2023年UTMBはコートニー・ドウォルター Courtney Dauwalter、ジム・ウォルムズレイ Jim WALMSLEY と女子、男子ともに米国選手が優勝 Dacia UTMB Mont-Blanc 六日目

Dacia UTMB Mont-Blanc において行われたUTMBワールドシリーズ・ファイナルの100Mカテゴリーのレース「UTMB」はコートニー・ドウォルター Courtney Dauwalterジム・ウォルムズレイ Jim WALMSLEYが女子、男子それぞれのレースを制しました。ドウォルターはこれで3度目のUTMBチャンピオンとなったほか、今シーズンはウェスタン・ステイツ、ハードロック100、そしてUTMBと世界が最も注目する三つの100マイルで三冠を達成する偉業を成し遂げました。ウォルムズレイは5度目のUTMBへの挑戦でついに初めての栄冠を勝ち取りました。

(写真 UTMBで米国人男性として初めて優勝したジム・ウォルムズレイ Jim WALMSLEY。 All Photo © UTMB)

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1日金曜日午後6時にシャモニーの熱狂が選手を包んだままレースは始まり、先頭を走る選手たちの顔ぶれが落ち着いてきたのはスタートから32km、コンタミン Les Contamines あたりからでした。コースの序盤に当たるコル・ド・ラ・クロワ・デュ・ボンノム Col de la Croix Du Bonhomme (46km) へと登った後、男子の先頭集団はトム・エバンス Tom EVANS (GBR – UTMBインデックス916)、ザック・ミラー Zach MILLER (USA – 878)とジム・ウォルムズレイに絞られました。

3番手でコースを進んでいたエバンスが体調不良によりクールマイユール Courmayeur (82km) でリタイア。ここからはウォルムズレイと3分差で追うミラーの間の勝負となります。ボナッティ Refuge Bonatti (94km) でミラーがウォルムズレイに並び、グラン・コル・フェレ Grand Col Ferret (104km) ではミラーが4分リード。長い下りを経たラ・フーリー La Fouly (114km) では二人の差は9分まで広がりました。

朝になり、シャンペラック Champex-Lac (127km) へと登る途中では3番手で二人を追っていた ジェルマン・グランジェ Germain GRANGIER (FRA – 888) がウォルムズレイを一度追い抜き、すぐにウォルムズレイが追い抜き返す場面もありました。

しかしウォルムズレイは次第に力を取り戻し、ミラーが5時間以上にわたってレースをリードした後のコル・ド・ラ・フォルクラズ Col du la Forcraz でミラーに追いつきます。その後のトリアン Trient (144km) にトップで到着したウォルムズレイは2番手となったミラーへのリードを広げ、ヴァロルシーヌ Vallorcine (155km) で二人の差は15分差となりました。ジム・ウォルムズレイ Jim WALMSLEY(USA – 934)は19時間37分43秒でシャモニーに到着して優勝。ザック・ミラー Zach MILLERは最後まで力の入った走りを見せ、20時間を切る19時間58分58秒でフィニッシュして準優勝。3位にジェルマン・グランジェ Germain GRANGIERが続き、20時間10分52秒で完走しました。

2023年UTMBで優勝したジム・ウォルムズレイ Jim WALMSLEY(手前)と2位のザック・ミラー Zach MILLER。Photo © UTMB

2023年UTMBで優勝したジム・ウォルムズレイ Jim WALMSLEY(手前)と2位のザック・ミラー Zach MILLER。Photo © UTMB

ジム・ウォルムズレイのUTMB初挑戦は2017年でこの時は5位。アメリカのウルトラランニング界のヒーローがいつUTMBを制覇するかと注目されていましたが、2018年と2021年はDNF。2年前にはTDSのコースも通るボーフォルタンに移住して地域を知り、トレーニングを重ねてきました。2022年の4位を経て、5度目の挑戦でついにUTMBを制しました。ウォルムズレイの優勝は米国人男性選手としては初めてとなります。

