トランスグランカナリア Transgrancanaria HG 2018 プレビュー・今年も現地からお伝えします #UTWT

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TransgrancanariaHG-TGC-logo今週末はスペイン・カナリア諸島のグランカナリア島でトランスグランカナリア Transgrancanariaが開催されます。Ultra-Trail World Tourの第3戦であり、まだ雪に覆われているエリアの多い欧州におけるトレイルランニングの開幕戦ともいえる大会です。当サイトでは昨年に続いてこの大会を現地で取材し、特に大会の中心となる125km 7,500mD+のレースについてはコース上の模様を速報でお伝えする予定です。日本のトレイルランニング・ファンにとってはオフシーズンに開催される長距離の大会として気になる大会です。

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欧州における春のビッグイベント

カナリア諸島はアフリカ大陸北西部から約100kmの大西洋上にあるスペイン領の7つの島からなり、今日では温暖な保養地、観光地としてヨーロッパからの観光客で賑わうことで知られています。その中ほどにあるのがグランカナリア島。中央部に標高1949mの最高峰(ピコ・デ・ラス・ニエベス Pico de las Nieves)や1813mのヌブロ岩 Roque Nubloがあり、その島の北部は比較的気温が低くて雨が多いために樹林帯が広がる一方、南部は日差しに恵まれて乾燥した大地が広がり海岸部には砂丘もあります。

トランスグランカナリアは2003年から開催されている欧州における春のトレイルランニングのビッグイベント。当サイトではこの大会が生まれるまでのストーリーを紹介する記事を2014年に掲載しています。

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[DC] トランスグランカナリア・ある島のレースの歩み/Transgrancanariaは3月1日開催

2014.02.07
大会のメインイベントであり、Ultra-Trail World Tourの第3戦で年間ランキングでポイントが加算されるセリエ・レーベルとなる125kmのレース、Transgrancanariaは今年からコースが一部変更されます。スタート地点がこれまでの島北部の港町・アガエテ Agaeteから、今回は島の最大都市であるラス・パルマス・デ・グラン・カナリア Las Palmas de Gran Canariaのラス・カンテラス海岸に移りました。深夜にスタートするレースは早朝にトップの選手が島の中央部にあり、巨大な一枚岩の先に屹立するヌブロ岩 Roque Nubloへと往復してからガラニャン Garañón(84.3km)へ。ここからは島の南部へと強い日差しの下の乾いたトレイルを駆け下りて、エクスポメロナレス Expomelonares / Maspalomas(126.2km)へとフィニッシュします。制限時間は30時間。

今年のトランスグランカナリアの125kmのコースの高低図。大会ウェブサイトより。

コースの変更により、テヘーダ Tejeda(73.8km地点)までの前半部はやや累積獲得高度が少なくなります。この結果、コース全体での累積獲得高度は昨年の8000mD+から今年は7500mD+となり、コースの距離も123.7kmから126.2kmへとわずかに短くなります。

125kmのTransgrancanariaの他に、昨年初開催でグランカナリア島をぐるりと一周するTrans 360°も今年開催。今年のコースは269km 12,000mD+となり、制限時間は101時間。21日水曜日の午前9時にスタートします。この他、23日金曜日には42kmのMaratónが行われます。23日午後11時の125kmのスタートの翌朝の24日土曜日に、30kmのStarter、17kmのPromo/Family、64kmのAdvancedがそれぞれスタート。64kmのAdvancedは昨年と同じくスペインの国内シリーズ戦であるWAA Spain Ultra Cupの中距離クラスの大会であると同時に、今年4月のトレイル世界選手権のスペイン代表選考レースとなっていて、多くのスペイン人選手がこちらに出場します。

トランスグランカナリアについての情報源

当サイトでは昨年に続いて今年もトランスグランカナリアの取材のため、これからグランカナリア島へ向かいます。125kmのレース開催中はコース上からレースの様子をtwitterでお伝えする予定です。シーズン初めのビッグイベントとして日本でも関心が高まっているこの大会ですが、大西洋に浮かぶ島は日本からは遥か遠いのは確か。当サイトのレポートがトランスグランカナリアについて日本のトレイルランニング・ファンの皆さんが知るきっかけになることを願っています。

メインイベントとなる125kmのスタートは2月23日金曜日の午後11時(日本時間24日土曜日午前8時)、トップの選手のフィニッシュはおよそ13時間後となります。

トランスグランカナリアについての情報源は次の通りです。

今回のトランスグランカナリアの注目選手

今回のトランスグランカナリアは64kmのAdvancedがスペイン陸連によるトレイルランニング・スペイン選手権となっていて、男女の上位3人は今年4月にスペインのPenyagolosa Trails ペニャゴロサ・トレイルズで開催されるトレイル世界選手権のスペイン代表に選考されることになっています。このためスペインの有力選手の多くが64kmに出場するため、125kmのレースは例年に比べると有力選手層が薄めという印象。しかし、アメリカなどから多くの有力選手が集まっていて今年もレベルの高いレースとなることは変わりありません。

