【編者より:週末の3月15日にニュージーランドで開催されたタラウェラ・ウルトラマラソン/Tarawera Ultramarathonには日本から昨年UTMF優勝の原良和/Yoshikazu Haraさん(HOKA OneOne)がエントリーしていました。ケガからの回復の途中のため今回のレースは見送った原さんですが、現地でサイクロンが接近する中で開催されたレースの模様と、四万十川ウルトラマラソン二連覇の実力を持つ妻の原朋子/Tomoko Haraさんのレースをサポートした様子について寄稿していただきました。このレースのリザルトについては当サイトのこちらの記事をご覧ください。】
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3泊5日の日程でニュージーランド北島にある観光地ロトルアで行われたタラウェラ・ウルトラマラソン/Tarawera Ultramarathonに行ってきました。当初は夫婦とも100kmにエントリーしていましたが、私は左股関節の違和感がとれずDNS、妻だけの出走となりました。
昨年のYouTubeの情報から暖かい気候でのレースを想定していました。しかし出発直前の予報では雨、でも「気温20度くらいの雨だから大丈夫だろう」という甘い考えでした。
水曜日の夜に日本を出発して木曜日の夕方に現地に入りました。天候は快晴で日中は半袖で問題無い気候です。金曜日の午前中、聞き取りにくい英語のbriefingを聞き、registrationを済ませます。翌日はサイクロンで防水防寒のウエアを推奨するということを繰り返していましたが、コース変更のアナウンスはなかったと思います。
午後から前日確認出来なかった後半部分を車で回りました。舗装されていない道が多かったですが、きれいな湖、Tarawera Fallsを眺めてマイナスイオンを満喫していました。今から思えば、コースマーキングが少なかったこと、ゴール付近の設営が無かったので夕方の時点でコースを変更することは決まっていたのでした。夕食後、宿に着いてからネットで確認することになります。この4時間のドライブは無駄になりました。
当初60km、85km、100kmの3コースあったのが、距離55kmと65kmの2コースになりました(最終的には59kmと69kmに再度変更されました)。変更後の2コースは自由に選べるような感じで、スタート直後にループで距離を稼ぐのが65kmです。ループを通ったかどうかでどちらのコースかを判断していたようです。そう、私たち観戦者がゼッケンでわかるのはリレーの参加者かどうかだけでした。
Start of Tarawera Ultramarathon 2014 – YouTube
最初のエイドでもまず59kmの参加者がやってきて、一人速い男子が来たと思ったら続いて男子の先頭集団が5人ちょっとのグループで来ました。女子は集団にはならず、ある程度ばらけて男子と入り交じりつつくるので、さらに順位がややこしくなります。携帯の電波も主要なエイドでは入らないので情報も入手できません。
エイドでもサポートするゾーンは特に作られておらず、ランナーが来るとサポートする人がコースに出て行くという感じでした(そのあたりはUTMFやUTMBに比べると非常に緩い)。日本からの参加者にはドロップバックを預けたのに指定したエイドで受け取れなかった人もいました。日本ではあまりないことですが、海外ではそういうことも想定しておく必要がありますね。
当初ぽつぽつとした小雨だったのがスタートして3時間も過ぎると、断続的な小雨となり、湖岸沿いなど遮るものが無いところは風をもろに感じるようになります。中盤の山場はOkateinaまでの山越えです。コースの最高点を通ります。 男子はセイジ・カナディ/Sage Canaday(HOKA OneOne、アメリカ)が独走態勢でした。女子もジョー・ヨハンセン/Jo Johansen(ニュージーランド)が力強い走りでこのまま行きそうな勢いでした。
UTMFでも知られるショーナ・ステファンソン/Shona Stephensen(Inov-8、オーストラリア)や2013年の柴又100km優勝のメーガン・アルボガスト/Meghan Arbogast(Scott、アメリカ)はやや重い感じでした。
妻(注・原朋子/Tomoko Haraさん)は最初のループで転倒してしまい、右肘に擦過傷で出血、肩も打撲のあとがありました。弱気になっているのがわかりました。想定より遅れていましたが、前からのタイムも急激に離されたわけではないので落ち着いて行くように伝えました。
Okateinaから2㎞ほど正規のコースを行ったところが折り返しとなり、ランナーは再度Okateinaのエイドを通り、Okarekaに戻ります。コースマップではシングルトラックとなっていたので、山中のすれ違い大丈夫なのかと心配でしたが、激下りでも大きな問題は無かったようです。参加者が1000人もいないので大丈夫だったのでしょう。その頃は雨もさらに強くなり、強風になってきたので傘もあまり役に立ちません。
そしてOkarekaのゴール地点。テントもmedicalとゴール地点横の最低限のみでした。ほとんどの人は吹きざらしのなか帰ってくるランナーを待っています。
女子の優勝はやはり地元のジョー・ヨハンセン/Jo Johansen(ニュージーランド)、少し離れてクレア・ウォルトン/Claire Walton(イギリス)でした。
妻(注・原朋子/Tomoko Haraさん)は再度の山越えで順位を落として12位、8時間10分56秒、先頭から1時間以上離されました。距離が短くなったこと、累積標高も上がったのが不利にはなりました。ただ、何より悪天候への対応が出来なかったのが最大の敗因です。「悪路に対応するためには悪路を走る練習もしないといけない」、当たり前のことですが出来ていませんでした。地元の方によるとこの時期にサイクロンが来るのは珍しいとのことでした。こればかりは運が悪かったとしかいえませんね。妻は今後もロングのトレイルを走るかはわかりませんが、良い勉強になったと思います。
応援いただいた皆様、サポートいただいたHOKA OneOneのスタッフの方々、本当に有り難うございました。
プロフィール:原 良和(はらよしかず) 1972年8月生まれ。京都大学で陸上部に所属してランナーとしてのキャリアをスタート。卒業後も医師として働きながらトレーニングを重ね、最近ではフルマラソンの他、ウルトラマラソンやトレイルランニングでも活躍。トレイルレースに初挑戦の2010年ハセツネ30kでは28位。2012年サロマ湖100kmウルトラマラソン6時間33分32秒は同年世界ランキング3位。2013年はウルトラトレイル・マウントフジで優勝したほか、12月の台湾・東呉大学24時間走(Soochow International Ultramarathon)を273.65kmで優勝。妻の朋子さんも実力あるウルトラマラソンランナーで四万十川ウルトラマラソンでは2012年、2013年と連続で夫妻でそれぞれ男女の優勝を飾ったことで話題になった。2014年春からはHOKA OneOneのサポートアスリートとして、ランニングにより力を入れていく。1児の父。