UTMBワールドシリーズ・ファイナルとしてUTMB Mont-Blanc が8月28日に開幕します。今年の大会からヨーロッパの自動車ブランドであるDacia(ダチア)がタイトルパートナーとなり、大会の正式名称も「Dacia UTMB Mont-Blanc」となっています。
この「トレイルランニング界の世界最高峰」を謳うイベントに異議を唱える請願が登場し、議論となっています。
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Change.orgに “Tell the UTMB to ditch their high carbon sponsor” (UTMBに大量の炭素排出を進めるスポンサーとの関係を止めるよう伝えよう)という請願を掲出したのは、環境問題を考えるイギリスのランニングコミュニティであるThe Green Runnersで、8月14日に募集が始まった賛同者は本稿執筆時点の8月18日には1,132人に達しています。
このThe Green Runnersの共同創設者には2018年のUTMBで5位のダミアン・ホール Damian Hallや2017年に6位のジャスミン・パリス Jasmin Parisといったアスリートも加わっています。ダミアン・ホールは「これまでに5回、シャモニーのスタートラインに立ってきたけれど、大量の炭素排出をするスポンサーと組んでいる限りはもうUTMBには出ない」と表明しています。
さらにこの件に注目を集めたのはキリアン・ジョルネ Kilian Jornetがこの請願に賛同したこと。キリアンは7月に必要な資格を満たすためのレースに出場して昨年優勝したUTMBに再び出場する予定でしたが、8月17日にケガからのリカバリーを優先して今年のUTMBを見送ることをInstagramで発表。これとは別にキリアンはInstagramのストーリーで、請願に賛同してそのリンクを紹介。さらに「私たちのアクティビティの舞台は気候変動と汚染によって劇的に変化している。今日まだ選択する余地があるのなら、目の前の利益よりも将来を取るべきだ。エリートアスリート、競技団体、チーム、そして大きなイベントの主催者の役割は、自らの活動の枠を越えており、自らが持つ影響力に責任があります。」と表明しました。
The Green Runnersは、Daciaは主にSUVを製造しており、その事業活動は二酸化炭素排出量の増大の原因となっていると指弾。そのDaciaがUTMBと組むことは “sportwashing” 、いわばスポーツによる自らの過誤の正当化だと指摘しています。
今年のDacia UTMB Mont-Blancは8月28日月曜日のPTLのスタートで開幕。同日には40kmのMCCと143kmのTDSもスタート。UTMBワールドシリーズファイナルとなる3つのレースについては、31日木曜日に50KカテゴリーのOCCが行われます。ついで9月1日金曜日には100KカテゴリーのCCC、そして同日18時(日本時間2日土曜日午前1時)に100マイルのUTMBがシャモニーをスタートします。