日本アルプスを縦断し、日本海から太平洋までの415kmを中断なしで一気に走り抜くトランスジャパンアルプスレース/Trans Japan Alps Race(TJAR) が現在開催されており、今日8月9日火曜日は大会三日目でした。長く険しいコースに加え、今回は山から下りると猛烈な暑さではありますが、暴風雨がない分だけこの大会としては恵まれたコンディションが続いており、各選手は着実に進んでいます。三日目の日付が変わるまでのリタイアはわずか一人。先頭を走るのは過去3大会連続優勝中の望月将悟で、三日目の15時36分に市野瀬(224km)に到着しています。大会の制限時間(8日間)となる8月14日(日)まで、およそ一日一回のペースでその日のTJARのダイジェストをお送りしています。このダイジェストをお送りするにあたっては、トレイルランニングの撮影で著名なフォトグラファー、藤巻翔 / Sho Fujimaki、後藤武久 / Takehisa Goto、小関信平 / Shimpei Koseki、宮上晃一 / Koichi Miyagamiの皆さんに写真をご提供いただいています。
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(写真・木曽駒ヶ岳・宝剣岳付近のテクニカルな岩場を駆け抜ける朽見太朗。Photo by © Shimpei Koseki)
トランスジャパンアルプスレース/Trans Japan Alps Raceの概要については当サイトの記事もご覧ください。
約半数の選手は中央アルプスへ
三日目の午前8時は上高地(105km)の関門締め切り時刻でしたが、7時23分に通過した竹内雅昭と岩崎勉を含め、28人の選手が関門をクリア。しかし、この関門の前の深夜に玉置千春が双六小屋(80km)でリタイアしています。
上位選手は前夜のうちに旧木曽駒高原スキー場(172km)でビバークしましたが、望月将悟、紺野裕一はわずか1、2時間の仮眠で日付が変わらないうちに木曽駒ヶ岳へと登山を開始。望月は深夜の3:14に宝剣山荘(180km)を通過しました。追う紺野はやや体調がすぐれない模様でここからは望月の単独リードを許すことになりました。望月は10時頃には池山尾根を下りて駒ヶ根市街へ入り、市野瀬(224km)に15:36に到着。これは2010年に望月自身が大会新記録で優勝(5日5時間22分)した時のタイムを2時間上回る好タイムです。
現地で望月の様子を見た齋藤通生さんによれば「(大会記録を作った)前々回よりも元気な印象。いつも悩まされる体のむくみもない様子だ。」とのこと。このまま、天候に恵まれれば、大会記録を更新し、12日金曜日の夜明け前にフィニッシュする可能性が出てきました。望月は2時間足らずの休憩のあと、市野瀬を出発しており、仙丈ケ岳から南アルプスへと入ります。
このほか上位陣では朽見太朗が3位、渡部祥が4位で続いており、ややおいて5位に石田賢生。そのあとには今回最年少の斉藤聡之や、ベテランの新藤衛、北野聡、船橋智が続いています。
大会側の情報と、GPS端末によるライブトラッキングの情報を合わせた各ポイントでの順位は次の通りです。
市野瀬(224km)到着順位
- 望月将悟(三日目15:36、17:20発)
- 紺野裕一(三日目18:39)
- 朽見太朗(三日目19:52)
- 渡部祥(三日目20:29)
宝剣山荘(180km)出発順位
- 望月将悟(三日目3:14)
- 朽見太朗(三日目6:34)
- 紺野裕一(三日目7:00)
- 渡部祥(三日目7:02)
- 石田賢生(三日目10:55)
- 新藤衛(三日目12:18)
- 船橋智(三日目12:19)
- 北野聡(三日目12:21)
- 斉藤聡之(三日目12:57)
- 雨宮浩樹(三日目15:29)
- 佐幸直也(三日目15:29)
- 大原倫(三日目15:45)
- 松浦和弘(三日目17:24)
- 吉藤剛(三日目19:42)
上高地(105km)通過順位
- 紺野裕一(二日目7:37)
- 望月将悟(二日目8:01)
- 朽見太朗(二日目10:05)
- 渡部祥(二日目11:38)
- 石田賢生(二日目13:00頃?)