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フィニッシュアーチで涙をぬぐい、あふれる感情に圧倒されながら、ウォルムズレイは話しました。「ヘトヘト、ボロボロになったけど今日はとても幸せです!ボーフォルタンで直前の数ヶ月間に重ねたトレーニングのおかげで、登りで非常に力を発揮できました。ただそのせいで多くのエネルギーを使い、ペースを維持できるかどうかわかりませんでした。ジェルマン・グランジェに追いつかれた時に気持ちに火がついて、そこから全てが始まりました。」米国人男性として初めて優勝したことについては「私は最初の男性かもしれませんが、この伝説的なイベントで勝った最初のアメリカ人では確実にありません。私より先に優勝している素晴らしいアメリカ人女性たちのグループに加わることができました。」と語りました。

(写真 UTMBの男子トップ3、優勝したジム・ウォルムズレイ<中>、2位のザック・ミラー<左>、3位のジェルマン・グランジェ。 Photo © UTMB)

(写真 UTMBの男子トップ3、優勝したジム・ウォルムズレイ<中>、2位のザック・ミラー<左>、3位のジェルマン・グランジェ。 Photo © UTMB)

一昨年の3位、昨年の2位に続いてマチュー・ブランシャール Mathieu BLANCHARD (FRA) が4位で続きました。2016年のUTMB優勝のルドヴィック・ポメレ Ludovic POMMERET (FRA) が5位、6位にティボー・ガリヴィエ Thibaut GARRIVIER (FRA) とフランス人選手が続きました。最終盤に順位を上げたタイラー・グリーン Tyler GREEN (USA) が7位に入りました。8位はハンネス・ナンバーガー Hannes NAMBERGER (GER) 。9位にアルトゥール・ジョワユ・ブイヨン Arthur JOYEUX BOUILLON (FRA) 、10位はバプティスト・シャサーニュ Baptiste CHASSAGNE (FRA) でした。

女子のレースはコートニー・ドウォルター Courtney Dauwalter(USA – 850)が終始レースをリード。6月のウェスタンステイツ、7月のハードロック100といずれも大会記録での優勝を果たした疲れもみせず、23時間29分14秒でシャモニーのフィニッシュアーチにフィニッシュしました。

(写真 UTMBの女子優勝のコートニー・ドウォルターがシャモニーにフィニッシュ。 Photo © UTMB)

(写真 UTMBの女子優勝のコートニー・ドウォルターがシャモニーにフィニッシュ。 Photo © UTMB)

フィニッシュ後のインタビューでは今回の挑戦と優勝についてコメント。「私たちの一生の中で、何かクレイジーなことをする機会があれば、絶対やるべきです。素晴らしい気持ちになれるから!だから私はこのレースに参加したのです、簡単ではありませんでしたが、やる価値がありました。シャンペ・ラックを過ぎてから、ルートの後半は本当に厳しかったです。胃が何も受け付けなくなってしまって。シャモニーに到達できたのは、家族、大会ボランティアや応援してくれた皆さんのエネルギーのおかげです。今日の私があるのは素晴らしい両親と2人の兄弟が、目標の前にある障壁を打ち壊して願いをかなえる兼ねることを教えてくれました。」

(写真 UTMBの女子優勝のコートニー・ドウォルターがグラン・コル・フェレを越える。 Photo © UTMB)

(写真 UTMBの女子優勝のコートニー・ドウォルターがグラン・コル・フェレを越える。 Photo © UTMB)

2位は中盤はブランディーヌ・リロンデル Blandine L’HIRONDEL (FRA – 809)が走りましたが、グラン・コル・フェレでシャン・フージャオ Fuzhao XIANG (CHN – 762)が追い抜きます。その後、トリアン (144km) からの登りでカタリーナ・ハートマス Katharina HARTMUTH (GER – 759)がシャンをとらえて2位に浮上。ハートマスはそのまま快調にレース終盤を走り、24時間10分52秒で準優勝となりました。

3位をめぐってもドラマは起きました。ブランディーヌ・リロンデル Blandine L’HIRONDELがフレジェール La Flégère (166km) への登りでシャンに追いつき、そのままシャモニーに24時間22分50秒でフィニッシュ。一昨年のOCCと昨年のCCCで優勝したリロンデルが初めての走る100マイルでのトップ3に入りました。

