[DC] プレビュー・2015年スカイランニングアジア選手権/ 2015 Skyrunning Continental Championships – Asia・2015 MSIG Sai Kung 50 #SK50 #ISF

Wyan Chow Pui-Yan Dong Li

2015年のスカイランニングのシーズン始めともいえるのが、2月7日(土)に香港で開催されるMSIG Sai Kung 50。香港の中でも豊かで広大な自然が保たれた西貢エリアのSai Kung East Country Parkで開催されるレースは今年から世界各地で開催されるスカイランニングのコンチネンタル選手権のなかで、アジア選手権として開催されます。

欧米からもトップクラスのランナーが参加するほか、日本からも多くの有力選手が参加するMSIG Sai Kung 50を当サイトも現地からお伝えする予定です。この記事ではこのレースの概要と有力選手をご紹介します。

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MSIG Sai Kung 50は急激なアップダウンと暑さが特徴

NEWhk50series_logo28kmのスタートは1月に開催されたHong Kong 100と同じPak Tam Chung/北潭涌。数キロのロードを経て序盤から一気にコース最高地点のTai Cham Koi/大枕蓋(408m)のピークへ。そこから一気に海辺にあるCP1 Chek Keng/赤徑(8km)に下ります。ここからNam She Au/蚺蛇坳の峠を経て、海辺にあるTung Wan/東灣の近くまでおります。そこからTung Wan Shan/東灣山(298m)へと登り返し、Tung Wan/東灣を経てCP2 Ham Tin/鹹田(18km)へ。標高差250mほどを登ってLo Tei Tun/螺地墩を通過するとアップダウンの連続。CP3 Sai Kung Sai Wan Rd/西貢西灣路涼亭(22km)からはTin Mei Shan/田尾山を経て再びTai Cham Koi/大枕蓋(408m)へ。ここから行きと同じコースで Pak Tam Chung/北潭涌でフィニッシュ。

Sai Kung 50 V4 28K 1

SKYの部となる28kのコースマップ。大会ウェブサイトより。

50kmのスタートもPak Tam Chung/北潭涌で、28kmと同じコースでCP1 Chek Keng/赤徑(8km)からCP2 Ham Tin/鹹田(18km)、Lo Tei Tun/螺地墩まで進みます。ここからは28kmのコースと別れて南下。Chui Tung Au/吹筒坳を経由してSai Wan Shan/西灣山(314m)から海辺のLung Ke/浪茄に下りて、East Dam/東霸からCP3 Sai Kung Man Yee Rd/西貢萬宜路(30km)へ。ここからはトレイルとロードをつないで大きなピークは通らずにスタート地点近くまで戻ってきます。ここからはCP4 Pak Tam Rd Pak Tam Country trail entrance/西潭路, 北潭郊遊徑入口(42km)で補給してから8kmのループへ。Pak Tam Au/北潭凹からNgau Yee Shek Shan/牛耳石山(425m)へ登り、Pak Tam/北潭を経てPak Tam Chung/北潭涌へとフィニッシュします。

Sai Kung 50 V5 copy2

ULTRAの部となる50kのコースマップ。大会ウェブサイトより。

Sai Kung 50 elevation

Sai Kung 50の高低図。大会ウェブサイトより。

いずれもコース上の標高の最高地点は400mを超える程度で、標高の高い山岳エリアで開催されることの多いスカイランニングのイベントの中では異色の存在です。しかし、急なアップダウンが連続するほか、2月とはいえ天候に恵まれた場合の香港は蒸し暑く感じるほどの気温となります。とりわけ、欧米から参加するランナーにとっては慣れない香港の気候が大きなチャレンジとなりそうです。

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3回目の今年はスカイランニングアジア選手権として開催

skyrunning-continental-logo-ctl1-180x180MSIG Sai Kung 50は2013年から開催され、今回が3回目。香港を中心にアジア各地でトレイルランニングなどのアウトドアイベントを開催しているAction Asia Eventsが主催するレースです。Action Asia EventsではこのMSIG Sai Kung 50のほか、香港島で開催されるHK50、ランタウ島で開催されるLantau 50とあわせて50kmクラスのトレイルランニングシリーズ戦としてHK50 Seriesを開催。トレイルランニングの人気が高まる香港で注目を集めています。

