UTMBがキリアン・ジョルネ、ザック・ミラーと面談、よりオープンな意見交換で合意、両選手はUTMBのボイコットを呼びかけていないと釈明

UTMBワールドシリーズを企画、運営するUTMBグループは、キリアン・ジョルネ Kilian Jornetザック・ミラー Zach Millerとビデオ会議を行ったことを明らかにしました。この会議の中で、両選手のUTMBとトレイルランニングコミュニティの間のコミュニケーションが透明性に欠けるとの指摘に対して、UTMBではよりオープンで直接的なコミュニケーションの機会を作るように改善する意向を示しました。また、キリアンとザック・ミラーはこのメールは公開されることを意図しない私信であり、UTMBに対する悪意ではなくトレイルランニングの発展のための対話が目的だったと説明したとされています。さらに、UTMBのボイコットを呼びかけたものではなかったと釈明したとされています。

キリアン・ジョルネとザック・ミラーがエリート選手に宛てたとされるメールが、第三者によってソーシャルメディアで明らかにされたのは1月9日でした(当サイトの記事・キリアン・ジョルネとザック・ミラーがUTMBのボイコットを呼びかける。アスリート仲間に送信したとされるメールが明らかに)。このメールの中で、両選手は最近のUTMBとIronmanの方向性に懸念があるとして、エリート選手に対して今年のUTMBに出場せず、他の大会を選ぶことを提案し、意見を求めていました。

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UTMBグループが発表した声明の全文は次のとおりです。

声明:キリアン・ジョルネ(Kilian Jornet, スペイン)、ザック・ミラー(Zach Miller, USA)、PTRAとの前向きな意見交換を受けて

*日本語訳は当サイトによるものです。

UTMBグループの経営陣である、共同創設者のカトリーヌ・ポレッティ Catherine Poletti とミシェル・ポレッティ Michel Poletti 、CEOのフレデリック・レナール Frédéric Lénart 、エリートおよびチーム担当マネージャーのマリー・サモンズ Marie Sammons は、2024年1月23日にビデオ会議を通じてキリアン・ジョルネ、ザック・ミラー、プロ・トレイルランナーズ協会(PTRA)の執行役員代表と会談しました。

UTMBグループからの呼びかけで開催されたこの会談は、2024年1月9日にザック・ミラーとキリアン・ジョルネが少数のエリートアスリートに送った私的なメールがソーシャルネットワーク上で公開されたことを受けて行われました。

会談冒頭で、ザック・ミラーとキリアン・ジョルネは、両名および一部のエリートアスリートの意見として、UTMBグループが過去2年間にUTMBワールドシリーズの拡大を進める中で示した方向性に関する懸念と疑問を表明しました。

ザック・ミラーとキリアン・ジョルネは以下を明確にしました。

  • メディアによって明らかにされた私的なメールは、UTMBに対して悪意を持って発信したのではなく、関係者全員を尊重しながらスポーツの発展に関するプロフェッショナルアスリートとの対話を始めることを意図していた。
  • メールはソーシャルネットワークを通じて公にされることを意図していなかった。
  • UTMBのボイコットを呼びかけたわけではなく、一部のメディアに誤って解釈された。
  • UTMBは過去20年間でアスリート、およびこのスポーツ自体とそのメディアにおける地位向上に大きく貢献してきたと強く信じている。
  • PTRAは、報道されたこととは対照的に、キリアン・ジョルネとザック・ミラーのイニシアチブには一切関与していなかった。

今回、UTMBグループはその代表者からザック・ミラーとキリアン・ジョルネに対して、特定の主題についてより正確で事実に基づいた説明を提供しました。その内容は次のとおりです。

UTMBワールドシリーズの発展

UTMBワールドシリーズは過去2年間で大幅に成長し、初年の2022年には約20レースだったところから2023年末には37レースまで増加しました。2024年はより安定した成長期に入り、これまでに41レースが確定しています。これにより、UTMBワールドシリーズは世界中の主要なランニングコミュニティに対して、その近くで様々なイベントを提供することができます。

UTMBグループの代表者は、この非常に急速な発展が特定のトレイルランニング・ファンや地域に対して誤解や懸念を生じさせた可能性があることを理解しています。UTMBグループの代表者は具体的な例について大会がUTMBワールドシリーズに組み込まれたり、除外されたりした状況を説明しました。

さらに、UTMBワールドシリーズの大会について、その組織とプロモーションのモデルを明確にしました。UTMBグループによって直接運営される大会、Iromanグループによって運営される大会、そしてライセンスの枠組内で運営される大会があります。その運営モデルに関わらず、すべての大会はイベントが開催される地域で活動するチームによって運営、プロモーションが行われます。運営チームは地元コミュニティとの日常的な接触を通じて聞き、理解し、対話し、地域の問題に関連する要望や事情に可能な限り最善を尽くして対応しています。

UTMBワールドシリーズの競技ルール

UTMBグループの代表者はまた、ザック・ミラーとキリアン・ジョルネから競技ルールについて質問を受けました。アスリートたちは、これらのルールのいくつかが一部のエリートランナーにとってまだ十分に明確でなく、さらなる説明が必要だと述べました。

UTMBグループは、2023年3月にPTRAと対話を開始し、シリーズの競技ルールを議論し、修正に着手したことを改めて説明しました。これにはUTMBワールドシリーズファイナルの参加資格についてのルール、包括性に関連するルール(妊娠ポリシーを含む)が含まれていました。これらはすでに修正されており、非常に肯定的に受け入れられました。

コミュニティとの交流

ザックとキリアンは、UTMBとトレイルランニングコミュニティとの交流が透明性に欠けているとして、懸念を明らかにしました。両選手はよりオープンで直接的なコミュニケーションを、より定期的な交流とともに、コミュニティ全体と行いたいと考えています。

UTMBグループの代表者は彼らの指摘を受け入れ、この点を改善する意欲を約束しました。

ガバナンス

会議の最後に、UTMBグループの代表者はUTMBグループの組織について説明しました。UTMBグループはカトリーヌ・ポレッティとミシェル・ポレッティ、そしてその友人たちが2003年にシャモニーで設立した会社で、イザベル・ポレッティ Isabelle Poletti、デビッド・ポレッティ David Poletti が経営チームに加わっています。本社はシャモニーにあるメゾン・UTMBに置かれ、事業を統括しています。Iromanグループは、UTMBワールドシリーズの発展に貢献するために2021年に少数株を取得しました。

会議の終わりに、今後数年間にわたってトレイルランニングとそのコミュニティの利益と発展のためにこの議論を続け、実りある協力関係にすることを望むと、参加者全員が表明しました。

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