ZAO Skyrunning 蔵王スカイランニング・スカイランニングアジア選手権 2017 リザルト

Zao-Skyrunning-logo【編者より:先週末の9月9日、10日に山形市・ZAO Skyrunningスカイランニングアジア選手権が開催されました。バーティカルレースでは宮原徹 吉住友里 Yuri Yoshizumi、スカイレースでは上田瑠偉 Ruy Ueda高村貴子 Takako Takamuraと、日本勢が上位を占めました。この大会は同時にスカイランニング日本選手権ともなっており、この大会の上位入賞者は来年2018年に予定されている世界選手権の日本代表チームの選考資格を満たします。当サイトでは大会のプレスリリースを元に以下のリザルト記事をお届けします。】


(写真・日曜日のZao Skyrace 28kで優勝した上田瑠偉と高村貴子。Photo by Kochi Iwasa, DogsorCaravan.com)

link


Zao Vertical Race (4.8km 900mD+)

初日に行われたバーティカル・レースは蔵王温泉を出発し、鳥兜山を経由して地蔵岳山頂まで標高差で累計900mを一気に登り切る距離4.8kmのレース。斜度30度に達する急なスキーゲレンデや岩が転がる本格的な登山道を含む本格的な山岳コースです。このコースを吉住友里 Yuri Yoshizumiは44分41秒で完走して優勝。昨年のスカイランナー・ジャパンシリーズの年間チャンピオンで、今年は本場欧州のバーティカル・キロメーターの世界シリーズ戦や富士登山競走で優勝している吉住はこの大会で二連覇。さらに昨年の自身による大会記録を2分13秒上回る新記録となりました。さらに日本からは日本代表チームの小川ミーナ Mina Ogawaが吉住に4分差の48分43秒で2位に。3位にも星野由香理 が入り、上位3人は日本勢が独占しました。優勝した吉住友里は「今週ヨーロッパのレース(UTMB®︎の姉妹レース・OCCで4位)から帰国したばかりで疲労が残っていた。昨年のタイムを上回って、この一年の自分の成長を確かめることができたのがうれしい。」と笑顔で話しました。

フィニッシュの地蔵岳山頂まであとわずかの吉住友里 Yuri Yoshizumi。

バーティカルレースの女子トップ3。優勝の吉住友里(中)、2位の小川ミーナ(右)、3位の星野由香理(左)。

男子でも宮原徹 Toru Miyahara永里剛城 Goki Nagasato新牛込崇史 Takashi Shinushigomeと日本のトップ選手が上位を占めました。宮原も昨年のスカイランナー・ジャパンシリーズの年間チャンピオンで、富士登山競走の大会記録保持者、アメリカの伝統ある山岳レースで優勝した経験も持つトップアスリート。今回は37分34秒で昨年に続いてこの大会で優勝、アジア選手権チャンピオンとなりました。2位には永里が1分52秒差まで迫りました。3位には昨年2位だった新牛込が入りました。4位に入った近江竜之介 Ryunosuke Ohmiはユース世代の高校生。今回はその実力が国内トップレベルに迫ることを証明し、今後の活躍が期待されます。宮原徹は「蔵王は今夏に目標としていた大会で、満足できる結果を出せた。最近、背後には自分より若い選手の勢いを感じるが、これからも先頭を走り続けたい。」と静かな闘志をみせました。

バーティカルの皇帝、宮原徹が最後まで力を振り絞る。

海外から参加した選手では男子でチョウ・チン Chou, Ching(台湾)が19位、マルセリノ・パリトグ・サナオイ Sana-oy, Marcelino Palitog(フィリピン)が33位、キム・ジンワン Kim, Jinwan(韓国)が37位に。女子はヨン・イェジ Jeong, Yeji(韓国)が7位でした。

大会前日の交流会で顔を揃えた、フィリピン、日本の代表選手たち。

Zao Vertical Race リザルト

リザルトはこちらから。

バーティカルレースの表彰式。

(男子)