MSIG Sai Kung 50では13km、24km、28km、50kmの4つのレースが開催され、そのうちスカイランニングアジア選手権となるのは28km/1945mD+(SKYの部)と50km/2810mD+(ULTRAの部)の二つ。当サイトの記事でもお伝えしている通り、アジア選手権をはじめとする各コンチネンタル選手権は世界シリーズ戦(SWS / Skyrunner® World Series)の年間ランキングにカウントされる(SWSの3レースとコンチネンタル選手権の1レース)ため、今回のMSIG Sai Kung 50には欧米からも有力選手が出場します。

今回は前回までとはコースが一部変更(テクニカルなことで知られるSharp Peak/蚺蛇尖を通らないなど)されたことから今回のコースでの大会記録はありませんが、前回までの最速タイムは次の通りです。有力選手が揃った今回はこれらのタイムは大幅に短縮されそうです。

  • 50km:男子は4:51:05(Rudy Gilman、2014年)、女子は6:00:59(Cassie Scallon、2014年)
  • 26km:男子は2:51:17(Michael Skobierski、2014年)、女子は3:16:18(Claire Price、2013年)

Why is it so tough? Skyrunning – 2015 SaiKung 50 – YouTube

MSIG Sai Kung 50は2月7日(土)に香港で開催、当サイトが現地からレポート

MSIG Sai Kung 50の各レースのスタートは2月7日(土)の午前7時(日本時間同日午前8時)。当サイトは1月のHong Kong 100に続いて再び香港に入り、現地から大会の模様をお届けします。特にレース中はTwitterで英語によりリアルタイムで上位選手や日本からの参加選手の状況を写真を交えてお送りするほか、注目選手のインタビューなどもお届けする予定です。

今回のMSIG Sai Kung 50の注目選手は?

スカイランニングアジア選手権となるのは28km(Skyrace)と50km(UltraSkyMarathon)に集まる有力選手を紹介します。

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28km(Skyrace)

女子/Women

28km女子の優勝候補はエリサ・デスコ/Elisa Desco(イタリア、SCOTT)でしょう。昨年のMont-Blanc Marathon(Skyrunning WC)で優勝した欧州の実力者で、昨年はZegamaで2位、Matterhorn Ultraksで2位、Limoneで3位という強さです。

Elisa Desco skyrunning shot

エリサ・デスコ/Elisa Desco(イタリア)Photo courtesy of Action Asia Events unless mentioned otherwise in this article

エリサ・デスコに続く有力選手は次の皆さん。日本の長谷川、野村の二人に期待したいところ。

  • 長谷川香奈子

    長谷川香奈子

    長谷川香奈子/Kanako Hasegawa(日本、DYNAFIT)2014年のおんたけスカイレース2位、スリーピークス八ヶ岳で4位。2014年スカイランナー・ジャパン・シリーズでランキング2位。

  • 野村泰子/Yasuko Nomura(日本)おんたけスカイレースで2009年、2010年に連覇。2010年ハセツネ優勝。
  • ステファニー・ジミネズ/Stephanie Jiminez(イタリア、Salomon)欧州のSKYやVKのレースで上位入賞多数。

男子/Men

男子ではまずトム・オーウェンス/Tom Owens(イギリス、Salomon)に注目です。昨年、Mont-Blanc Marthon(Skyrunning WC)で3位。Transvulcaniaで6位、Kilian’s Classik / 45kで3位、Ice Trail Tarentaise / 65kで3位、Trofeo Kima / 52kで4位と欧州で安定した走りをみせた実力が香港でどう発揮されるか。

Tom Owens

トム・オーウェンス/Tom Owens(イギリス)

そしてスカイランニングの象徴の一人であるマルコ・デ・ガスペリ/Marco De Gasperi(イタリア、SCOTT)が28kmに参戦します。キリアンとの数々の接戦を始め、スカイランニングの歴史を作ってきたガスペリはZagama、Sierra Zinalなど欧州の山岳レースで優勝を重ね、バーティカル・キロメーターの世界記録保持者でもありました。アジアでもキナバルで優勝した経験を持ちます。最近はケガなどで大きなレースでの勝利からは遠ざかっていますが、昨年は5月のZagamaでキリアンに続く2位となりました。

Marco De Gasperi skyrunning pic

マルコ・デ・ガスペリ/Marco De Gasperi(イタリア)

欧州でトップレベルのランナーと競えるのは松本大/Dai Matsumoto(日本、Salomon)。昨年のキナバル国際クライマソンで優勝、富士登山競走で2013, 2014年と2連覇。2014年スカイランナー・ジャパン・シリーズのチャンピオンであり、今回のSai Kungでは優勝争いに加わってきそうです。

Fuji Mountain Race 2013 Matsumoto

松本大/Dai Matsumoto(日本)