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昨年のこのレースで13時間21分で優勝して、世界のトップ選手としての評価を確固としたのがパウ・カペル Pau Capell(スペイン)でした。このトランスグランカナリアでは2015年に85kmのレースで優勝、2016年に125kmで3位となっていて今回が4回目の出場。27歳の今年も昨年に続いて連覇を果たす可能性はかなり高いでしょう。昨年2017年は4月のMIUT 112kで2位、UTMB®︎で6位となっていてUTWTの年間ランキングでは2位になっています。

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昨年2017年優勝のパウ・カペル Pau Capell

2016年にUltra Skymarathon Madeira 55kやThe Rut 50kで優勝するなど、スカイランニングのレースで活躍しているクリストファー・クレメンテ Cristofer Clemente(スペイン)も今回の125kmの優勝候補です。カナリア諸島の島の一つですが、トランスグランカナリアには2014年に85kmに出場して3位となって以来の出場。昨年はIAUトレイル世界選手権(49km、イタリア)で2位、80km du Mont Blancで2位という成果を上げていて、12月には香港で行われたスカイランニングアジア選手権 MSIG Lantau 50kに参戦して優勝しています。クレメンテは40-70kmのレースに強い選手で、100kmを超えるレースにはあまり出ていませんが、110kmのUltra Pirineuでは2015年に5位、2016年に6位、昨年はDNFという結果でした。

昨年12月のMSIG Lantau 50kで優勝したクリストファー・クレメンテ Cristofer Clemente

アメリカのティム・トレフソン Tim Tollefsonは2015年のCCC®︎で2位、2016年と2017年のUTMB®︎で3位となり、UTMB®︎でも有名なアメリカ人選手となりました。昨年はUTMB®︎の他にも、Hong Kong 100で5位、Ultra-Trail Australia 100kで優勝してUTWT年間ランキングで4位。アメリカでもSpeedgoat 50kで2位になっています。UTMB®︎での活躍が印象的ですが意外とその他欧州のレース実績は少なく、2016年のTransgrancanariaで92位となっているのみ。今回同じレースで雪辱をそそぐことができるか注目です。

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同じくアメリカからエントリーしているマリオ・メンドーザ Mario Mendozaもアメリカの40-70kmのレースで実績を残しているアスリートで、国際的なレースでは昨年6月のIAUトレイル世界選手権(49km、イタリア)で9位に。100kmを超える距離では昨年2月のRocky Raccoon 100で4位のほか、今年1月には100kmトレイル全米選手権となっているBandera 100kで優勝し、ウェスタンステイツへの出場権も獲得しています。この1月の好調さが発揮されれば今回のTransgrancanariaでも上位は狙えそうです。

このほか上位入りが見込まれる選手としては、昨年のこの大会で4位のジョルディ・ガミト Jordi Gamito Baus(スペイン)がまず挙がります。昨年はMIUT 112kで5位、Eiger Ultra-Trail E101で3位、UTMB®︎で10位、Ultra Pirineu 109kで4位と長距離のレースで好成績を立て続けに出していて、今シーズンにも注目が集まります。同じく昨年のこの大会で5位のマキシム・カザジャス Maxime Cazajous(フランス)も今年の大会にエントリー。2016年のレユニオン・Diagonale des Fousで5位になっているアスリートです。昨年のTransgrancanariaで上位を走りながらリタイアしているのがダニエル・ユング Daniel Jung(イタリア)とドミトリ・ミチャエフ Dmitry Mityaev(ロシア)の二人。ユングは昨年のUTWTの大会ではHong Kong 100で2位、MIUT 112kで6位、TDS®︎で6位、Ultra-Trail Cape Town 100kで6位になっています。ミチャエフは昨年秋にUltra Pirineu 109kで2位になっています。さらにオーレリアン・コレ Aurelien Collet(フランス)もこうした選手と並んで走る場面がありそうです。昨年のUltra-Trail Australia 100kで3位となっています。

このほかの有力選手は次の皆さん。

  • トニー・ムーライ Tony Moulaï(フランス):2016年 Marathon du Mont Blancで4位。
  • デビッド・ルチャルド David Lutzardo(スペイン):2016年 Transgrancanaria 81kで2位。
  • へラルド・モラレス Gerard Morales(スペイン):昨年のTransgrancanariaで13位、昨年のBuff Epic Trail 105kで優勝。
  • セバスチャン・シェニョー Sébastien Chaigneau(フランス):日本でもよくその名を知られたレジェンドで、Transgrancanariaでは2011年に3位の後、12年と13年に連覇。昨年は81kmのレースで優勝しています。昨年はLavaredo Ultra-Trail 119kで8位に。この他に先月に180kmのステージレースであるLe Tregで優勝しています。
  • レミヒオ・フアマン Remigio Huaman(ペルー):昨年のMarathon des Sablesで5位、MDS Peruで2位。
  • サンゲ・シェルパ Sange Sherpa(ネパール):昨年は信越五岳100マイル(短縮されて102km)で優勝。昨年のTransgrancanariaでは26位。
  • ケイシー・モーガン Casey Morgan(イギリス):昨年は香港の9 Dragons Ultra 50/50で優勝。

