2017年もビブラム・ホンコン100ウルトラトレイルレース/Vibram® Hong Kong 100 Ultra Trail® Race(HK100)で世界のトレイルランニング・シーンはスタートします。今年も1月14日土曜日に香港で開催されるこの100kmのトレイルランニング・レースには5000人以上の応募者から抽選で約2000人が出場権を獲得。日本からも昨年とほぼ同じ119人がエントリーしています。
そしてUltra Trail World Tourの開幕戦として、ヨーロッパ、アメリカからも最近注目のトップ選手が参戦します。当サイトでは今年も大会の模様を現地からライブ速報でお届けします。【有力選手の出場に関する情報は随時更新します。】
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(写真・昨年のHK100を7位でフィニッシュした大瀬和文 Kazufumi Ose<左>、Photo by Koichi Iwasa)
コースは昨年と同じ、後半に大きなアップダウンが配された100km / 4,500mD+
今回のHK100のコースは例年と同じでMacLehose Trailに沿った100km / 4,500mD+(当サイトでも概要を解説しています)。
スタートは4つのグループがウェーブ形式で5分おきにスタート。上位をねらうエリート選手は1月14日土曜日の午前8時(日本時間同日午後9時)にPak Tam Chung/北潭涌をスタート。同日午後5時半(日本時間午後6時半)頃には最初のフィニッシャーがRotary Club Park/大帽山扶輪公園にやってくる見込みです。これまでの大会記録は男子がフランソワ・デンヌ François D’Haeneの9時間32分26秒(2016年)、女子はクレア・プライス Claire Priceの11時間58分04秒(2013年)となっています。
現地からライブ速報でHK100の模様をお届けします
当サイトでは一昨年、昨年に続いて、今年もUltra Trail World Tourの開幕戦として注目されるビブラム・ホンコン100ウルトラトレイルレース/Vibram® Hong Kong 100 Ultra Trail® Race(HK100)の模様を現地からお届けします。レース中の上位選手や日本からの参加選手の状況を写真を交えてお送りするほか、注目選手のインタビューやエピソードなどもご紹介する予定です。
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今年もアジアの世界的な大会に集まる有力選手
昨年2016年のHK100にはUTMBをはじめとする世界的な大会で上位に入った経験を持つ欧州のアスリートが多数参加し、この年最も注目されたアジアのレースの一つとなりました。今年も昨年と同様に世界から注目を集める大会となりそうです。
Women / 女性
27歳のドン・リー Li Dong (Salomon、中国)にとってHK100は世界にその名前を知られるようになったきっかけとなる大会です。初出場で2位となった2015年はスカイランニングアジア選手権・MSIG Sai Kung 50kで2位、Transgrancanariaで3位、TNF100 Australiaで優勝。昨年2016年はHK100で優勝し、80km du Mont-Blancで3位に。ケガのせいか昨年秋からはレースからは遠ざかっており、昨年12月のスカイランニングアジア選手権・MSIG Lantau 50kはDNFでした。今回のHK100での連覇に向けて、どれくらいリカバリーが進んでいるか。
Ultra-Trail World Tourで2014年、2015年に年間チャンピオンとなったヌリア・ピカス Nuria Picas(Buff、スペイン)の名前も今年のHK100のエントリーリストにあります。欧州の長距離トレイルランニングレースでは2012年から2015年にかけて圧倒的な実力を見せつけたピカスは昨年はオフシーズンといった感じでTempliers 76kで3位となったほかは国際的な大会では結果を残していません。今回のHK100で再びトップを走るレースを見せるのか、もう少しオフシーズンが続くのが注目されます。
地元香港のトップ選手であるワン・チョウ Pui-Yan “Wyan” Chow(The North Face、香港)はHK100で2014年に2位、2015年に優勝。2015年の優勝の後にはTNF 50 Hong Kongで優勝。優勝経験者として今回も優勝候補の一角を占めることになります。昨年2016年はサハラ砂漠マラソン Marathon des Sablesで12位、Lavaredo Ultra Trailで20位。久々の地元での100kmレースでどんな結果となるでしょうか。