さらに活躍に注目したいのは次の皆さん。

  • マルタン・ガフリ/Martin Gaffuri(フランス) 昨年のTaraweraで6位、80k du Mont-Blanc(Skyrunning WC) で16位。
  • ダレン・ベンソン/Darren Benson(香港/オーストラリア)香港のレースで上位常連。
  • 小出徹/Toru Koide(日本、Salomon)2013年西丹沢アドベンチャーラン2位、志賀高原トレイルマウンテン3位。

50km(UltraSkyMarathon)

女子/Women

50kmの女子は世界各地から集まったランナーがレースを繰り広げそうです。まず、欧米の山岳レースで実績を誇るのがケーシー・エンマン/Kasie Enman (アメリカ、Salomon)。昨シーズンはZegamaで5位、Speedgoat 50kで2位、Matterhorn Ultraksで4位、Trofeo Kimaで優勝、Rut 50kで2位など、40–50kmの山岳レースで広く活躍し、2014年のスカイランニング年間ランキング・ウルトラの部で2位となりました。今回のMSIG Sai Kung 50の優勝候補といえるでしょう。

Kasie Enman Salomon Stock Photo - for media usex2000

ケーシー・エンマン/Kasie Enman(アメリカ)

中国からは1月のHong Kong 100で最終盤にレースを繰り広げたワンチョウ・ピュイヤン/Wyan Chow Pui Yan(香港)とドン・リー/Dong Li(中国・Salomon)が参戦。地元香港で活躍するワンチョウ・ピュイヤンはHong Kong 100優勝、昨年の同レースで2位。昨年はTransLantau 50k、TNF 100 Hong Kongでそれぞれ3位でした。ドン・リーはHong Kong 100で2位となりましたが、昨年すでに80km du Mont-Blanc(Skyrunning WC)で9位、秋のMSIG Lantau 88kでは男女あわせた総合優勝など、アジアのトレイルランニング界で注目の存在です。

Wyan Chow Pui-Yan Dong Li

大会記者会見でのワンチャン・ピュイヤン/Wyan Chow Pui-Yan(右)とドン・リー/Dong Li(左)。

世界的なレースでも活躍するトレイルランナーを生み出しているネパールからはミラ・ライ/Mira Rai(ネパール)は昨年のこの大会で優勝しているほか、香港では秋のMSIG Lantau 50でも2位となっています。

現在18歳のルーシー・バーソロミュー/Lucy Bartholomew(オーストラリア、Salomon)は2013年にオーストラリアの100kmレースであるSurf Coast Centuryで2位、昨年のTarawera Ultramarathonで11位となるなど注目されています。15歳の時、初めて100kmレースに挑戦する父親の練習に付き合ったのがトレイルランニングを始めたきっかけ。

昨年のこのレースで2位のアレサンドラ・カリーニ/Alessandra Carlini(イタリア・Salomon)はその後もTransvulcaniaで10位、80km du Mont-Blancで11位、Ice Trail Tarentaiseで2位などの活躍。今年のSai Kung 50でも上位に入りそうです。

そのほかにも次の選手に注目。日本の岩楯、五百旗頭の二人に期待です。

  • シャオ・シャン・チョン/Hsiao Shiang Chong(マレーシア)昨年11月のOtterBox Salomon Action Asia Malaysia – Trail Run / 18kで2位。
  • ホー・ジョー・チュン/Ho Jo Chun(台湾)昨年11月のTAIWAN Action Asia 50 で優勝。
  • 岩楯志帆/Shiho Iwadate(日本)昨年のおんたけスカイレースで3位。2014年スカイランナー・ジャパン・シリーズでランキング3位。
  • 五百旗頭真紀/Maki Iokibe(日本)昨年のおんたけスカイレースで5位。2014年スカイランナー・ジャパン・シリーズでランキング5位。

男子/Men

混戦となりそうなのが50kmの男子。優勝候補として注目が集まるのは1月のHong Kong 100を大会新記録で優勝したばかりのヤン・ロンフェイ/Yan Long Fei(中国、Salomon)です。1988年生まれの26歳で中学生の頃から陸上競技選手として頭角を表します。その後フルマラソンを中心に取り組み、2011年北京マラソンで2:15:45の自己記録を残します。故障と年齢からその後はフルマラソンからは一旦離れ、2013年からトレイルを走り始めます。2013年Leigong Mountain International 100 km Ultra Trail Challenge(貴州環雷公山超100公里跑、3日間のステージレースで42k–42k–21kの計105k)の第1日目で優勝。2014年はDalian 100 大連100で優勝、Yishan 100 沂山100で2位、途中で捻挫したMont-Blanc Marathon(Skyrunning WC)では16位。香港では先日のHong Kong 100で優勝したほか、昨年秋にはHK50、Lantau50でも優勝しています。アジア人で今もっとも世界の舞台に近いランナーです。