  1. 宮原徹 Toru Miyahara 0:37:34
  2. 永里剛城 Goki Nagasato 0:39:26
  3. 新牛込崇史 Takashi Shinushigome 0:40:32
  4. 近江竜之介 Ryunosuke Ohmi 0:40:48
  5. 柳澤隼人 Hayato Yanagisawa 0:41:40
  6. 三浦裕一 Yuichi Miura 0:41:56
  7. 宮川朋史 Tomofumi Miyagawa 0:42:13
  8. 宮崎大夢 Hiromu Miyazaki 0:42:40
  9. 吉野大和 Yamato Yoshino 0:42:58
  10. 江本英卓 Suguru Emoto 0:43:21
  • 19 チョウ・チン Chou, Ching(台湾) 0:45:25
  • 33 マルセリノ・パリトグ・サナオイ Sana-oy, Marcelino Palitog(フィリピン) 0:48:14
  • 37 キム・ジンワン Kim, Jinwan(韓国) 0:49:01
これも読む
高村貴子が五連覇、川崎雄哉が2度目の優勝。第31回ハセツネCUP・日本山岳耐久レース 2023 リザルト #Hasetsune #ハセツネ

(女子)

  1. 吉住友里 Yuri Yoshizumi 0:44:41
  2. 小川ミーナ Mina Ogawa 0:48:43
  3. 星野由香理 Yukari Hoshino 0:54:12
  4. 滝澤空良 Sora Takizawa 1:01:04
  5. 須藤吉仕子 Kishiko Suto 1:02:25
  6. 佐藤浩華 Hiroka Sato 1:02:58
  7. ヨン・イェジ Jeong, Yeji(韓国) 1:04:32
  8. 西山容子 Yoko Nishiyama 1:05:54
  9. 佐藤奈美 Nami Sato 1:10:40
  10. 石渡保子 Yasuko Ishiwata 1:11:59

Zao Skyrace 28k (28km 2300mD+)


大会二日目の蔵王も日差しの強い晴れの一日。アジア選手権となるZao Skyrace 28k 蔵王スカイレース28kは蔵王温泉を出発するとスキーゲレンデの急坂を含む8kmで累積獲得高度1,000mD+を登ります。そこからの蔵王岳(1758m)、熊野岳(1841m)、山上の火山湖「お釜」を臨む馬の背は欧州生まれの山岳スポーツ・にふさわしい本格的な山岳エリア。ここから選手は蔵王ライザワールドへ下りて登り返すループを経て、蔵王温泉へと戻ります。他のスカイランニングのレースを完走した経験などの参加資格を満たした選手だけが参加できる上級者向けのレースです。

スタートから8kmの地蔵岳の手前では永里剛城がリード、その後に上田瑠偉が続く。Photo by Erwan LeBras

男子のレースは上田瑠偉 Ruy Uedaを含む6人の集団がリードします。中盤のループで山を降りた15km地点では、集団から抜け出した上田と加藤聡 Satoshi Katoの2人のレースに。ここから上田が先行し始め、登り返した21km地点の地蔵岳では加藤に3分45秒差をつけていました。終盤の長いダウンヒルで加藤は上田との差を縮めますが上田が逃げ切り、2時間42分41秒でフィニッシュ。2位になった加藤との差は1分48秒でした。前週にシャモニーから帰国したばかりの上田は「先週末に56kmのOCCを走ったばかりでしたが、蔵王は今シーズンのスカイランニングの要となるイベント。事前に考えたとおりの展開で勝つことができてうれしい」と話しました。3位には近藤敬仁 Yoshihito Kondoが続きました。近藤はコースの途中でロストしながらも表彰台の座をキープ。序盤に先頭集団を走っていた永里剛城 Goki Nagasato西澤誠二 Seiji Nishizawaは途中から大幅にペースを落とすことになりましたが無事フィニッシュしています。

