2019年トレイル世界選手権 Trail World Championships トリオス・ドス・アブトレス Trilhos dos Abutres リザルト


昨年、一昨年の世界選手権を制したチャンピオンも顔を揃えた今年のトレイル世界選手権。6月8日にポルトガル中部、ミランダ・ド・コルヴォ Miranda do Corvoで行われる大会、トリオス・ドス・アブトレス Trilhos dos Abutres (「ハゲタカ・トレイル」)の44.6km 2,150mD+のレースが今年の世界選手権となりました。コースは後半にテクニカルなパートはあったものの前評判通り全般に走りやすく、スピード・レースとなりました。天候は快晴、木陰は涼しい爽やかな一日。しかしコース上は真っ直ぐに日差しを浴びるところが多く、選手にとっては楽なコンディションではありませんでした。

レースでは男女ともに新しい世界チャンピオンが誕生。男子では中盤から先頭に立ったジョナサン・アルボン Jonathan Albon (イギリス)がスピード勝負のこのレースを制しました。スカイランニングでの活躍のほか昨年の世界選手権で4位のアルボンが男子の世界チャンピオンに。女子では序盤からブランディーヌ・リロンデル Blandine L’hirondel (フランス)がリードを守り続け、後続に8分以上の大差をつけて優勝。28歳のリロンデルがフランス国内の40km前後のレースで頭角を現したのは昨年の夏以降。今回は世界選手権の大舞台で観衆を驚かせる活躍をみせました。上位3選手のタイムの合計で争う国別団体では男女ともにフランスが金メダルを獲得。昨年男女の金メダルを独占したスペインは男子が銅、女子が銀。男子の銀メダルはイギリス、女子銅メダルはルーマニアに。

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日本勢は女子で吉住友里 Yuri Yoshizumiが16位、男子で川崎雄哉 Yuya Kawasakiが23位になったのをはじめ、全10選手が完走。団体では女子7位、男子9位という結果でした。

当サイトではTHE NORTH FACEにご協賛いただいて今年の世界選手権の模様を現地からレポートしました。

男子、女子ともに新チャンピオン誕生

男子のレースで序盤にレースをリードしたのは クリスティアン・マティス Christian Mathys (スイス)。国際的なイベントでの実績は少ないマティスですが、後続に数十秒の差をつけてレースを力強くリード。レース後半にリードを奪われたものの、トップに5分差の3位に踏みとどまって見事に表彰台に立ちました。

序盤にレースをリードしたクリスティアン・マティス Christian Mathys(スイス)。背後の橋をジョン・アルボン Jon Albonが渡り切ろうとしている。

序盤にレースをリードしたクリスティアン・マティス Christian Mathys(スイス)。背後の橋をジョン・アルボン Jon Albonが渡り切ろうとしている。

ジョナサン・アルボン Jonathan Albon(イギリス)

ジョナサン・アルボン Jonathan Albon(イギリス)

マティスを追っていた集団はシングルトラックを5、6人の超特急列車で進んでいましたが、唯一の私的サポートありのエイドを過ぎてから先行し始めたのがジョナサン・アルボン Jonathan Albon (イギリス)でした。コース最高地点への登りの途中となる約24km地点で当サイトが見た際には、マティスのわずか数秒差というところまでアルボンが追い詰めていました。その後まもなく先頭に立ってそのまま世界チャンピオンの座に。4月には粟ケ岳スカイレースのため来日していたアルボンがビッグなタイトルを手にしました。

優勝したジョナサン・アルボン Jonathan Albon(イギリス)

優勝したジョナサン・アルボン Jonathan Albon(イギリス)

リードするアルボンを追ったのはジュリアン・ランコン Julien Rancon (フランス)。34kmのアルデイアス・ド・シスト Aldeias do Xisto(石の村)の一つ、ゴンドラマース Gondramazではアルボンに2分差の2位。ここから下りとロードのスピード勝負ではアルボンに引けをとらず、2分差のまま2位でフィニッシュしました。ランコンは40kmくらいまでの距離にフォーカスしていて2013年の世界選手権で3位になった経験も。かつて2011年に招待選手として神流MR&Wに出場したこともあります。39歳のベテランによる見事な準優勝でした。

準優勝のジュリアン・ランコン Julien Rancon(フランス)

準優勝のジュリアン・ランコン Julien Rancon(フランス)

一方、これまでの世界選手権で三連覇のルイス・アルベルト・ヘルナンド Luis Alberto Hernando (スペイン)は前半にトップ集団で走りながらも後半は大きくペースを落として11位での完走となりました。