Yan Long Fei

Hong Kong 100で優勝したヤン・ロンフェイ/ Yan Long Fei。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

アメリカのルーク・ネルソン/Luke Nelson(アメリカ、patagonia) は昨年はBighorn 100で優勝、Bear 100で2位などアメリカのトップレベルのランナーですが、アメリカ以外のレースではTransvulcaniaなどに出場しているもののまだ目立った成績は上げていません。国際的なこのレースでどのようなレースを見せるか。

ブラド・イクセル/Vlad Ixel

ブラド・イクセル/Vlad Ixel Photo by Vibram Hong Kong 100

ブラド・イクセル/Vlad Ixel(香港/オーストラリア)は2013年からトレイルランニングのレースで活躍し始め、昨年のHK100で3位となってからも、TNF 100 Thailand、Trans Lantau 50k、TNF 100 Hong Kongの50kで優勝。欧州でも本格的な山岳レースのIce Trail Tatentaise (65k)で12位などの活躍をみせています。1月のHong Kong100は故障のため出場を見送りましたが、そこからどれくらいリカバリーしているか。

ネパールのサミル・タマン/Samir Tamang(ネパール)は昨年のTDSで2位。2013年Lantau100で優勝。 今回も上位に入る可能性は高そう。

昨年の80km du Mont-Blanc(Skyrunning WC)で6位となったブレイク・ホーズ/Blake Hose(オーストラリア、Salomon)も上位を狙いそうです。オーストラリアのGreat Ocean Walk 100 kmで2013年、2014年と連覇。

Blake Hose

ブレイク・ホーズ/Blake Hose(オーストラリア)

オーストラリアからのランナーではデイビット・ビーン/David Byrne(オーストラリア、Nike)にも注目です。陸上競技出身で10kmの自己ベストが28:40という実力を持ち、オーストラリアの伝統あるトレイルレース・Six Foot Track Marathon(45k)で昨年優勝しています。

大瀬和文

大瀬和文 / Kazufumi Oose

スリーピークスをフィニッシュした小川壮太。

小川壮太/Sota Ogawa

日本の小川壮太/Sota Ogawa(日本、Salomon)、大瀬和文/Kazufumi Oose(日本、TEAM TARZAN)も世界から集まるアスリートと上位を競いそうです。小川は昨年は志賀エクストリームトライアングルで優勝、上州武尊山122kで2位、スリーピークス八ヶ岳で3位、富士登山競走で4位、ハセツネで5位などの活躍。2014年スカイランナー・ジャパン・シリーズでランキング2位でした。大瀬は国内のトレイルレースでは上位常連で、昨年はUTMFで19位、UTMBで22位と世界の舞台に好成績でデビュー。1月のHong Kong 100では11位でした。

そのほかの50km男子の注目ランナーは次のとおりです。

  • ケーシー・モーガン/Casey Morgan(スコットランド-イギリス)2014年のTransgrancanariaで10位。
  • マルコ・スタルム/Marco Sturm(ドイツ、SCOTT)ハーフマラソンの自己記録1:08:37の俊足の持ち主。
  • フルビオ・ダピ/Fulvio Dapit(イタリア)スカイランニング世界年間ランキング5位(ULTRAの部)
  • Mohamad Affindi Nudin(マレーシア) 昨年11月のOtterBox Salomon Action Asia Malaysia – Trail Run / 18kで優勝。
  • チョウ・ピン・チ/Chou Pin Chi(台湾)昨年11月のTAIWAN Action Asia 50 で4位。
  • 牛田美樹/Miki Ushida(日本)昨年のおんたけスカイレース6位、スリーピークス八ヶ岳7位、ハセツネ10位。2014年スカイランナー・ジャパン・シリーズでランキング3位。
  • 武藤尚一郎/Naoichiro Muto(日本)昨年のおんたけスカイレース7位、2014年スカイランナー・ジャパン・シリーズでランキング4位。
  • 別府浩司/Koji Beppu(日本)昨年の霧島・えびの高原エクストリームトレイル4位。今年1月の小岱山トレイルランニング / 20k 2位。
  • You Peiquan(中国)
  • Cai Rengui(中国)
  • Zheng Jian(中国)
  • Qu Lijie(中国)

Skyrunning Asia Championship – training day 2015 – YouTube

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