それぞれブランクを持つ上記3人の優勝候補がレースをリードしないとすれば、HK100で2015年3位、2016年2位となっているリサ・ボルザニ Lisa Borzani(Tecnica、イタリア)が初優勝をつかむ可能性が高そう。毎月のように長距離のレースに出場しているボルザニは昨年はAndorra Ultra Trail 170k、Tor des Geantsで優勝しています。そして昨年のHK100でボルザニと競い合って3位となったシルビア・トリゲロス Silvia Ainhoa Trigueros Garrote(LAND、スペイン)にとっては昨年の借りを返したいはず。昨年はTransgrancanaria 125kで4位、地元バスクのUltra-Trail Ehunmilak 168kで優勝、Tor des Geantsで5位。そしてもう一人の香港在住のトップ・ランナー、マリー・マクノートン Marie McNaughton(Gone Running、ニュージーランド)も優勝争いに加わるかもしれません。HK100では2015年に4位、昨年2016年に7位。昨年はUltra-Trail Australia 100kで6位、Lavaredo Ultra-Trail 120kで5位、UTMBで15位という結果を残しています。
さらにトップ10圏内を目指すのは次の皆さん。
- コリーヌ・ウィリアムズ Corinne Williams(アメリカ):昨年4位、2015年信越五岳110k優勝。
- ケイトリン・ゴッツチョーク Katrin Gottschalk(ニュージーランド):2016年Tarawera Ultramarathon 100kで4位。
Men / 男性
優勝候補は
ヤン・ロンフェイ Longfei Yan(Salomon、中国)はこのHK100は2015年に優勝、2016年はフランソワ・デンヌに続いて2位となっていて、今回の有力選手の中でもこのレースを熟知しているはずで、今回2回目の優勝を目指します。2015年は中国や香港のレースで優勝を重ねたほか、TNF100 Australiaで4位。しかし昨年2016年はHK100の後は国際的なレースには出ていない様子で、これが故障からのリカバリーのためだとすれば、今回の復活ぶりが注目されます。【ヤン・ロンフェイはケガからのリカバリー中で出場を見送ります。】
アメリカからは最近頭角を現している若手選手がエントリーしていて、ヤン・ロンフェイともにレースをリードしそうです。まずはセイジ・カナディ Sage Canaday(HOKA One One)です。フルマラソンPRが2時間16分52秒(2011年)というスピードの持ち主は2014年TNF 50 Mile Championship優勝、Lake Sonoma 50(2013年優勝、2014年3位)、Speedgoat 50k(2013-15年に三連覇)とアメリカにおける50kmから100kmのトレイルランニングの高速化をリードしました。昨年はボストンマラソンで2時間19分12秒、ウェスタンステイツで11位(17:16)、TNF 50 Mileで7位でした。そして2014年、15年にウェスタンステイツで2位となっているセス・スワンソン Seth Swanson(The North Face)は欧州でのデビューとなる2015年のUTMBで4位となってアメリカ勢の存在感を示したことでも話題に。ただ昨年はレースから遠ざかっていて、12月のTNF 50 Mileとあわせて開催の50kmで4位となっているのみ。
最近のUTMBでの活躍で注目されたティム・トレフソン Tim Tollefson(HOKA One One)、デビッド・レニー David Laney(Nike)も今回のHK100の優勝候補の一角です。31歳のトレフソンは2015年CCCで2位、昨年のUTMBで3位となったことで話題に。レニーは2015年のUTMBで後半の猛烈な追い上げで3位となったほか、今年のUTMBでも4位に。昨年12月のTNF 50 Mileでは3位となっています。トレフソンとレニーが今回のHK100のレースをリードする展開となる可能性は高いでしょう。
欧州勢ではスペイン・バスクのハビエ・ドミンゲス Javier Dominguez Ledo(Vibram)が優勝争いに加わりそう。2013年のUTMBで3位となって脚光を浴びてからも長距離での粘り強さで活躍することが多く、昨年2016年はLavaredo Ultra-Trail 119kで3位、スカイランニング世界選手権・Buff Epic Trail 105kで3位、UTMBで5位、レユニオン(Diagonale des Fous)で3位と注目度の高いレースでの存在感が目立ちました。厳しいコンディションでのレースとなれば今回のHK100では彼に有利となりそう。昨年2016年のウェスタンステイツで2位のディドリク・ヘルマンセン Didrik Hermansen(Asics、ノルウェー)は100kmなどのウルトラマラソンでも活躍しているスピードランナー。2015年Lavaredo Ultra Trail優勝、2016年Transgrancanaria優勝。HK100の前半で大きなリードを稼げば有利な展開となりそう。
このほか、2013年のHK100優勝のユン・ヤンキャオ Yanqiao Yun(The North Face、中国)は中国のトレイルランニングレースでは常に上位に入っているトップ選手。Ultra-Trail Australia 100kmでは2015年、16年に3位となっていて、今回も久々のHK100で上位を狙います。
トップ10圏内は?
