【追記あり】DC Weekly 2020年3月9日 – Transgrancanaria、Trail du Ventoux

【追記・EcoTrail Parisの開催が見送られたことを追記しました。】週末はスペイン・カナリア諸島で開催のUTWT第3戦、Transgrancanaria HGに世界のトップ選手が集結してレースが展開されました。しかし、新型コロナウィルスは世界各地に感染者を増やしており、とりわけ先週後半は欧州各国、アメリカ合衆国でも急速に感染が広がっているというニュースが聞かれるようになりました。これを受けてヨーロッパ、アメリカの大会も参加者から大会開催の可否についての問い合わせを受けて、考え方をアナウンスする大会が現れています。

国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーでは今年の予定を随時アップデートしています。まだ掲載していない大会についての情報のご提供、掲載済みの大会についてのご指摘を歓迎いたします。

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(写真・Transgrancanariaの今年の女子トップ3。左から2位のシャン・フージャオ、優勝のケイトリン・ガービン、3位のアサラ・ガルシア。Photo by © Ian Corless / Transgrancanaria HG)

先週末のイベント

Transgrancanaria HG (265k, 125k, 64k, 42k, 30k, 17k)

スペイン・カナリア諸島のグラン・カナリア島で開催。Ultra-Trail World Tourの第3戦となる125kmのレースは今年のシーズン開幕にふさわしい熱いレース展開となりました。今年は大会のキャッチフレーズを「Women leads the trail」とし、トレイルランニングの世界でさらに女性選手に注目を集めようという取り組みが大会では行われていました。例えば、スタート時の最前列には男子ではなく女子のトップ選手が並ぶ、といった具合です。

125kmの女子はこの大会で2017年に優勝していて昨年のOCCで2位のアサラ・ガルシア Azara Garcia (スペイン)がリードして、50km過ぎでは後続に約9分のリード。後を追っていたのは昨年2位のケイトリン・ガービン Kaytlyn Gerbin (アメリカ)で、82kmのグランカナリア島のランドマーク、ロケ・ヌブロを過ぎたところでガルシアを捉えて先頭に立ちます。以後、コースがマスパロマス灯台のフィニッシュへと下りに転じてからは着実にリードを広げて15時間14分でフィニッシュして優勝。2位だった昨年の自身のタイムから80分も縮める好記録でした。そして、ガービンとともに素晴らしい走りを見せたのはシャン・フージャオ Xiang Fuzhao (中国)でした。シャンはレース中盤、64kmまではトップのガルシアから25分前後遅れての5位。しかし後半に入って一山越えた75kmではペースが落ち始めたミンミ・コトカ Mimmi Kotka、オードレー・タンギィ Audrey Tanguyといったトップ選手を抜いて3位に浮上。レース終盤の下りではペースを上げはじめ、残り10km前後のところでガルシアに追いついて2位に。優勝したガービンに11分差まで迫る15時間25分で準優勝を手にしました。3位には15時間31分でガルシア。3人から1時間半ののちに、4位にオードレー・タンギィ Audrey Tanguy (フランス)が16時間59分、5位にクラウディア・トランプス Claudia Tremps(スペイン)が17時間21分でした。

揃ってフィニッシュしたパウ・カペル(左)とパブロ・ビジャ。Photo by © Ian Corless / Transgrancanaria HG

揃ってフィニッシュしたパウ・カペル(左)とパブロ・ビジャ。Photo by © Ian Corless / Transgrancanaria HG

男子ではこの大会で三連覇中のパウ・カペル Pau Capell(スペイン)、昨年の2位で夏のTDS®︎優勝のパブロ・ビジャ Pablo Villa(スペイン)、昨年のウェスタンステイツ2位のジャレド・ハーゼン Jared Hazen (アメリカ)、今年のHK100で優勝のイウ・ペイチャン You Peiquan(中国)の4人が先頭集団を形成。この中から50km付近でイウが脱落してその後、リタイアすることに。64km付近では上位3人の先頭集団から次の選手までは20分差というスピードとなるなか、ハーゼンがペースを落としはじめ、その後リタイア。その後はカペルがビジャに3分差をつけてリードしたかと思えばその後の登りを経た後では逆にビジャが3分差でリード。コースが終盤の下り基調に転じるとカペルが再びビジャを追い上げて110kmまでに二人は並ぶことになります。しかし残る約20kmを二人は一緒に歩を進めて揃って13時間4分でフィニッシュ、二人揃っての優勝となりました。後続グループの中からスマートなレース展開で後半に前に出たのはディラン・ボウマン Dylan Bowman (アメリカ)で最後は13時間23分で3位に。ちなみに、カペルとボウマンは2018年UTMFで最終盤の熾烈なバトルでボウマンが勝っています。ビジャとボウマンは2018年のTDS®︎でボウマンが2位になった時、終盤に二人でトップを追っています(ビジャはリタイア)。4位には途中までボウマンと並走していたハリー・ジョーンズ Harry Jones (イギリス)が13時間57分、5位にはランベール・サンテリ Lambert Santelli(フランス)が14時間25分でした。

