上田スカイレース 2018 リザルト

Skyrunner-Japan-Series-logo-768x744初開催のスカイレースは国内屈指の難コース。選ばれし130人が参加した、日本のスカイランニングの歴史に残る1日になりました。5月3日(木)-4日(金)の日程で開催された上田バーティカルレース/太郎山登山競走の二日目は太郎山から西へと足を延ばし、手を使って岩を登るスクランブリング、切れ落ちた岩稜渡りなどを含むテクニカルで急なアップダウンの連続するコースでスカイレースが行われました。「秋和コース」(18km 2000mD+)と「塩尻コース」(25km 3000mD+)の二つのレースが行われ、後者がスカイランニング日本選手権・SKYカテゴリーの大会、そしてスカイランナー・ジャパンシリーズ(SJS)・SKY Classicシリーズの開幕戦でした。

当サイトでは今年も上田バーティカルレース・スカイレースの模様を現地からお伝えしました。。

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(写真・眼下に上田市の市街地を見下ろしながら兎峰を通過する上田瑠偉。Photo by Koichi Iwasa / DogsorCaravan.com)

「塩尻コース」(25km 3000mD+)は、前日のバーティカルキロメーターと同じコースでまず太郎山へ。ここから稜線沿いに西へ進み、虚空蔵山を経て下塩尻へと下ります。ここからは支稜線沿いに登っては下りを繰り返して再び太郎山山頂へ。この間、コースは古い登山等や作業道を再び整備したり、今回の大会のために整備した区間が多く、ロープを頼りに急傾斜を登ったり下りたりするところも多数。途中の兎峰(うさぎみね)は左右が切れ落ちた20-30mの岩稜で、眼下に広がる上田市街と千曲川の眺めは最高ですが、足を滑らせれば命に関わります。その後はゴーロと呼ばれる無数の礫状の岩が広がる斜面の下りが目の前に広がります。日本アルプスのような高山帯では見かける風景ですが、ここは標高1000m足らずの里山。元は天然のまま石が転がるだけだったところに、石を並べ直してスイッチバックのコースが整備されましたが、石はどれも浮石で、不安定な足元が続く中を一気に駆け下ります。25kmという距離ながらほどんど平らなところがない累積3000mD+のコース、登山的な要素や整備されきっていないワイルドな山道がたっぷり盛り込まれているコースは、日本のスカイランニング、トレイルランニングのコースでは他に並ぶものがないユニークな存在。本場・欧州のスカイランニングの原点に近いレースだといえそうです。

虚空蔵山にトップで到着した上田瑠偉。

虚空蔵山にトップで到着した上田瑠偉。

コース中盤に現れるゴーロ。ここをスイッチバックで下りる。

前日のコース説明会ではコースについて詳しい説明があった。

男子のレースは上田瑠偉 Ruy Uedaが終始レースをリードして3時間29分58秒で優勝。コースをプロデュースした松本大さんが予想した優勝選手の予想タイム、3時間45分を大きく上回りました。当サイトも虚空蔵山(7.5km地点)と兎峰(14km地点)でレースを取材しましたが、上田はテクニカルなコースでも他の選手とは別格のスピードでした。今や、山岳コースの20-40kmくらいの距離のレースでは国内で並ぶものはない存在であることを今回の上田スカイレースで明らかにしたといえ、もはや「プリンス」のニックネームよりも「スカイレースの帝王」と呼ぶにふさわしい存在感を示しています。上田は2週前の粟ケ岳バーティカルキロメーターで優勝しているので、今回でスカイランニング日本選手権のVKとSKYの両カテゴリーで2冠を達成です。今年9月に開催されるスカイランニング世界選手権で日本代表としてSKY、VKのレースを走ります。

上田に続いて2位になったのは近藤敬仁 Yoshihito Kondo。2015年アジア選手権・MSIG Saikung 27kで2位をはじめ、スカイレースで活躍する近藤ですが、今回の兎峰ではコースのあまりの迫力に悲鳴を上げていました。上田からは20分差でのフィニッシュ。近藤は世界選手権ではSKYカテゴリーの日本代表。この日、近藤の後を走っていたのは加藤聡 Satoshi Katoですが、コース後半で脱水症状となって救急搬送されることになってリタイアしています。加藤も近藤と同じく、世界選手権でSKYのレースに参加します。この日、3位でフィニッシュしたのは大瀬和文 Kazufumi Oseでした。6日前にUTMFを6位で完走したばかりの大瀬は14km地点の兎峰では9番手を走っていましたが、コース後半に先行する選手を捉えて上田から33分差の3位になりました。大瀬も世界選手権ではULTRAの日本代表です。

