シューズレビュー On Cloudventure・トレイルを走破する楽しさとクッションの快適さを両立

【追記:記事末尾のCloudventureの販売価格、および一部の表記を訂正しました。2021.08.10】

On(オン)がトレイルランニングシューズの正統派といえるモデルをアップデート。山を走ることの楽しさを感じさせてくれる一足です。

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スイス・チューリッヒ発のパフォーマンス・ブランド「On」はトレイルランニングシューズ「Cloudventure(クラウドベンチャー)」の3代目となるアップデートモデルを発表。8月12日木曜日からOnオフィシャルオンラインショップと全国のOn取扱店で発売します。

CloudventureはOnで初めてのトレイルランニングシューズとして2016年に登場しており、今回のアップデートで3代目に進化。今年春には当サイトでもレビューしたウルトラディスタンス向けの「Cloudultra(クラウドウルトラ)」がデビューしており、今年のOnからは二つのトレイルランニングシューズが新たに登場することになります。

スイスアルプスのテクニカルなダウンヒルを駆け下りることを想定したCloudventureですが、今回のアップデートでミッドソールの素材にOn独自開発の「Helion™」を投入。蹴り出しの反発力を生み出すミッドソールの「Speedboard®︎」の形状が新しくなって接地時のコントロール感が向上。アッパーは素材の70%にリサイクルポリエステルを用いたリップストリップ素材に変更されて軽量かつ高いフィット感を実現しています。

今回のCloudventureの発売にあわせてStravaでイベント「Run Your Local Mountain」が8月12-18日に開催されます。

テクニカルなトレイルのグリップ力、着地の正確さに優れつつクッション性が高い

Coundventureの発売に先立って、メディア向け体験イベントが高尾山口駅前に7月17日にオープンした「タカオネ」で開催されました。当サイトもこのイベントに参加し、高尾山の周辺のアップダウンを繰り返すトレイル、濡れた岩をたどる渡渉、ロードと距離は6kmあまりながら多様な路面で新モデルを試してみました。

高尾山口駅から甲州街道をはさんで向かい側にオープンしたタカオネ。

高尾山口駅から甲州街道をはさんで向かい側にオープンしたタカオネ。

タカオネではOnのトレイルランニングシューズのレンタルもできる

タカオネではOnのトレイルランニングシューズのレンタルもできる

まずは南高尾の尾根へと急な登りを歩き始めますが、木の階段の滑らかな面にソールをつけてもグリップ感をしっかり感じます。そして尾根沿いにダウンヒルとアップヒルを繰り返していきます。ダウンヒルでは接地時に岩の縁に母指球を当てて反発力で蹴り出し、木の根の間の狭いくぼみにつま先で接地して前足部の足裏をそのくぼみに押し当てて着地の衝撃を受け止める、といったトレイルランニングの醍醐味ともいえる感覚が新鮮です。

Cloudventureを履いて高尾のトレイルへ。

Cloudventureを履いて高尾のトレイルへ。

トレイルから下りてきたら沢へ。暑い夏のトレイルランニングの楽しみの一つだ。

トレイルから下りてきたら沢へ。暑い夏のトレイルランニングの楽しみの一つだ。

Cloudventureのアウトソールにはラバー素材のMissiongrip™が使われていますが、そのパターンはよくみると複雑。ラバーの滑らかな面、細かい三角形の低いラグ、それらを繋ぐブロックはそれ自体がやや深めの突起となってグリップ力を高めているようです。

Cloudventureを外側からみたところ。

Cloudventureを外側からみたところ。

Cloudventureを内側からみたところ。

Cloudventureを内側からみたところ。

Cloudventureのアウトソール。Missiongripのラグのパターンにより様々なサーフェスでグリップ力を発揮する。

Cloudventureのアウトソール。Missiongrip™のラグのパターンにより様々なサーフェスでグリップ力を発揮する。

またミッドソールには着地から蹴り出しにかけての反発力を高めるSpeedboard®︎というプレートが埋め込まれていますが、今回の3代目の新モデルでは前足部が二股に分かれる新しい形状になりました。これにより、前足部の内側と外側で接地時の高さが違う場合に足裏のコントロール感が生み出されるというわけ。