上記の優勝候補に続いて、HK100で表彰対象となるトップ10圏内にもまだまだ有力選手が続きます。
昨年のHK100で表彰台に立った、ジョルディ・ガミト Jordi Gamito Baus(6位、Waa、スペイン)【ジョルディ・ガミトは今回のHK100に出場しません】、大瀬和文 Kazufumi Ose(7位、Salomon、日本)、いいのわたる Wataru Iino(9位、RaidLight、日本)はそろって今年のHK100にエントリーしています。昨年のHK100で16位のサンゲ・シェルパ Sangé Sherpa(Waa、ネパール)は昨年はUTWTのレースを中心に確認できるだけで17のレースに出場していて精力的な活動で知られています。また、UTMBやUTMF、Hardrock 100での実績で知られるジュリアン・ショリエ Julien Chorier(HOKA One One、フランス)。ジュリアンは昨年はTransgrancanariaで7位、UTMBで8位に。昨年12月にも香港に来ており、スカイランニングアジア選手権・MSIG Lantau 50kでは7位となっています。また香港在住のトップアスリートであるヴラド・イクセル Vlad Ixel(The North Face、オーストラリア)もエントリーしています。イクセルは2014年のHK100で3位となっています。【ヴラド・イクセルも今回のHK100出場を見送ります。】
日本からのエントリーでは2013年UTMFチャンピオンの原良和 Yoshikazu Haraにも注目が集まります。原は2015年のこの大会で上位を走りながらコースをロストしてDNFとなっていますが、今回雪辱を果たせるか。大晦日に台湾で開催されたHualein 110kで優勝したばかりです。そして雪辱を目指すのは永田務 Tsutomu Nagataも同じ。特に昨年2016年のHK100では序盤でトップを走りながらも途中で転倒してリタイアという無念を味わうことになりました。3度目の挑戦に期待です。昨年の永田はLake Sonoma 50で20位、信越五岳110kで優勝、越後くびきの100kで優勝といった結果を残しています。
その他の注目選手
今回のHK100はアジアを代表する大会としてこの他にも各地から有力選手を集めています。このほか、香港のトップ選手、ストン・ツァン Stone Tsangは1月28-30日のHong Kong Four Trails Ultra Challenge(HK4TUC)にチャレンジするため今年のHK100を見送っています。また、日本から2015年、2016年に出場している奥宮俊祐 Shunsuke Okunomiyaも今年のHK100を見送り。奥宮は2月24-26日のTransgrancanariaに出場する模様です。
- ダニエル・ユング Daniel Jung (イタリア):2016年Trans Alpine Run優勝。
- ファイラト・バラシン Phairat Varasin (タイ):2016年TNF100 Thailand 3位。
- ジェレミー・リッチー Jeremy Ritcey(カナダ、香港在住): HK100には2011年の第一回大会から全て出場、昨年は17位。
- ロベルト・ジル Roberto Gil Lopez(スペイン):昨年のLavaredoで14位、UTMBで22位。
- ウォン・ホーチュン Ho Chung Wong (香港):昨年のUltra Trail Tai Mo Shanの50kで優勝、HK100で11位。
- セバスチャン・バファール Sébastien Buffard (フランス):昨年のEco Trail de Paris 80kで9位。
- 大野拓平 Takuhei Ohno(日本):2015年HK100 27位。2016年Korea 50k 14位。
- エルワン・ルブラス Erwan Le Bras (フランス、日本在住):昨年のHK100で33位。
- ジョン・エリス John Ellis (オーストラリア、香港在住):昨年のHK100で19位。
- ジャスティン・アンドリュース Justin Andrews (アメリカ、香港在住):2015年スカイランニングアジア選手権・MSIG Sai Kung 50kで8位。2016年HK100で22位。
- 田坂洋範 Hironori Tasaka(日本):2016年Antelope Canyon 50優勝、美ヶ原80kで3位、信越五岳110kで5位。
- 野本哲晃 Tetsuaki Nomoto(日本):2014年UTMFで7位。