ダイジェスト・Day 5 雨の南アルプスへ #TJAR2018

8月11日土曜日の深夜12時にスタートしたトランスジャパンアルプスレース Trans Japan Alps Race(TJAR)は16日木曜日に五日目を迎えました。この日の正午が市野瀬チェックポイント(223km)の関門締切時刻でしたが、選手の30人全員が時間内に出発。五日目は選手全員が強い雨や雷の中、濃い霧で視界の効かない地蔵尾根、仙塩尾根を南下しています。上位は昨日と同じく垣内康介、吉藤剛、近内京太、船橋智がリードしていますが、望月将悟をはじめとする各選手との差は次第に小さくなっています。大会六日目の17日金曜日の午前にはトップの選手は残り80kmの舗装路の始まりとなる畑薙に到着し、早ければ七日目に入るまでに静岡市・大浜海岸にフィニッシュするでしょう。

当サイトでは大会の制限時間(8日間)となる8月19日日曜日まで、およそ一日一回のペースでその日のTJARのダイジェストをお送りします。このダイジェストをお送りするにあたっては、トレイルランニングの撮影で著名なフォトグラファー、小関信平 Shimpei Koseki、後藤武久 Takehisa Goto、藤巻翔 Sho Fujimaki、茂田羽生 Hao Modaの皆さんに写真をご提供いただいています。また昨年発売された4人の写真家による写真集「TJAR」についてもこの記事で紹介しています。

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(写真・雨の中、笑顔で市野瀬を出発する大坪穂高。Photo by © 茂田羽生 Hao Moda)

トランスジャパンアルプスレース Trans Japan Alps Raceの概要については当サイトの記事もご覧ください。

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本日深夜12時スタート・期間中のダイジェストはDCで。トランスジャパンアルプスレース Trans Japan Alps Race #TJAR2018

2018.08.11

厳しいコンディションという試練の中、南アルプスを進む

TJAR-logo
前日四日目の早朝に市野瀬を出発した近内京太に始まり、10人余りが前日のうちに市野瀬を出発して始まった五日目。近内は市野瀬からほぼ24時間後の午前5時46分に三伏峠(263km)に到着。垣内はそれから約3時間後、吉藤は午後になってからと三伏峠の通過ではやや差が開いていました。この間、南アルプスは天候が崩れて厳しいコンディションに。各選手はやむなく安全なところで停滞、雨の中で仮眠、あくまで前進とそれぞれの行動を取ることになります。こうした結果、五日目の夜に入ると各選手の差はやや縮まってきました。先頭の垣内康介から百間洞の吉藤剛近内京太までは距離でいえば2kmちょっと。荒川小屋の船橋智佐幸直也望月将悟は先頭からは10km強ほど後ろを進んでいます。

この大会四連覇で大会記録を持つ望月将悟は、ホームグラウンドともいえる南アルプスに入ってペースが上がってきたようで、この日の日付が変わる頃には上位4選手に続くところまで順位を上げて来ました。大会規則より厳しい「無補給」での感想を目指す望月はスタート時点では全日程の食料を含む15kgもの荷物を背負っていました。大会終盤に入ればこの荷物は次第に少なくなることを考えれば、相対的に望月には有利となるはず。

市野瀬チェックポイントを出発する望月将悟。Photo by © Hao Moda 茂田羽生

一方、この日の夜に入って仙丈小屋にいた前田圭紀がリタイア。脚を痛めたためで今大会で最初のリタイアとなりました。

五日目の深夜0時すぎの各選手の状況は次の通りでした。

  • 兎岳付近:垣内康介
  • 百間洞:吉藤剛、近内京太
  • 荒川小屋:船橋智
  • 荒川岳の手前:佐幸直也、望月将悟
  • 小河内岳の手前:雨宮博樹
  • 三伏峠:有吉俊博
  • 北荒川岳:及川耕太郎
  • 安倍荒倉岳:男澤博樹
  • 熊ノ平小屋付近:原一平、柏木寛之、片野大輔、古澤法之、高島伸介(以上5選手は実際にはさらに先を進んでいる可能性あり)
  • 横川岳:竹内雅昭
  • 高望池:細田典匡、岡田泰三、星加博之、秋元恒郎(以上4選手は実際にはさらに先を進んでいる可能性あり)、大坪穂高、高田全希、中野洋平
  • 仙丈ヶ岳:福山智之
  • リタイア:前田圭紀(五日目19時ごろ、足を痛めて)
  • トラッキングエラー:鹿野颯太、江口航平、阿部公一、石田賢生

六日目のうちにフィニッシュか

六日目となる8月17日金曜日は午後5時に三伏峠の関門締め切り時刻を迎えます。一方、上位の選手は六日目の早朝、あるいは午前中に畑薙(残り約80km)に到着すると思われます。ここからは井川湖沿いに進んで温泉に入れる白樺荘、井川オートキャンプ場(残り約70km)を経て峠への上り坂。笠張峠(残り45km)を経て玉機橋を渡るとあとは安倍川を右手に太平洋へ向けて進みます。2018年TJARチャンピオンの大浜海岸へのフィニッシュは6日目の夜、日付が変わるまでに見られることになるかもしれません。なお、前回2016年は6日以内に6人の選手がフィニッシュしています。

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写真(市野瀬にて、Photo by © 茂田羽生 Hao Moda)

福山智之

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前田圭紀

前田圭紀

岩崎勉

岩崎勉

星加博之

星加博之

竹内雅昭

竹内雅昭

写真(南アルプス・塩見岳から三伏峠にて、Photo by © 小関信平 Shimpei Koseki)

三伏峠手前の垣内康介。Photo by (c) 小関信平 Shimpei Koseki

強まる雨の中で行く手を見つめる吉藤剛。Photo by (c) 小関信平 Shimpei Koseki

三伏峠に向けて進む吉藤剛。Photo by (c) 小関信平 Shimpei Koseki

塩見岳から下る江口航平。Photo by (c) 小関信平 Shimpei Koseki

望月将悟が塩見岳から下る。Photo by (c) 小関信平 Shimpei Koseki

望月将悟が塩見小屋に立ち寄ってあいさつ。Photo by (c) 小関信平 Shimpei Koseki

雨宮浩樹はカップ麺2個を塩見小屋で平らげた。稜線で雨と風にさらされて冷え切った体も温まる。Photo by (c) 小関信平 Shimpei Koseki

塩見小屋に宿泊する人たちに見送られて雨宮博樹が出発。Photo by (c) 小関信平 Shimpei Koseki

こちらは有吉俊博。塩見小屋でカレーにありつくがあまりの眠さに食べながら居眠り。Photo by (c) 小関信平 Shimpei Koseki

有吉俊博が塩見小屋を出発。手元のトレッキングポールのうち一本は木の枝。途中で一本を折ってしまい、急遽木の枝で代用。Photo by (c) 小関信平 Shimpei Koseki

参考

写真集「TJAR」

TJARを追い続けている4人の写真家(藤巻翔、小関信平、後藤武久、宮上晃一)。昨年発売されたその珠玉の写真集「TJAR」は現在も購入可能です。当サイトの紹介記事発売記念イベントのレポートはこちら

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