日本勢は3回目の世界選手権となる川崎雄哉 Yuya Kawasakiが序盤から積極的に前へ。実はポルトガルに入ってから体調を崩してレースを見送ることも考えたといいますが、自身の世界選手権での最高位となる23位、日本代表チームの最高位でフィニッシュしました。城武雅 Masashi Shirotake は48位、森本幸司 Koji Morimoto が70位、牛田美樹 Miki Ushida が93位、横内佑太朗 Yutaro Yokouchi が98位という結果でした。

川崎雄哉 Yuya Kawasakiが23位でフィニッシュ

川崎雄哉 Yuya Kawasakiが23位でフィニッシュ

城武雅 Masashi Shirotake

城武雅 Masashi Shirotake

横内佑太朗 Yutaro Yokouchi

横内佑太朗 Yutaro Yokouchi

女子のレースはブランディーヌ・リロンデル Blandine L’hirondel (フランス)が終始リード。世界のトップ選手が揃ったこの世界選手権でこうした展開、さらにリロンデルの名前はまだ国際的には知られていなかっただけに、彼女の優勝はこの日のビッグなサプライズでした。

笑顔でリードするブランディーヌ・リロンデル Blandine L’hirondel (フランス)

笑顔でリードするブランディーヌ・リロンデル Blandine L’hirondel (フランス)

優勝したブランディーヌ・リロンデル Blandine L’hirondel (フランス)

優勝したブランディーヌ・リロンデル Blandine L’hirondel (フランス)

リロンデルを追っていたのはドラゴミル・デニサ Dragomir Denisa (ルーマニア)、シェイラ・アビレス Sheila Aviles (スペイン)、アサラ・ガルシア Azara Garcia (スペイン)。34kmのゴンドラマース Gondramazではスペインの2人が僅差の2位、3位、デニサが2人から1分遅れの4位。そのすぐ後ろについていたのがルース・クロフト Ruth Croft (ニュージーランド)でした。優勝候補の一人だったクロフトは前半はトップ10圏内をマイペースで走っていましたが、終盤に実力を発揮。残り5km地点で2位となってそのまま準優勝となりました。3位、4位にはアビレス、ガルシアが続き、5位にデニサという結果になりました。

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女子トップ3。左から2位のルース・クロフト Ruth Croft、優勝のブランディーヌ・リロンデル Blandine L’hirondel、3位のシェイラ・アビレス Sheila Aviles 。

女子トップ3。左から2位のルース・クロフト Ruth Croft、優勝のブランディーヌ・リロンデル Blandine L’hirondel、3位のシェイラ・アビレス Sheila Aviles 。

昨年の世界チャンピオン、ラグナ・デバッツ Ragna Debats(オランダ)は序盤から体調が優れず出遅れ気味、この日はDNFでレースを終えています。

日本勢では吉住友里 Yuri Yoshizumi が16位に。2016年のトレイル世界選手権での13位には及びませんでしたが、世界トップクラスの選手が集まる中で存在感を示しました。前週に同じポルトガルのマデイラ島で行われたスカイランナー・ワールドシリーズのMedeira Skyraceで4位と健闘した高村貴子 Takako Takamuraはこの日は31位という結果にとどまりました。このほか、秋山穂乃果 Honoka Akiyama が40位、宮﨑喜美乃 Kimino Miyazaki が72位、斎藤綾乃 Ayano Saito が116位でした。

吉住友里 Yuri Yoshizumi が16位に。

吉住友里 Yuri Yoshizumi が16位に。

高村貴子 Takako Takamura

高村貴子 Takako Takamura

宮﨑喜美乃 Kimino Miyazaki

次回は規模を拡大して2021年に開催

2016年からITRA(国際トレイルランニング協会)が加わって開催されてきたトレイル世界選手権ですが、40km前後と80km前後を交互に毎年開催するという形式は今年が最後となります。

来年は世界選手権がお休みとなり、2021年からマウンテンランニングとともに国際陸連のレーベルがついた「IAAF Trail and Mountain Running World Championship」として隔年で開催することが決まっています

新しい世界選手権は。バーティカル(5km)、クラシックマウンテンランニング(12km)、マラソン(42km)、ウルトラ(80km)の4つの種目となる予定で、開催地・開催時期は今年の終わりまたは来年初めに発表される見込みです。