Cloudventureのミッドソールの分解モデル。二股に分かれた白いSpeedboardが内蔵されている。

Cloudventureのミッドソールの分解モデル。二股に分かれた白いSpeedboard®︎が内蔵されている。

ここまではダウンヒルを正確、快適に駆け下りるというCloudventureのコンセプトがさらに改善された、というお話ですが、3世代目で大きく変わったのはミッドソールです。

ミッドソールにはOnが独自開発した素材で、Cloudultraにも使用されているHelion™が新たに搭載され、クッション性も大幅に向上。Onのアイコンともいえる中空構造のミッドソールデザイン、「CloudTec®︎」と合わせてランニングシューズとしての快適さがグッと高まりました。体験会ではトレイルを繋ぐ舗装路も走りましたが「テクニカルなトレイル向けのシューズはロードは走りにくい」という先入観は見事に裏切られました。

アッパーのリップストップ素材はフィット感よし、通気性も意外とよい

アッパーに目を向けると、先行モデルやCloundultraに用いられたメッシュ素材ではなく、今回のCloudventureでは密に織り込まれたリップストップ素材となっています。メッシュ素材に比べると軽量で足を入れた時のフィット感がよくなっています。また、細かい土ぼこりや砂がシューズの中に入ってくるのも防げそうで、このあたりは夏山の乾いたトレイルには適しているでしょう。

Cloudventureのアッパーとシュータン。

Cloudventureのアッパーとシュータン。

ただ、メッシュに比べると足が蒸れやすいのではとちょっと心配なところ。Onによれば、リサイクルポリエステルを素材とする今回のCloudventureのアッパーは通気性にも優れるとのこと。体験会では、トレイルの途中で沢に入ってシューズを一度ずぶ濡れにしましたが、その後しばらく走ってみると水抜けや蒸れはメッシュのシューズとそれほど変わらないように感じました。

シュータンはレザー風でクッション性のある素材でやや幅広。この辺りはタイトなフィット感重視でテクニカルなトレイルで足を保護するという意図を感じます。

前世代から完成度が高まったOnのトレイルランニングシューズ

今年春に発売されたCloudultraはクッション性に優れ、100kmや100マイルといった長距離を快適に走り抜くのに適したシューズ。ロードランニングシューズから履き替えてもすんなりなじめるのが魅力でした。

一方、今回の3代目Cloudventureは先代からのテクニカルなダウンヒルを快適に走るというコンセプトを受け継いだモデル。ロードランニングにはないトレイルランニングの楽しさに焦点を当てたシューズでありながら、3代目になってクッション性が向上。より幅広い路面で楽しめるシューズとして秋からのトレイルランニングで活躍しそうです。

  • Cloudventure(クラウドベンチャー)
  • 販売価格:17,380円(税込)
  • カラー展開
    • メンズ:(上段左から)ブラック レセーダ、フレア マルベリー
    • ウィメンズ:(下段左から)ブラック コブル、アークティック マリーナ
  • サイズ展開:メンズ 25cm〜31cm、ウィメンズ 22cm〜26.5cm
Cloudventure(クラウドベンチャー)

Cloudventure(クラウドベンチャー)

Stravaでイベント開催、そしてロードの人気モデル「Cloudstratus」第二世代も発売

Cloudventureの発売にあわせてStravaでイベント「Run Your Local Mountain」が開催され、現在アスリートの登録を受付中です。これは8月12-18日の期間中に一回のログで獲得標高が200m以上になるランニングを一回以上記録し、全参加者で累計6万kmの獲得標高を目指そうというもの。獲得標高200m以上を記録してチャレンジを達成したアスリートには限定Stravaデジタルバッジのほか、次回のOn製品購入時に限定のバックパックをプレゼント、抽選で20名にCloudventureをプレゼントといった賞品が用意されています。

また、Onではミッドソールを「CloudTec®︎」を二層に配置してクッション性と快適性を高めたロードランニングシューズの第二世代「Cloudstratus(クラウドストラトス)」も発表。8月5日からOnオフィシャルオンラインショップと全国のOn取扱店で発売しています。

Cloudstratus(クラウドストラトス)

Cloudstratus(クラウドストラトス)

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