COROS APEX Proレビュー:GPSモードで40時間、基本機能が充実したトレイルランニングのためのスマートスポーツウォッチ

トレイルランニングのためのGPSスポーツウォッチとしては魅力的な選択肢です。

COROS(カロス)から、トレイルランニングに適したモデル「APEX Pro」をレビューのために提供していただきました。

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昨年秋に日本での発売が発表された「PACE2」は重さ29gながら、GPSモードでバッテリーが30時間持続、ランニングパワー計測などの本格的な機能を盛り込んで、日本のアスリートにも大人気となっています。今回レビューした「APEX Pro」はバッテリーはGPSモードで40時間持続、GPXファイルを読み込んでウォッチ上でナビゲーションが可能。トレイルランナーやウルトラランナーの過酷なニーズに応えながらも61,490円(税込、COROS公式オンラインストア)と競合製品に対してお買い得な価格となっています。

COROS APEX Pro

APEX Pro

「APEX Pro」は海外市場で「PACE2」に先立って昨年春に発売されている製品で、基本的な操作や機能は「PACE2」と共通しています。当サイトの「PACE2」についてのレビュー記事もぜひご覧ください。

COROS PACE2レビュー:海外で人気のメーカーが発売するGPSランニングウオッチはエントリーモデルに見えてトレーニングに熱心な上級者にも見逃せない機能を備える

2020.11.26

シンプルなデザインながら、GPSスポーツウォッチとしてはほぼフルスペック

まずはAPEX Proの外観をチェック。サイズは51.7 x 47 x 14.6mm。ディスプレイのレンズはDLCダイヤモンドガラス、ベゼルはTC4チタン合金でケース裏面はアルミニウム合金という構成です。ケースの側面はポリマー素材で質感はチタンのベゼルと異なるので、全体としてはカジュアルな雰囲気。しかし、素材の使い分けにより、シリコンバンド込みで約59gという軽さを実現しています。あえて競合と比較するならGarmin fenix 6シリーズの3サイズの真ん中、またはGarmin ForeAnthlete 945に近いサイズ感です。

左からGarmin fenix 6X、COROS APEX Pro、COROS PACE 2。

左からGarmin fenix 6X(ケース51mm、ディスプレイ1.4インチ)、 APEX Pro(47mm、1.2インチ)、COROS PACE 2(42mm、1.2インチ)。

防水等級は100mの水圧に対応し、GPS関連はPACE2と同等でアメリカのGPSを日本のQZSSと合わせて利用し、オプションでロシアのGLONASSか中国のBeidoのどちらかを追加して利用可能です。

その他ではスポーツウォッチに必要な光学心拍センサー、加速度センサー、気圧センサー、コンパス、ジャイロスコープ、温度センサーなどに加えて、血中酸素濃度を計測するSpO2センサーも搭載します。ただ、APEX Proでは血中酸素濃度は標高2500m以上の高所馴致の指標と位置付けられていて、低地ではウォッチの計測アプリを起動した時だけ、血中酸素濃度が計測されるようです。もとより、スマートウォッチでの血中酸素濃度計測は医療用ではないとされているので、APEX Proの仕様は良心的といえます。

ツールボックスから「高原適応性」を起動するとSpO2を計測するが、あくまで高所への適応性を測っていることが強調されている。

ツールボックスから「高原適応性」を起動するとSpO2を計測するが、あくまで高所への適応性を測っていることが強調されている。

過去3日間の高度とSpO2をグラフで表示。2500m以上の高度にいない場合は自動的なSpO2の計測はされない。

過去3日間の高度とSpO2をグラフで表示。2500m以上の高度にいない場合は自動的なSpO2の計測はされない。

このほかBluetoothとANT+にも対応しているので、チェストストラップ型の心拍計や、ランニングダイナミクス計測のためのフットポッド、自転車関係のアクセサリーなどに幅広く対応します。

付属するのはシリコンバンドですが、純正のナイロンバンドがCOROS公式オンラインストアで販売されています。ナイロンバンドはシリコンバンドの半分の重さで、汗をかいた時の肌触りもいいので、本格的にトレーニングやレースで使うならおすすめです。なお、バンド幅は22mmでPACE2(20mm)とは異なるので、PACE2とバンドの付け替えはできません。