リザルト

全体のリザルトはこちら

Women 女子

  1. ブランディーヌ・リロンデル Blandine L’hirondel (FRA) 4:06:17
  2. ルース・クロフト Ruth Croft (NZL) 4:14:28
  3. シェイラ・アビレス Sheila Aviles (ESP) 4:15:04
  4. アサラ・ガルシア Azara Garcia (ESP) 4:15:30
  5. ドラゴミル・デニサ Dragomir Denisa (ROU) 4:17:03
  6. シルビア・ランパッソ Silvia Rampazzo (ITA) 4:17:51
  7. ヘマ・アレナス Gemma Arenas (ESP) 4:21:22
  8. サラ・ヴュイユ Sarah Vieuille (FRA) 4:21:50
  9. アイデー・ロアイサ Aydee Loayza (PER) 4:22:31
  10. アデリーヌ・ロシュ Adeline Roche (FRA) 4:22:45
  11. クレマンティーヌ・ジェオフリー Clementine Geoffray (FRA) 4:24:13
  12. ファニー・ボーグストロム Fanny Borgström (SWE) 4:24:50
  13. シャーロット・モーガン Charlotte Morgan (GBR) 4:26:43
  14. ジュリー・ルー Julie Roux (FRA) 4:28:41
  15. マルタ・モリスト Marta Molist (ESP) 4:30:08
  16. 吉住友里 Yuri Yoshizumi (JPN) 4:32:49(レース後のインタビュー
  17. アンナ・コメット Anna Commet (FRA) 4:33:15
  18. クリステル・ラザール Christelle Lazard (FRA) 4:33:47
  19. ステファニー・オースティン Stephanie Austin (AUS) 4:33:58
  20. バーバラ・バニ Barbara Bani (ITA) 4:34:11
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31 高村貴子 Takako Takamura (JPN) 4:45:11 (レース後のインタビュー

40 秋山穂乃果 Honoka Akiyama (JPN) 4:50:48 (レース後のインタビュー

72 宮﨑喜美乃 Kimino Miyazaki (JPN) 5:12:52 (レース後のインタビュー

116 斎藤綾乃 Ayano Saito (JPN) 5:36:00 (レース後のインタビュー

Men 男子

  1. ジョナサン・アルボン Jonathan Albon (GBR) 3:35:34
  2. ジュリアン・ランコン Julien Rancon (FRA) 3:37:47
  3. クリスティアン・マティス Christian Mathys (SUI) 3:40:34
  4. フランチェスコ・パピ Francesco Puppi (ITA) 3:40:44
  5. ニコラ・マルタン Nicolas Martin (FRA) 3:42:27
  6. エマヌエル・メイサ Emmanuel Meyssat (FRA) 3:43:20
  7. ルドビック・ポムレ Ludovic Pommeret (FRA) 3:44:01
  8. アントニオ・マルチネス Antonio Martinez (ESP) 3:44:40
  9. アンドレウ・シモン Andreu Simon (ESP) 3:46:12
  10. エリオ・フモ Hélio Fumo (POR) 3:47:34
  11. ルイス・アルベルト・ヘルナンド Luis Alberto Hernando (ESP) 3:47:42
  12. ホセ・キスペ Jose Quispe (PER) 3:47:43
  13. カール・ベル Carl Bell (GBR) 3:47:57
  14. レオナール・アルベール Leonard Albert (ROU) 3:48:37
  15. ルカ・カニャティ Luca Cagnati (ITA) 3:49:32
  16. アンドリュー・デイビス Andrew Davies (GBR) 3:49:57
  17. ドルガ・ブッダ Durga Budha (NEP) 3:50:25
  18. マルコ・デ・ガスペリ Marco De Gasperi (ITA) 3:50:29
  19. ダミアン・ボグダン Damian Bogdan (ROU) 3:50:59
  20. ジリ・シパ Jiri Cipa (CZE) 3:51:17
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23 川崎雄哉 Yuya Kawasaki (JPN) 3:52:47 (レース後のインタビュー

48 城武雅 Masashi Shirotake (JPN) 4:02:33 (レース後のインタビュー

70 森本幸司 Koji Morimoto (JPN) 4:09:52 (レース後のインタビュー

93 牛田美樹 Miki Ushida (JPN) 4:20:41 (レース後のインタビュー

98 横内佑太朗 Yutaro Yokouchi (JPN) 4:23:35 (レース後のインタビュー

国別団体女子

女子団体、左から銀のスペイン、金のフランス、銅のルーマニア。

女子団体、左から銀のスペイン、金のフランス、銅のルーマニア。

  1. フランス 12:50:53
  2. スペイン 12:51:58
  3. ルーマニア 13:36:28
  4. イタリア 13:44:39
  5. イギリス 13:51:28
  6. スウェーデン 13:54:07
  7. 日本 14:08:50
  8. アメリカ 14:09:58
  9. カナダ 14:24:40
  10. ポルトガル 14:35:05

国別団体男子

男子団体、左から銀のイギリス、金のフランス、銅のスペイン。

男子団体、左から銀のイギリス、金のフランス、銅のスペイン。

  1. フランス 11:03:35
  2. イギリス 11:13:28
  3. スペイン 11:18:35
  4. イタリア 11:20:46
  5. ポルトガル 11:32:11
  6. ルーマニア 11:32:51
  7. ペルー 11:58:07
  8. チェコ 12:02:26
  9. 日本 12:05:13
  10. フィンランド 12:22:06
今回の日本代表選手の皆さん

今回の日本代表選手の皆さん

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