レース後半に入って単独リードとなった上田瑠偉。Photo by Erwan LeBras

近藤敬仁はロストしながらも3位に。アゴには出血も。

4位になった三浦裕一。前日のバーティカルレースでも健闘した。

5位になった吉野大和。今シーズンは7月のユース世界選手権で健闘し、今回の蔵王でも有力選手が集まる中で5位に。

女子では高村貴子 Takako Takamuraが終始レースをリード。他の女子選手の追随を許さない緊張感あふれる走りで28kmを走り切り、3時間15分15秒で蔵王温泉にフィニッシュして、アジア選手権チャンピオンとなりました。昨年はユース世界選手権・グランサッソスカイレース(イタリア)で2位、今年の世界シリーズ戦の一つ・スカイレースコマペドローサ(アンドラ)で3位となり勢いに乗る高村。「蔵王はコマペドローサとともに今年の大きな目標としていたレース。世界シリーズ戦での経験を蔵王で活かすことができた。」と振り返りました。今年7月の日本選手権・美ヶ原トレイルラン80kで優勝した星野由香理 Yukari Hoshinoが3時間44分50秒で2位に。そして3位は3時間49分46秒でパク・スージ Park, Sooji(韓国)。昨年のこの大会で3位のパクが日本勢のメダル獲得が続く今回のアジア選手権で銅メダルを獲得する快挙となりました。

この日は圧倒的な独走を見せた高村貴子。

2位になった星野由香理。7月には日本選手権・で優勝している。

韓国のパク・スージは昨年に続いて今年も3位に入る活躍をみせた。

このほか、男子でマルセリノ・パリトグ・サナオイ Sana-oy, Marcelino Palitog(フィリピン)が18位、チョウ・チン Chou, Ching(台湾)が28位、ノ・ヘソン Noh, Heeseong(韓国)が39位に。女子はツァン・インフン Tsang, Yin-Hung(中国・香港)が7位、ユン・ヨンへ Jung, Eunhye(韓国)が10位、ヨン・イェジ Jeong, Yeji(韓国)が11位でした。

マルセリノ・パリトグ・サナオイ Sana-oy, Marcelino Palitog(フィリピン)は思ったよりも暑くて途中で水を切らしてしまったという。

Zao Skyrace 28k リザルト

リザルトはこちらから。

これも読む
ダイジェスト・Day 6 木村直正、石尾和貴、望月将悟、馬場誠の四選手が完走、台風が接近して大雨に #TJAR2022

(男子)

  1. 上田瑠偉 Ruy Ueda (JPN) 2:42:41
  2. 加藤聡 Satoshi Kato (JPN) 2:44:29
  3. 近藤敬仁 Yoshihito Kondo (JPN) 2:50:45
  4. 三浦裕一 Yuichi Miura (JPN) 2:50:57
  5. 吉野大和 Yamato Yoshino (JPN) 2:51:17
  6. 横山忠男 Tadao Yokoyama (JPN) 3:00:33
  7. 奥山聡 Satoshi Yokoyama (JPN) 3:00:45
  8. 吉田岳生 Takeo Yoshida (JPN) 3:01:47
  9. 宮川朋史 Tomofumi Miyagawa (JPN) 3:02:28
  10. 平賀太智 Taichi Hiraga (JPN) 3:02:58
  • 18 マルセリノ・パリトグ・サナオイ Marcelino Palitog Sana-oy (PHL) 3:11:01
  • 28 チン・チョウ Chou Ching (TWN) 3:21:31
  • 39 ノ・ヘソン Heeseong Noh (KOR) 3:31:49

(女子)

  1. 高村貴子 Takako Takamura (JPN) 3:15:15
  2. 星野由香理 Yukari Hoshino (JPN) 3:44:50
  3. パク・スージ Sooji Park (KOR) 3:49:46
  4. 折戸小百合 Sayuri Orito (JPN) 3:58:49
  5. 桑原絵理 Eri Kuwabara (JPN) 4:01:44
  6. 田中真紀 Maki Tanaka (JPN) 4:05:01
  7. ツァン・インフン Yin-Hung Tsang (CHN – HK) 4:08:41
  8. 宮坂康子 Yasuko Miyasaka (JPN) 4:09:41
  9. 滝澤空良 Sora Takizawa (JPN) 4:13:54
  10. ユン・ヨンへ Eunhye Jung (KOR) 4:14:47
  • 11 ヨン・イェジ Yeji Jeong (KOR) 4:16:59
これも読む
Lavaredo Ultra Trail by UTMB:世界遺産のドロミテ山塊で開催

謝辞

今回のの取材にあたっては、エルワン・ルブラス Erwan LeBrasさんにはZao Skyrace 28kのコース上で写真や情報を提供していただきました。ご協力に感謝いたします。

初日のバーティカルレースに参戦したエルワンさん。

この記事が気に入ったらDogsorCaravanをBuy Me a Coffeeで直接サポートできます!

Buy Me a Coffee

Sponsored link