ディスプレイはスポーツウォッチでは一般的な「Always-On Memory LCD」、サイズは1.2インチ、240 x 240ピクセル。PACE2と同じ仕様です。ただ、レンズのガラスの厚みのせいなのか、PACE2に比べるとAPEX Proはバックライトが点灯していない状態ではちょっとディスプレイが暗く感じることがあります。ウォッチの中にはディスプレイの明るさを調節する設定はないのでちょっと気になるところです。また、ディスプレイとベゼルの間の黒い枠の太さもちょっと気になるところ。最近は各社ともこの黒い枠を細くしてディスプレイを大きく見やすくしているのがトレンドなので、相対的にAPEX Proのディスプレイが小さく見えてしまうかも。

1.2インチのディスプレイとチタンのベゼルの間の黒い枠は最近のスマートウォッチとしては少々太め。

1.2インチのディスプレイとチタンのベゼルの間の黒い枠は最近のスマートウォッチとしては少々太め。

ウォッチの操作はウォッチ右側に三つのボタンがあり、真ん中のボタンはデジタルダイヤルで回して操作可能。ウォッチの設定で左右どちらの腕に付けるか、さらにボタンを左右どちらに配置するかを変更することができます。右腕に着けてボタンを左側に配置することもできるわけです(この場合はバンドも上下を付け替えた方が使いやすいでしょう)。

真ん中のボタンはデジタルダイヤルとなっていて回して操作できる。

真ん中のボタンはデジタルダイヤルとなっていて回して操作できる。

デジタルダイヤルをウォッチの左側にしたり、ダイヤルの回転方向を変えることもできる。

デジタルダイヤルをウォッチの左側にしたり、ダイヤルの回転方向を変えることもできる。

加えてディスプレイがタッチスクリーンになっています。ただ、後述するように実際にタッチで操作できるのは、ナビ設定をした場合のアクティビティでマップを上下左右に動かしたり、高低図のグラフを左右に動かしたりといった場合に限られるようです。

以上、ちょっと惜しい点もありますが、外見やデザインという点ではAPEX Proはアウトドアスポーツ向けのGPSスポーツウォッチとしてベースとなるスペックをもれなく備えたモデルです。

GPSモードで40時間持続のバッテリー、翌日再開可能なトレイルランニングモードは魅力的

PACE2をレビューした時もそうでしたが、APEX Proも実際に使ってみると細かい設定が可能なことや、ディスプレイ表示のわかりやすさといった使いやすさが優れていることに驚かされます。ウォッチの操作やメニュー、設定については、PACE2が持つ機能はほぼ全てAPEX Proも備えているので詳しくは当サイトのPACE2のレビュー記事をご覧ください。ここでは、APEX Proがトレイルランニング向けに備える機能でPACE2がカバーしていない機能を中心にご紹介します。

APEX Proのバッテリー持続時間は「フルGPSモード」で40時間、「UltraMax GPSモード(長稼働モード)」で75時間、日常使用で30日間。同等のサイズと重さの競合モデルの中ではトップクラスのバッテリー持続時間です。ただCOROSの製品が優れていると感じるのは持続時間が長いだけでなく、持続時間を伸ばすための設定の変更や残量の確認がやりやすいところ。ランニングの途中でバッテリーの残りが少ないと気づいたら、右下ボタンの長押しでツールボックスを呼び出すことで「フルGPSモード」から「長稼働モード」に切り替えることも可能(長稼働モードではGPSの測位の頻度を減らしつつも加速度センサーを使って距離やペースを記録し続けますが、一般的にデータの精度はフルGPSモードよりも落ちます)。

ランニングなどのアクティビティ中にツールボックスを起動して長稼働モードをオンにすると、バッテリー持続時間を長くできる。

ランニングなどのアクティビティ中にツールボックスを起動して長稼働モードをオンにすると、バッテリー持続時間を長くできる。

バッテリーの残量確認はも同様にツールボックスから可能。残りのバッテリーでGPSモードで何時間使用可能か、はもちろん前回充電からの日数やバッテリー使用の内訳といったことまで確認可能です。

ツールボックスから「バッテリー容量」を選ぶとバッテリーの消費と残量について詳しい情報にアクセスできる。

最後に充電した時からのバッテリーの減り方の推移をグラフで確認できる。

最後に充電した時からのバッテリーの減り方の推移をグラフで確認できる。

残りのバッテリー持続時間の目安を数字で確認できる。

残りのバッテリー持続時間の目安を数字で確認できる。

対応するスポーツアクティビティはPACE2が備えているものに加えて、トレイル、登山、ハイキング、スキー、クロスカントリースキー、山スキーなどが加わっています。これらのアウトドア系アクティビティはもちろんですがラン、バイク、ウィンドサーフィン、ホワイトウォーター、フラットウォーターでも、GPSログを使ったコースのナビゲーションの設定が可能です(ただし、バイクなどではナビゲーション機能を使うことによる事故のリスクへの警告が表示されます)。

