて2回目。グランカナリア島の地形や自然の様子についてはある程度理解していたつもりでした。フィニッシュ地点で多くの参加者が滞在する温暖で日差しに恵まれた砂浜のあるリゾート地として有名なマスパロマス。今回のスタート地点で、島の北東部にある人口40万人の大都市であり、15世紀から大航海時代にかけての歴史が残るラス・パルマス。そして島の北側にある、標高1000mほどの山間に点在する、テロル、フォンタナレス、アルテナラ、テヘダなどの高原の小さな町。様々な面をもつグランカナリア島の魅力は大会前後の滞在だけではほんの片鱗しか知ることができなかったように思います。

島の北側の町、アルテナラからの朝の眺め。

Ultra-Trail World Tourの第3戦としてトレイルランニングの世界では見聞きする機会が増えてきた大会ですが、日本人の(特に日本からの)参加者はまだ少ない大会です。マドリードなどを経由してさらに3時間の飛行機の旅をするので、手軽に行き帰りができる場所とはいえないのは確かですが、それだけに大西洋に浮かぶこの島までやってくるとまだ知らない世界にきた、という気持ちになれるのも確かです。当サイトでは機会があればこのトランスグランカナリアやグランカナリア島についての紹介を続けていく予定です。

スタート地点のラス・カンテラス海岸。

エイドのある街ではこの日は特別に深夜にカフェがオープン。カフェ・コン・レチェで温まりました。

リザルト

大会公式のリザルトはこちらから。

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男子 Men

  1. パウ・カペル Pau Capell Gil (スペイン、The North Face) 12:42:08
  2. オーレリアン・コレ Aurélien Collet (フランス、HOKA One One) 12:56:39
  3. クリストファー・クレメンテ Cristofer Clemente Mora (スペイン、Salomon) 13:22:48
  4. ダニエル・ユング Daniel Jung (イタリア、Team Gore-Scarpa) 13:50:13
  5. ホセ・ルチャルド José David Lutzardo Barroso (スペイン、Sport HG-Amlsport) 13:59:44
  6. アレクサンドル・マイアー Alexandre Mayer (フランス、Team Trail Isostar) 14:06:33
  7. イバン・フラストベック Ivan Hrastovec (スロベニア、Taleris.SI) 14:25:31
  8. ルイス・フェルナンデス Luís Fernandes (ポルトガル、Ludens Clube Machico) 14:33:35
  9. パヴェル・ディベック Paweł Dybek (ポーランド、Salomon Suunto Poland) 14:37:26
  10. ペッター・レストープ Petter Restorp (スウェーデン) 14:44:22

女子 Women

  1. マグダレナ・ラチャック Magdalena Łączak (ポーランド、Salomon Suunto Poland) 15:18:37
  2. アンドレア・ヒューザー Andrea Huser (スイス、HOKA One One) 15:58:11
  3. エカテリーナ・ミチャエワ Ekaterina Mityaeva (ロシア、adidas) 16:12:48
  4. ベス・パスコール Beth Pascall (イギリス、Raidlight) 16:31:33
  5. エバ・スペルガー Eva Sperger (ドイツ) 16:54:27
  6. フェルナンダ・マシェール Fernanda Maciel (ブラジル) 16:59:35
  7. ライア・ディアス Laia Diez Fontanet (スペイン、Waa Team) 17:01:21
  8. アンナ-マリー・ワトソン Anna-Marie Watson (イギリス、Waa Team) 17:08:22
  9. ジョセリン・パウリー Jocelyne Pauly (フランス) 17:12:28
  10. イルディコ・ヴェルミシャー Ildiko Wermescher (ハンガリー、HOKA One One) 17:18:30
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Advanced 64k

男子

  1. パブロ・ヴィラ Pablo Manuel Villa González (スペイン) 5:07:04
  2. エリオ・フモ Hélio Fumo (ポルトガル、Compressport) 5:09:31
  3. フアン・ソモハノ Juan Jose Somohano Peramato (スペイン) 5:13:45
  4. サンティアゴ・メスキータ Santiago Mezquita Fernández(スペイン) 5:18:24

女子

  1. モニカ・ビーブス Mónica Vives Vila (スペイン、HG-AML) 6:15:33
  2. ライア・カニェス Laia Cañes Badenes (スペイン、HG-AML) 6:15:54
  3. アサラ・ガルシア Azara García De Los Salmones (スペイン、HG-AML) 6:17:19
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