スタートから七日目の8月18日土曜日は415kmの壮大なアドベンチャーを成し遂げた選手を迎えようと、フィニッシュとなる静岡市・大浜公園に大勢の人が集まりました。トランスジャパンアルプスレース Trans Japan Alps Race(TJAR)はこの日の午前1時22分に垣内康介 Kosuke Kaitoが今年の最初の完走者に。初挑戦にして6日と1時間22分でTJARの優勝者という輝かしいタイトルを手にしました。
当サイトでは大会の制限時間(8日間)となる8月19日日曜日まで、およそ一日一回のペースでその日のTJARのダイジェストをお送りしています。このダイジェストをお送りするにあたっては、トレイルランニングの撮影で著名なフォトグラファー、小関信平 Shimpei Koseki、後藤武久 Takehisa Goto、藤巻翔 Sho Fujimaki、茂田羽生 Hao Modaの皆さんに写真をご提供いただいています。また昨年発売された4人の写真家による写真集「TJAR」についてもこの記事で紹介しています。
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(写真・無補給での日本アルプス縦断を成し遂げた望月将悟が7位で大浜海岸へ。Photo by © 小関信平 Shimpei Koseki)
トランスジャパンアルプスレース Trans Japan Alps Raceの概要については当サイトの記事もご覧ください。
青空のもと、29人の選手が残る山岳パートを進む
今年の優勝者垣内康介は岐阜県高山市在住の39歳。過去4大会は望月将悟が優勝しているので、垣内は久々に登場した新チャンピオンということになります。垣内の6日1時間22分というタイムは過去の優勝タイムとの比較では望月(2010, 2012, 2014, 2016年)、田中正人(2008年)に続く記録です。
垣内から約5時間差の早朝、船橋智が6日6時間37分で2位でフィニッシュ。船橋はこれで2010年から5回連続での完走となりました。続いて3位は近内京太で6日8時間11分。昨年まで赴任していたアメリカでは100マイルなどのトレイル、ウルトラで上位に入っていました。今年四月にはUTMFを44時間台で完走しています。その後、4位タイで江口航平と佐幸直也が6日9時間56分で大浜公園に。江口は前回に続いて2回目、佐幸は今回で3回連続の完走で、二人とも今回がTJARでの自己ベストタイムとなりました。その約2時間後、吉藤剛が6位でフィニッシュ。6日12時間17分での完走で、初挑戦の前回よりもおよそ22時間ほど早く駿河湾に到着したことになります。
望月将悟はこの日に日付が変わった直後に、出身地である井川を出発。静岡市の市街地に入ると次第に沿道には地元のヒーローを一目見ようと多くの人が詰め掛け、大会公式Facebookページによれば、望月の勤務する賤機の消防署前では200人、大浜公園にはおよそ500人もの人が集まったといいます。6日と16時間7分で望月はフィニッシュ、7位。今回は大会の競技規則よりもさらに厳しい自主ルールとして、途中で水場での水の補給をするほかは全ての食料をスタートから携行する(市野瀬にもデポで物資を置かない)という「無補給」での完走に挑戦して見事成功。TJARの歴史にまた足跡を刻みました。望月も今回が5回連続での完走で、大会記録となった前回の4日23時間52分はもちろん、今回のタイムは過去の自身のどのタイムにも及びません。ただ、無補給とするために背負った15kgという荷物がありながら、台風のため自身の最も遅い優勝タイムとなった2014年の5日12時間57分と比べても27時間しか違わなかったことになります。
スタートから七日目にフィニッシュしたのは7人。一方、この日最後尾で進んでいた秋元恒郎はこの日の午後10時過ぎに茶臼小屋の手前でレース続行は無理と判断されてリタイア。これで今大会のリタイアは前田圭紀(五日目、仙丈ヶ岳で脚の故障)、岩崎勉(六日目、三伏峠で関門締切に間に合わず)に続いて3人となりました。
その後、八日目の早朝に鹿野颯太が8位で大浜海岸に。7日と4時間23分でした。この日の朝の段階では19人がコース上を進んでいます。
荒川小屋(274km)の出発順位
- 近内京太 五日目 18:01
- 垣内康介 五日目 18:32
- 吉藤剛 五日目 20:36
- 船橋智 六日目 0:54
- 江口航平 六日目 3:10
- 佐幸直也 六日目 3:10
- 望月将悟 六日目 4:43
- 雨宮浩樹 六日目 9:09
- 有吉俊博 六日目 13:22
- 鹿野颯太 六日目 15:30
- 男澤博樹 六日目 16:46
- 柏木寛之 六日目 16:54
- 石田賢生 六日目 16:55
- 片野大輔 六日目 16:55
- 及川耕太郎 六日目 17:13
- 阿部公一 六日目 17:33
- 高島伸介 六日目 17:39
- 古澤法之 六日目 17:50
- 原一平 六日目 23:55
- 星加博之 七日目 3:42
- 細田典匡 七日目 3:46
- 岡田泰三 七日目 4:29
- 大坪穂高 七日目 5:04
- 高田全希 七日目 5:58
- 竹内雅昭 七日目 5:59
- 中野洋平 七日目 6:28
- 福山智之 七日目 7:45
- 秋元恒郎 七日目 7:45
大会最終日、残る20人の完走なるか
大会最終日の八日目となる8月19日日曜日は午前4時に井川オートキャンプ場(残り約80km)、深夜12時に大浜海岸の関門締め切り時刻を迎えます。七日目の午後8時25分に福山智之、高田全希は茶臼小屋を通過した模様。茶臼小屋からは畑薙へと下りて井川まで約25kmです。残る20人の完走を待つ大浜公園ではまだドラマチックなシーンが続くことでしょう(追記・その後八日目の早朝に鹿野颯太が8人目の完走者となり、残るは19人となりました)。
写真(大浜海岸、赤石岳 by 小関信平 Shimpei Koseki)
写真(大浜海岸 by 茂田羽生 Hao Moda)
参考
- 大会サイト
- 大会からのお知らせ
- 大会サイトによる各選手の状況についてのアップデート
- 大会による全選手の現在位置がリアルタイムで把握できるマップ(大会開催中に掲載)
- Twitterのハッシュタグ #TJAR2018 のタイムライン
写真集「TJAR」
TJARを追い続けている4人の写真家(藤巻翔、小関信平、後藤武久、宮上晃一)。昨年発売されたその珠玉の写真集「TJAR」は現在も購入可能です。当サイトの紹介記事、発売記念イベントのレポートはこちら。
- 価格:15,000円(税込/送料別途かかります)
- 体裁:オールカラー160ページ/ボックス付き
- 主な内容
- 1冊ずつにシリアルナンバー入り
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