男子3位となったディラン・ボウマン。Photo by © Ian Corless / Transgrancanaria HG

男子3位となったディラン・ボウマン。Photo by © Ian Corless / Transgrancanaria HG

この125kmのレースに先立って、4日水曜日にはグランカナリア島をぐるりと回るセルフ・ナビゲーションの262kmをシングルステージで走る、「360°」がスタートしています。72人が参加したこのレースは2017年にタイで優勝、2019年にソロで優勝しているルカ・パピ Luca Papi(イタリア)が50時間59分で三度目の優勝。女子はマルタ・ポレッティ Marta Poletti(イタリア)が64時間51分でレースを制しました。日本からこの360°に参戦した長田豪史 Osada Goshiは210kmを過ぎるまでルカ・パピとともにトップを走りましたがその後にリタイア。当サイトではレースを終えた後の長田さんにインタビューを行い、ポッドキャストのエピソードとして公開しています

これも読む
DC Weekly 2023年12月18日 吾妻山、大多喜、TOKYO八峰、伊勢の森

リザルトはこちらから。

次のUltra-Trail World Tourのレースとなるのは第4戦で3月23日のガオリゴン Gaoligong by UTMB®︎(中国)でしたが、新型コロナウィルスの影響から大会を今年の12月18-20日に延期するとしています。続く第5戦は4月4日にアルゼンチンで開催のPatagonia Runとなります。

3月7日土曜日 – 8日日曜日

Trail du Ventoux (46k / 26k /15k)

フランス南部のベドアンで開催。Golden Trail Seriesのフランス国内版となるGolden Trail National Seriesの開幕戦でした。大会Facebookページによれば、新型コロナウィルスが拡大する中ですが当局の指示を直前まで確認の上、感染防止策をとった上での開催となりました。リザルトはこちら(公開され次第リンクします)。

今週末開催のイベント

3月11日水曜日 – 14日土曜日

(中止)Pierra Menta

UTMB®︎のTDS®︎のコースともなっているフランス・ボーフォールで毎年開催されるスキーマウンテニアリング(スキーモー)の伝統ある人気大会。二人一組のチームで4日間に渡って、毎日異なる距離20km前後、累積獲得高度2500mD+前後のコースを進むステージレースには例年、トレイルランニングのトップ選手も参戦しています。しかし、新型コロナウィルス感染拡大のため大会は3月6日に第35回目となる今年の大会を中止とすることを発表しています。

3月13日金曜日 – 15日日曜日

(延期)Dalat Ultra Trail (100k, 70k, 45k, 21k, 10k)

ベトナム南部の高原都市、ダラットで開催のトレイルランニングレースで、3回目の開催となる今年は100kmのレースが新たに加えられています。Asia Trail Masterのシリーズ戦。しかし、こちらも新型コロナウィルスのために今年の大会を6月19-21日に延期することを2月5日に発表しています

3月14日土曜日 – 15日日曜日

(延期)Eco Trail Paris(80k, 45k, 30k, 18k, 10k, ほか)

【追記・その後、フランス保健当局がイベント中止の対象を1000人以上のイベントへと拡大、これを受ける形で3月9日午後に大会を中止、10月3日の大会開催を目指すことをFacebookページで発表しました。】フランス・パリの公園や森をつなぐコースで開催される都市型トレイルランニングイベントで、80kmからエッフェル塔を駆け上るバーティカルランまで様々なイベントに合わせて約12,000人が参加する大会です。フランスにおいても新型コロナウィルスの感染者が急増しており、当局は大型イベントの中止を求めている模様ですが、本稿執筆時点では大会期間を通じて同時に集まる人数は中止の対象にはおよばないとして、大会では予定通り開催することをFacebookページでアナウンスしています。

Antelope Canyon (100m, 50m, 55k, & half marathon)

アメリカ・ユタ州のグレートソルトレーク(湖)にあるアンテロープ島で開催。この大会の主催者は同様に開催している他の大会も含め、全ての大会を開催し、決して中止にしないと宣言しています。レースは手洗いなどの対策をとって運営する一方、手数料は差し引くものの参加料の返金や他の大会への振り替えや来年の大会への繰延べに応じるとしています。

(中止)神宮外苑24時間チャレンジ・ウルトラマラソン(24h, 12h, 50k)

東京・神宮外苑の周回コースで開催されるウルトラマラソンで、24時間走は来年の24時間走世界選手権の日本代表選考において重要な位置づけとなる大会です。しかしこの大会も新型コロナウィルスのために中止となっています。

3月15日日曜日

(中止)SATOYAMA養老渓谷トレイルラン(32k/16k)

千葉県市原市。昨年秋に房総半島を襲った台風による被害が残ることから16kmのレースは開催せず、32kmの石尊山縦走コースのみで開催の予定でした。しかし新型コロナウィルスのため大会は中止と発表されています。

(中止)南伊豆トレイルマラソン(20k)

静岡県南伊豆町。南伊豆臨海学園を会場とする大会です。会場の南伊豆臨海学園が休館となったことから大会は中止に。

(中止)天草観海アルプストレイルラン(26k)

熊本県上天草市。今回は8回目の開催となる予定でしたが、新型コロナウィルスのため中止と発表されています。

前週末の主な大会のリザルトと、今週末の国内外のトレイルランニング大会の予定をお伝えしているニュース記事・DC Weeklyへ、皆様からの情報や写真の提供を歓迎します。下のコメント欄もぜひご活用ください。国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーにもぜひご利用ください。

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