日本を代表する100マイル・トレイルランニングレースはレースを絞り込んで再出発です。ウルトラトレイル・マウントフジ Ultra-Trail Mt. Fujiは8月23日の記者会見で、来年2019年の大会では170kmのUTMFのみを開催し、92kmのSTYは開催しないことを発表しました。これに伴い、今年の2018年大会ではUTMFが1400人、STYが1000人だった募集枠はUTMFのみで2400人となります。これにより、UTMFは世界的にみても最大級のトレイルランニングレースとなります。ちなみに、ハセツネCUPは定員2500人、UTMB®︎は2300人となっています。
記者会見ではSTYを開催せず、UTMFのみの開催とすることについて「以前から大会期間中にUTMFとSTYを開催することには選手の安全確保や大会の運営上、大きな無理があった」(大会実行委員長・鏑木毅さん)とのこと。具体的には「大会の安全管理チームの限られたリソースがUTMFとSTYに分散することにリスクがあるほか、コース誘導などのスタッフの業務が長時間にわたってしまうことが負担となっていた」(事務局長・千葉達雄さん)として、こうしたリスクや負担を除くことで20年、30年先を見通して長く続けていける体勢を作っていることにねらいがある、と今回の決断の理由について説明がありました。
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富士山山麓を半周するコースで開催されてきたSTYは、100マイルのUTMFに向けた入門レースとして人気を集めていただけでなく、今年2018年のSTYでは男子のレースで海外の選手が上位を占めるなどレースとしても国内外で注目を集めていました。開催されなくなるのは寂しいことですが、一方ではUTMFのエントリー枠は大きく拡充されるため抽選の倍率は相対的に下がって、希望する人が参加しやすくなるでしょう。
一方、主催者であるNPO法人富士トレイルランナーズ倶楽部ではコースのクリーンアップやトレイルの整備活動をさらに強化し、来年度以降はUTMFの大会と並ぶ別の事業として推進していくこともあわせて発表されました。この事業のための財源とするため、来年2019年大会からは一部寄付エントリー枠を設けることとなります。これについては「通常のエントリー料に加えていくらかの寄付金を受け取る形を予定しているものの、当面は寄附金控除などのメリットはない」とのことでした。会見では環境事業によってUTMFのコースにもっと魅力あるトレイルを加えていきたい、との意向も示されました。
このほか海外在住者枠についてはUTMFの2400人のうち800人となり、2019年大会へのエントリーからは初めて抽選が行われることもあわせて発表されました。なお、現在公表している2020年大会までのエントリー資格(3年以内に最大3レースで12ポイント以上)には変更はありません。
2019年ウルトラトレイル・マウントフジの概要(大会ウェブサイトより)
- 日程:2019年4月26日(金)~28日(日)
- 種目:ウルトラトレイル・マウントフジ(1種目のみ)
- 距離:約170km 累積標高差約8,000m
- 制限時間:46時間
- コース:UTMF2018コースを踏襲予定
- 参加資格:UTMF2018 と変更なし(2020年まで参加資格の変更なし)
- 参加者数:2400名(うち海外在住者800名)
- エントリー方法:国内・海外在住者ともに抽選制
- エントリー開始日:2018年10月中旬~下旬予定
- 2019年の詳細な大会概要は、9月に開催予定の関係者説明会を経て9月末までに正式発表される予定。