【編者より・今年の夏、当サイト・DogsorCaravanではコロンビア モントレイルにご協力いただいてトレイルランニングやスカイランニングについての話題を皆様にお届けしました。秋も深まった今、手元に送っていただいたトレイルランニングシューズ「カルドラドIII」を前に、当サイトの中の人・岩佐が自分自身のトレイルランニングシューズにまつわるエピソードを振り返りました。】
初めて履いたトレイルランニングシューズって何だっただろうか。山を走る新しい冒険のためにワクワクしながら最初の一足をどこかで買ったはずだけれど、思い出せない。
ただ、トレイルランニングを始めて、シューズに感じた最初の不満ははっきり覚えている。それは、石に足がぶつかって痛い、ということ。特に長いレースでは親指のつま先が痛くて、レースの後は爪が内出血で真っ黒になってしまって腫れ上がってしまう。今思えばトレイルの走り方が上手でなく、特に疲れてくると足の置き方が雑になっていたんだろう。
そんな経験をしていた私が信越五岳で初めての100kmのトレイルランニングレースに挑戦するために選んだのがモントレイルの「ハードロック」というシューズだった。これはプラスティックの突き上げ防止のプレートが入っていて、ソールがとにかく頑丈。つま先やかかとも樹脂製のしっかりしたパネルで守られている。まさに「ボム・プルーフ」(爆弾にも耐えられる)といった感じで信頼感は抜群。そしてこの「ハードロック」で私は信越五岳を完走(足の爪はやっぱり失うことになってしまったが)。「ハードロック」を大いに気に入った私は、ゴア・テックスを使ったミッドカットのモデルも買い足した。これはつい最近まで私のお気に入りの秋冬のハイキング用シューズだった。
信越五岳の完走に気をよくした私は、100マイル、それもアメリカの100マイルトレイルランニングレースの元祖であるウェスタンステイツの完走を目指すことになる。
この頃、流行し始めたのがトレイルのコンディションを直に足裏に感じられる薄底で軽量なシューズだった。そして私はトレイルランニングの流行に目がないヒップスターだったから、そうしたミニマルなトレイルランニングシューズに飛びついた。そうして2012年6月、「234」のナンバーカードを着けた私はお気に入りの薄底シューズ(これはモントレイルではなかった)を履いてウェスタンステイツのスタートラインに立つ。そしてその14時間後、コース上で私は自分のシューズの選択に悪態を吐いていた。100km地点にあるフォレストヒルのエイドにたどり着いたとき、私の足の裏とふくらはぎの筋肉はパンパンに腫れ上がっていた。そこで念のため用意していた普通のシューズに履き替えたが後の祭り。走る辛さから歩きに切り替え、ペーサーに励まされてまた少しだけ走ることの繰り返し。なんとか完走はしたものの、目標の24時間は大幅にオーバーしてしまった。
しかし、天は私を見放さなかった。まず、幸運にもその翌年、2013年に再びウェスタンステイツにチャレンジするチャンスを手にしたのだ(例年、400人あまりの出場枠に何倍もの参加申込みがあり、抽選で出場者が選ばれる)。もう一つの幸運は、モントレイルの「バハダ」と出会ったこと。実は初代の「バハダ」が発売されたのは2012年の春のこと。ロード用のランニングシューズのようなソールの反発力とクッション性に、適度なトラクションがあるアウトソールやつま先やかかとのプロテクションを組み合わせた「バハダ」は、すでに私が苦杯を舐めた初めてのウェスタンステイツでも使っているランナーが少なくなかった。ウルトラディスタンスを快適に走れる画期的なトレイルランニングシューズとして、「バハダ」は注目の存在だったのだ。
前年と同じ「234」のナンバーカードを着けた私が再びフォレストヒルにたどり着くと、エイドのボランティアが私の足元を見て声をかけてくれた。「モントレイルのバハダだろ?俺もそのシューズがお気に入りなんだ。」今度はシューズを履き替えずに「バハダ」を履いたままレースを続行。念願の24時間切りを達成することができた。
ウェスタンステイツで24時間以内完走を果たしてからは、選手として走るよりも取材のためにレースに行くことが多くなった。
2015年のUTMB®︎の前にシャモニーで石川弘樹さんにインタビューした時、石川さんはバハダに似ているけどちょっと違う新しいシューズを履いていた。そのシューズは翌年春「カルドラド」として発売される。ウェスタンステイツの行われるカリフォルニアと、コース中盤の難所・エルドラドクリークからその名を取られた「カルドラド」はウェスタンステイツ攻略のために作られたトレイルランニング・シューズだという。
トレイルランニング初心者の私の足をがっちり守ってくれた「ハードロック」。ウェスタンステイツでランナーとしての夢を叶えてくれた「バハダ」。そしてその夢のレースを攻略するために新たに生まれた「カルドラド」。コロンビア モントレイルはこれからも私の夢への挑戦(それは選手としてだったり、取材者としてだったりするが)を後押ししてくれるに違いない。
現在、最新モデルの「カルドラドIII」が発売されていて私の手元にもある。またいつかこのシューズで100マイルを(できればウェスタンステイツを)走ってみたい。その時は「カルドラド・フォー」、あるいは「カルドラド・ファイブ」を履くことになるのかもしれない。
「カルドラドIII」はアッパーのメッシュが新しくなった人気モデルの3代目
コロンビア モントレイルの「カルドラドIII」はグリップ性、クッション性、サポート性、履き心地といったトレイルランニングシューズに求められる要素のバランスに優れたモデルの3代目。ダブルトラックの林道からシングルトラックの登山道まで幅広い場面で快適なトレイルランニングを楽しむことができるでしょう。
前モデルからはアッパーのメッシュ素材の網目の密度が高くなったのが大きな変更点。伸縮性や通気性を備えながらも足のホールド感は高くなり、多少テクニカルなトレイルでも安心感が増しました。
同じくコロンビア モントレイルから発売されている「バハダIII」と比べると、ミッドソールに衝撃吸収性に優れた「フリューイッドフォーム」を採用している点は共通しています。「カルドラドIII」では、加えてミッドソールに足裏の部分ごとに密度の異なる素材を配置することで土踏まずのアーチを支える「フリューイッドガイド」を導入していることから、走る足の動きをサポートすることに重きをおいているといえます。これに対して「バハダIII」はグリップ性や長時間走った時の足の安定感にやや重きを置いた印象。重量はメンズの目安で「カルドラドIII」が296g、「バハダIII」が290gとなっています。
- カルドラドIII Caldorado III
- サイズ:メンズ 25-29、30cm ウィメンズ 22.5-26cm
- 重量:メンズ 296g ウィメンズ 248g
- ドロップ:8mm(19mm – 11mm)
(協力:コロンビアスポーツウェアジャパン)