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カロリーヌ・シャヴェロ Calorine Chaverot

女子のレースは再び女王二人の間の駆け引きを見ることになりそう。まずは2015年から国際的なレースで頭角を表し、2016年はUTWT年間チャンピオンをはじめとして世界のタイトルを総なめにしたカロリーヌ・シャヴェロ Caroline Chaverot(フランス)です。Transgrancanariaでも2015年に2位、2016年に優勝という成績。昨年はTransgrancanariaやUTMB®︎でDNFとなるなどケガに悩むレースもありましたが、LavaredoやHardrock 100では優勝。もう一方は昨年のUTWT年間チャンピオンであるアンドレア・ヒューザー Andrea Huser(スイス)です。Transgrancanariaでは2015年に4位、16年、17年は2位。昨年はMIUT 112k、Eiger Ultra Trail E101、レユニオン・Diagonale des Fousなどで優勝。年間を通じて数多くのレースで安定した成績を上げていますが、今年1月のHong Kong 100ではリタイアしています。ただ、アジアへの長旅に疲れただけだったのなら、懸念は無用かもしれません。この二人に迫る可能性があるのがジャスミン・ニュナジ Jasmin Nunige(スイス)です。Templier 76kでは2015年に2位、2016年に優勝しています。これまでで最も距離の長いレースとしてはスウェーデンの夏の大会であるUltravasan 90kで2015年、16年に連覇。100kmを超えるレースは今回が初めてですがそのスピードでシャヴェロやヒューザーに迫る可能性は高そう。

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加えて、今回のTransgrananariaは次のように女子の選手層が厚いレースとなります。

  • フランチェスカ・カネパ Francesca Canepa(イタリア): 2017年Swissalpine Davos T133で優勝。
  • マグダ・ラクザック Magdalena Łączak(ポーランド):2017年Bieg 7 Dolin 100k(ポーランド)優勝。
  • エミリー・ルコント Emilie Lecomte(フランス):レユニオン・Diagonale des Fousで2009年、2012年に優勝、2015年、2017年に2位。
  • ベス・パスカル Beth Pascal(イギリス):2017年MIUT 112kで2位。
  • エカテリーナ・ミチャエワ Ekaterina Mityaeva(ロシア):2017年80km du Mont Blancで3位。
  • フェルナンダ・マシェール Fernanda Maciel(ブラジル):Transgrancanariaで2012年優勝、2014年3位。昨年はMarathon des Sablesで3位。
  • エイミー・スプロストン Amy Sproston(アメリカ):2016年ウェスタンステイツで2位、昨年のUTMBで8位。
  • リサ・ボルザニ Lisa Borzani(イタリア):2017年Lavaredo Ultra-Trailで3位。
  • メーガン・ローズ Meghan Laws(アメリカ):2017年ウェスタンステイツで9位。

その他のレース

上記のように64kmのレース、Advancedはスペインの有力選手が揃っていて、例えば男子ではダニ・ガルシア Dani Garcia(昨年のトレイル世界選手権で5位)、パブロ・ビラ Pablo Villa(昨年のUltra Pirineu 109kで優勝)、セバス・サンチェス Sebas Sánchez(2016年Transgrancanaria 81k優勝)、ダニ・アギレル Dani Aguirre(Ehunmilak 91kで2016年、17年と連覇)、ジェライ・デュラン Yeray Durán(2016年TDS®︎で2位)といった具合。女子も昨年の125k優勝のアサラ・ガルシア Azara Garcia、昨年Penyagolosa CSP優勝のヘマ・アレナス Gemma Arenas Alcazar、昨年のCCC®︎3位のライア・カニェス Laia Cañesなどがエントリーしています。

42kmのMaratonには2015年にTransgrancanariaで優勝しているゲディミナス・グリニウス Gediminas Grinius(リトアニア)、昨年のUltra-Trail Cape Townで4位のパウ・バルトロ Pau Bartoló(スペイン)。360°には昨年のレースでタイで優勝したルカ・パピ Luca Papi(イタリア)とピーター・キーンゼル Peter Kienzl(イタリア)に加え、 トル・デ・ジアン Tor des Geantsのレジェンド、オスカー・ペレス Óscar Pérez(スペイン)がエントリーしています。

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