(写真 UTMBの女子トップ3、優勝したコートニー・ドウォルター<中>、2位のカタリーナ・ハートマス<左>、3位のブランディーヌ・リロンデル。 Photo © UTMB)

(写真 UTMBの女子トップ3、優勝したコートニー・ドウォルター<中>、2位のカタリーナ・ハートマス<左>、3位のブランディーヌ・リロンデル。 Photo © UTMB)

トップ3は逃したものの昨年の7位からさらに順位を上げて シャン・フージャオ Fuzhao XIANG (CHN) が4位に。5位には マイテ・マイオラ・エリゾンド Maite MAIORA ELIZONDO (ESP) 、6位にカタルジーナ・ソリンスカ Katarzyna SOLIŃSKA (POL) 。北米勢が7位のアリッサ・マクドナルド Ailsa MACDONALD (CAN) 、8位のリア・インリング Leah YINGLING (USA) 、9位のサブリナ・スタンレー Sabrina STANLEY (USA) と続き、10位はルーシー・バーソロミュー Lucy BARTHOLOMEW (AUS) でした。

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すべてのレースの結果と通過状況は、live.utmb.worldから見ることができます。3日日曜日まで続くUTMBのフィニッシュの様子もlive.utmb.worldからライブ配信で観ることができます。

UTMB女子・リザルト

  1. コートニー・ドウォルター Courtney DAUWALTER (USA, Salomon) 23:29:14
  2. カタリナ・ハートマス Katharina HARTMUTH (GER, HOKA) 24:10:52
  3. ブランディン・リロンデル Blandine L HIRONDEL (FRA, Kiprun Women Team) 24:22:50
  4. フージャオ・シャン Fuzhao XIANG (CHN, HOKA) 24:50:33
  5. マイテ・マイオラ・エリゾンド Maite MAIORA ELIZONDO (ESP, Team VIBRAM) 25:02:26
  6. カタルジーナ・ソリンスカ Katarzyna SOLIŃSKA (POL, On Running) 25:20:23
  7. アリッサ・マクドナルド Ailsa MACDONALD (CAN, Saucony) 25:48:54
  8. リア・インリング Leah YINGLING (USA) 26:21:24
  9. サブリナ・スタンレー Sabrina STANLEY (USA, Adidas TERREX) 26:58:53
  10. ルーシー・バーソロミュー Lucy BARTHOLOMEW (AUS, Salomon Global) 27:39:23

15 宮﨑喜美乃 Kimino MIYAZAKI (JPN) 28:53:08

UTMB男子・リザルト

  1. ジム・ウォルムズレイ Jim WALMSLEY (USA, Hoka X Wahoo) 19:37:43
  2. ザック・ミラー Zach MILLER (USA, The North Face) 19:58:58
  3. ジェルマン・グランジェ Germain GRANGIER (FRA, The North Face) 20:10:52
  4. マチュー・ブランシャール Mathieu BLANCHARD (FRA, Salomon) 20:54:25
  5. ルドヴィック・ポメレ Ludovic POMMERET (FRA, Team Hoka) 21:00:54
  6. ティボー・ガリヴィエ Thibaut GARRIVIER (FRA, HOKA) 21:10:38
  7. タイラー・グリーン Tyler GREEN (USA, Nike Trail) 21:19:21
  8. ハンネス・ナンバーガー Hannes NAMBERGER (DEU, Dynafit) 21:20:46
  9. アルトゥール・ジョワユ・ブイヨン Arthur JOYEUX BOUILLON (FRA, On Running) 21:31:22
  10. バプティスト・シャサーニュ Baptiste CHASSAGNE (FRA, Team Sidas-Matryx) 21:38:11
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38 吉村健佑 Kensuke YOSHIMURA (JPN) 25:18:43
41 西方勇人 Hayato NISHIKATA (JPN ) 25:35:07
46 池畑拓哉 Takuya IKEHATA (JPN) 25:56:26

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