この他、複数のアクティビティを組み合わせるマルチスポーツのアクティビティとしてPACE2ではトライアスロンというアクティビティが用意されていましたが、APEX Proでは加えてマルチスポーツというアクティビティも用意されていて3つまでのスポーツを組み合わせることができます。

アクティビティに「マルチスポーツ」を選ぶと、最大で三つまで異なるスポーツを組み合わせることができる。

アクティビティに「マルチスポーツ」を選ぶと、最大で三つまで異なるスポーツを組み合わせることができる。

PACE2のレビューでも唸らされたのと同様に、APEX Proでも400メートルトラックでのトレーニングでGPSによるトラッキングを自動で補正する機能が使えるアクティビティである「トラックラン」も備えます。また、スマホアプリでそれぞれのアクティビティでウォッチのディスプレイに表示する項目やページの構成はカスタマイズ可能。本格的なトレーニングのための指標として注目されるランニングパワー計測機能、目標に向けて日々の予定と進捗を把握できるトレーニング管理機能といった機能も備えています。

ナビゲーション機能搭載、GPSログの軌跡の正確さに感心

今回もAPEX Proを使って実際にランニングをして、ナビゲーション機能を中心に試したいと思います。

これも読む
DC Weekly 2019年9月11日 - Wasatch、Harricana、多摩川源流、Tor des Geants

ナビゲーション機能を使うにはあらかじめコースのGPXファイルを用意し、スマホのCOROSアプリのルートとして読み込みます。今回はMacでGarmin ConnectからダウンロードしたGPXファイルを、AirDropでiPhoneに転送してCOROSアプリに読み込みました。スマホ上でクラウドや地図アプリなどから読み込むこともできるでしょう。COROSアプリに保存されているランニングのログから読み込むこともできます。ルートは10件まで保存でき、一杯になったらルートを削除すれば新しいルートを保存できます。ルートを読み込んだら「ウォッチに送ります」というボタンを押してAPEX Proに転送しておきます。

スマホのCOROSアプリにGPXファイルを取り込むと、ナビゲーションに使えるルートとして利用できる。

スマホのCOROSアプリにGPXファイルを取り込むと、ナビゲーションに使えるルートとして利用できる。

以上、準備ができたらランニングを始めます。デジタルダイヤルを長押ししてロックを解除、ちなみにロックの解除は「スタンバイモード」(ウォッチフェイス表示からアクティビティ選択などのメニューに入るときにロックを解除)と「運動モード」(ランニングなどの途中にディスプレイのページを切り替えたり、運動を停止したりといった操作をするときにロックを解除)があり、それぞれについて、デジタルダイヤルの長押しかスクロールのどちらかに割り当て可能。「設定」→「システム」→「オートロック」から変更できます。

アクティビティとして「トレイル」を選択し「設定」→「ナビ設定」で先ほど転送しておいたルートが現れるので選択。そのまま「コース開始」を選択すればタイムもGPS計測も始まるのでランニングを開始します。その前にルートの標高の変化を確認したり、コースの方向を逆方向に入れ替えたり、コースからそれた場合にアラートを出すか出さないかを設定することができます。

PACE2にはない「トレイル」というアクティビティを選択。

PACE2にはない「トレイル」というアクティビティを選択。

「ナビ設定」から、スマホアプリを通じて転送したルートを選択。

「ナビ設定」から、スマホアプリを通じて転送したルートを選択。

コースを逸脱した場合にアラート音で知らせる設定も可能。

コースを逸脱した場合にアラート音で知らせる設定も可能。

ランニング中は距離、ペース、心拍数などのデータが6ページにわたって表示されますが、ナビゲーション機能を使っていると6ページ目の次にルートの地図表示のページと、ルートの高低図のページが加わります。地図表示は地形図は表示されませんが、用意しておいたルートが赤線、自分が進んだコースが白線、向かうべき方向がピンク色の矢印で表示されるのでこれをみながらナビゲーションをすることになります。曲がるべきところで方向を知らせるといったターンバイターンの指示は表示されません。