高いところは苦手という近藤敬仁。

加藤聡はレースをリタイア。

横山忠男が虚空蔵山を走る。

大瀬和文はUTMFを完走したばかり。

女子のレースは高村貴子 Takako Takamuraが4時間26分で優勝、前日に2位となったバーティカルキロメーターに続く好記録で、日本の女子選手として不動の強さを発揮しました。高村も粟ケ岳バーティカルキロメーターで優勝、今回でスカイランニング日本選手権のVKとSKYの2冠となりました。今年9月に開催されるスカイランニング世界選手権でSKYの日本代表です。女子2位には33分差で田中真紀 Maki Tanaka、3位には木下久美 Kumi Kinoshitaが入りました。

高村貴子が兎峰を通過。

フィニッシュした高村貴子。

初日のバーティカルキロメーター、二日目のスカイレース(いずれもエリートのレース)の順位を加算して競うコンバインドの表彰では高村貴子(VKで2位、SKYで優勝)、永里剛城 Goki Nagasato(VKで2位、SKYで14位)がそれぞれ男女で一位になりました。男子は2位に服部一輝 Kazuki Hattori(VKで16位、SKYで9位)、3位に宮川朋史 Tomofumi Miyagawa(VKで21位、SKYで16位)。女子は2位に木下久美 Kumi Kinoshita(VKで4位、SKYで3位)、3位に須藤吉仕子 Kishiko Suto(VKで5位、SKYで5位)でした。

コンバインドを達成した皆さん。

優勝した上田瑠偉と高村貴子がウィナーズビブを獲得。

この日は大会終了後に、上田市内で今年9月にイギリス・スコットランドで開催されるスカイランニング世界選手権の日本代表壮行会が開催されました。走行会にはこの日の大会に参加したスカイランニング・ファンの皆さんのほか、地元・上田市の関係者の皆さんが多数参加されました。日本スカイランニング協会(JSA)代表理事の松本大さんは「日本代表チームとして、前回2016年の銅メダルに続いて今回は金メダルを目指す」と目標を話しました。この日は今年8月にイタリアで開催されるスカイランニング・ユース世界選手権に参加する日本代表チームも壮行会に参加し、会場からはスカイランニングの次世代を担う代表選手にエールが送られました。

大会後の壮行会には多くの人が詰めかけた。

スカイランニング世界選手権や日本代表チームについては当サイトの記事で詳しくご紹介しています。

th_BuffEpicTrail105k-2016-Japan-third

日本代表選手が発表に・9月開催の2018年スカイランニング世界選手権(Salomon Skyline Scotland、イギリス)と8月開催のユース世界選手権(Gran Sasso Skyrace、イタリア)

2018.04.13
JSAでは世界選手権、ユース世界選手権に挑戦する日本代表選手の渡航費用や宿泊費を援助するための「世界選手権基金」を設立し、寄付を募っています。寄付の方法についてはJSAのウェブサイトをご覧ください

リザルト

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男子 Men

男子トップ10の皆さん。

  1. 上田瑠偉 Ruy Ueda (Columbia Montrail/Redbull) 3:29:58
  2. 近藤敬仁 Yoshihito Kondo (The North Face) 3:50:47
  3. 大瀬和文 Kazufumi Ose (Salomon) 4:03:49
  4. 吉田岳生 Takeo Yoshida 4:04:11
  5. 佐藤雄太郎 Yutaro Sato 4:09:14
  6. 工藤祐輔 Yusuke Kudo 4:09:32
  7. 横山忠男 Tadao Yokoyama 4:14:20
  8. 安田隼人 Hayato Yasuda 4:14:39
  9. 服部一輝 Kazuki Hattori 4:14:56
  10. 遠藤健太 Kenta Endo 4:15:12

女子 Women

女子トップ7の皆さん。

  1. 髙村貴子 Takako Takamura 4:26:12
  2. 田中真紀 Maki Tanaka 4:59:02
  3. 木下久美 Kumi Kinoshita 5:19:35
  4. 岩楯志帆 Shiho Iwadate 5:34:37
  5. 須藤吉仕子 Kishiko Suto 5:41:00
  6. 大松知恵 Chie Ohmatsu 5:48:48
  7. 桑原絵理 Eri Kuwahara 6:04:14
  8. 宮坂康子 Yasuko Miyasaka 6:46:46
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