今年のUTMB®︎に顔を揃えた日本を代表するウルトラトレイル・アスリートの三人が、レースを終えたばかりのシャモニーで一緒に振り返ります。
今年もフランス、イタリア、スイスの三ヶ国にまたがる170kmのコースで行われたUTMB®︎。日本のUTMB®︎ファンには小原将寿 Masatoshi Obara、土井陵 Takashi Doi、大瀬和文 Kazufumi Oseの三人が揃って参加したことが話題になりました。UTMB®︎では小原が16位(2016年)、土井が11位(2015年)、大瀬が23位(2014年)とTDS®︎で22位(2018年)と日本の選手としてはトップクラスの結果を残しており、170kmのUTMB®︎への参加は三人とも今回が4回目。
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大会パートナーのSTRAVAが大会期間中のシャモニーでオープンしていたSTRAVA Cafeでは、9月1日日曜日にレースを終えたばかりの三人を招いて「2019年UTMB反省会」を開催。礒村真介さんが聞き手を務めたこのイベントには、たくさんの聴衆の皆さんが参加されました。当サイトではこのイベントの模様を収めた動画をここで公開します。
レースの結果はすでにお伝えした通りですが、小原将寿さんが8位(23時間0分)に。表彰台に立つUTMB®︎のトップ10に日本の男子選手が入ったのは2012年に鏑木毅さんが10位になって以来のことです。前半から胃腸のトラブルに苦しんだ土井陵さんは男子85位(29時間23分)、同じく胃腸のトラブルで大瀬和文さんはリタイアとなりました。
この反省会は、スタートラインの最前列に立った大瀬さんとそのすぐ後ろに並んだ小原さん、土井さんがそれぞれどんなことを考えていたか振り返るところから始まりました。大瀬さんは数多くの海外でのレースを通じてトップ選手たちの考え方を学んだ経験について話します。序盤はお互いに励まし合いながら走っていた三人ですが、コンタミン(31km)の前後から土井、大瀬は揃って胃腸に違和感を覚え始めます。特にトレイルの下りで痛みで走ることに集中できなくなる中、大瀬さんは深夜のラック・コンバル(68km)でリタイアを決断することに。早朝に想定タイムから大きく遅れてクールマイユール(78km)にたどり着いた土井さんはレースを続けるか否か、迷うことになります。その土井さんに先を進む決意をさせたのは、後からやってきたレジェンド・鏑木毅さんの一言でした。
一方の小原さんはコースを進むにつれて、これまでのUTMB®︎で活躍してきた有力選手たちに一人、また一人と追いつき追い越すうちにどんどんテンションが上がっていったと振り返ります。小原さんは「前半はペースを抑えて体力を温存する」というウルトラトレイルのセオリーを守って過去3回のUTMB®︎に臨んできましたが、今回は思い切って前半から全力で走り後半は逃げ切る、という作戦をとりました。そうした作戦について、大瀬さん、土井さんもそれぞれの考え方を披露してくれました。
「2019年UTMB反省会」の模様は以下から44分の動画で全編をご覧いただけます。この動画にはYouYubeの機能を使って全て日本語字幕をつけていますので、移動中や外出先でも楽しんでいただけます。
- 0:25 小原さん、土井さん、大瀬さん紹介
- 2:59 スタート前に話していたこと
- 6:31 スタート前に考えていた戦略
- 10:17 コンタミン(31km)までを振り返る
- 13:03 序盤の有力選手のふるい分けの中で
- 17:16 腹痛に苦しめられた大瀬さん、土井さん
- 23:06 絶好調の小原さん
- 24:37 クールマイユールでの出来事、土井さんと鏑木さん
- 29:10 苦しくてもリザルトに名前とタイムを残す
- 30:32 小原さんの後半のレース展開
- 32:47 最後まで気が抜けないレースとなった小原さん
- 35:19 「前半から思い切って全力で走る」ことにした理由
- 36:16 大瀬さんのアドバイス、土井さんの「マイペース」
- 40:01 ラスト1km、シャモニーに帰ってきた時
- 42:21 大瀬さん「また三人でUTMBを走りたい、その時は二人をねじ伏せる!」