ナビゲーション機能を使うと写真のナビゲーションの地図、そして高低図の二つのページが加わる。

ナビゲーション機能を使うとナビゲーションの地図(写真)、そして高低図の二つのページが加わる。

ただ、ルートを地図表示した最初の状態ではルート全体がウォッチのディスプレイに表示されるため、縮尺が小さすぎてナビゲーションには使えないかもしれません。その時はデジタルダイヤルをプッシュすると緑の上下矢印が表示され、この状態でダイヤルをスクロールすれば縮尺を大きくすることができます。この時、ディスプレイをタッチすると指を動かした方向に地図を自由に動かすことができます。同様の操作はルートの高低図のページでもできます。

ナビゲーション開始時はルート全体をディスプレイに表示するので、縮尺が小さすぎて目の前でどっちに進むのかがわからない。ダイヤルを長押しすると緑色の矢印があらわれ、ダイヤルを回して縮尺を調整できる。

ナビゲーション開始時はルート全体をディスプレイに表示するので、縮尺が小さすぎて目の前でどっちに進むのかがわからない。ダイヤルを長押しすると緑色の矢印があらわれ、ダイヤルを回して縮尺を調整できる。

高低図のページも同様に、横軸のスケールを調整できる。

高低図のページも同様に、横軸のスケールを調整できる。

設定したルートから外れてしまうと、アラートが鳴り、コースから外れた距離が表示されます。

コース上を進んでいるときは進む方向が矢印で表示される。

コース上を進んでいるときは進む方向が矢印で表示される。

コースを逸れると、バイブレーションとビープ音とともにコース逸脱のアラートが表示される。

コースを逸れると、バイブレーションとビープ音とともにコース逸脱のアラートが表示される。

無事ランニングを終えるときはデジタルダイヤルでロックを解除し、デジタルダイヤルを3秒間長押ししてウォッチを停止。そのまま「終了」を選べばランニングの記録は終了します。この時、スクロールして「後で再開」を選択すると、一旦通常のウォッチフェイスに戻ります。その後、アクティビティを再開すれば記録も再開します。これはトレイルのツーリング中に途中でまとまった休みを取る場合とか、ステージレースとかでは便利かもしれません。

「後で再開」を選ぶと一旦ウォッチフェイスに戻る。長時間の休みを取る時には便利な機能。

「後で再開」を選ぶと一旦ウォッチフェイスに戻る。長時間の休みを取る時には便利な機能。

「後で再開」を選ぶと、次にアクティビティを始めるときに記録がそこから再開される。

「後で再開」を選ぶと、次にアクティビティを始めるときに記録がそこから再開される。

アクティビティを終えると、ランニングのログはCOROSアプリで確認できるほか、設定しておけばStravaなどのアプリにも連携して自動でアップロードできます。PACE2でも評判のGPSログの正確さ、滑らかさはAPEX Proも同様です。

GPSログは実際に走った道路の軌跡にぴたりと、そして滑らかに一致している。

GPSログは実際に走った道路の軌跡にぴたりと、そして滑らかに一致している。

まとめ:アウトドアやエンデュランス向けに機能は充実しながらもお買い得、こういうシンプルさを求めていた人は多いのでは

APEX Proはトレイルランニング向けに必要十分な機能が使いやすくまとめられていて、シリアスなアスリート向けのランニングパワーやトレーニング管理といった機能も備えます。

ただ、トレイルランニング向けのGPSスポーツウォッチは競合他社から魅力的な製品がラインナップされていて、そうした製品と比べると、ちょっと気になる点があるのは確かです。例えば、周りの黒い縁が太いディスプレイは相対的に小さく感じてしまいます。タッチディスプレイを備えているのに使える場面が少ないのは、なんだかもったいない気がします。ナビゲーション機能は必要とする場合はこまめにウォッチを見るでしょうからAPEX Proで十分とは思いますが、ターンバイターンの案内があったら便利なのに、とちょっと残念。

フィットネス関係の機能は睡眠のトラッキングのほか、トレーニング負荷の推移、体力レベルといったアルゴリズムで算出される二次的な指標も表示されます。ただ、そうしたデータをどう捉えるかはあまり示唆がありません。この点、データを解釈して生活や健康の質を高めるよう促すという取り組みに競合各社はかなり力を入れているので、COROSには努力の余地がある気がします。

COROS APEX Pro

APEX Pro

最後で少々辛口評価になってしまいましたが、アスリート向けの機能がこれだけ充実していることを考えればAPEX Proは魅力的な存在です。タッチ決済や音楽系機能は求めないが、スポーツ向けの機能は充実したウォッチがほしいというのであれば、先にレビューしたPACE2と同様にAPEX Proも選択肢に入れるべき製品だと感じました。

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