STRAVAはランナーにとっては仲間との交流のためのSNSであり、自分の練習を振り返ったり計画を立てたりするのに便利なオンラインサービス。目下のコロナ禍でレースやグループランの機会が失われた中では、アスリートにとって存在感が増しているのではないでしょうか。
5月19日にSTRAVAは有料のサブスクリプション・プランについてのアップデートを発表しました。ユーザーにとって一番目につくのはサブスク・プランについて従来「Summit」と呼んでいたのをやめる、という点。STRAVAの中に設けていた有料の別ブランドを廃止することで、STRAVAの機能は全体として一つでありサブスクすることで全機能を活用できることが明確になったといえます。月額525円(年間払いの場合、毎月払いは月額800円)はこれまでと変わりません。
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今回のSTRAVAのサブスクについてについてのアップデートは、ユーザーであるアスリートが必要とする機能を提供してその対価をもらう、という方針に沿ったものといえそうです。TwitterやFacebookのように無料で提供されるサービスは多いですが、収益を得るために広告が配信されたり、多数の個人の利用情報が様々に加工されて利用されたりして、それはユーザーの使い勝手を損なう場合もあり得ます。一方、STRAVAでは最近もアクティビティが並ぶフィードの中で広告っぽい表示をしていたいたのを止めています。今回のアップデートでは下でみるように一部の機能はサブスクしないと使えなくなりますが、それはデータのメンテナンスコストが大きいといった理由で、例えば過去の自分のアクティビティの閲覧に制限をかけるといった使い勝手を人質にとるような意図は感じません。
この点についてSTRAVAのファウンダー、マークさんとマイケルさんは「今回の変更に伴う収益は、更なる機能の追加や改善にダイレクトに反映していきます。(中略)購入する価値があると思っていただけるようなプロダクトを作ることで、みなさまへのコミットメントを示していく考えです。」とコメントしています。同時に「特に今の情勢では、厳しい生活を強いられている方も多くいらっしゃると思います。これまで通り多くのアスリートにご利用いただけるよう、無料版のSTRAVAも品質と使いやすさを保ち、今後も提供を続けていきます」とのこと。
というわけで無料のままでもSTRAVAを便利に使い続けることができますが、今回のアップデートにあわせて無料版のユーザーには60日間(過去最長!)のフリートライアルが提供されます。STRAVAのサブスク機能をじっくり試すにはいい機会ですね。
セグメント関連の一部機能はサブスクに移行
今回のアップデート後も無料ユーザーに提供される機能は大きく変わりませんが、セグメントに関する以下の機能についてはサブスクするユーザーのみが使えるように変更されます。
- セグメントの全体リーダーボード(無料ユーザーは全体トップ10、女性トップ10のみ閲覧可)
- セグメントエフォートの分析
- セグメントにおける自分の過去のエフォートとの比較
このほか、セグメントの作成、セグメントの距離や勾配などの詳細画面、セグメントの検索といった機能は無料ユーザーに引き続き提供されます。
サブスク機能には今後も続々と新機能を投下
一方、有料のサブスク機能には次々と新機能の追加や改善が行われていて、今年1月からだけでもその数は51に達します。それらの新機能から今回のアップデートにあわせて公開される二つの機能をご紹介します。
トレーニング分析機能が強化
モバイルアプリの右下のこれまで「Summit」となっていたタブが「トレーニング」に変更され、トレーニングの進捗を確かめられる機能が集約されました。このタブから今月のアクティビティの件数・時間・距離、今週の強度、今週のフィットネスを一覧できるように。心拍数などのデータからSTRAVAが独自に計算してくれる強度やフィットネスの数値は毎日のがんばりを数字で測ることができて励みになるメトリクス。一度みると毎日確認したくなるので、一箇所にまとまったのは朗報です。
このほか、トレーニングログをモバイルアプリでも週単位で一覧表示できるようになるほか、これまでランとライド(自転車)、スイムだけだったのが、ウォークなど全てのスポーツのアクティビティがトレーニングログで確認できるようになります。
ウェブ版のルート機能を一新
ウェブ上の地図でスタートから順に通過ポイントをクリックしていくと、地図上の道に沿ってルートを描くことができるルート機能は今回のアップデートで大幅に強化。ベースとなる地図がMapboxのマップとなり、ヒートマップ(STRAVAのアスリートが通っている頻度に応じて道がより濃く表示される)をデフォルトで表示。
さらに2点間のルートを描く際にヒートマップで人気のあるコースをたどるか、最短コースをたどるか選べたり、標高差を最大または最小にするオプションも加わりました。
加えて、周辺エリアのセグメントを表示することもできるので、セグメントを通るようなコースを作ることも簡単になりました。
当サイトの中の人もかゆいところに手が届く機能を愛用中
当サイトの岩佐も毎日STRAVAを使って今日のランニングのタイムやスプリットを確かめたり、最近のランニングの量や目標をチェックしたりしています。そんな岩佐が気に入って注目しているSTRAVAの機能をいくつかご紹介します。
モバイルアプリのルート機能で身近なコースを発掘
資料を見ながら細かく正確に長い距離のコースを作る場合には今回新しくなったウェブ版のルート機能を使うのが楽。でもモバイルアプリのルート機能には(今のところ)ウェブ版にはない便利な機能があります。
モバイルアプリの「探索」のタブから「ルートを探索」をタップすると、現在地点からのおすすめルートが表示されます。さらに「自分のルートを作成」からウェブ版と同じように自由にルートを描くことができます。ここで出発地点と距離を設定するとSTRAVAの推奨ルートをアプリが自動で提案してくれます。この時、できるだけ坂道または平坦な道を選ぶオプションや舗装路または未舗装路を選ぶオプションも選べます。
試してみると、すでに知り尽くしていると思っている地元でも意外なコースがあることに気づきます。ただ、実際に現地に行ってみると通行止めだったり私道や私有地の敷地内ということもありうるのでご注意を。
STRAVAで作ったコースをGarminのデバイスに自動で転送
STRAVAのルート機能で作ったコースはアプリ上で星のマークをつけるだけで、自動的にGarminのGPSウォッチなどのデバイスのコースに同期される機能も、今回のアップデートで加わった機能。GarminにはGarmin Connectを使った独自のルート機能があってこれも便利なんですが、STRAVAで作ったコースもすぐにGarminに取り込んでナビゲーションに使えるようになったのでさらに便利になりました。
Apple WatchのワークアウトAppからSTRAVAに直接データをインポート
Apple WatchについているワークアウトAppはアクティビティを始めると自動的に認識して記録するか確認してくれる便利なアプリです。このワークアウトAppで記録したアクティビティのログをモバイルアプリでSTRAVAにインポートできます。
STRAVAにはApple Watch上で動くアプリがあるのですが、ワークアウトAppの方が気軽に記録できるのが利点です。まずはワークアウトAppで記録して後からSTRAVAにインポートするとか、トレーニングを意識しない通勤や散歩のウォーキングはApple WatchのワークアウトAppでログをとって後でSTRAVAにインポート、といった使い方ができそうです。ただしApple Watchではアプリを起動後にGPS信号を受信しているのを確認してからスタートボタンを押すことができないので、スタート直後については確実に正確なGPSログを残すのがちょっと難しい点は注意です。
今後も新機能が続く予定
STRAVAではこのほかにも今後数ヶ月以内にセグメントに新しいランキング方法が追加される予定であるなど、新機能をや機能改善に積極的に取り組んでいくとのこと。まだサブスク会員でない方も、60日間のフリートライアルでサブスク機能を試してみると、もっとスポーツアクティビティが楽しめるかもしれません。