直前インタビュー・石川弘樹さんが明日から東海自然歩道1000kmの最速走破記録に挑戦 #TokaiNatureTrailFKT

Hiroki Ishikawa pre UTMB2015

プロトレイルランナーで国内外でアスリートとして結果を残し、各地の大会のプロデューサーとしても活躍している石川弘樹 / Hiroki Ishikawaさんは日本のトレイルランニング界のパイオニアであり、レジェンドです。その石川弘樹さんが、東京・高尾から大阪・箕面まで続く東海自然歩道(約1000km)を、途中に中断をはさまず何日で走破できるか(FKT)に挑戦します。

当サイトではスタートを直前に控えた石川さんにインタビューして、この最速走破記録(FKT)に挑戦する理由、何日くらいで完走することを目標にしているか、途中の補給や休息について聞きました。

Sponsored link


石川さんは明日5月7日土曜日の午前6時30分に、高尾山口から東海自然歩道のFKTに出発する予定です。当サイトではFacebookのライブ配信機能を使って、午前6時頃からFKTにスタートする石川さんの姿や周りの様子を動画の生中継でお伝えする予定です。当サイトのFacebookページのタイムラインから是非ご覧ください(機材や回線の都合でお送りできない場合はご容赦ください)。

(写真は2015年のUTMBを前にコースを検討する石川弘樹さん・枝里子さんご夫妻)

  • FKTとは:Fastest Known Time(最速走破記録)の略で、特定のトレイルやトレッキングルートの二つの地点間をランニングなどで走ったタイムのうち、最も速く走破したタイムを指す。あるいはそのようなタイムへの挑戦そのものを指すこともある。途中でサポートを受けるか受けないか、ソロかグループか、夏季か冬季か、といった条件によってFKTは変わってくるので、挑戦する際のルートや中間地点のラップタイム、日時、装備といった記録をつけておくことが重要とされている。
  • 東海自然歩道は東京都八王子市の「明治の森高尾国定公園」から大阪府箕面市の「明治の森箕面国定公園」までの11都府県約90市町村にまたがる全長1,697 kmの長距離自然歩道。途中にコースが分岐して再び合流する箇所が多数あるが、それぞれで一つの分岐を選んで進んだ場合は、1060〜70kmで高尾から箕面を結ぶことになる。

石川弘樹さん・東海自然歩道FKT直前インタビュー

20140918-Hiroki_Ishikawa_1

石川弘樹さん

DogsorCaravan.com(以下DC):東海自然歩道は東京から大阪までつながる登山道、ハイキングコースの名称として知られていますが、舗装路の区間も多いせいか一本のロングトレイルとしてはあまり認知されてこなかったと思います。そうした東海自然歩道をあえてチャレンジの場に選んだのはなぜですか?

石川弘樹さん(以下、石川):今回のFKTについては昨年の秋頃から少しずつ計画を立てていました。北米でFKTに挑戦するという場合、ロングトレイルがその挑戦の対象になることが多いのはご存知だと思います。例えばJMT(ジョン・ミューア・トレイル、340km)、PCT(パシフィック・クレスト・トレイル、4,260km)、AT(アパラチアン・トレイル、3,498km)などが有名です。こうしたロングトレイルではFKTに挑戦するにあたっての基準が広く共有されています。スタート地点とフィニッシュ地点、それをつなぐルートが決まっていて、そこを誰がどういう形式で走ったか − サポートを受けるか、全く受けないか、など – 。こうしたことに基準が確立されています。

一方、日本でスタート地点とフィニッシュ地点が設定されてその間に相当の長距離にわたるルートが定められている、というと東海自然歩道はその代表例です。そうした目で東海自然歩道のルートを改めて眺めてみると、確かに舗装路の区間は長いのですが、それぞれの地元で広く親しまれているルートをつないでいます。この東海自然歩道について、FKTに挑戦するための一つの基準を作ってみようと思うようになったんです。

今回、この東海自然歩道について過去のFKTの記録 − いつ、誰が、何日かけて、どのような形式で完走したか - を調べてみたんですが、何回かに分けて数年がかりで歩いたという記録しか見つけることができませんでした。ならば、自分がスタートからフィニッシュまで走り、途中に中断を挟まないで所要時間を計る。その挑戦の記録を残すことが日本でFKTに今後挑戦しようとする人たちの基準になるのでは、と考えました。

DC:東京から大阪まで続く東海自然歩道の走破には何日くらいかかりますか?

TokaiNatureTrail-image石川:今回は東海自然歩道を舗装路も含めて一本の線で繋ぐルートを走る予定です。東海自然歩道には途中にいくつかのバリエーション・ルートがあり、それらを全部合わせると全長1700kmにおよぶといわれていますが、メインルートを選んで進んでいくと東京・高尾から大阪・箕面までは1060–1070kmくらいになるようです。何日でフィニッシュできるか、私自身も正直なところ読めないですね。今回のように毎日走り続けるという経験は今までありません。北米でのFKTの記録をみると毎日追い込んで1日に100kmずつ走ることも珍しくないようですが、正直なところ今の私のコンディションではそこまでやると途中でケガをしてしまうと思います。北米のロングトレイルを何日もかけてハイキングで踏破するスルー・ハイカーは、スタート直後は1日の行程を控えめにして、歩きながら体を作っていくと聞いています。今回の私も、最初は1日50kmくらいにして徐々に毎日長距離を走ることに慣れていこうという計画です。そう考えると東海自然歩道の走破には最短でも2週間ちょっとはかかるのではとみています。もちろん、うまくいけばもっとタイムは縮めたいと思います。

DC: 途中の休息や食事はどうするんですか?

石川:今回の東海自然歩道のFKTは「サポートあり(Supported)のFKT」という形式になります。私自身が必要な装備を整えてコースを進むのですが、途中の補給や休息にあたっては直接サポートを受けます。今回はFacebookでも紹介しているキャンピング仕様に改造したサポートカーと、もっと小回りのきく乗用車の2台にコース上のポイントへ先回りしてもらいながら、必要なサポートを受けます。食事や睡眠は時間の節約のためにルート脇に止めたサポートカーの中で済ませることが多くなるでしょう。ただ、途中に街の中を通ることもあるので、その場合はその街の中で食事をすることもあると思います。サポートのメンバーも休息が必要ですから。その土地の名物や温泉を楽しめたらいいですね。そう考えるととても贅沢な2週間を過ごすことになりそうです。

DC: 今回の石川さんのFKTへの挑戦に憧れ、応援したいという人が多いと思います。

石川:東海自然歩道は各地の国立公園にある名所、景勝地をつないでいるのが特徴です。深い山の中のトレイルとは違って、誰でも立ち寄れる身近な場所をつないだコースでこれだけの旅ができるのはきっと楽しいし、東海自然歩道の魅力をもっとみんなに伝えたいですね。今回のFKTではGPS端末を使って東海自然歩道のどこを進んでいるかがインターネットでリアルタイムに見られるようにしています。もし行く先々でそれぞれの地元のトレイルランナーの皆さんと一緒に走りながら進めたら、きっと楽しいだろうなと思っています。

石川弘樹さんの東海自然歩道FKTを応援するためのリソース

この記事が気に入ったらDogsorCaravanをBuy Me a Coffeeで直接サポートできます!

Buy Me a Coffee

Sponsored link