- 斉藤聡之(二日目14:43)
- 船橋智(二日目15:10)
- 新藤衛(二日目15:29)
- 北野聡(二日目16:05)
- 雨宮浩樹(二日目15:47)
- 大原倫
- 佐幸直也(二日目16:53)
- 松浦和弘(二日目17:14)
- 吉藤剛(二日目18:46)
- 江口航平(二日目19:12)
- 柏木寛之(二日目19:22)
- 米田英昭(二日目21:14)
- 仙波憲人(二日目21:26)
- 桑山史朗(二日目21:26)
- 栗原葉子(二日目22:31)
- 男澤博樹(三日目1:23)
- 田中尚樹(三日目3:58)
- 岡田泰三(三日目4:13)
- 内山雄介(三日目6:22)
- 恵川裕行(三日目6:41)
- 村上貴洋(三日目7:02)
- 竹内雅昭(三日目7:23)
- 岩崎勉(三日目7:23)
リタイア
- 玉置千春(双六小屋<80km>)
3日目午後11時過ぎ時点の各選手の状況は次の通りでした。
- 仙丈ケ岳(237km)手前:望月将悟
- 市野瀬(224km):紺野裕一、渡部祥、朽見太朗
- 市野瀬(224km)手前4-5km:石田賢生
- 菅の台バスセンター(199km)付近:斉藤聡之、新藤衛、北野聡、船橋智
- 空木岳(189km)通過して2km:大原倫
- 空木岳(189km)まで1km:松浦和弘、佐幸直也、雨宮浩樹
- 檜尾岳(185km)付近:吉藤剛
- 宝剣山荘(180km)付近:柏木寛之、仙波憲人、江口航平
- 宝剣山荘(180km)まで2-3km:男澤博樹、栗原葉子、米田英昭、桑山史朗
- 宝剣山荘(180km)まで4-5km:恵川裕行、田中尚樹
- 旧木曽駒高原スキー場(172km)手前:内山雄介、村上貴洋
- 道の駅・日義木曽駒高原(168km)手前:岩崎勉、竹内雅昭
- 薮原駅付近(157km):岡田泰三
四日目は各選手が中央アルプスを通過、望月は畑薙まで達するか
四日目となる明日8月11日(木)は全選手が中央アルプスを越えて駒ヶ根市内に入りそうです。次の関門は市野瀬(224km)で五日目の正午となっており、大きく体調を崩さなければ残る選手は全員関門を通過できそうです。
ここへきて注目は望月将悟がどれだけ自分の持つ大会記録を短縮できるか、に集まりそうです。望月は四日目に入った今、仙丈ケ岳(238km)の手前1キロほどのところで仮眠を取っているようですが、朝までには行動を開始するでしょう。望月が2012年に5日6時間24分で完走した際には、5日目の12:25には南アルプスの登山道を下りて畑薙第一ダム(306km)に到着しています。三伏峠(263km)通過が4日目の正午より早ければ大会新記録の可能性が高いといえそうです。もし、5日目に入るまでに畑薙に下りてくれば、5日以内での完走という大記録も考えられます。
さらに、朽見太朗や渡部祥がTJARの経験豊富な他の選手を制して望月に続けるか、にも注目したいところです。
参考
- 大会サイト
- 大会からのお知らせ
- 大会サイトによる各選手の状況についてのアップデート
- 大会による全選手の現在位置がリアルタイムで把握できるマップ(大会開催中に掲載)
- Twitterのハッシュタグ #TJAR2016 のタイムライン
- NHKオンデマンド | NHKスペシャル 激走!日本アルプス大縦断(2012年大会のドキュメンタリー番組を有料で配信中)
さらに写真
当サイトのFacebookページではフォトグラファーチームから提供していただいた写真をご紹介しています。記事では紹介しきれないものも多数ありますのでぜひご覧ください。
- (New)#TJAR2016 Day 3 – 木曽谷 熱波に見舞われた三日目の8月9日(火)。多くの選手は上高地から舗装路で木曽谷へ向かいました。選手を温かく見守る木祖村薮原の 木祖村薮原 スーパーマーケットまると は選手にとってオアシスといえる存在です。ここから選手は旧木曽駒高原スキー場を経て、中央アルプス・木曽駒ヶ岳に向かいます。 Photo by Sho Fujimaki
- (New)#TJAR2016 Day 3 – 池山小屋 上位を走る選手は三日目に中央アルプスを縦走しました。木曽駒ヶ岳から空木岳へと南下し、駒ヶ根市へと降りる途中にあるのが池山小屋で、ここには水場もあります。ここまでくれば駒ヶ根の街はもうすぐ。Photo by Takehisa Goto
- (New)#TJAR2016 Day 3 – 宝剣岳 TJARのコースの中で中央アルプスは比較的短い山岳パートですが、宝剣岳の手前にはスリリングな岩場があります。宝剣山荘にはチェックポイントがあり、山小屋で一息つける場所となっています。 Photo by Shimpei Koseki
- #TJAR2016 Day 2 – 上高地、スーパーまると、旧木曽駒高原スキー場 大会二日目、北アルプスの最後の山となる槍ヶ岳を未明に通過した上位選手は朝には上高地へ。舗装路で木曽谷へ向かい、途中で補給します。その日の夜には次に控える中央アルプスの麓に到着です。 Photo by Sho Fujimaki
- #TJAR2016 Day 2 – 薬師岳 Mt. Yakushi 大会二日目に入って剱岳と槍ヶ岳の間になる薬師岳を進むのは全体の真ん中から後を走る選手たち。今日も快晴で美しい山の眺めが広がりますが、3日目の午前8時が上高地の関門締め切りとなるので、あまりのんびりとはしていられません。 Photo by Shimpei Koseki
- #TJAR2016 Day 1 – 一服劔 Ippuku-Tsurugi 最初の難所となる剱岳を過ぎると、選手はしばし北アルプスの深い山岳エリアを楽しむことになります。Photo by Kozo Okushima
- #TJAR Day 1 – 五色ヶ原 Goshikigahara 剱岳を過ぎ、スタートから44-5kmにある五色ヶ原は高山植物の美しい山上の楽園。夏らしい青空の下を各選手とも笑顔で進みます。 Photo by Takehisa Goto
- #TJAR2016 Day 1 – 剱岳 / Mt. Tsurugi スタートから約30kmの舗装路を走って馬場島へ。そこから早月尾根で選手は剱岳へ向かいます。日本で最も難度が高い山の一つですが、TJARの選手にはまだ入り口にすぎません。 Photo by Sho Fujimaki
- #TJAR2016 Day 1 – Start 2016年8月6日土曜日の深夜12時、8回目のトランスジャパンアルプスレース( Trans Japan Alps Race (TJAR))が富山県魚津市の早月川河口をスタート、静岡市大浜海岸までの415km、日本アルプスを縦走する旅に29人が旅立ちました。 Photo by Shimpei Koseki